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天音花香の小説をUPするブログです。個人サイトの小説はこちらに移しました。現在二時創作と短編を中心に書いています。
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天音花香
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女性
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主婦
趣味:
いろいろ・・・
自己紹介:
小学生のときに、テレビの影響で、小説を書き始めました。高校の時に文芸部、新聞部で文芸活動をしました(主に、詩ですが)。一応文学部でです。ですが、大学時代、働いていた時期は小説を書く暇がなく、主婦になってから活動を再開。

好きな小説家は、小野 不由美先生、恩田陸先生、加納朋子先生、乙一先生、浅田次郎先生、雪乃 紗衣先生、冴木忍先生、深沢美潮先生、前田珠子先生、市川拓司先生他。
もう一つのブログでは香水についてレビューをしております。
http://yaplog.jp/inka_rose/
こんな私ですが、宜しくお願いします。





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「治雪の場合」6


 孝子の家の前で治雪は絶句していた。住所はここであっているはずだ。
「家と言うより、豪邸? 屋敷?」
 とにかく気を取り直して、と大きな門の前のチャイムを押した。そして、しばらく待つ。
 反応がない。
(寝てるのかな? 帰ったほうがいいのかな?)
 いや、もう一度だけ、とチャイムをおすと、孝子の苦しげな声が聞こえてきた。
「か、春日、君……?今、門を解除……する、わ」
 鉄でできた大きな門がキイと音を立てて開いていった。
 覚悟を決めて、敷地内へ入る。広い。とにかく広い。玄関が遠い。
 しかし。
(草ぼうぼうだ)
 孝子の暮らしが見えた気がして、治雪はちょっと悲しくなった。こんな、豪邸に一人で住む孝子。
 とにかく一秒でも早く入ろうと思った。
 家の中へ入ると、孝子が倒れていた。
「堀内さん!」
「ごめん、ね。みっともない姿、みせ、て」
 意識はちゃんとあるようだ。
 パジャマ姿で、熱で上気させた顔をした孝子は、治雪の理性を奪おうとする。
(こんなときに、何を考えてんだ、俺。しっかりしろ!)
「とにかく、ベッドは?」
「二階」
 治雪は孝子を抱きかかえてベッドに寝かしつけた。
「よく俺だって分かったね」
「インターホン、に、カメラがついて、いる、のよ」
「すごいな! 俺んちとは大違い! っとそんな話より、ね、タオルはどこにあるの? 後、パジャマ」
「タオルは、一階、の洗面所の棚。パジャマ、はそこの箪笥、の、一番下」
 治雪は、まずは箪笥の一番下から、パジャマをとりだして孝子に渡した。
「ちょっと待ってて。タオル取ってくるから」
 治雪は急いで階段を下りると、タオルを数枚取り出した。そのうち一つはお湯で濡らして固く絞る。そして、再び階段を駆け上がった。
「はい、この熱いタオルで身体拭いて、パジャマ着替えて。かなり、汗かいてるから。新しく汗出てきたら、この乾いたタオル使って。俺は、下ですることがあるから」
 そう早口に言って、治雪は部屋を出ようとし、「あ」と思い出したように買ってきた袋の中をあさって、ヒエピタを取り出した。そして、問答無用で、孝子の額に貼り付けた。
「着替えたら、おとなしく寝てなよ?」
「ごめん、ね。ありが、と」
「こないだのお礼! 今は何も考えずに寝ること!」
 孝子の言葉に瞬時に返してから、どたどたと階段を下りた。多分、あの調子じゃ、何も食べてもいないだろう。お粥ぐらいなら治雪にも作れる。
「よし、ちょっと冷蔵庫を失敬して」
 治雪は卵粥を作ることにした。料理することは嫌いではなかった。治雪には小学校四年生の妹がいるので、働いている母親が遅いときには、治雪が作ったりしているからだ。
 米をとぎ、ご飯を炊く。その間に、冷蔵庫にあったレモンを絞り、蜂蜜をたっぷり入れてホットレモンを作った。そして二階に持っていく。
「入って大丈夫? 堀内さん」
 ドア越しから声をかけると、
「うん」
 という返事が返ってきた。ドアを開けて、パジャマを着替えて寝ている孝子のベッドの横に、ホットレモンを置く。
「汗かいてるってことは水分が出てるってことだから、ちゃんと補給しないとね。着替え終わったこのパジャマは洗濯機に入れとけばいいかな?」
「う、うん」
 さすがに恥ずかしいらしく、顔を赤らめる孝子。
「病人は恥ずかしがらなくていい!」
 と言いきり、またばたばたと治雪はパジャマを持って階段をおりた。
 ご飯が炊き終わるまで時間がある。とりあえず、孝子に要望を聞いてみようと、治雪はまた階段を上がった。
「堀内さん、なんか、不自由はない? 俺にできることなら何でもするよ?」
 ホットレモンを飲んで、一息つけたのか、孝子は少し顔色をよくして、
「大丈夫」
 と答えた。
「それより、随分手馴れている春日君に驚いたわ」
「あー、俺のところ、共働きでさ。んで、小学校四年生の妹がいるんだ。母さんが仕事のときに妹の看病するのは俺だったしそのせいかな?」
「自分が風邪のときは甘えんぼさんなのにね」
 と孝子はくすりと笑った。
 治雪は複雑である。
(はっきり言って嬉しくないぞ)
「でも、じゃあ、私も甘えさせてもらおうかな。これ、とっても美味しかったわ。もう一杯頼める?」
「了解いたしました」
 自分の作ったものを気に入ってもらえたことが嬉しく、治雪は一気に機嫌をよくして階段を下りていった。


 「これ、春日君が作ったの?!」
 目を大きく開き、孝子は湯気を上げている卵粥を見て声を上げた。
「ま、このくらいは序の口」
 他にも作れると、アピールも忘れず、治雪は胸を張った。
「じゃ、早速いただきます」
「自分で食べれる?」
 食べさせることをちょっと夢見ながら治雪が言うと、
「……大丈夫よ」
 と孝子。
 少しがっかりしながら、孝子が食べるのを見る。
 ふうふうと息を吹きかけ、少し冷ましてから口に運ぶ孝子。
「美味しい!」
 本当に美味しそうに言った孝子に、治雪は安堵し、嬉しくなった。
「そりゃ、よかった」
「で、でも、そんなに、じっと見ないで。なんか、食べているところを見られるのって恥ずかしいから」
 頬を朱に染めて言う孝子は、教室で見る孝子とは違った感じがして、思わず治雪は頬を緩ませた。
「もう、笑わないで、あっちむいていて」
「はいはい」
 なんだか、教室での立場と入れ替わったみたいだ。こんな孝子を知ってるのは自分だけなんだろうなあと思うと、なおさら顔がほころんでしまう治雪であった。
「ご馳走様でした。本当に美味しかったわ。ありがとう」
「いえいえ、喜んでもらえて嬉しいよ。じゃ、食後のお茶でもついでこようかな。堀内さんは緑茶派? 紅茶派?」
「じゃあ、紅茶でお願いします」
「了解」
 上機嫌で、階段を下り、治雪は台所で紅茶の茶葉を探した。
 紅茶は苦く出したら美味しくないので、色が明るい赤色になって少したった程度で茶葉を除く。そして、孝子と自分の分をティーカップに入れるとまた階段を上がった。
「これも、美味しい」
 一口飲んでまた出た孝子の言葉に、治雪はちょっと苦笑いをする。
「そりゃ、茶葉がいいんだよ」
「でも、お店によっては苦くて美味しくなかったりするじゃない? 春日君、お料理のほうに進んだら?」
「そ、そんな今更」
 なんて会話をしながら、ちらりと壁にかかった時計を見ると、もう午後八時を過ぎていた。母親も心配しているだろうし、何より、自分は男で、孝子は女なのだ。遅くまで相手の家で二人っきりというのはよろしくない。
「じゃあ、そろそろ、俺は帰るとするかな」
 と言って治雪が立ち上がると、
「ねえ、もう一杯入れてくれないかしら?」
 と孝子が言った。
「わかった。それから帰るよ」
 治雪はもう一度紅茶を入れに行った。
「あれ? 今度は甘い」
 予想通りの孝子の反応に、治雪は、
「喉にいいので、蜂蜜をたっぷり入れてみましたー! それに、寝る前に甘いものをとるのは睡眠を促すんだよ」
 と満面の笑みで答えた。
「物識りなのね、春日君て」
「勉強以外なら」
 治雪は今度は苦笑しながら答えた。そう、無駄な知識だけはなんだかある。
「じゃあ、そろそろ」
 治雪がそう言って鞄を持ったときだ。
「待って。あの、その」
 振り返ると、迷子になってとり残されたような顔の孝子がいた。
「無理なのはわかってるの。でも……」
「何? どうしたの?」
 いつになく、弱々しげな孝子に、治雪は真顔になって尋ねた。
「帰らないで。ここにいて欲しいの」
「……」
 孝子の言葉を理解するまでに数分かかった。
「ええ?!」
 やや遅れて、治雪はリアクションをする。
「帰らないで、そばで、手をつないでて……」
 泣きそうな孝子の声。
 治雪はうろたえた。
「ごめんなさい。子供みたいなことを言ってるのは解ってるの。でも、母がいなくて、一人で、病気で、なんだか心細くて。
小さい頃は、両親も仲がよくて、そのころは、風邪をひいても母が手を握ってそばにいてくれた。……でも、高校生になってからは、母の肩を私が抱きしめることが多かったの。
だから、せめて、一人の今、風邪のときぐらい、誰かにそばにいて手を握ってて欲しいの。相手が春日君ならきっと安心できるから。
ちょうど明日は土曜だし、学校に行かなくてもいいでしょ?」
 恥ずかしげに小さな声でそう言ってくる孝子を無視できるわけがない。
 だが、しかし。
(いいのか? 堀内さんには警戒心ってものがないのか? というより、俺は男として見られてないだけ? あ、そうかも)
 心で悶々としていると、
「あ、ごめんなさい。いやね、私ったら。こんなこと言われても困るよね。ほんとにごめんなさい。帰っていいわよ、春日君」
 孝子は無理矢理笑顔を作ってそう言った。
 こんな笑顔はさせたくないな、治雪は瞬時にそう思った。
「俺、家に電話してくるよ。許可が下りてからでいい?」
 治雪がそういうと、孝子はちょっと驚いて、次に嬉しそうに微笑んで、ええ、と頷いた。
 さて、厄介なのは、この電話である。
 佐々木の所に泊まるってことにするか。本当のことを言うか。
 しばらく考えた末、治雪は本当のことを言うことに決めた。何もやましい事など無いのだから。
「あ、母さん? 今、友達の家にいるんだ。覚えてる? 前、お見舞いに来てくれた人。俺が風邪うつしちゃったみたいで、今大変なんだ。しかも、その人のお母さん入院してて、お父さんも出張で、一人なんだ。そばにいてあげたいんだけど、駄目かな? 絶対やましいことはしないから。俺を信じて許可して欲しいんだけど」
 治雪の母親は、しばらく黙って考え込んでいた。そして。
「この前の人だね? ま、うちの息子が度胸なしなのは知ってるから、大変ならそばにいておやり」
 母親のこの言葉に、信用されていると思って、治雪は嬉しくなった。
「ありがとう! 母さん! 俺一生懸命看病してくるよ」
「まったく、その娘も可哀想にね。うちの馬鹿息子なんかを見舞いにきたばかりに。その分しっかり助けるんだよ? じゃあ」
 電話をきると、治雪は一目散に二階に向かった。
「許可、出たよ! 助けておやりって!」
 治雪が嬉しそうに言うと、孝子は目をちょっと見開いた。
「本当のことを言ったの? 凄いわ。本当に正直なのね、春日君て」
「だって、何もやましいことなんて無いしさ」
 治雪の言葉に孝子はふふっと笑った。
「正直な春日君だからこそ、お母さんも信用してるのね、きっと」
「これで、ここにいれるから」
 と言って、治雪は黙り込んだ。
 そうだ、母親の説得がうまくいって有頂天になっていたが、本番はこれからだ。
 緊張で、首筋を汗が伝うのがわかった。
「えっと。も、もう紅茶はいいのかな?」
「ええ。欲しくなったらまた入れてもらうわ」
 と笑顔で孝子。
 さて。
 ……さて。
「あ、あの、さっき、手を握るとか何とかって言ってたよね? どうすればいいのかな?」
「言葉の通りだけど?」
「そ、そうだよね。ちょっと、俺、手洗ってくる」
 ゆっくり階段を下りる。
 落ち着け。相手は病人だ。しかも、自分を信用して一晩ついていてと言ったのだ。それを仇で返すわけにはいかない。ここからは自分との戦いだ。
 治雪は石鹸で念入りに手を洗うと、またゆっくりと階段を上った。
「そこにある椅子を持ってきて使うといいわ。ごめんね。私のために椅子で寝てって言ってるようなものだもんね」
「いや、別に俺はどこでも寝れるから」
「そう、よかった」
 にっこりと孝子。
「……」
「……」
「春日君? あの、手を出してもらいたいんだけど?」
「あ、そう、だったね。はい。」
 差し出した治雪の手をそっと孝子が握ってきた。熱がある孝子の手は熱かった。そして、細くて、柔らかかった。
 孝子は本当に嬉しそうに笑った。
「嬉しい。春日君の手、やっぱり私より大きいのね。ちょうど、小さかったときにつないだ母の手みたい」
 その言葉に治雪は切なくなった。
 やっぱりこの人は母親に甘えたかったのだと。もう、今夜は自分が母親になろうと思った。
 思ったのだが。
 孝子は安心したのか、安らかな寝息をたてている。その寝顔は冗談でなく天使のようで、触れようと言う気にもならなかった。が、どきどきするのは事実で。 当然である。自分が恋してやまない相手が、目前で寝ているのである。
(堀内さんは寝顔を見られても平気なのかな?)
 女心はわからないが、自分は恥ずかしかったので考える。
(まあ、熱もあるし、思考も麻痺してるのかもな)
 もう一度孝子の寝顔を見る。
 本当に綺麗だ。長い睫が閉じられた目を縁取り、形のいい鼻と愛らしい唇がある。その唇は少し開かれている。癖の無い肩までの黒髪が、枕に広がっていた。 見れば見るほど魅入られてしまう。
(駄目だ。気が変になりそう)
 この唇を未来で奪う誰かに治雪は嫉妬した。天使の唇を奪うなど、許されない。それならいっそのこと……。
 治雪はゆっくり立ち上がった。駄目だ、という心とは裏腹に、孝子のそばに近づき、その顔を凝視する。
 そして。
 孝子の唇と治雪の唇が触れる寸前で、治雪は勢いよく身体を孝子から離した。
(犯罪だ。本人の意思を無視して、俺は何を!)
 そう思って、椅子に座りなおす。
(それに、俺が欲しいのは唇じゃないはずだ。もちろん唇もだけど)
 時計の針は、もう午前二時をさしていた。
 なんだか、一人悶々としている自分が虚しくなってきた。
 孝子の心は孝子のものだ。当たり前のことをいろいろ考えても仕方がないのだ。
 そう思うと、あくびが出た。そして暫くすると、治雪は眠りに落ちていった。


 朝の光に目を覚ますと、身体のあちこちが痛んだ。
(あれ? 何で俺、椅子で寝てるんだっけ?)
 そう思って、昨夜のことを思い出し、孝子のベッドに目を移すと、孝子はいなかった。そして、自分には毛布がかけられていた。
 どこに行ったんだろうと思いながら階段を下りる。すると、リズミカルに刻む包丁の音がした。
「?! 堀内さん?」
「あら、起きた? おはよう、春日君。昨日は本当にありがとう。今、朝食を作ってるから食べてから帰って。ね?」
 孝子の手料理、それはかなり魅力的だが、その前に。
「堀内さん、寝てなきゃ! 風邪なんだから!」
 叫ぶように言うと、孝子はにっこり笑った。
「それが、春日君が看病してくれたおかげか、凄く今朝は調子がよくて」
「そう、それはよかった。でも、まだ安静にしてないと」
「はいはい。春日君は心配性ね。朝食を食べたら、また寝ておくことにするわ。
あ、そこの食器取ってくれる?」
 まだまだ言い足りないが、気がつくと治雪は反射的に孝子の言うことをきいていた。
「ありがとう」
 テーブルにベーコンエッグとサラダ、チーズトーストが並べられた。
「好き嫌いは無かった? 大丈夫?」
「うん、無い」
 そして、二人は食卓につき、朝食をとる。
 なんだか、妙な感じである。新婚みたいな、と考えて、治雪は慌ててその妄想を頭の隅に追いやった。
「堀内さんは朝は洋食なんだね」
「春日君のところは和食なの? じゃあ、そうすればよかったわね。ごめんなさい」
「いや、俺はどっちでもいいし、堀内さんの作ったものを食べれるってだけで、もうなんか天国にいる気分だよ」
 正直な気持ちが口からでてしまった。孝子はちょっと顔を赤らめて、
「そ、それは、よかったわ」
 と言った。
 そして。孝子はさらに顔を赤くして、視線を下げた。
「あの……、春日君の手、春日君の優しさが伝わってくる感じだったわ。だから安心して眠れたんだと思うの。本当に、ありがとう」
「そ、そう? よかった」
 治雪は昨夜のことを思い出して声が裏返った。孝子が口にしなければ、夢のような感じがしていたからだ。眠っている好きな人の手を握り、そばにつきっきりでいるなど、考えてみたら、恋人がするような行為である。
 その後、二人は無言で朝食を食べ終えた。視線を交わすことさえなんだか恥ずかしくなり、治雪はずっと下を向いていた。
 治雪は「身体に障るから」と無理矢理皿洗いをかって出て、洗い終わると、家に帰ることにした。
「本当にありがとう、春日君。また学校でね」
「うん。
あの。
朝食美味しかったよ。ご馳走様。まだ無理しないようにね。じゃあ、また学校で」
 玄関で挨拶を交わすと、治雪は家路についた。
 これで、また、元通りの毎日が戻って来るわけだ。それはかなり残念な気がしたが、孝子が元気なのが一番だ、と自分を納得させた。

            「治雪の場合」7に続く

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