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天音花香の小説をUPするブログです。個人サイトの小説はこちらに移しました。現在二時創作と短編を中心に書いています。
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プロフィール
HN:
天音花香
HP:
性別:
女性
職業:
主婦
趣味:
いろいろ・・・
自己紹介:
小学生のときに、テレビの影響で、小説を書き始めました。高校の時に文芸部、新聞部で文芸活動をしました(主に、詩ですが)。一応文学部でです。ですが、大学時代、働いていた時期は小説を書く暇がなく、主婦になってから活動を再開。

好きな小説家は、小野 不由美先生、恩田陸先生、加納朋子先生、乙一先生、浅田次郎先生、雪乃 紗衣先生、冴木忍先生、深沢美潮先生、前田珠子先生、市川拓司先生他。
もう一つのブログでは香水についてレビューをしております。
http://yaplog.jp/inka_rose/
こんな私ですが、宜しくお願いします。





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こんにちは、天音です。

恋人ごっこをお送りいたします。
少しずつ書いていきますので、よろしくお願いします。


コメントいただければ喜びます。
拍手もとても支えになります。その際にはぜひ、一言書いていただければ嬉しいです。
それでは、お楽しみいただければ幸いです。


ココから小説



 先輩、県外に行くんですか?!



 亜貴がいつもの場所に行くと刻はすでにベンチに座っていて、サッカーをしてる男子たちをぼんやりと見ていた。
「刻」
 亜貴が呼びかけると、
「おう」
 と応じて亜貴の方を向いた。亜貴もベンチに腰を下ろす。
「「あのさ」」
 声が重なった。
「何?」
「うん……あの、本屋でのことだけど、今更だけど本当にごめんな」
「……土曜日にも言ったけど、誰が悪いって訳ではないから。事故よ。事故」
「ああ。でも、亜貴すげえ悲しそうな顔してたから……」
 刻は亜貴から目を逸らして、自分の足を見つめるようにして言った。
「べ、別に刻だからショックだった訳じゃないわよ? なんていうの? やっぱりキスとかは本当に好きな人とがいいじゃない? 特に初めてのは」
「でも、こないだのは言っとくけど唇同士じゃねーぜ?」
「そんなの分かってるわよ! でも、やっぱりショックだっただけ。あんたは平気なの?」
 亜貴に言われて、刻は両腕を組み考えるしぐさをした。
「……まあ、びっくりはしたけど。でも犬だって口の周り舐めるし」
「はあ? 犬?」
 亜貴の声色が変わる。自分は犬と一緒のレベルってこと?
「バカ、例えだよ!」
「……もうこの話はやめましょう。建設的じゃないわ」
「俺もそう思う」
 二人は何だか疲れて、同じタイミングでため息をつくと同じタイミングで弁当箱を開けた。暫く黙々と食べる。
「あ、そういや兄貴、来週私立の合格発表。その次の日曜日公立の入試みたいだ」
「そうなの?! もう私立受験終わってたんだ……。知らなかった。樋口先輩はどこを受けたのか知ってる?」
「さあ? どこかまでは知らねえけど、新幹線がどうとかって言ってたな」
 のほほんとした刻の言葉に亜貴は顔色を変えた。
「え?! 先輩県外を受けてるの?!」
「え? そうじゃねーの? 何?」
「何って……」
 亜貴はしばらく言葉を失う。刻は不思議そうに亜貴を見ている。
(そっか、樋口先輩、遠くに行くんだ……)
 近くの大学に行ったとしても会える確率なんてたかが知れていて、樋口先輩が高校を訪ねてこない限りはほとんど会える訳ではないだろうけど。それでも亜貴の心にはぽっかりと穴が開くような感覚がした。
 それに。円上先輩はどこを受けてるんだろう。樋口先輩が県外を受けたって知ってるのだろうか。
「亜貴?」
「円上先輩に会わなきゃ」
「え?」
 亜貴はパクパクとおかずの残りを片付けて、最後のおにぎりを一つ刻の弁当箱に入れた。
「お、さんきゅ。って、何? 今から行くの? さゆり姉んとこ」
 目を丸くしてる刻を置いて亜貴は立ち上がった。
「うん。行ってくる!」
 弁当箱片手に駆け出した。ポツンと残された刻は、
「……ま、いっか」
 亜貴からもらったおにぎりにかぶりついた。



「すみません。円上先輩お願いします」
 円上先輩のクラスに行くと、亜貴は教室に入ろうとしている女子生徒に声をかけた。ほどなくして円上先輩が出てきた。
「あら、高城さん? どうしたの? 」
 廊下にはまだ多くの生徒がいた。亜貴はどうしようと考える。
「ここじゃちょっと」
「? じゃあ、放課後部室の前で待ち合わせにする? もうすぐ昼休みも終わっちゃうわ」
 円上先輩の提案に、亜貴は顔を上げ、思いっきり頷いた。
「はいっ! そうして頂けると助かります」
 そんな亜貴にふふふと円上先輩は笑った。
「じゃあ、放課後ね?」
 良かった、と胸を撫で下ろして階段を降りる。自分の教室へ戻ると、その前に刻がいた。
「話せたか?」
「放課後話せるようになった」
「そ? まあ、無茶すんなよ?」
 それだけ言うと刻は自分の教室の方へ歩いて行った。
             

       私、やらかしました


 放課後まで亜貴は落ち着かなかった。告白するときまでとは行かなくとも、自分の心臓がどんなに早鐘を打っているか自覚していた。早く円上先輩と話がしたい。しかしいざ放課後になると、なぜか足は重かった。
 部室の前に円上先輩がいるのが見えた。先輩の方も亜貴を認めて笑顔になった。
「顔色が良くないけど大丈夫?」
 それは緊張しているからだろう。
「先輩、部室棟の裏にいいですか?」
「いいわよ? 何か大事な話なの?」
 円上先輩は不思議そうに亜貴を横目で見上げている。円上先輩の身長は亜貴より少し低い。円上先輩の髪は漆黒に近いが、ふんわりと全体的にクセがあって硬い雰囲気ではない。だが、スッと伸びた背筋と、一重の目は瞳が黒くて大きく、凛とした印象を受ける。可愛いより綺麗という言葉が似合う女性だ。樋口先輩の好きな円上先輩。個人的に話すことは部活中はなかったなと思いながら歩く。
「うん、ここなら人気がないからいいかしら?
どうしたの? 何の相談?」
 果たしてこんなところにまで呼び出す必要があったのかと自分でも思いつつ、でも、呼び出したからには聞かないとと思い、亜貴は腹をくくった。
「あの、円上先輩は、大学はどちらの大学を受けていらっしゃいますか?」
 亜貴の問いに円上先輩は少し面食らう。
「私の大学? ……私は私立も公立も地元の大学を受けるつもりだけれど、高城さんはもう大学のことを考えているの?」
「い、いえ、私はまだ大学のことは考えていません」
「? じゃあ……?」
「あ、あの……」
 言い淀む亜貴に円上先輩は首を傾げ、優しく促す。
「円上先輩は樋口先輩と幼馴染なんですよね?」
「焔?」
 亜貴の言葉に円上先輩は目を丸くした。
「ええ。焔とは幼馴染よ?」
「……樋口先輩が県外の大学を受けていることはご存知ですか?」
 亜貴の言葉に円上先輩はゆっくりと瞬きをした。
「……ええ。そう焔からは聞いたわ」
 明らかに円上先輩の声のトーンが落ちた。亜貴はそんな円上先輩を見て、何だか複雑な気分になる。
(円上先輩は……)
「さ、寂しいですよね。今までずっと一緒だった樋口先輩と離れるのは」
「……ええ、とても」
 円上先輩の本音が聞こえた。亜貴は手にじっとりと汗を握る。
(円上先輩は、樋口先輩のこと、どう思ってるんですか?)
 と思わず口にしそうになって、亜貴は唇を自分で噛み締めて堪えた。
(駄目だ。それは私が聞くべきことではない。また私は立ち入っては行けないところに立ち入ってしまったのではないか)
 そんな不安が急に立ち込める。
 円上先輩は黙ってしまった亜貴を困惑した顔で見ている。
「す、すみません。私、私……」
(私、こんなこと円上先輩に聞いてよかったの?
本当に樋口先輩のためになってるの?!)
「た、高城さん?」
 亜貴の目から涙が一筋溢れたのを見た円上先輩はますます困惑する。
「私、私……」
「高城さん……?」
「すみませんっ! あの、聞きたいのはこれだけです! 失礼しますっ!」
「え? 高城さん?!」
(どうしよう!
私、余計なことしてしまったかもしれない!)
 若干パニックになって走っている亜貴の腕をぐいと誰かが掴んだ。刻だった。
「ま、待てって何?! お前また泣いてんの?!」
「刻! 私! どうしよう!」
 亜貴の足はガクガクと力を失って震えていた。
「さゆり姉と話したんじゃないのか?」
「話したわ! でも、途中で逃げて来た……」
 亜貴は自分の行動を思い返して、さらに不安になる。
「は?」
 刻は真っ青な亜貴の肩に手を置き、
「とりあえず落ち着け。深呼吸だ」
 と言った。いつもなら怒るだろう亜貴は、刻に言われるままに深呼吸をする。
「何を話して来たんだ?」
 亜貴は途切れ途切れに円上先輩との会話を話した。刻の顔が見る見る変わり、
「あちゃー」
 とその口から言葉が漏れた。
「こんなはずじゃなかったのよ?
ただ、円上先輩が樋口先輩が県外に出ることを知らなかったら、二人ともあまりにも悲しすぎると思ったのよ!」
 刻はしばらく黙っていた。
「刻?」
 不安になって亜貴は刻の顔を見上げる。
「亜貴の気持ちは分かる。分かるが、俺が兄貴だったら……」
 刻の言葉に亜貴の肩がピクリと震えた。
「だったら? 樋口先輩だったら?」
 亜貴の眉がハの字に寄せられる。刻はそんな亜貴から目を逸らして、
「……そんなこと望まない」
 と小さく言った。亜貴の目から大きな雫が零れ落ちる。
「……そう、よね……」
 亜貴はがっくりと肩を落とし、うなだれた。その肩を刻は叩く。
「でも、今更嘆いたって仕方ないだろ? 次、どうするかを考えようぜ?」
「……」
 前向きな刻の言葉。すぐにそんな気にはなれない、と思う自分もいた。だが他ならぬ樋口先輩のことだ。このままでいいわけない。亜貴は涙を拭う。
「本当だわ。自分がしたことには責任をとらなきゃ」
「それでこそ亜貴だ」
 刻はそう言ってもう一度亜貴の肩を叩いた。
「俺、悪りぃけど部活行くから。あ、そうだ、その前にケータイの番号だけ交換しとこうぜ?」
「そう言えば聞いてなかった」
 二人は赤外線通信で携帯の情報を交換した。
「じゃ、またな」
 刻は足早に去って行った。残された亜貴はどうしよう、と考える。部室は行く気になれなかった。円上先輩ともう一度会ったらどうしていいかわからない。
(家に帰って今後のことを考えよう)
 亜貴は校門へ歩き出した。


             初電話は反省電話?


「どうしたらいいんだろう」
 夕飯を食べてお風呂に入り、亜貴はベッドに横たわって独り呟く。
 自分に自信がなくなってきた。そもそも自分のこともしっかりできていないのに、人の恋愛に首を突っ込むこと自体どうなんだろうと。
「刻の時だってそうだ」
 自分が振られたから、だから刻が振っているのが許せなかったんじゃないかとさえ思えてくる。
 そうじゃない。あの時は刻を知らなかったし、刻があの女子生徒を小馬鹿にしているように感じたのだ。
(きょーみないとかめんどくせーとか、ほんと失礼すぎる)
 あの日の刻の言葉を思い出すとやっぱり今でも胸がムカムカしてくる。
 でも。刻と付き合ってみると、刻が悪気を持って言っていたのではなく、正直な気持ちだったんだろうと分かってしまった。正直に向き合うというのが刻の優しさだったのなら、私は何様なんだろう。彼女の告白をあんな形でめちゃくちゃにしてしまったのは私の方なのではないか。胸がちくりと痛む。
(馬鹿なのはほんと私だわ)
 心の中で、彼女に謝った。悪気はなかったのは事実。自分の正義に従ったのも事実。でも、自分のしたことが正解かどうかと問われると全く自信がなくなってきた亜貴だった。
「……とにかく今は樋口先輩のことだ」
 自己嫌悪でいっぱいになりながらも、樋口先輩のことに思考を戻した時だった。携帯がけたたましい音を発てて鳴った。刻の名前が表示されているのを見て、亜貴は通話ボタンを押した。
「はい、高城です」
「おう、亜貴。俺だけど」
 耳元から刻の声が聞こえてくるのはなんだかくすぐったいような変な感じがする。
「うん。何?」
 つっけんどんな言い方になってしまった。
「今、時間大丈夫か?」
「大丈夫」
「今後のことだけど」
「樋口先輩のこと?」
「そう」
 亜貴の口から思わずため息が出る。
「……今、考えて自己嫌悪に陥っていたところよ」
「あー、まー」
 刻が言葉に詰まった。
「あれだ、そのー」
「いいわよ、はっきり言って」
「亜貴はおせっかいなんだろうな」
「おせっかい、ね」
 思っていたよりも柔らかい表現に亜貴は刻にちょっと感謝した。
「でも、亜貴は悪気があったわけじゃねーし、亜貴なりに頑張った結果なんだろ?」
「そう。頑張ってはいるのよ。闇雲にね。でもそれがいい結果を伴うとは限らないってやつね」
 自分でもわかっている。
「まあ、そう、だな。わかってるじゃねーか。でも、人間そんなもんじゃねー? 何が正解なんてわかんねーし。お前の今回の行動のおかげで兄貴とさゆり姉が付き合うことになるかもしれねーし」
「刻ってすごいポジティブよね」
「俺? そーかな。まあ、そーかも。で、亜貴は今ネガティブなんだろ?」
「そうみたい」
「じゃあ、よかったじゃねーか。二人合わせればいい考えが浮かぶかもしれない」
 亜貴はその言葉に感心する。
「すごいわね、あんた」
「は? 馬鹿にしてんのか?」
「してない。本当に、尊敬する」
「バーカ」
 その声に照れが混じっているのがわかって、なんだか亜貴も恥ずかしくなって咳ばらいをした。
「本題に戻るけど」
「ああ」
「再来週の日曜日、入試なのよね? 樋口先輩」
「そう言ってたぜ」
「そうなら、それまでは行動は慎もうかと思うの」
「うん。俺もそれがいいとは思う」
「あとは、喫茶店で会わせる作戦だけど」
「ああそれね。国公立入試が終わってから卒業式まで10日しかない。どうすんだ?」
「うーん」
 日程については刻から聞いて初めて知ったことなので、亜貴も考えあぐねる。
「休日となると、入試後の土日のどちらかになるわよね?」
「そうだな。でも、前期で落ちてたら後期が日曜日あるはずだぜ?」
「そうなの? なんか大変な時期なのね」
「何今更」
「……」
 こんな時期に告白をしたのも、さらに恋愛イベントを無理やり起こそうとしているのもなんだか申し訳なくなってくる。でももう後には引けない。自分のできることをするだけだ。
「えっと、じゃあ、合格発表はいつだかわかる?」
「や、知らねー。でも、確か卒業式より後だって聞いたような?」
 そう答えた刻の声の後に、コンコンとドアをノックするような音が聞こえた。
「僕だけど」
 くぐもった小さな声が亜貴の耳に届く。聞き取り辛いけれど、樋口先輩の声に違いない。
「あ、兄貴?! ちょ、ちょっと待って」
 案の定、焦って裏返る刻の大きな声が耳を刺激し、亜貴は携帯を耳から少し遠ざけた。
「入るよ?」
「ま、待っ」
 刻が答える前にドアの開く音がした。
(樋口先輩って意外に弟には強気なのかな?)
「誰と話してるの? もしかして、彼女?」
「い、いやいやいや、ち、違う!」
「渓が言ってたよ? 刻が女子生徒と一緒に歩いているのを見たって」
「渓ちゃん?!」
 刻は動揺して通話を切り忘れているようだ。二人の会話が小さく聞こえてくる。
(盗み聞きみたいで駄目だわ、こんなの)
 亜貴はこちらから通話を切った。
 今更だが、やっぱり二人は兄弟なんだなと亜貴は思った。それにしても。
(イメージが違うわね。樋口先輩、砕けた感じだった。刻は樋口先輩には頭が上がらないみたいだし)
 くすりと笑ってしまう。
(再来週の日曜までは少し時間がある。今度は失敗しないようにちゃんと作戦を立てないと)
亜貴は手帳を取り出し、卒業式である3月8日と、入試がある2月26日と3月5日にも印をつけた。
                     続く



 ここまで読んでくださりありがとうございました。次はこの続きになるかわかりませんが(短編になるかもです)、この小説はまだまだ続くと思われます。これからもどうぞよろしくお願いします。

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 それではまた!               天音花香

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