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天音花香の小説をUPするブログです。個人サイトの小説はこちらに移しました。現在二時創作と短編を中心に書いています。
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天音花香
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女性
職業:
主婦
趣味:
いろいろ・・・
自己紹介:
小学生のときに、テレビの影響で、小説を書き始めました。高校の時に文芸部、新聞部で文芸活動をしました(主に、詩ですが)。一応文学部でです。ですが、大学時代、働いていた時期は小説を書く暇がなく、主婦になってから活動を再開。

好きな小説家は、小野 不由美先生、恩田陸先生、加納朋子先生、乙一先生、浅田次郎先生、雪乃 紗衣先生、冴木忍先生、深沢美潮先生、前田珠子先生、市川拓司先生他。
もう一つのブログでは香水についてレビューをしております。
http://yaplog.jp/inka_rose/
こんな私ですが、宜しくお願いします。





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おはようございます、天音です。


今日もなんとか時間がとれましたので続きをアップします。ということで、「遠い約束4」です。


次はいつ更新できるかわかりませんがゆっくりお付き合いいただければと思います。
よろしくお願いします。





ココから小説


 
「紗羅、王子だよ?」
 朋子の声に、私はうん、と返事をしたけれど葵君の方を見ようとはしなかった。
「王子、気づいたよ?」
 私は歩く速度を緩めない。
「聞いてる、紗羅?」
「聞いてるよ」
「……王子悲しそうにこっち見てるよ?」
 葵君の傷ついたような表情、想像できる。でも。
「行こう、次、音楽室だよ」
「……。紗羅? なんか、今日、変だよ?」
「変じゃないよ。早く行こう」
 朋子は納得がいかない顔をして私の隣を歩いている。
「何かあったの? 王子と」
「何もないよ。ただ、自分が勘違いしてるのに気づいただけだよ」
 私は自分の切なさを振り払うように言った。
「勘違い?」
「そう、勘違い」
「わかんないけど、王子、傷ついたみたいだったよ?」
「……」
「らしくないと思うけど」
 朋子の声には責める響きがあった。
「そうかもしれないね」
 自分の声が冷えて響いた。
「ちょっと、紗羅! ちゃんとこっち向いて言いなよ!」
 朋子が私の肩を掴んで自分の方を向かせようとした。
 浮かんでいた涙がこぼれる。
「紗羅?!」
「ごめん、もういいの。もう無理なの」
「分からないよ、なんで急に?」
 困惑した朋子の言葉。
「だって私と王子じゃ違いすぎるから」
「今更なに言ってんの? そんなの前から分かってたんじゃないの?」
「うううん、私、本当は分かっていなかったんだ。私……! 馬鹿だった!」
「なんかよくわからないけど、ああいう態度はどうかと思うよ?王子が悪いんじゃないんでしょ?」
「そうだけど! これ以上葵君を好きになりたくない!」
「ふーん」
 朋子の真剣な目が私を射抜くようだった。
「もう一度言うね。紗羅らしくない気がするよ。
でも私は紗羅が一時的に不安定なだけだと思っとくね。きっとそうだから」
 朋子の真っ直ぐな目に私は目を伏せた。
 葵君を無視したことは私に罪悪感という棘を残している。わかっている。自分勝手だということ。
 でもそれ以上に自分が傷つきたくなかった。
「まあ、いいや。この話はおしまい。音楽室入ろう」
 朋子の言葉に私は頷いて、音楽室に入った。


 それからの私は葵君を忘れるように葵君を避けた。
 朋子は納得がいかない顔をして、私を責めるような目を向ける。
「紗羅、いつまでこんなこと続けるの? 最近の王子、元気ないの、紗羅のせいなんじゃないの?」
「そんなことあるわけないよ。
私じゃなくて、スケートで何かあったのかもしれないね」
「そうだったら、ますます紗羅は元気付けなきゃいけないんじゃないの?」
「なんで私が? 私に王子を元気付けるなんてできないよ?」
 あくまで他人行儀に言う私に、朋子は顔を歪める。
「紗羅、最近、王子を王子って呼ぶんだね」
 私は朋子の方を向く。朋子の目は悲しげだった。
「王子だから王子って呼んじゃいけないの? ともちゃんだって王子って呼んでるよ?」
「私、最近、紗羅がわからない。まだ王子が好きなんでしょ? なんで王子が悲しむことするわけ?」
「もう好きじゃないよ」
 私は自分に言い聞かせるように言った。
「嘘! 紗羅は本気で王子が好きだったよ! 王子が小さなときからずっと好きだったんでしょ?!
そんなに簡単に気持ち変わらないよ!」
「ともちゃんこそ、なんでそんなに熱くなってるの?」
「私はっ!」
 朋子が怒りに顔を赤く染めた。
「自分を偽って何になるわけ? それとも王子を傷付けて気を引こうとしてるの?」
 朋子の言葉に一瞬唖然とする。
「そんな! 気を引くとか、そんな余裕、私、今ないよ! 考えたこともない! 私は王子を忘れようとしてるだけ!」
「……ふーん」
 朋子はちっとも納得がいっていない目でそう言った。
「急に忘れようだなんて、やっぱり何かあったんじゃないの? 私にも言えないの?」
「何かがあったわけじゃない。
ただ、思い知ったの。私と王子は違う世界に住んでるんだって。決して手の届かない人だって」
「だから諦めるの? うううん、逃げるの? 王子から。自分から。
そんな程度の思いだったんだ?」
「……」
 決してそんな程度なんて言われたくない想いだけど、私は何も返せなかった。
「そう、私、紗羅を見損なったよ」
 朋子は飽きれたように微かに笑った。そして挑むように私を見た。
「じゃあ、私、もう応援するの辞めた。
紗羅は親友だし、王子がもし紗羅のこと好きで二人が幸せになるならそれがいいと思ってたけど」
「ともちゃん?」
 私は不安になる。もしかして……。
「私の好きな人って本当は王子なんだわ。
でも紗羅にはもう関係ないよね。私、もう遠慮しないから」
「と、ともちゃん……」
「私は自分が傷付くことなんか恐れない。私は王子が好き。それだけでいいと思ってるから」
 朋子は真剣な顔で言った。
 私は、私は。
 ともちゃんみたいにただ好きなだけでいいと思えるだろうか。
 思えないから、諦めたのだろうか。
 そして。
 ともちゃんは今までどんな思いで、私と葵君の話を聞いてきたのだろう。どんな思いで私の応援をしてくれていたのだろう。
 いつもすぐに王子を見つけていたともちゃん。好きだったからなんだ。
「ともちゃん……。私、今まで気づかなかった。ごめん……」
「そんなこと、別にどうでもいいよ。
私たちは親友だけど、これからは王子に関しては私はしたいようにするから。
紗羅は王子諦めたのなら、私を応援してくれるんだよね?」
 朋子は意地悪く言った。
 私は頭がくらくらするのを感じた。
 朋子が葵君を好きだったという事実。それだけでも十分衝撃的だったけれど。
 それ以上に、朋子が葵君にどれだけ本気かを見せつけられた気がした。
 私は。私の葵君への想いは。軽いものなんかじゃなかった。
 でも思い浮かぶのはスケートをする葵君。
 やっぱり私には届かない。いくら想っても。
 ……。
 私はゆっくり目を閉じて、そして開いた。
「……うん。応援するよ」
 私の言葉に朋子は一瞬戸惑うような顔を見せたが、すぐに笑顔を作った。
「そ。ありがとう」



 それからは、私にとっては地獄の日々が続いた。
 朋子は葵君を見つけると、積極的に、
「王子、おはよう!」
と声をかけるようになった。
「おはようございます」
 葵君の礼儀正しいテナーの声が耳に痛かった。
 私は声をかける朋子の顔を見ることも、挨拶を返す葵君の顔を見ることも、どちらも辛くて出来なかった。ただ、私だけ何もせずに突っ立ってる訳にもいかないので、目をそらして軽く会釈をしていた。
 本当に辛い日々。
 葵君を忘れたいのに、葵君の声を、気配を感じなければいけないなんて。

 そして、ピアノの練習が苦痛になった。葵君も練習している曲。そう思うと葵君が頭をちらちらとよぎり、胸が痛くなった。

 それに、私は気付いていた。
 以前は、挨拶の後についていた日向先輩という言葉がなくなっていることに。自分でそうなるような態度をとっている自覚はあるのに。それでもやっぱり辛いと思う自分がいた。
 本当に私、バカみたい。


 七月になった。
「王子、新しいシーズン始まったね。仕上がりはどんなかな」
「そうだね」
 朋子の言葉に気のない返事をすると、朋子が私を真剣な目で見た。朋子は時々こんな目を私に向ける。
「紗羅は、気にならないの?」
 気にならないわけではない。うううん、心の奥底では気になって仕方が無い。でもそれを押し隠している。
「別に、王子頑張って欲しいな、と思うくらいだよ」
「頑張って欲しいな、か……」
 少し朋子の表情が和らいだ。
「そうだ、私、リンクに行ってみようかな」
「いいんじゃない?」
「紗羅も一緒にいかない?」
「私は……やめとくよ」
「……そう……」
 二人で持っていたゴミ箱。朋子の方がガクンと下がった。
「ともちゃん?」
「ん? あ、ごめんごめん」
 朋子は何か考えているのか、それからは喋らなかった。
 
 焼却炉にゴミを入れて教室へ戻る途中だった。
「あ、王子」
 朋子の言葉。
 朋子は葵君に声をかけようとしてやめた。その様子に私は朋子を見る。
「どうかしたの?」
「女子がいるの」
「え?」
「これって……」
 朋子の言葉に私は朋子の見つめる先を見てしまった。
 体育館裏。
 向き合う一人の女子と葵君。
 どくんと心臓が鳴った。
 女子は顔を赤くしている。
 そして。

 羽田君が好きです。

 その口がそう動くのを私は見た。

 心臓がうるさい。
 だめだ。私、見てられない。
「……ごめん、ともちゃん、私、先に行くね」
 私はそう言って駆け出した。
「紗羅?!」
 どきどきどきどき。
 心臓が破裂しそう。
 なんだが頭も痛い。
 こんなにも動揺してる自分がいた。
 葵君はなんて返事をしたんだろう。
 気になるけど、聞きたくなかった。
 葵君、付き合うのかな。
 そう思うと、胸の中に黒い嫌な気持ちが広がった。
 嫌だ。そんなの嫌だ。
 でも。
 告白。もしかしたら朋子もするかもしれない。
「……」
 朋子ならいいと思うかと思っていた。でも違った。
 やっぱり嫌だ。
 葵君が特定の誰かと付き合うなんて嫌だ。誰であっても嫌だ。
 そう思って、私は愕然とした。
 私は葵君を好きなことを押し込めようとしていた。いつか忘れられると思ってた。
 でも。
 だめだ。そんなの無理だ。
 この先、誰かが葵君の隣にいるのを想像するだけでどうしようもなく嫌な気持ちになる。この嫌な気持ち、今後収まるとは思えない。
 でも葵君を諦めるということは、葵君の隣に誰かがいても、それを許すということだ。
 私は到底無理だと思った。
 私は葵君を諦めきれない。
 はっきりと自覚した。
 なんだか視界があけるような、不思議な感覚。

 その時、後ろから人が走ってくる足跡が聞こえた。
 すれ違う。先ほどの女子だった。
 泣いていた。
 葵君、振ったんだ。
 安堵してしまう自分は醜いかもしれない。
 あの女子は私と同じだ。葵君に恋焦がれて、想いが遂げられなかった。未来の自分の姿かもしれない。
 葵君は私とは違う。夢に向かって確実に進んでるし、平凡な私とは違う世界に住んでいる。それは悲しいことだけれど。
 でも。
 そうだ。ともちゃんの言うとおりだ。
 私はその現実から逃げようとしていた。そんなの本当の好きじゃない。私は葵君より私を優先していたんだ。
 ともちゃんは、葵君を好きなだけでいいと言っていた。
 そうだよ。
 私は葵君が好き。それだけでいいじゃないか。
 なんでこんな簡単なことがわからなかったんだろう。

「紗羅」
 朋子の声。
「もう! 私にゴミ箱押し付けて〜! 気持ちはわかるけどさ〜」
 おどけたように言って見せる朋子。
「何、紗羅、泣いてるの?」
「え?」
 私は知らぬ間に泣いていたようだ。
「……。葵君、振ったよ、あの子」
「……うん、あの子が泣きながら走って行ったの見た。
ともちゃんは見たんだね」
「うん〜、見ちゃ悪いかなとも思ったんだけどね……」
 朋子は複雑な顔をしてそう言った。
「紗羅、泣いてる割りに、すっきりした顔してるけど?」
 朋子が不思議そうに私を見る。
「うん。
ともちゃん。あのね。
ごめん、私、ともちゃんのこと、応援できそうにないや」
「え?」
 驚いた朋子の顔。
「私、葵君のこと、諦めるの無理だ。やっとわかったよ」
 私の言葉に朋子は久しぶりに晴れやかな笑顔を見せた。
「ふーん。いいんじゃない?
じゃあ、私たちはライバルだね」
「うん」
「ふふっ」
 朋子が笑う。
「どうしたの?」
「いや、やっぱりなと思って。
バカだね、紗羅は。遠回りし過ぎだよ」
「そうだね。ほんと、私、馬鹿だよ」
 朋子はわしゃわしゃと私の頭を撫でた。
「でも、よかったよ。紗羅が自分の気持ちにちゃんと向き合えて。このまま諦めてたらきっとこの先後悔してたよ?」
「そうだね」
 ともちゃんの優しさに胸がじんとする。また涙が溢れた。
「泣き虫紗羅」
「だって、ともちゃん優しいんだもん」
「私はいつだって優しいけど?」
「そうかな?」
「そうだよ!」
「そうだね、うん」
 私と朋子は笑い合った。
 久しぶりに心が軽く、気分が良かった。私は朋子に感謝した。



                          続く



  ここまで読んでくださりありがとうございました。
 
 ありがちな展開で申し訳ないのですが、楽しんでいただけたら幸いです。
 個人的には主人公の性格よりも朋子の性格の方が好きかもしれません。

 残りは一話になるかと思います。今後も読んでいただけると嬉しいです。 

 拍手、ときどきいただいております。嬉しいです。一言あるともっと喜びます。


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                           天音花香

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