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天音花香の小説をUPするブログです。個人サイトの小説はこちらに移しました。現在二時創作と短編を中心に書いています。
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HN:
天音花香
HP:
性別:
女性
職業:
主婦
趣味:
いろいろ・・・
自己紹介:
小学生のときに、テレビの影響で、小説を書き始めました。高校の時に文芸部、新聞部で文芸活動をしました(主に、詩ですが)。一応文学部でです。ですが、大学時代、働いていた時期は小説を書く暇がなく、主婦になってから活動を再開。

好きな小説家は、小野 不由美先生、恩田陸先生、加納朋子先生、乙一先生、浅田次郎先生、雪乃 紗衣先生、冴木忍先生、深沢美潮先生、前田珠子先生、市川拓司先生他。
もう一つのブログでは香水についてレビューをしております。
http://yaplog.jp/inka_rose/
こんな私ですが、宜しくお願いします。





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こんにちは、天音です。

今日も少し前に書いていた小説をアップします。
最近こういうありそうな恋愛ものしかかけていませんが、楽しんで読んでいただけると嬉しいです。


       それでも恋をする


ココから小説

 私は可愛くない。
 ちょっと違うかな。
 容姿は平均的、だと思う。たぶん。
 そうでなくて。私は可愛げがないのだ。

「先生、二列目の○○の字、間違っています」
「おお? そうか? あ、本当だ。いつもすまないな、谷川」
 私の言葉に高田先生は恥ずかしそうに笑って黒板の字を訂正した。長身で、ちょっとぼーっとした感じのクラス担任、高田先生は女子にとても人気がある。
(童顔で笑顔が可愛いいんだ)
 そう思っているのは私だけではないということだ。


「谷川、さっきはありがとうな」
 人懐っこい笑顔を向けられ、私はそっぽを向いた。
「……別に、気が付いただけですから」
「はは、そっか。でもいつもありがとう」
「だったらもっとしっかりしてください」
「そうだな」
「谷川さん、厳しい~」
 私と高田先生のやりとりを聞いていた女子が笑いながらそういう。
「大丈夫だよ、先生~。それが先生のキャラだからさ!」
 女子たちが高田に群がり、フォローをしている。それをみて心がもやもやするのを感じた。自分でも嫌になる。本当はあんなきつい言葉言いたくないのに。でも、先生の前に出るといつもにまして可愛げがなくなってしまうのだ。
「……」
 私はなんだかいたたまれなくなって目をそらした。
 私にはできない。あんなに素直に好意を示すことなんて。
「……あ、谷川、HRのプリント後でとりに来てくれな」
 高田先生は教室をでるとき、一度私の方を振り返ってそう言った。
「せんせー、私取りに行ってもいいよ~?」
 一人の女子が上目づかいに高田先生を見て言った。佐々木さん。彼女もきっと私と同じく先生が好きな女子の一人だ。私は高田先生に返事をしようかどうか迷って高田先生を見た。
「ん~、そうだなあ、やっぱりこういうのは学級委員に頼むものかな~」
 邪気のない高田先生の笑顔を向けられた佐々木さんは、ちょっと残念そうに、
「そうですか~」
と返す。
「というわけだから、谷川、頼むな」
 再び私に笑いかける高田先生に、私は無言で頷いた。



「失礼します」
 一礼して職員室に入る。私に気づいて高田先生が視線をあげた。そしてにこっと笑う。先生は確か27歳だと聞いたことがある。27歳の男性がこんな顔をして笑うものだろうか。
「……先生」
「ん?」
「私が取りに来る必要はあるのでしょうか?」
 ああ、なんて可愛くないんだろう。本当は先生と話す機会が増えて嬉しいのに。
「……」
 高田先生はちょっと困った顔をした。
「谷川はやっぱり取りに来るの、嫌、なのか?」
「やっぱりって……」
「重いなら半分先生が持つぞ?」
「そういう問題では……」
「学級委員の谷川にばかり頼って悪いとは思っているんだ」
 高田先生はすまなそうな顔をして私を見た。
「でも、やっぱり谷川は頼りになるもんだから……」
 そんなこと言われれば断れるわけない。うううん、たぶんそう先生の口から言ってほしかっただけなんだと思う。
「いいです。持っていきます。ください」 
 たぶん赤くなっているだろう顔を見られないようにそっぽを向いて手を出す。
「重くないか?」
「大丈夫です」
「ありがとう」
 直視できないけれど、先生がきっと無邪気に笑っているのがわかる。本当に罪作りな人だ。
「おや、また谷川ですか?」
 世界史の山下先生が牛乳パックを手に高田先生の隣の席へ戻ってきた。
「高田先生は谷川に頼りすぎですよ~」
「そうですかね~やっぱり」
「まあ、気持ちはわかりますけれどね」
 二人が会話をしだしたので、私は退場することにした。
「失礼しました」
「あ、谷川。ありがとうな」
 先生が私に声をかけた。
「……」
 私は黙って職員室を出る。
 出てから私はふうとため息をついた。
 本当はすごくうれしい。でも、こんな乙女な自分を見せるわけにはいけない。
 勘違いしちゃいけない。先生が必要なのは、頼りになる学級委員で、私ではないのだ。
 でも。
 きっと嫌われてはいない、よね。
 それで十分。

 正直、学級委員なんて高三の三学期にやりたいものではないだろう。受験の忙しい時なのに。
 ただ、私は要領が悪かったし、頼まれても断るだけの勇気もない人間なのだ。というのは建前で、先生に少しでも近づけるならと引き受けてしまった。結果的にそれは功を奏して、先生はなんでも私に頼んでくる。
(前の学級委員にもこうだったのかな?
ーー考えても仕方ないことだ)
 私はプリントをしっかりと携えて教室へ向かった。



「ねえ、高田先生さあ、なんでも谷川に頼りすぎじゃない?」
階段の上から聞こえてきた言葉に私は思わず足を止めて身をひそめてしまった。
これはたぶん佐々木さんの声。
「学級委員だからじゃない?」
 こっちは佐々木さんの仲の良い友達の井上さんの声だ。
「それだけかな?」
「それ以上に何かあるわけないじゃん」
「そうだよね。先生と生徒だし。それに、谷川だもんね」
 最後の言葉にひどく傷つく自分がいた。
「だね~。私が男だったら谷川はないなあ」
「まじめだけが取り柄で可愛くないもんね」
「そう」
『可愛げがない』
 二人の声が重なった。二人の笑う声が遠くなっていく。
 私はしばらく動けなかった。
 自分で常々思うこと。でも。
(やっぱり他人から見てもそう思われているんだなあ)
 不覚にも涙がにじんでしまった。
「……」
「?谷川?」
 後ろからの声に私は振り返れなかった。先生の声だったからだ。
「どうかしたのか?」
「いいえ、ちょっとめまいがしただけです。大丈夫です」
「体調が悪かったのか? プリント持たせて悪かったな」
 そう言って高田は私の持っていたプリントを持とうとした。
「いいです! 大丈夫ですから!」
(だって、これを運ぶのは私の役目なのに! 役目のない私なんか、先生はいらないはず!)
 私はプリントを渡すまいとした。
「……」
 高田は驚いたように私の顔を見た。
「谷川、泣いているのか?!」
「泣いていません」
 一番見られたくなかったのに。 
「……」
 俯いた私に、先生はただ黙って私の頭をポンとたたいた。
「?」
 驚いて先生を見るとにじんでいた涙がこぼれた。先生はちょっと困ったように笑った。
「まあ、いろいろあるよな」
 そう言った先生をやっぱり好きだなと思った。






「悪い悪い、待たせたか?」
 バタバタと走る音が近づいてきたかと思うと勢いよく教室の扉を開けて高田が入ってきた。
「はあ、大丈夫ですけれど。先生が大丈夫じゃないみたいですね」
「いや、うん、大丈夫」
 肩で息をきらしながら高田は言った。
(全然大丈夫そうじゃない)
「……それで、何の用事ですか?」
「ああ、そうそう。明日、受験対策のプリントを配ろうと思って。それで、量が多くなったからホチキスどめを手伝ってもらおうと……」
「……はあ。あの、それ、私がする必要あるのでしょうか?」
 あ、また可愛くない言葉が口から出てしまった。
「いや、言いにくいんだが、谷川は志望校A判定だし、予備校にも行っていないみたいだから時間を少し拝借したいなと……」
 言い訳を一生懸命する少年の顔になって高田が言う。
(そういう理由ね)
「……学級委員ですしね」
「そう、そうそう!」
 私の言葉に先生は嬉しそうに笑顔を浮かべた。
 私はこの笑顔に弱い。時間があるわけではないのだけれど。
「……別にいいですけれど、まず先生、プリントはどうしたんですか?」
「え? あ、ああ!?」
 高田は自分の両手を見て、今気づいたように声を上げた。
「急いで来たらプリントもってくるの忘れた!」
「……」
 私は。
「ふっ! あはは!」
 こらえきれずに笑ってしまった。
「え?」
 先生がきょとんとした顔になる。それで私ははっとした。
「す、すみません!」
「ふ。はは! いや、ほんと、おかしいよな!
あはは!」
 高田は自分も笑い、そしてツボに入ったのかしばらく笑っていた。
「せ、先生?」
「あ、はは! ごめんごめん。いや、その、なんだかおかしくて! ほんと俺ってドジだよな~」
 でも、それだけ急いで来てくれたということだ。
「それはわかってます」
 嬉しく思いながらもこんな言葉しかでてこない自分がやっぱり可愛くないと思う。
「悪いな、一緒にプリントもとりにいってくれるか?」
「……仕方ないですね」
 社会科準備室にプリントを取りに行くと、かなりの量だった。
「先生、これって教室でする必要あります? 運ぶの大変ですよ?」
「あ。そうだな。ここですればいいか!」
 社会科準備室にはほかに先生がいなくて、私はちょっと緊張しながらホチキスをとめていた。先生は鼻歌交じりに作業をしている。
「悪いな、こんなことまで手伝わせて」
「……別に。時間がないときは断りますから」
 また可愛くないことを言って作業を続ける私に、先生は微笑んだ。
「そうか。
あはは。谷川はある意味素直だよな」
「……ある意味ってなんですか?」
 ちょっとむっとして先生を見る。そんな私に先生はまた笑った。
「いや、言葉通りだよ?」
「……」
(ある意味……。どういう意味だろう。
私、先生の前ではちっとも素直じゃないのに)
 黙って作業を続ける私に先生は優しく笑む。
「潔いと思うけどな、俺は。
それに、言葉はきついけど、結局は付き合っているところが谷川らしいよ」
「きつい……」
 思わず呟いて、手をとめた私に、
「あ、やっぱりそこに反応するんだ」
と先生が楽しそうに言った。
(好きできつい言葉を言ってるわけじゃないもん)
 作業を再開してみるものの、ちょっとしょげてしまった。
「先生だって結構酷いこと言ってるじゃないですか。しかも楽しげに」
 皮肉っぽくなってしまった。
「酷いこと、かなあ? 俺、谷川のこと褒めてるんだけれどな」
 先生は気にする様子もなく相変わらず楽しげだ。
「褒めてません」
「褒めてるんだって」
「意味わかりません」
 なんだか自分でも本当に意味が分からなくなってきた。先生に対してとる態度じゃないな、と思いながらも口が言うことを聞いてくれない。
「ははは! 谷川はおもしろいな」
「ちっともおもしろくありません!」
 先生はますます楽しげに笑った。
「あはは。楽しいな」
 語尾に音符がつきそうな先生の言葉。
「……」
 楽しくない、とは言えなくて、私は思わず口を閉ざす。先生は優しい目をした。
「谷川に手伝ってもらって本当によかったよ」
 それからも先生は時々私を手伝いのために社会科準備室へ呼ぶようになった。
 私はしぶしぶ手伝っているような素振りしか見せられなかったけれど、本当はそんな時間を楽しみにするようになった。





「失礼します。
先生、回収したプリント、持ってきましたけど」
 普段通り社会科準備室に入った私を迎えたのは、先生の寝顔だった。
「……先生?」
(本当に寝てるんだよね?)
 私は辺りを見回した。先生の他に誰もいなかった。私は少し先生に近づいた。
 こうしてみるとやっぱり27歳には見えない。
 天使みたい。
 そんな柄にもないことを思って、私は恥ずかしくなった。でもちょっと得した気分。
 私はそっとプリントを机に置くと、
「おやすみなさい、先生」
と小さく声をかけて、その場を後にしようとした。
 そのとき。
「うーん…お…やすみ、たにが……わ」
 足が止まる。
(え?)
 振り返ると相変わらず先生は眠っていた。
「……」
 かあっと頬が熱くなる。寝言で私の名前が出た……!たぶん私の声に反応して出ただけ。でも。
 どうしよう。こんなにも嬉しい……!
 知らず知らず頬に両手をあてている自分に気がついて、恥ずかしくなって私は足早に準備室を出た。
(大丈夫。誰もいなかったし)
 教室へ急いで戻ると不意に出てきた女子にぶつかった。
「ごめんなさい」
 前を向いていなかった私は謝ってその女子を見た。その女子は佐々木さんだった。
「気をつけてよね」
「うん…ごめん」
「まあ、いいけど。ところで、高田先生見なかった?」
 どきりとした。
「え?高田先生?」
「そう。谷川さんは知ってるんじゃない?」
「え?」
「学級委員だし」
「……さっき社会科準備室にプリント届けに行ったときはいなかったよ」
 とっさに嘘をついてしまった。
「そう。じゃあ、職員室かな」
「かもね」
「じゃあね」
 教室へ戻ろうとする私に、
「あ、待って」
と佐々木さんが声をかけた。
「?」
 振り返ると佐々木さんの真っ直ぐな瞳とぶつかった。
「ねえ、高田先生って、何の部活の顧問だったっけ?」
「?えっと……バスケじゃない?」
 確か背が高いからと言うだけの理由で副顧問になったと聞いた。
「……」
 佐々木さんは黙って私を見つめた。
「当たり。よく知ってるね、谷川さん」
「え?」
「谷川さん、高田先生のこと好きでしょ?」
「……!」
 心臓が飛び出るかと思った。
「図星でしょ?」
 私は答えられなかった。
「私も先生のこと好きだから分かるの。
でも先生は先生だよ。生徒は生徒でしかないの。谷川さんは頭が良くて学級委員だから先生のお気に入りなだけ」
「……」
 まさにその通りだと思った。さっきまで浮かれていた心が急に萎む。
「私、告白するから」
「え?!」
 思わず声が出た。
「何?」
「……」
 私はまじまじと佐々木さんを見た。なんて勇気のある子なんだろう。
 そして佐々木さんの艶のある長い髪や、小悪魔的な可愛い顔、短いスカートから伸びる細い脚に目がいってしまった。
「……何も」
「そう。ちょっとがっかり」
「え?」
「私、谷川さんを評価し過ぎてたみたい」
「……」
 佐々木さんは口だけ笑みを浮かべた。
「じゃあね」
「……」
 このままでいいのだろうか。今から佐々木さんは告白するのだろうか。ダメだ。私は告白する勇気なんてない。素直になることさえできないのに……! でも、でも、でも!
「ま、待って!」
 私の悲鳴のような声に佐々木さんは振り返り、足を止めた。
「先生は、ダメよ! 先生は、ダメなの!」
 私の声にふぅと佐々木さんはため息をついた。
「そんな顔できるんだ、谷川さん。ちょっと意外。でも私が従うとでも?」
 佐々木さんは言って歩き出した。
「佐々木さんっ!」
 私の声にも、もう振り返らなかった。私はいつの間にか流れ落ちていた涙を拭った。自分が情けなくて悔しかった。先生はどうするんだろう。怖い。私、どうしたらいいんだろう。



「先生、これ…」
 前期入試も終わり、卒業式まであと二日という日。私はまたも先生の作業を手伝っていた。
 でもこれはどう考えても。
「あの、これ、私も貰うものですよね?それなのにリボン結び、手伝うんですか?」
 どうやら先生は卒業する私たちにメッセージを一人一人に渡そうとしているようだった。そのメッセージカードのリボン結びを手伝うことになるとは。
「うん。だから中身は見ちゃダメだぞ? 昨夜遅くまで書いて流石に疲れたよ。
リボン結ぶようなことは、女子の谷川の方が上手かなと思って」
「だとしても、私だってサプライズで貰いたかったです」
 呆れながら言うと、先生はごめんごめんと笑った。
「最後の手伝いだよ。よろしくお願いします」
 私はもくもくと作業をしながら、一つのことを考えていた。
 私はこのままでいいのだろうか。ずっと可愛くないまま、先生に本音も伝えられずに卒業するのだろうか。そんなの悲しい。絶対後悔する。今日だけでも素直になりたい。
 リボンの数が減っていく。先生との時間も同じようにあと少し。考えると心臓が段々早鐘を打ち出した。このままでいいわけない。素直に。素直にならなきゃ。素直に、なりたい!
「せん……」
 顔を上げて高田を見ると、先生は眠ってしまっていた。なんとなく安堵のため息が出た。先生の寝顔はやっぱり可愛かった。ずっとずっと見ていられたらいいのに。
 私は結び終えたリボンを置くと、しばらく、先生の寝顔を見ていることにした。いつまでもこの時間が続けばいいのに。私は机に頬杖をついて、先生の寝顔を飽きもせずに見続けた。
 窓から見える空が橙に染まっていく。先生が風邪をひいてはいけない。私は仕方なく先生を起こすことにした。
「先生、起きてください。もう終わりましたよ」
 私はそっと先生の肩をゆすった。私の言葉に高田はまだ眠たそうに目をこすりながら顔を上げた。そして子供のように安心しきった笑顔を私に向けた。
 どきりとした。
「やっぱり谷川がいると助かるな」
 そんな顔で言うなんて反則だと思う。私はふいと目をそらして、
「はいはい」
と照れをかくすためにぶっきら棒に答えた。
「谷川がお嫁さんだといいな」
「は?」
「え?」
 思わず先生を見る。先生も自分で何を言ったのか、驚いているようだった。
「えっと……」
「な、何馬鹿なこと言ってるんですか?!」
 一瞬、驚きとともに嬉しさを感じてしまった自分に腹が立つ。どうせ冗談に決まってるのに。そしてそんな風に思う自分はやっぱり可愛げがないと思う。
「ふっ」
 高田が笑った。
「な、なんですか?」
「谷川、可愛いな。耳まで真っ赤だよ」
「……!」
 言われて慌てて耳を手で隠した。
「隠さなくていいのに。ははは」
「……」
 逃げ出したいくらいに恥ずかしい。先生はくすくす笑うのをふとやめた。
「もうすぐ卒業だな、谷川」
「そう、ですね」
「さみしくなるな」
「……私もです」
 珍しく素直に言葉がでた。先生は驚いたように私を見た。
「谷川……」
「はい?」
「やっぱりお嫁さんにならない?」
 私は先生の目をじっと見た。邪気のない目で先生はわたしを見つめ返してくる。
(どうとったらいいのかな。どう返事したらいいんだろう)
「谷川?」
(でも、でも、これはチャンスかもしれない。今、素直にならなくてどうするんだろう。私、本当は、いつも思っていた。先生の前では可愛い女子でいたい)
「な、なってもいい、ですけどっ」
「なんでそこでそっぽむいちゃうかな?」
「は、恥ずかしいからです!」
 先生が私の頬に手を添えて自分の方へと向かせた。
「!?」
「ほんとだ、谷川の頬、熱い。
ほら、そこで目をそらさない」
 先生はコツンと私の額に自分の額をくっつけた。
「なっ!」
「うーん、可愛いからキスしたいけど、谷川が卒業するまで待つか」
 私は何か言葉を返そうとしたがパクパクと口が動くだけで言葉にならなかった。
 先生は満面の笑みをたたえて私を見ている。子供扱いされているようでちょっと悔しい。
「……どうして私なんですか?
……さ、佐々木さんは?」
 先生は目を見張った。
「あ……佐々木な、知ってたのか。受験前に告白に来たよ。勇気ある娘だな」
「……私より佐々木さんのほうが可愛いと思いますけど」
 可愛くないな、私、と思うのはこんなとき。またそっぽを向いてしまう。
「谷川? ほら、そっぽ向くな、こら。
まあ、佐々木は可愛い生徒だな、確かに」
 先生の言葉にしゅんとなる自分がいる。ますます可愛くない顔してるだろうな、私。
 そんな私の頬を先生はグニっとつまんだ。
「面白い顔してるぞ、谷川」
「……」
「でも俺には谷川がピッタリなんだ。って言ってもわかりづらいかな。俺の欠けている所を補ってくれるのが谷川だと思っているよ。
また目を逸らす……。嬉しくて恥ずかしいからってのはわかってるぞ?」
「っ!」
「意地っ張りなのも可愛いと思ってるよ」
「……!」
 先生は全てを見通すように笑って私の頭にぽんと手を置いた。
「……」
 私はちょっと考えて、
「ピッタリ、じゃ、嫌、です」
と言った。
「ん?」
「ちゃんと言われたい言葉があります」
「ふむ、プロポーズじゃ足りないと?」
 先生は可笑しそうに私を見た。
「そうか、じゃあ、それを当てに行ってみようかな、谷川先生」
「はい、当ててみてください」
 先生はふっと笑って、そして。
「好きだよ、谷川」
「好きです、先生」
 被せて言った私に、今度は先生が驚いた。
「本当は素直になってずっと言いたかった。可愛くない私ですが、末永くよろしくお願いします」
 私の言葉に先生は本当に嬉しそうに笑って、もう一度私の頭をくしゃりと撫でた。
「よくできました」



                                  了


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 今日はこのくらいで……。



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