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天音花香の小説をUPするブログです。個人サイトの小説はこちらに移しました。現在二時創作と短編を中心に書いています。
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天音花香
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女性
職業:
主婦
趣味:
いろいろ・・・
自己紹介:
小学生のときに、テレビの影響で、小説を書き始めました。高校の時に文芸部、新聞部で文芸活動をしました(主に、詩ですが)。一応文学部でです。ですが、大学時代、働いていた時期は小説を書く暇がなく、主婦になってから活動を再開。

好きな小説家は、小野 不由美先生、恩田陸先生、加納朋子先生、乙一先生、浅田次郎先生、雪乃 紗衣先生、冴木忍先生、深沢美潮先生、前田珠子先生、市川拓司先生他。
もう一つのブログでは香水についてレビューをしております。
http://yaplog.jp/inka_rose/
こんな私ですが、宜しくお願いします。





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こんばんは、天音です。
大分涼しくなりましたね。
今年は台風の被害もとても酷くて、災害にあっている方々のことを思うと胸が痛みます。私にできるのは、毎日クリック募金をすることと、祈ることだけで申し訳ない。でもできることから、と思っています。


今日は久しぶりに白昼夢をお届けいたします。
次回で白昼夢は終わりになります。
自分でも何が書きたかったのかちょっと迷走しすぎの作品になりましたが、ヨルとツキの二人は気に入っています。
どうか温かい目で見守っていただけますよう、よろしくお願いします。


この小説ブログ、そしてもうひとつの香水ブログに載せている全ての作品の著作権は天音花香にあり、放棄しておりません。
無断転載、無許可の販売は禁止です。






         「白昼夢」6



ココから小説

 
最初から読む

 
 バタバタと足音をたてて入ってきたのは伝令だった。
「ヨル将軍! 兵糧庫が何者かによって奇襲されている模様。煙が上がっております」
「兵糧庫?」
 私は鋭い目で伝令を見た。
「は」
「私が見てきます」
 すぐにフユが立ち、兵を伴って出て行った。
 何か嫌な予感がした。
「兵糧庫に入るためには、門を開けなければならない。どの門が破られた?」
 私の言葉に伝令はうろたえる。
「そ、それが……。門は破られた様子はありません」
「何?」
 門が破られていない……。兵糧庫の位置は以前とは変えている。なぜ兵糧庫に入れたのだ?
「ヨル将軍」
 傍らでヨウ軍師が顔をしかめて私を呼んだ。
「これは……狼煙の代わりやも知れませぬ」
「私が登用したソン国の残兵の仕業だな。それしか考えられぬ」
 ツキ。私が残兵を殺さないことを見抜いていたな。そして、わざと残したのだ。
 私は目を細めた。
「フユ将軍のみで行かせるのは危険だ。サン将軍、カイ将軍、フユ将軍の後を追い、戻るように言ってくれ」
『は』
 二人の声が重なり、足早に広間を出て行った。
「伝令。ソン軍は見当たらないのか?」
「は。今のところどの門の付近にも見られない様子」
 伏せているのだな。
 兵糧庫に最も近いのは西門。我々が撤退するのにも西になる。ということは、西門に兵を多く伏せているだろうか。
「クウ軍師。どう思う? 西門に兵を多く伏せていると私は思うのだが」
「はい。私もそう考えます。また、兵糧庫に我々が兵を送ることを考えると、手薄になる正面、東門もそこそこ兵は置いているでしょう」
「そうだな。私ならやはり正門にも兵を割くだろう。狼煙はあがったのだ。すぐに兵を動かしてくる可能性が高い。それぞれ配置につき、ソン軍を迎撃せよ」
『は』
 兵が広間を去っていき、私とヨウ軍師が広間には残った。
「ケイ城をとって5ヶ月だな。意外と早かった」
「そうですな」
「ツキは行方不明だと耳にしていたが、この戦、ツキが指揮をしていると私は思う」
「私もそう思います」
「ケイ城は渡せぬ。私も出陣する。城内にも兵は残してある。城を頼む」
「は。ご武運を」
 私は自分の兵を率いて、城内を出た。そして、西にも東にも対応できるように正門に兵を進めた。
 ところがなかなかソン軍は姿を現さなかった。兵糧庫の兵糧は狼煙の役目だけではなく、実際三分の一ほど燃やされていて、やはり火を放ったのはソン兵の残兵だったことが判明した。サン将軍とカイ将軍の兵士が消火に当たっていた。フユ将軍は自分の兵士と残兵を追い、そのフユをサン将軍も追ったそうだ。だが、戦闘になっているという知らせは来ず、二人の将軍は戻ってきていない。そのまま三日が過ぎた。
 フユ……。サン将軍……。
 ソン軍に捕らえられているのではないかと思うと何もできない自分がもどかしく、悔しかった。
 フユ……。
 特にフユとはフユが兵士として入ってきてからずっと一緒だった。その頃私は曹長で、フユは女の私が上司であることに納得がいかず、言い争いになることも多かった。だが、戦場で生死を共にするごとに絆は深まり、フユは私を最も理解する部下となった。
 サン将軍だって、生死を共にしてきたのは同じだ。一緒に戦ってきた大切な仲間だ。
 ツキ……。フユをお前に殺されたら、いくらお前を好きでも私はお前を許せないだろう。ツキ、お前を憎ませないでくれ。
「ヨル将軍、いかがいたしますか?」
 季節は九月で、残暑が酷く、いつ現れるか知れないソン兵に緊張から兵は衰弱していく。戻らない二将軍。そして、現れない敵への焦れ。兵の士気が下がっていく。このまま篭城になれば兵糧も限られているためさらに苦しい戦いになるだろう。
 一度広間に将軍や軍師を集めてこれからの戦略を練ることになった。
「ヨウ軍師。これは我々が城門から打って出るのを待っているのだろうか」
「その可能性が高いですな」
「だが、このまま篭城を決め込んでも士気が下がる一方だ」
「フユ将軍とサン将軍の行方も気になりますしな」
「打って出てはどうだろう、ヨル将軍」
 武官は戦わずして負けるのを嫌う。将軍たちが口々に打って出てはと唱える。
 結局我が軍は打って出ることになった。
 それぞれ西門、正門、東門に兵を3対3対2に分け、門から表へ出た。そして慎重にソン兵を探した。ところがソン兵はいなかった。
「ヨウ軍師。これは……」
 ツキは陽動をしただけだったのだ。唇をかむ。
「ヨル将軍!」
 駆けてくる馬があった。フユだった。
「フユ将軍。今までどこに?」
「申し訳ありません。ソン軍残兵を追って西門をでて、そのまま追っておりました。兵を伏せている可能性を考え、慎重に追いましたが……」
 フユの話ではソン軍残兵はまず西に行き、続いて正門の方に回り、まるで追っているフユを誘うかのようにうろうろと東の方に行ったという。フユの話では西と南には兵はいなかったという。残兵が東の橋を渡るのを追ったが、気配はそこで絶たれた。
「サン将軍はどうしたのだ?」
「それが……」
 フユは言いよどんだ。
 残兵を見失い、蹈鞴をふんだフユを残して、サン将軍はさらに東に向かったという。
「止めたのですが、サン将軍は残兵に踊らされていたことに憤慨していて……」
「……サン将軍の気性だ。ありえるな」
「サン将軍一人を残していいものか迷ったのですが、嫌な予感を覚えて我々は戻ることにしたのです」
「嫌な予感?」
「森が静か過ぎる感じがしまして……。東の森には多くのソン兵が潜んでいるのではないかと思い、それで帰ってきました。……サン将軍には申し訳なく……」
 私はフユの勘を信じた。
「お前は止めたのであろう。それでもサン将軍が行ったなら将軍自身の責任だ。
今は戦に備えることが先だ。急いで兵を東に移せ」
 私の命令と同時だった。
「東門近くにソン軍らしき軍発見!」
 伝令が私の前にひざまずいた。
「数は?」
「わ、わかりません。何しろ途方もない数で……!」
「っく……!」
 城門内での焦れと、出兵と、そして、ソン軍の数の多さに士気は急激に低下し、リュウ軍は惨敗を喫した。
 四日戦闘した時点で敗北は明らかで、捕らえられていたサン将軍を救い出すだけで精一杯であった。
 サン将軍は助けた。ここが潮時かもしれない。これ以上の戦闘は無駄に兵を減らすだけだ。
「城を捨てる。撤退だ!
皆、リュウ国までちゃんと逃げ延びよ。しんがりは私が勤める」
「ヨル将軍!」
「今回の敗北は私の責任だ。ツキの陽動にまんまとはまってしまった。これ以上兵の犠牲を出すわけにはいかない」
「では私も。先走って残兵を追ったのは」
 フユが泣きそうな顔で言った。私はその言葉を手でさえぎる。
「いや、フユ将軍は前で兵を誘導してくれ」
 兵の疲れもあり、リュウ国までの道は苦しいものとなった。
 追ってくるソン兵を相手にしながら、私はリュウ国に帰ってからのことを考えた。リュウ王は今度ばかりは私を許すわけにはいかないだろう。せめて一人でも多くの兵を逃がすこと。私の役目はそれだけだ。


 追っ手がやみ、岩に背をもたれて少し身体を休めていると白い馬が目前に現れた。
「幻が見える……。
ツキ……。私は兵を無事にリュウ国に撤退させたら、責任をとって自害をしようと思う。
お前の策は見事だった。結局最後までお前には勝てなかったな」
 ふっと笑うと、頬に痛みが走った。ツキが私の頬を打ったのだ。そしてがくがくと肩を揺らされる。
「しっかりしてください、ヨルさん。
私はあの日を忘れていませんよ。川に突き落とされた日を。あの日私をヨルさんは生かしました。だから私も一度だけ貴女を生かしてあげます。
次に会うときはどちらかが死ぬときかもしれませんね。でも、それまで生きていてください。それまで、死ぬことは許しません」
 言ったツキの目から涙が零れ落ちた。肩におかれたツキの手は燃えるように熱かった。
「まだ死んでは駄目です。絶対に駄目です……」
「ツキは泣き虫だな」
 私の息がツキの前髪を揺らした。前回会ったときよりもツキの前髪が伸びていた。
「な、泣いてなんかいません」
 涙を拭おうとするツキの手をとって、私はツキの代わりに涙を指ですくった。
「ふ……」
 互いの瞳に互いの姿を見つけて、しばらく私たちは無言で見つめあった。ツキの真っ直ぐすぎる瞳は昔と変わっていない。
「……お前がフユ将軍かサン将軍を殺していたら、私は絶対にお前を許せなかっただろう」
「殺そうと思えば殺せましたけれどね」
 ツキの瞳に剣呑な光が宿る。
「それでも殺さなかった。
だから、私もお前の願いを聞こう。リュウ王に死ねといわれれば致し方ないが、それまでは死なぬ。約束だ。お前も死んではならぬ」
「貴女を殺すのは私。私を殺すのは貴女。他のものの手にかかってはいけません」
「お前もな」
 ツキに破れたとき、悔しくて、そして自軍に申し訳なくて、全身が燃えるようだった。それなのに、今こうしてツキと向き合っていると他のすべてがどうでもいいと思えるほど幸せで、ツキだけが愛しい。
「……行く」
「……はい」
 私たちは立ち上がり、もう一度見つめあった。
 こんなに近いのになんて遠いのだろう。
「ヨルさん……」
「ツキ……。
また、な」
 私の言葉に、ツキはいつか見せたような泣きそうな笑顔を見せた。私は想いを振り切るように馬に乗った。


 今回はココまで。

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 ゆっくりな進みで申し訳ございません。もう少しお付き合い下さい。
 
  ここまで読んでくださりありがとうございました。
 拍手、ときどきいただいております。嬉しいです。一言あるともっと喜びます。

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 それではまた!               天音花香 

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こんにちは、天音です。


前回書きましたように、今回は白昼夢の最後をお送りいたします。
次回で白昼夢は終わりになります。

以下、ごたごたしていることがありますので、少し書かせていただきます。


天音花香と花木和呼(以前のPN)で書いた作品は全て、著作権は天音花香にあり、著作権は放棄しておりません。
無断転載、無許可の販売は禁止です。







 それでは、白昼夢、お読み下さい。


         「白昼夢」7



ココから小説

 
最初から読む

 ケイ城をツキに奪われてから、私はケイ城攻めの前線から外され、南西の異民族の討伐のほうに回された。
 ツキと戦わなくていいのは正直ありがたかった。だが、他の誰かにツキを殺されるようなことがあったら……と思うと胸が張り裂けんばかりに痛み、落ち着かないまま2年が過ぎた。私は31歳になっていた。

 ソウ国の勢いが増し、お互い争っている場合ではないと考えたリュウ国とソン国は同盟を結ぶことになった。 

 ソン国の王は40歳に満たないような若い王であった。眉が太く、目の大きい、意思の強そうな容姿をしていた。
 リュウ王とソン王はまず二人で杯を交わし、そして互いに自軍の精鋭な将軍、軍師などを紹介して、挨拶を交わさせた。名高い将軍や軍師の中にツキもいた。ツキは私と目が合うと、昔のように目を和ませた。
「同盟国としてこうしてお会いできることができて嬉しいです」
 ツキは私にそう言った。
 ソウ国に対抗するためで、いつ崩れるか分からない同盟だ。私は心からは喜べなかった。
 私はの目はその後もツキばかりを追っていた。
 ツキは宴に出ている武将、文官一人ひとりにそつなく挨拶をしていた。ツキの声は若々しく明快で、その話は流暢であり、リュウ国の誰もが彼に好意的な態度をとっていた。もちろん私もソン国の席を回った。ソン国は若い人材が多く、気さくな武将が多かった。女である私がなぜ武将になったかが気になるらしく、どの武将にもそのことを訊かれた。宴は和やかで楽しいものになった。
 それでも。誰と話していてもやはりツキが気になってしまう。

 宴もたけなわになったころだ。
 ツキが杯を置き、私を一度見た。そして、広間からすっと姿を消した。
 私は呼ばれたのだと感じ、ツキのあとを追った。
 広間から出ると、黒い石を敷き詰められた廊下が広がっていた。広間から離れるほどに広間のざわめきは遠のき、自分のたてる足音だけが響き、静かでひんやりした空気が漂っていた。明かりも少なく、ともするとどこを歩いているか分らなくなる。
 だが、早足になってはならない。できるだけ何事もないように、慎重に。
 ちらりとツキの姿が柱に消えるのが見えた。
 私はその方向へ進んだ。しかし。
「?」
 辺りを窺うがツキの姿がない。私は勘違いをしたのだろうか。呼ばれてなどいなかったのであろうか。私の自意識過剰だったのだろうか……。
 なんだか胸が苦しくなってしばらくぼうっと立ち尽くしていると、背後から手が伸びた。
「……っ!」
 口を手でふさがれ抵抗しようとして、瞬時に私はそれをやめた。口を塞いでいるのは間違いなくツキの指だったからだ。
「ヨル殿。誰もいないところでぼんやりしていると危ないですよ? 私が刺客だったらどうするのですか?」
 ツキは口を塞いでいた指をずらして、私の頬に触れ、そのまま顎に触れた。
「貴女は無防備すぎます」
「そ、そのようなことはっ」
 いや、分っている。相手がツキだと私は盲目になってしまう。全ての感覚がツキを捕らえようと必死になってしまう。
「お前が……」
 ツキを振り返ると、微笑むツキの目があった。
「私が何です?」
 からかわれたのだ。恥ずかしいやら悔しいやらで、目をそらす。
 その私の身体をツキは力いっぱい抱きしめた。
「少し痩せましたか?」
「そうかもしれない」
「無理をしているのですね」
「仕方ない」
 ツキの身体は以前より筋肉質になっていて、身長も私よりも高いため、私の身体がすっぽりと納まり、私は自分がなんだか小さくなったような不思議な感じがした。
「ツキ?」
 なかなか私を抱く手を緩めないツキに私が声をかけると、
「やっと、やっと貴女に触れることができた。何度夢に見たか……!」
 ツキの声は熱くかすれていて、私は切なくなった。
「……馬鹿。女ならそばにいくらでもいるだろうに」
 そうだ。もう仕官してから10年ほど経つのだ。私の知らないツキがいて当然だ。
 心ではずっとつながっている気がしていた。なのに、こうして身近で見ると、ツキの顔が精悍さを帯び、目には前よりも大人な光を宿していることに気付く。心の中にも。誰かがいてもおかしくはない。
「……!」
 私の言葉につきは身体をこわばらせた。私は確認するようにツキの顔を見上げて、ズキリと心が痛んだ。ツキは酷く傷ついた顔をしていた。
「……ツキ?」
 私が戸惑いながら問うと、次にツキは怒りの炎を目に宿して私を見た。
「……貴女は酷い方だ……!」
 若いということはそれだけでエネルギーに満ちていて、時々怖くなる。ツキの悲痛な声は私を貫き、私は思わず震えた。
「酷い……」
 苦しい言葉を紡いだツキの唇が私の唇を塞いだ。
「!?」
 私は自分に何が起こったのか分らず、息をするのも忘れて苦しくなり、身をよじった。
「……はあっ!」
 唇を離し、咳き込む。
 ツキの瞳に、驚き呆然とする私が映っていた。ツキはそんな私を見つめて、幼い頃のようなあどけなさの残る笑顔になった。
「ふっ、あはは」
 くるくると表情を変えるツキを私は訳が分らずに見ていた。ツキの熱くて湿った唇の感触がまだ残っている。今のは……。
「その様子だと初めてのようですね」
 ツキの言葉に私は自分の顔が熱くなるのを感じた。ツキはそんな私の頬を両手で挟んで、私の目を覗き込むように見た。
「私も初めてです。貴女が酷いことを言うので意地悪をしたくなりました」
「……!」
 ツキの言動一つ一つになされるがままに醜態をさらしている自分に腹が立ち、ツキの手を払って広間に戻ろうとする私をツキの手が再び掴んでぐいと引き寄せた。そして、そのまま数歩下がって、柱の陰に二人で身を潜める形になった。
「静かに」
とツキの目が言っている。私は口を噤み、辺りの気配を探った。
 カツ、カツと武人らしい足音がし、その音が止まった。
「ヨル、将軍……?」
 フユの声だった。
「……どこに行かれたのだろう……」
 独りごちる声が聞こえ、しばらく辺りを窺う気配がした。ため息をつくのが聞こえる。フユは諦めたのか、足音はまた広間の方へ去っていった。
 ツキと私はしばらく様子を見て、広間からさらに離れ、庭に出た。夜の冷たい息が私たちを包み、月だけが二人を見ていた。
「ツキ。私に用があったのではないのか?」
「……ええ。貴女に会えたことが嬉しくて、本題を忘れるところでした」
 ツキは一度ゆっくり息を吐いた。
「……ヨルさん。ソン国に来ませんか?」
 ツキは先ほどとは一変して、一切の感情を消した顔でそういった。私は何を言われているのか分っていても信じられず、穴が開くほどにツキを見つめた。
「ソン王は貴女の才能を買っておいでです。
私と一緒にソン国で働きませんか?」
「な、何を馬鹿なことを言っているのだ!」
「私は本気です」
 ツキは私の瞳をじっと見た。そして、どこか悲しげな顔になった。
「ヨルさん、貴女には縁談はきていませんか?」
「?」
「私は……。私には、もうたくさんの縁談が……」
 それはそうだろうと思う。優秀なツキの妃にと、子供を生みたいと思う女性は多いだろうし、縁戚になろうとたくらむ者も多いはずだ。
「確かに私はもう26。結婚をする年です。ですが……」
 ツキは私の腕を強く掴んだ。
「私には出来ません。貴女以外と結婚するなんて……! 私は貴女を愛しているのです。貴女だけを愛しているのです!」
 血を吐くような告白だった。
「貴女は……ヨルさんはどうなのですか!?」
 私にも縁談がないわけではなかった。だが、未だ世間は自分の息子よりも地位の高い嫁など望まぬものだ。
「縁談はないことはないが……。私は女だ。ツキに来る縁談とは違う」
「数なんてどうでもいいのです! 貴女がうけるかどうか、それが私は不安なのです。私は私以外の者に貴女を奪われるなど耐えられない!」
 心が痛い。ツキの想いが痛い。
「私は縁談をうけるつもりはない。ツキ、お前の話はいったい……」
 ツキの刺すほどに真剣なまなざしが私を捕らえる。
「私はソン国に貴女を迎えるだけでなく、妻として貴女を迎えたいと思っています」
「な、何を!? そんなことが許されるわけがない!」
「いいえ。何とかします。何とかさせます。だから私と共にソン国にきてください」
 めまいがした。 
「お前はリュウ国とソン国の同盟をつぶす気か?!」
 私の悲鳴にも近い声にツキは黙った。
「何を考えているんだ! ソン王はそれを許したのか!?」
 無言は是。
「……。始めからソウ国に対抗する間だけの同盟です」
 そんなことは分っていた。でも。それでは。
「私にリュウ国を捨てろと、そういうことだな?」
 リュウ王の真っ直ぐな目が脳裏に浮かび、フユの顔が、他の部下の顔がよぎった。私は首を横に振った。
「無理だ。そんなこと。……私は私を評価して、信頼してくれる方を裏切ることなどできない!」
 自分に言い聞かせるように言いながら私は首を振り続けた。
 そうだ。できるはずがない。
「お前は……! お前は、命をかけて守った部下を、中性を誓った王を……!」
 言葉がつまった。
「っ……」
 ツキはそんな私を見ている。
「だったらお前はどうなのだ!? リュウ国に来いといわれて来るのか!?」
 ツキは目を伏せた。
「リュウ国には兄上が……」
「違うだろう!? そうじゃない! 結局全てを捨てるなどできはしないのだ!」
 私は肩を震わせながら言い切った。呼吸が乱れる。
 ツキはずるい。
 ツキは伏せていた目を静かに上げた。そこには惑いがなかった。
「フユ将軍は何歳です?」
 なぜフユの話に?
「私より2つ下だ」
「年も私より貴女に近いのですね。そして貴女の最も近くにいる……」
「それは私の部下だからだ」
「貴女はやはり鈍感だ。フユ将軍がなぜ貴女を探しに来たかも分らないのだから」
 意味が分らなかった。
「答えを言いましょう。
私は全てを捨てられます。貴女が私のもとに来るというのなら。貴女を他の男の手に渡すぐらいなら、全てを捨ててでも貴女を得る」
「な、何を!?」
 ツキの目には強い決意が湛えられていた。
「ソウ国に二人で行ってもいい。いいえ、残っている小国に行くことになってもいい。私が何よりも得たいのは昔から変わらず貴女だけです」
 ツキは酷く思いつめていて、その言葉には微塵の嘘もなかった。
 ツキの想いがこんなにも強いとは思わなかった。私は言葉を返すことが出来なかった。
「私は……私はずっと悔やんでおりました。リュウ国に貴女を一人で行かせたことを。兄上がいようと、私はリュウ国を選ぶべきだった……! そうすればこんなにも苦しむことはなかったのに……!」
 ツキの睫がふるえ、一筋の涙が落ちた。ツキは間違いなくソン国を愛している。だから後悔をしているのだ。
 私だって誰にも嫁ぐつもりはなかった。いつもツキのことを心の奥底で求めていた。だが、信頼してくれるリュウ王も、リュウ国も大切なのだ。どちらかを選べなど……!
 私は……私はどうすれば……。
 
 ままならないものがある。

 泣いているツキを見ると、心が張り裂けそうになり、胸が痛い。愛しさがこみ上げてくる。
 瞼の奥に残るリュウ王の瞳を私は目を閉じてしまいこんだ。
 ツキの頬を伝う涙をそっと拭う。
 ツキは途方にくれた子供のような目で私を見た。
 私はそんなツキの顔を引き寄せ、唇を重ねた。



                     了 




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 ツキにはモデルがいると書いていました。
 それは、コーエーさんのゲーム、真・三國無双の「陸遜」です。あの綺麗な顔で若々しくて、小生意気で、でも誠実な青年であります。リアルなモデルでなくてごめんなさい。
 ヨルにはモデルはいません。今まで書いたキャラのなかで、こんなにかたくなな女性は初めてで、書くのに苦労させられましたが、この二人は気に入っています。
 この小説で書きたかったのは、自分の夢や信頼、評価を得ること、それと恋愛どちらを選ぶかということでした。最初はラストの場面、どちらを選ぶか分らない状態で終わろうかとも思ったのですが、あまりにも読者様にまるなげしすぎかな……と思ったのと、ツキがあまりにも不憫に思えたので、こういう結末になりました。
 この後二人がどうなったかは想像にお任せするということで……。

 短編のつもりが少し長くなってしまいました。
 最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございます。

 今度は違う作品でお目にかかれたらと思います。
 
 
 それではここまで読んでくださりありがとうございました。
 拍手、ときどきいただいております。嬉しいです。一言あるともっと喜びます。

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アルファポリス「第4回アート大賞」(開催期間は2011年10月1日~2011年10月末日)にエントリーしています。
私は詩集をエントリーしています。
「またたき」テーマ別詩集
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 それではまた!               天音花香 

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