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天音花香の小説をUPするブログです。個人サイトの小説はこちらに移しました。現在二時創作と短編を中心に書いています。
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天音花香
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女性
職業:
主婦
趣味:
いろいろ・・・
自己紹介:
小学生のときに、テレビの影響で、小説を書き始めました。高校の時に文芸部、新聞部で文芸活動をしました(主に、詩ですが)。一応文学部でです。ですが、大学時代、働いていた時期は小説を書く暇がなく、主婦になってから活動を再開。

好きな小説家は、小野 不由美先生、恩田陸先生、加納朋子先生、乙一先生、浅田次郎先生、雪乃 紗衣先生、冴木忍先生、深沢美潮先生、前田珠子先生、市川拓司先生他。
もう一つのブログでは香水についてレビューをしております。
http://yaplog.jp/inka_rose/
こんな私ですが、宜しくお願いします。





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こんにちは、天音です。

前回の「恋人ごっこ」の続きになります。
まだまだ続きますので温かい目で見守ってやってください。よろしくお願いします。




       恋人ごっこ3




ココから小説



          そこが好きなんじゃない



 翌日。
 昨夜も寝付けなかった亜貴は、気だるげに落ちてくる髪を耳にかけ、鞄を持ち直す。歩き慣れた廊下が長く感じられた。目の下にクマができていた。三年生とは階が違うのでこんな顔を樋口先輩に見られなくてよかったと思っていたその時。
「!?」
 似ている。確かに似ているのだが、放つ雰囲気があまりに違いすぎて、違和感しか感じない。
「はあ……」
 亜貴は疲れて深く息を吐いた。眼鏡をかけた刻が視線の先には立っていた。
「……よお」
「……」
「無視!? 待てよ」
 耳障りな大きな声に、顔をしかめて、亜貴は振り返る。座った目が刻を睨んでいた。
「あら~、ご機嫌斜め?」
「……デリカシーって言葉、知ってる? あんた。昨日の今日でよくそんな真似できたわね。馬鹿じゃないの!?」
 吐き捨てるようにそういうと亜貴は自分の教室へ入った。
「……ちっ」
 残された刻は下がってきた眼鏡をぐいと上げた。

 その日、亜貴は目の前をうろちょろする刻を見ないふりして、口ももちろん利かずに部室へ行った。
「亜貴。何そのクマ? 体調悪いの?」
「ちょっとね」
 ちらちらと部室内を盗み見ると樋口先輩の姿はなかった。
「どうかした?」
「うううん、何でもない」
「そういえば、亜貴が昨日、男子といたって真奈美が言ってたけど?」
 その言葉に亜貴は顔をしかめた。
「ちょっとね。いろいろあって」
「何、いろいろって?」
 その場にいる亜貴の友人たちは興味津々な顔で亜貴を見た。亜貴は面倒なことになったとますます顔を曇らせる。
「あー、まあ、付き合うことになったの。たぶんすぐ別れるけど」
「え?! 何それ!」
「誰と?」
「えっと、ちょっと用事があったの思い出した! ごめん、またね!」
 亜貴は逃げる様に部室を飛び出した。
(女子はこういう話ほんと好きよね。しばらく部室に行くのもやめよう)
 自業自得とはいえ、なんでこんなに面倒なことになってしまったのかと気が滅入る。地面だけを見て速足で校門を出ると人とぶつかった。
「すみません!」
 慌ててとっさに謝ると、会いたくて会いたくない樋口先輩の心配そうな顔があった。
「大丈夫? 高城さん」
「だ、大丈夫です!」
 告白した日から二日目。しかもこんなに近い距離で樋口先輩の顔を見ることはなかなかない。どんな態度をとっていいかわからず、亜貴はうつむいた。早くこの場を立ち去りたい。
「体調悪そうだけど……?」
 優しい声音で言われて、亜貴は泣きそうになる。やっぱり樋口先輩は優しい。でも私は樋口先輩の特別ではない。
「ちょっと寝不足なだけです」
「そう? 今日は眠れるといいね。帰り気を付けて」
「はい」
 亜貴は無理やり笑顔を作り、樋口先輩に頭を下げると駆け出した。頬を冷たい風がかすめる。
(だめだな、私。まだこんなにも好きだ。なのに私、何やってるんだろう)
 自分が情けなかった。
(刻には明日、断ろう)


 
 
「おっす」
 刻はこの日も眼鏡をかけたままの姿で亜貴の教室の前の壁に寄り掛かり、亜貴を待っていた。 
「……おはよう」
 憮然としながらも返した亜貴に、刻の表情が少し和らいだ。
「おう」
「刻、今日、お昼話すことがあるから」
「? なんだよ、改まって」
「とにかくこないだお弁当食べた場所にいて」
「? わかった」
「じゃあ」
 午前中の授業の間、亜貴は刻になんて言おうかを考えていた。だが結局うまくまとまらないまま昼休みを迎えた。
「それで?なんだよ、話って」
 亜貴は少し躊躇って、そして、腹をくくったように刻を見た。直球で行くしかない。
「な、なんだよ?」
「うん。やっぱりこの勝負やめない?」
「は?」 
「だから」
 もう一度言おうとした亜貴を刻は制した。
「内容は理解できてるって! そうじゃなくて、何今更言ってんだってことだよ」
「そうね。私が言い出したことだからね。勝手なこと言っているのはわかってる。でも、一か月で人の心が変わるなんて思えない。私は樋口先輩が好きなの。こんなことしても無駄だと思う」
 亜貴の言葉に刻は黙った。
「そういうことだから」
「……じゃあ、負けを認めるんだな?」
「は?」
「途中でやめるってことは負けだ」
「負けじゃないわよ!」
「じゃあなんだよ」
 亜貴は苛立たし気に息をついた。
「……だから、勝ち負けの問題じゃないのよ」
「お前、ほんと勝手だな。勝手に人の告白に首突っ込んで、勝手に勝負をたたきつけて、そして、勝手にやめる」
 今度は亜貴が黙る番だった。
「あの日、亜貴は兄貴に振られた。単なる腹いせだったのか?」
「……」
「なんだ、結局あの女子のためなんかじゃなかったんだな。お前は自分のために割って入ってきただけだったんだ」
「……」
「何も言えねーのか」
「っ! それだけじゃない! 本当にあんな理由で振ろうとしたあんたが許せなかったのよ!」
(そう。自分があんなこと言われたら許せないから!)
不覚にも涙が浮かびそうになって、亜貴はぐいと目をこすった。
「だったらやめるんじゃねーよ! 自分の信念貫けよ。俺をこっぴどく振ってやるんだろ?
俺は人を特別に好きになったことはない。だからわかんねーけど、人間は一生一人しか好きにならねーのか? 違うだろう? まだ3日。俺の何がわかった? まだ27日もあるんだ。俺は負けるなんて思ってないね。だからやめてやんねーよ」
「……っ」
 悔しいと思った。不敵に笑う刻が少しだけかっこよく見えたのが余計に悔しかった。
「飯食おうぜ。時間がない」
 亜貴の返事を待たずに刻は弁当箱を開けて食べだす。
「……。後悔するわよ。私は心変わりなんてしない。だから刻は私に勝てないんだから!」
「はいはい、それはどーだろーな。まあ、お前も食えよ」
「……」
 悔しくて仕方がない。納得がいかないまま亜貴は弁当箱を開けた。
「おにぎり一個くれんだろ? もらうぜ」
 すかさず亜貴の弁当箱に刻が手を伸ばした。あっけにとられている亜貴の前で刻は満足そうに亜貴のおにぎりをほおばっている。そんな刻の顔を見ているとなんだかすべてが馬鹿馬鹿しくなった。
「……眼鏡」
「ん?」
「眼鏡、やめなさいよ」
「なんで? 兄貴に似てるだろ? こうやって眼鏡かけてると」
 はあ、と亜貴はため息をついた。
「あんたって本当に人を好きになったことないのね」
「なんだよ、今更。言ってるだろ?」
「そこ、胸を張るところじゃないわよ」
 亜貴はもう一度深く息を吐いて、刻の眼鏡に手をかけた。
「何すんだよ?! 眼鏡が好きなんだろ?」
「馬鹿ね、ほんと、あんた。
好きになるとね、好きになった人が一番かっこよく見えるものなの。眼鏡が似合っていれば、眼鏡も素敵だと思える。でも、眼鏡をかけていなくてもその人であればいいの。逆に、別の人が眼鏡が似合っていても、好きでなければなんとも思わない」
 どこか遠くを見るようにして言った亜貴の横顔に、刻は自分がいつの間にか魅入っているのに気づいて咳ばらいをした。きっと兄を思い出して言っているに違いない。なんだかおもしろくなかった。
「何よ?」
「べーつに」
 眼鏡を買った自分が馬鹿みたいに思えた。
「刻は目は悪くないの?」
「右が0.8で左が0.7。なくても見える」
「そう」
 亜貴は手にした刻の眼鏡を見た。樋口先輩のと似ていた。
「本当に馬鹿ね」
 そう言った亜貴の声はどこか優しくなっていた。
「はいはい。馬鹿ですよ。わざわざ買っちまって損した」
 刻は眼鏡を取り返すと鞄に乱暴にしまった。
「買ったの?」
 亜貴はちょっと罪悪感を覚える。自分が悪いわけではないのだけれど。
「……勿体ないから家で勉強するときにでも使ったら?」
「だったらほとんど出番はないな」
「ふふっ」
 亜貴はなんだかおかしくなって笑ってしまった。
「なんだよ?」
「うううん。ほんと、あんたはそんな感じだから」
「ふん。変な奴。泣いたり笑ったり」
「な、泣いてなんかいないわよ!?」
 真っ赤になって言い返す亜貴。
「そうそう、亜貴は怒っているのが亜貴らしいんじゃねえ?」
 にかっと笑って言った刻に亜貴は余計にむっとした。
「それは刻の前だからじゃない?!」
「へえ、兄貴の前の亜貴を見たいものだ」
「あんた、ほんっとにむかつくわね!」
 亜貴は思わず刻の肩を叩いた。
「叩いてる暇があるなら飯食えよ。もう昼休み終わるぜ?」
「っ」
 すっかり刻のペースだ。
(あ~、むかつく! やっぱりこっぴどく振ってやろう)
 もぐもぐと口を動かしながら、亜貴は一時間前とは別の考えに落ち着いたのだった。だが、不思議と心は軽かった。





            やっぱり似てる? 似てない?



 終業を告げるチャイムの音を聞いたのだが、亜貴はしばし席にとどまっていた。今日はどうしようか迷っていた。樋口先輩に告白してから放課後は部活に行っていなかった。特に差し迫った提出などはない。行ってもただ黙々と字の練習をするだけだ。ただ、その無になれる時間が亜貴は好きで書道部に属していた。だが、今は到底心を無にできそうにないため、亜貴は書道教室に行く気になれないのだ。
 のろのろと教科書類を鞄に詰め込んでいると、亜貴の教室を刻が覗いているのが目に入った。眼鏡は結局やめたようだ。
(ふん。やっぱり刻には眼鏡は似合わない)
 目が合った。鋭い目つきがやや変わる。そのまま教室に入ってくると刻は亜貴の前に立った。
「おい、お前、じゃなかった、亜貴、今日はどうすんだ?」
「そうね、それを考えていたところ」
 数人残っていた女子がこちらを見た。
「とりあえず教室でましょうか」
「あ、ああ」
 女子の視線に気づいた刻もちょっと気まずそうに返事をすると亜貴に続いて教室を出た。
「わりぃ、考えなしだった」
「まあ、いいけど、今更」
 素っ気なく言った亜貴に刻はにやっと笑った。
「亜貴ってさ、友達いねーだろう?」
「は? どうして?」
「いっつもつんけんしてるから」
(こいつはなんでこんなに私をイラつかせるのがうまいんだろう)
「……少ないけど、いなくはないわよ」
 部活の友人はいるが、教室では他の女子のように一緒に行動はしていなかった。
「刻こそ……」
 亜貴が言おうとしたとき、廊下ですれ違った二人の男子がこっちを見た。
「刻、それ彼女~?」
「え~いつの間に?」
「うるせーな。期間限定の、だよ」
「ははっ、何それ」
「かっこつけんなよー」
「うるせっ! 早く部活行けよ」
 亜貴は言いかけた言葉をのんだ。そして言わなくて正解だったと思わずにはいられなかった。階段を一階まで下りるまでに、刻は数人から声をかけられていた。
(なんだ、友達多いんじゃない)
「今日も帰るのか?」
 亜貴はちょっと考えて、
「……今日は刻の部活見ていこうかな」
と答えた。刻は意外そうに目を開いて、そして笑った。
「いいぜ、来いよ。静かにしとけよ?」
「……なんであんたはそんなに偉そうなのよ?」
「別に?」
 亜貴の言葉を気にすることなく、刻は上機嫌で弓道場まで歩いたのだった。





 弓道衣を身にまとい、ゆがけをはめて弓を引く。矢が切り裂く空気までが伝わってくるよう。亜貴はじっと魅入ってしまっていた。
 亜貴が入ってきたとき、弓道場は少しざわついた。男子部員たちは興味津々といった風に亜貴を近くまで見にきたし、女子部員は遠巻きになんとも言えない目で亜貴を見ていた。そんな様子を気にも留めずに刻は、
「あ、こいつ、見に来ただけだから」
と言って着替えに行ってしまい、その場に残された亜貴は、
「見学させていただきます。よろしくお願いします」
と一言言って後ろの方の床に正座すると黙って目を伏せ、視線に気付かないふりをするしかなかった。そこへ着替えて出てきた刻は、そんな亜貴に一瞥をくれただけで、あとは黙々と作業をしだした。他の部員たちもそんな刻の様子に興をそがれたのか、部活を再開した。

 的を見る横顔に亜貴の心はざわつく。似ているなんて思いたくない。なのに、その張りつめたような表情は、樋口先輩が見せる真剣な表情に似ていた。
 普段醸し出す雰囲気はあんなにも違うのに。
(やっぱり兄弟なんだ)
 思い出してはいけない。思い出したくない。でも、思い出さずにはいられない。じんわりと涙が滲む。
 弓道の所作はなんて美しいのだろう。刻が的を射るたびに、亜貴は本当にそう思った。たぶん刻は腕がいいほうなのだろう。その姿は本当に美しい。なのに刻を透かして樋口先輩が見えてしまう。なんて失礼なんだろう。見に来なければよかったのだろうか。
(違う。ちゃんと見なきゃ)
 優しかった樋口先輩。もうすぐ卒業してしまう樋口先輩。
(私はどうしたらいいのかな)
 自分の恋はもう叶わない。
(樋口先輩……)
「おい」
 頭上から降ってきた声に亜貴ははっと我に返った。見上げると刻が亜貴を見下ろしていた。
「何ぼうっとしてるんだよ? ちゃんと見てたのか?」
 ちょっと不機嫌そうな声で刻が言った。
「……。うん、見てたよ」
「ふーん?」
 怪しむように亜貴を見る刻。その刻の顔を見て、亜貴はふっと笑った。
「? なんだよ」
(似てると思ったのに。でも樋口先輩のこんな表情は見たことない。こいつは刻だ)
「意外に様になってたわよ」
「意外には余計だ」
 刻は鼻の頭をぐいとこすってふんと鼻を鳴らした。
「まあいいや。退屈じゃなかったか?」
「……全然」
「ならいいけど。もう少ししたら帰る」
 素っ気なく言って戻っていく刻。そのすっと伸びた背筋がまぶしく感じられた。亜貴は一つのことを思いついた。
(私の恋はかなわない。でも、樋口先輩の恋は? 私にできることは何だろうか)





                                  続く


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 今日はこのくらいで……。



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