忍者ブログ
天音花香の小説をUPするブログです。個人サイトの小説はこちらに移しました。現在二時創作と短編を中心に書いています。
カレンダー
04 2017/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
リンク
フリーエリア
最新コメント
[08/05 天音花香]
[08/05 藍]
[07/21 天音花香]
[07/15 藍]
[07/11 天音花香]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
天音花香
HP:
性別:
女性
職業:
主婦
趣味:
いろいろ・・・
自己紹介:
小学生のときに、テレビの影響で、小説を書き始めました。高校の時に文芸部、新聞部で文芸活動をしました(主に、詩ですが)。一応文学部でです。ですが、大学時代、働いていた時期は小説を書く暇がなく、主婦になってから活動を再開。

好きな小説家は、小野 不由美先生、恩田陸先生、加納朋子先生、乙一先生、浅田次郎先生、雪乃 紗衣先生、冴木忍先生、深沢美潮先生、前田珠子先生、市川拓司先生他。
もう一つのブログでは香水についてレビューをしております。
http://yaplog.jp/inka_rose/
こんな私ですが、宜しくお願いします。





ランキングに参加しております。よろしければ下のバナーをクリックしてください!


にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村

ブログランキングのブログん家


ネット小説情報局


オンライン小説検索・小説の匣


文芸Webサーチ


カテゴリ別オンライン小説ランキング

オンライン小説/ネット小説検索・ランキング-HONなびtitle="オンライン小説/ネット小説検索・ランキング-HONなび"width="200"height="40"
border="0">



NEWVEL2


『小説家になろう』


『MEGURI-NET』


『NEWVEL』





別名で小説を出版しております。

クリックで救える命がある。
バーコード
ブログ内検索
P R
アクセス解析
フリーエリア
フリーエリア
[ 129 ] [ 130 ] [ 131 ] [ 132 ] [ 133 ] [ 134 ] [ 135 ] [ 136 ] [ 137 ] [ 138 ] [ 139 ]
こんにちは、天音です。


昨日に引き続き「遠い約束2」をアップします。

次はいつアップできるかわかりませんがゆっくりお付き合いいただければと思います。
よろしくお願いします。




ココから小説

 
「紗羅? 紗羅?」
 朋子の声がする。
「紗羅? どうしちゃったの? 今日はいつもに増してぼんやりしてるよ?」
「うん? そうかも」
「ほら、王子だよ?」
「え?」
 葵君?!
 一気に頭が冴えた。
 本当だ。葵君が男子の友達と一緒に前から歩いてくる。
 あ、葵君もこちらに気がついた。そしてにこっと笑った。
 すれ違う時に、
「日向先輩、こんにちは」
と声をかけてくれた。
「こんにちは、羽田君」
 目が合う。またにっこり笑って葵君は歩いていった。
「はあ、今日も王子オーラ全開だね」
 朋子の言葉に、
「そうだね」
と頷きながら、また昨日のことを思い出す。一日経つとさらに現実感がなくなっていた。
 葵君、当たり前だけど普通だった。だから余計に夢だったのだろうかと思えてくる。
「紗羅?」
「あ、うん。なんでも」
 ないと答えようとしてやめた。
「ともちゃん、あのね」
 私は昨日のことをかいつまんで朋子に話した。
「ふーん。なるほど、それで紗羅、変だったのね」
「うん……」
「そうだね……。
王子は紗羅のこと、恋愛感情かはわからないけど、好きなんだろうね。そうじゃなきゃ、そんなことしないよ。紗羅には気を許しているんだよ」
「う……ん……。たぶん、羽田君は私に対しては昔のままなんだと思う。私はお姉ちゃんみたいなものなんだよ」
「そうだね〜。お姉ちゃん、ね。
まあ、それだけかはわかんないけどね〜」
 朋子は意味深に言って、笑ったけど、
「それだけだよ」
と私は返した。
「まあ、でも他の女子には知られないようにしないと、女の嫉妬は怖いからね」
「うん……。そうだね」
 王子様は皆の王子様であって、特別な女の子がいてはならないのだ。女子にとっては。
 葵君の彼女になる人は大変だな、と思って、それを想像して私は悲しくなった。
 私も皆とおなじだ。やっぱり葵君に彼女ができるのは嫌だ。
 彼女になりたいなんて恐れ多いことは思えないけど。
 でも。
 そしたら葵君はいつまでも一人きりな王子様なのかな。それもなんだか葵君が可哀想に思えた。
 女心は複雑だ。
「でも紗羅みたいに王子に本気な女子ってどれくらいいるんだろうね?みんな王子、王子言ってるけど他に本命がいるんじゃない?」
 朋子はあっけらかんと言う。
 でもまあ、そんなものかもしれない。それでも王子に特定の人ができると、その子達は良くは思わないんだろうなあ。
「私は別に好きな人いるし、王子のことはなんとも思わないけどね〜」
 朋子が他人事と思えるのはそのせいだろう。
 私もそうだったら気が楽だったのかなと思って、いや、違うと思い直した。片思いは例え相手がどんな人であろうと切ないのには変わらないのだ。朋子だってそうに違いない。
「まあ、あんまり気にしないで、紗羅は紗羅らしくしとけばいいよ」
「気にしないのは難しいけど、そうするしかないね。頑張る」


 五月はあっけなく過ぎて行って、葵君とも二人で会う機会はなく、私はホッとしたような、もの足りないような、寂しいような、複雑な気持ちで毎日を過ごした。
 仕方ない。葵君は学校前の朝も学校後の夜もスケートの練習をしているのだから。
 学校でたまに挨拶を交わす時が私の至福の時だった。



                       *


 六月に入り、雨が増えた。もうすぐ梅雨になるのだろう。
 しとしとと降る雨の中、傘をさして最寄の駅まで歩いていたときだ。
「日向先輩!」
 パシャパシャと濡れた地面を走る音が近づく。
 葵君の声だと分かった。
 振り返ろうとしたときには葵君はもう私の傘の中に入ってきていた。
「入れて下さい」
 耳元で言われて頬がかあっと熱くなるのを感じた。
 当の葵君は私の持っていた傘を、
「僕が持ちますね」
と何気ない素振りで持った。 葵君の男子にしてはほっそりとした長い指が私の目の前にある。
 どきどきする。
 私の肩が葵君の腕に触れていてじんじんと熱い。葵君の体温が私の肩から伝わって全身を巡るような錯覚を覚え、くらくらした。
「傘忘れちゃったの?」
 自分を保つために声を出した。
 葵君はくすりと笑って、
「実は持ってます」
と言った。
「え?」
「相合い傘ってなんだか秘密っぽくて良くないですか?」
 私は困惑した。心臓がうるさい。葵君に聞こえたらどうしよう。
「傘で見えないから僕だって分からないし、紗羅さんとは話せるし……」
「そ、そうだね」
 体が硬直しそうになるのを抑えて、足を踏み出す。何がなんだかわからなかった。
「何より、やっぱり相合い傘っていうのがいいんですよ。特別な感じで」
 葵君は楽しそうに笑っている。
「……」
 なんて返していいか分からず黙っている私に、葵君がこちらを向いた。
「紗羅さん?」
 いつもより近い葵君の目にどきどきが高まった。
「あ、うん……?」
 私の返事に葵君の顔が曇った。
「あ、もしかして嫌でしたか? それなら僕、傘出します」
「違うの!」
 思った以上に大きな声が出て、自分でびっくりした。
 葵君は不思議そうに私を見た。
「? 紗羅さんがいいなら、このまま駅まで歩きますけどいいですか?」
「うん……。大丈夫。ごめんね、大きな声出して」
 葵君は笑う。
「自分の声に驚くときってありますよね。
ずっと紗羅さんと話したかったんです。なかなか二人になれなかったから、今日は良かった」
 心底嬉しそうに葵君は私に笑いかけた。
「わ、私も葵君と話したかったよ?」
 言って恥ずかしくなって下を向く。
 意識しちゃだめだ。葵君は普通なんだから、私も普通に……。
 と、葵君の足が止まった。
「葵君?」
「嬉しいなっ!」
 幸せそうな葵君の笑顔。
「紗羅さんもそう思っててくれたんですね!」
 そんな無邪気に笑われたら、私、どうしていいか分からないよ。
「うん……」
 再び私たちは歩き出す。
「紗羅さん。僕、ショートの曲をショパンのスケルツォ二番に変えました」
「そうなんだ……」
「難しいですけど、変えて良かったです。今の方がずっと僕らしく滑れている気がします」
「そっか、良かったね」
「はいっ!」
 葵君の笑顔につられて私も笑顔になった。

 駅が見えてきた。
 葵君の隣は緊張するけど、でも、もう少しこのままでいたい。そう思った自分に驚く。
 私、いつのまにこんな我儘になったんだろう。
「あ、葵君は今日も練習?」
「はい、練習に行きます」
「そうだよね、頑張ってね」
「はい!」
 着いてしまう。
「紗羅さん」
 葵君の足が止まり、私の方を向いた。
「はい?」
「練習、見にきませんか?」
「今日、これから?」
「いえ、今日じゃなくてもいいです。紗羅さんが来れる時に」
 葵君の練習……。私はすぐには返事ができなかった。
「いつでもいいんで、待ってます」
「……分かった。近いうちに必ず行くね」
「はい」
 葵君は安心したように笑った。

 電車の中では私は座席に座り、葵君は少し離れて立った。
 誰が見ているか分からないし、仕方のないことだと分かっても寂しかった。
 二駅で降りるとき、私は葵君をそっと見た。葵君は私に笑いかけ、小さく手を振った。私も小さく手を振りかえして降りた。


 葵君との時間はあっという間で、やっぱり現実感が湧かなかった。
 でも。
 私はそっと自分の肩に触れる。葵君に触れていた肩が覚えてる。
 葵君と相合い傘したんだ。
 私は少し幸せな気分になり、そしてそれ以上に切なくなった。葵君が隣にいない帰り道がなんだか遠く感じられた。
 私はどんどん欲張りになる。
 いけない。葵君は王子なんだから。
 そう自分に言い聞かせても葵君を心が求めてしまう。
 スケートリンク。もう随分行っていない。行ってみようかな……。
 そう思って、スケートリンクを思い出すと、なぜか心がちりちりと痛んだ。
 あ、れ……? なんだろう。まあ、いっか。
 私は考えるのを諦めてベッドに入った。
 葵君のことを思い出すとすぐには眠れなかったけれど、いつの間にか眠ってしまっていた。



                          続く



  ここまで読んでくださりありがとうございました。
 
 残りは三話になるかと思います。今後も読んでいただけると嬉しいです。 

 拍手、ときどきいただいております。嬉しいです。一言あるともっと喜びます。


 この小説を気に入ってくださったら、クリックしていただけると嬉しいです。


 また、ランキングに参加しております。
 プロフィール下のバナー、たくさんありますが、クリックしていただければ幸いです。


 それではまた!              


この小説ブログ、そしてもうひとつの香水ブログに載せている全ての作品の著作権は天音花香にあり、放棄、譲渡しておりません。
無断転載、無許可の販売は禁止です。




                           天音花香
 

拍手[0回]

PR
Comment
Name
Title
Font Color
Mail
URL
Comment
Password

Copyright © 天音花香の小説ブログ All Rights Reserved.
Powered by Ninjya Blog 
忍者ブログ [PR]