小説をおいております。
『いざ、出陣 恋戦』シリーズの二次創作、『神の盾レギオン 獅子の伝説』の二次創作、そして、高校生の時に書いた読まれることを前提にした日記と、オリジナル小説を二編のみおいております。
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こんばんは、天音です。
急に寒くなりましたね。
皆様はいかがお過ごしでしょうか。
新しい小説、設定などはかなり今、増えてるんですけれど、
書く時間がありません。
ああ、書きたい、書きたいな。
未来の誰かに贈る日記、お送りいたします。
なんというか、受験生だったの? 私……。
と思いたくなるくらい、片思いモード炸裂いたしております。
恥ずかしい……。
そして、なんてマイナス思考……。
基本的に、自分が人に好かれる人間じゃないんじゃないかと思ってしまう部分が昔からあって、それは今も続いているのですが、
でも、もっと前向きに生きたいと思って最近は頑張っているつもりです。
まあ、いろいろ経験して今の自分があるんだよね。
高校生のときの私も、温かい目で見守ってやってください。
ココから日記
最初から読んでみる
一九九六年 十月十七日
だあああ、もう二日も見てないっ! 気が狂いそうだよ! 名前を叫びたくなってくる。でも叫べないので、ここに書こう。
O君会いたいよおおおお!!!!
ふう、ぐすん。でもでもいいこともあった。なんとリーダーの平均点越えたのだ! 大の苦手のリーダーだよ? それも二十五点も平均より上! 私は夢じゃないか何度も確かめちゃったよ。でもまあ、本当に今回はよくがんばったもの。地理以外は。地理はライティングが終わらなくて、一分もしていないから超心配。赤ってるかも……(受験生なのに、こんな時期に赤?)でも、本当に他の教科は頑張った! これで上がらなかったら泣いてやるー。
さてさて、私は今日、リップを買いました。最近はね、化粧水とかも、まあ、いいものを買うようにしてる。親からもらったこの顔。そりゃ美人ってわけじゃない。でもあっさりした童顔。でもでも、中性的……。凹むけれど、やっぱり、あの人のために少しでも可愛くなりたいと最近は思うようになったの(受験生のときに何やってるんだか)。性格も、学力もそう。釣り合うように頑張りたい。彼女とかそんなには程遠いけど、前よりも私の存在に気づいてくれるようになったんだもん。やっぱりいい印象を与えたいよね。よし、頑張るぞ!
一九九六年 十月十八日
はい。今も授業中であります。またもや政経……。ごめんなさい、先生。
やっと三日目にして見たのだ! 朝課外のあと、今日はあの人は朝課外がないので、見るがためにわざわざ用もないのに、部室へ行ったのであります。え!? もう七分前なのに、自転車がないっ。まさかまた風邪?! と思いながら、部室へ入り、ま、一応、いらないけど地理のノートをカバンに入れて、部室を出て、もう一度じーっと自転車を見て、やっぱりない……としょんぼりしているところへ自転車の音。もしや、と思って、音のほうに顔を向けると、おやおや、来た。顔真っ赤にして、息切らして。遅刻するーっと思ったんだろうな。なんだか凄く微笑ましかった。だっていつも無表情。取り乱すなんて無縁のことだと思ってたから。あ、とても失礼だね。でも、そんな感じがあったからさ。その後は移動教室のとき、後姿を見た。どこに何しに行ってたんだろー?
帰りまでにもう一度会いたいな。
一九九六年 十月十八日
あの人に会える確率を増やすには、むやみやたらに部室に行くこと。引退したのに、変だとは思うけど、私はK子と待ち合わせしてるし、あの人はというと部室が落ち着くようで、よくいるのだ。暇さえあればいる。自転車もその前にとめてる。本当は違反だけど私もとめてる。だからそこを通るとよく会えるのだ。今日、もう一度会いたかったので、私は午後補習の前に部室に荷物を置きに行った。早く行かなきゃ、あの人は補習に出てないので帰ってしまう。ということで急いで。自転車はあった。でも、部室を覗くのはさすがにはばかられるので、残念と思いながら教室へ行く。と、そのとき。
部室から職員室に行くまでには、屋根のついているA道とその外側のB道の二通りある。私がB道を通ろうとすると、あの人が正面から来るのが見えたのです。遭えた! 嬉しい! と思いながらも、私は迷いました。A道のほうが広いのです。あえてB道を通ろうとするのはなんだかわざとらしいのでは……。と思い、一瞬戸惑っていると、あの人が右側に寄ったのです。私は本当に馬鹿で、それを「お前とぎりぎりですれ違うなんて嫌なこった」という意味にとってしまい(キング オブ マイナス思考)、つかつかと早足で、A道を通りました。でも、ちょっと考えて思うに、狭いから人が通るときに少し端によるのは当たり前の礼儀ですよね。あの人がわざわざ「通るなら道をあけよう」と、のいてくれたのなら、一人勘違いして、A道を通ったとしたら……。私のほうが数倍やなやつじゃん! 私ってばこういうことばっかり。独りよがりって言うの? しかもマイナス思考。ぐすん。ごめんなさい。私理解できませんでした。すっごく失礼なことをしていたとしたらすみません。どうか怒っていませんように。嫌われませんように。お願いです。あの人に伝わって! 「ごめんなさい!!」
一九九六年 十月二十二日
O君。具合が悪いのですか? 大丈夫ですか? 早く治してください。
明日は元気な顔見せてください。遭えないと寂しいです。
一九九六年 十月二十三日
だ~っ! 昨日の日記を見ると恥ずかしくて、顔から火が出そうになる。
今日、朝課外後、あの人を一目見ようと部室に行くと、自転車がない。また休み? と思って、がっかりしながら、部室へ入り、後輩と無駄口を叩きながら、部室を出ると、あの人の自転車がある。あれ? やっと来たんだ。そう思いながら歩いていると、後ろでドアが開いて、あの人が出てきて、私の横を通り過ぎていった。一人で。後輩がいるので、声をかけようにもかけられず、あせりまくる。途中で後輩が別れて教室へ行ったので、私はダッシュ! どたどたと何とも情けない音をたてて、しかも、息を切らせて、「O君!」私は心で、間に合った……。と一言。それで、早速聞いてみた。「昨日具合悪かったの?」あの人は訝しげな顔で、「いや……?」何? あれ、じゃ、どうしてあれ? 私は混乱。「だ、だって自転車なかったじゃん」と言ってしまった。うおおお! しまった! 自分でそんなことをばらしてどうするの?! それにバスってなぜ考えないの? 私は自分の立てていた台本がチャラになってしまい、あせりにあせって、どうしようもなくなって、「そ、そう。んじゃ、いいや」と適当に言って、一目散に逃げました。な、なんて格好悪いんだ……。なんて馬鹿すぎるんだ。もう自分が嫌になる。今度こそはまともな会話をしたいよお!
そういえば、今日はエイズ講話があった。女性の方。まあまあ面白かったからちゃんと聞いていた。が。サボったな、O君。あの人ってば、本当に協調性がないというかなんというか……。放課後補習も取ってないし、帰ったなと思って部室に行くと自転車がある。O君ってよく分からない。と思いながら、あの人の部室の横を通ると、あの人が出てきた。それで自転車の鍵を外し始めた。
私は今日、昼からがらにもなく、ヘアバンドで横の髪をあげていたの。だから恥ずかしかった。でも、あー、帰っちゃう! そんなのヤダ! と思って部室のK子に「帰ろー!」と声をかける。すると、K子絶句。後輩も動揺。何なの!? 「先輩、その頭どーしたんですかー」「わりーか。横がうっとうしいんだ」「似合ってないとは言ってないじゃないですか!」K子も「Hがそんな髪するなんて……」と言いたい放題。あー!! もう! あの人もまだいるんだから、これ以上私に墓穴を掘らせないでくれー!「帰ろう!!」
あの人はというと、まだ自転車に乗ったまま停止。ほんっとうに訳分からない人……。帰らないの? そう、一度帰ろうとして、帰るのやめたのね。私はその横をK子と通り抜けて帰ったのでした。なんか本当に私には理解できない方です。
さー勉強!
そういえば、昨日、帰るとき、あの人そっくりな人が歩いて帰ろうとしてたけど、本人だったのかな?
一九九六年 十月二十五日
ふとあの人の一年のときの詩を思い出した。一年のときは「変な詩」と思っただけでしたが、私はある発見をした。ちょっとショックを受けた。あの人は一年のときに、もうすでに私が今、考えてるようなことをずっと考えてたんだ。何のために大学に行くのか。自分は何がしたいのか、悩んでたんだ。私が何も考えずにファイナルファンタジーⅥにはまっていたあの頃に! やっぱりどこか違ってたんだ。すごいよ。でも今は迷い、ないんだね。模試の結果に名前が載ってた。総合と英語と数学。見事に私の苦手な科目だ。本当に凄いなあ。私も頑張んなきゃあの人を好きになる資格なんかないよね。頑張ろう!
話は変わって、今日はとっても近くで見ることができたノダ。友達二人と話してたら、なんか走ってきて……。私は気づいた。すぐに。向こうも多分。気のせいか、後ろを通り過ぎるとき歩いてたから。挨拶したかったけど、友達がいたのでできなかった。あの人は珍しく、文系クラスの三組のところに入っていって(部活仲間のところでしょう)、すぐに出てきて、また走ってきて、私と友達の間を通ろうとして(通れるわけないよ。狭かったから。どこうかな、と思ったけれどやめた)、方向転換して、後ろ通って走り去った。台風……? なんなんだろう。二年くらいあの人のこと見続けてるけど、やっぱり理解できない……。
明日もテスト。
一九九六年 十月二十六日
中三以来だなあ。テスト中嫌な夢を見ること。今日のはかなり勘弁してほしい。まず、虎に終われる夢。なんで? その後が最悪。私の周囲には、課題が山積み。座っている私の目線ぐらいのが私の周りを囲んでいるの。私はそれを必死で解いてる。なぜか川のほとりで。すると、その課題がドサドサと川の中に落ちていくの。あー! やらなきゃいけないのに! とあわてて拾おうとするけれど、次々に流れていくのです。やな夢でした。でも、これ、現状そのものだね。流れ落ちていった分は今までやらずに終わったものだ。時間と共に流れて、もう、取り戻しがきかない分だ。山積みの課題はこれからまだまだやらなければならないこと。ああ、昼寝をしたときも勉強道具を探す夢とか、そんな夢ばっかり(受験生なのに昼寝はどうよ?)。受験票のための写真をとって、失敗した夢とか……。もう、嫌になってくる。今までこんなことなかったのになあ(今年は)。
そして、今日はもう一つ嫌なことがあった。偶然。今日だけと思いたい。あの人が自転車を置く場所が変わっていたのです。部室の前をさりげなく探してもないの、当然だよね。帰りも、なかったから、帰ったとばかり思って、がっかりして部室の前、通ったけれど、部室にいたんだね、きっと。それで、「やっぱりあいつ見てやがる。うっとーしーやつだな」(どれだけ悪人だよ)と思ったに違いない。自転車の場所、変えてみたのは、私の様子を確認するためか、私に迷惑だってことを遠まわしに伝えてるかのどちらかかもしれない。どっちにしろ、私は迷惑がられているに違いない。でも……。やっぱり偶然と思いたいよ。明日はどうかな。やっぱり違うところに置くかな。それが続いたら……。私はこの想いを消さなければいけなくなる。どうか明日は戻っていて。
明日は英語のテスト。頑張らなきゃ。
一九九六年 十月二十七日
今日、まず学校に着いて一番にしたことはO君の自転車を探すこと。すぐ見つけられた。部室の前。しかもいつもよりうちの部室よりにあったからだ。一気に力が抜けた。よかった……まだ想っていても大丈夫だね。そう思うと嬉しくてにやにやしながら部室へ入る。そして、英語のテストを受ける。めちゃめちゃむずかった。でも、もういいやという感じで、本屋に行った。私は今『蒼穹の昴』(著者、浅田次郎)という本にはまっている。上巻を一気に読破して(英語のテスト前だったのに)、今日のテストが終わったら下巻を買って、一気に読んで、勉強に打ち込むという計画を立てていたのだ。それで、早速買ってから、部室へ戻り、K子のテストが終わるまで(理系は文系より理科の分、テストが長いので)読んでいた。そして、私は、K子のテストが終わるのは、十二時二十分と思い込んでいたので、(実際は四十分だった)その時間になったら、部室の前に出ていた。あの人も部室へ戻ってくるので、外で待っていると会えるからだ。ところが遅い。私は退屈してきて、また本をその場で読み始めた。すると、挨拶の声が小さく聞こえたような気がしたの。おや、理系の人たち終わったのかなと思って、顔を上げるとO君だった。私は本を持ったままあの人を凝視。あの人は部室に一度入って、ちょっとしてから出てきた。私はまたもや本を読むのをやめて硬直。O君が自転車の鍵をはずしている。誰もいない。気のせいかあの人の動きが緩慢だ。何か。何か……。「O君! もう理系のテスト終わったの?」あの人は、こちらを見るわけでもなく、ただ、コクンとうなずいた。こっち向けばいいのにと思ったけど、まー、その様子が可愛らしかったので、いいや。でも、今思えばもっといろいろ話しかければよかったなあ。私の視線が痛かったのか、あの人はずっと下を向いたまま、のろのろと自転車へまたがって、すーいとこいで行ってしまった。ちくしょー「さよなら」ぐらい言っていけ! とはさすがに言えない……。それにしても、あの挨拶は私にだったのかな? 他に応援部の女子しかいなかったし……。まさか彼女たち(しかも二年生)に声をかけるわけないしねえ。でも、そうすると、私は気づかずに、無視してしまったことになる! もしそうだったらごめんなさい!! 多分違うだろうけどね。
あの人の方から声をかけてくれないかなあ。
一九九六年 十月二十八日
私はまたもや失敗を。てっきりうちの部室の前に散らかしているのは隣の演劇部だと思って、もと演劇部部長の友人に言ったわけよ。「これおたくー?」って。すると「となりのY部(O君の部活)。だってうち、カレー食べないもん」っていわれて、しかもいつもY部部室は開いているので、まる聞こえだったんです。それで、帰りに通ると片付けてました。よっぽど「ごめん、ありがとう」と言おうかな、と思ったんだけど、言えなかった……。あんな間接的じゃなく直接「片付けてください」って言ったほうがよかったんだろーけど。ま、悪いのはうちじゃない、よね? うーむ。
しかも今日は私、なんかハイテンションで、高笑いしまくってて(変人)、しかも外まで(Y部までも)ちゃーんと聞こえていたと思う。ああ、ついに「やはり狂った女だったか……」と思われたに違いない。ああー違うんだよ。そーじゃなくてー。今日は本当に自分でもおかしいなって……。うるうる。好かれようとまでは思ってないといいつつ、やっぱり心のどこかで気にしてるね……。
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それではまた! 天音花香
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こんばんは、久しぶりの天音です。
今日はお知らせから。
アルファポリスのアルファポリス「第3回青春小説大賞」(開催期間は2010年11月1日~2010年11月末日)にエントリーしています。
高校生日記
月に恋した
の2作品です。
よろしかったら、読んでみて下さいませ。
そして、クリックしていただければ幸いです。
さてさて、なんだか急に冬のような気候になってきましたね。
衣類の整理を大体、春夏、秋冬とはしていましたが、
春、秋の服の出番がない感じです。
これから地球はどうなってしまうのか心配ですね。
日記に「蒼穹の昴」についてが出ています。
不思議なものですね。
当時、ハードカバーで発売されて、それを手にしたのが、浅田次郎さんの作品は初めてでした。
物凄く面白くて、これを読んだことで進路まで変わり……。と私の人生を左右した作品。
最近になって、NHKの衛星放送されましたね。
うちの両親が必死にみていたようでしたが、
「それ、高校のときに読んだ本だよ。凄く面白かった」
という私の言葉に両親は驚いてました。
今、再放送をやっていますね。
見ています。
小説から入った私はなんとなく違和感があるというか……。
春児の設定も微妙に違うし、
綺麗どころが多すぎる印象です。
それに、吹き替えがよろしくない。
宦官は声が凄く高いはずなのになあ……。
まあ、いろいろ思いますが、
でも見てしまいます。
テレビをご覧の方、
どうぞ小説の方を読まれてくださいませ。
凄く面白いです。
それでは、「未来の誰かに贈る日記」お送りいたします。
ココから日記
最初から読んでみる
一九九六年 十月三十一日
私は体育が終わって教室へ戻るとき。あの人は体育なので、部室に着替えに行くとき。暗い廊下で。もちろん人がいっぱいいて。目の悪い私は「背丈が似てる。でも本当に本人なのだろうか?」と目を凝らす。視線が合ったままのような気がする。こっちを向いているのだろうか? うーん。あの人かな? いや、違うよね。そう思い直して、でも、もしかしたらそうかも、と思って、通り過ぎた後振り返ると、「リュックがあの人のだ!」あー、ちゃんと眼鏡かけとけばよかったー!! うー、明日はもっと近くでちゃんと見て、話せますように!
明日から十一月。受験もうすぐっ!今日は「古文、開花した」とほめられちゃってごきげん!
一九九六年 十一月一日
遠くから、まるで宝石を見るように見ているだけ。綺麗過ぎて、とても触れられない。一日一度拝めたら幸せ。外から見てるだけの幸せな片思い。
でも、それは長く続かなかった。
小さな小さな淡い色した花びら。静かに、でも、確実に積もってゆくそれ。行き場のない私の想いたちは、私の体で色あせ、カサカサと寂しい音をたててる。私は苦しくなってきて、恐ろしい呪文を唱えようとした。幸せを呼ぶか、滅びを呼ぶか。誰にも分からぬその効果。私は悩んだ結果、それをちょっとかえて口にした。ずるいずるい言い方。私はガラスケースを自分で開けてしまった。
自分のものにならなくていい。でも他の人にとられたくない。大事な大事な宝物。
距離が縮まると、悩みは余計に増えていった。中途半端なこの距離を保つのは辛いこと。
動作ひとつひとつに振り回されて、私はすっかり疲れてしまった。それでも病気は治らない。
いつのまにか花びらは肺まで積もったらしく、苦しくてたまらない。このまま積もるとどうなるの? すごく不安だよ。なのにきっとあの人は、こんな私の気持ちなど知らずに、毎日を普通に暮らしているんだ。なんだか悔しいな。
……と、愚痴はここまでにしておこう。
会えないからイライラがたまっているのだ。
でも、まったく、いやになってしまう。会えばやっぱり話したいと思うんだよね。
わざと友達とあの人のクラスの前付近で話してた。もちろん、本人は部室に行ってていないからできたこと。あの人が戻ってくるときに一目見られたらと思ったの。そろそろ帰ってくる頃かなあとふと窓から下を見ると、いました。それで、私の声のせいじゃないとは思うけど、上を向いたの。びっくりした。その後教室に戻ってきたとき、目が合った瞬間、私は回れ右をして全然違う方に歩いていってしまった。我ながらあほだ。でも不思議。近くで姿を見られただけで、もやもやが消えた。さて、何日もつかな。特効薬が見つかるといい。
一九九六年 十一月二日
今日は部室の鍵を閉めているとき、部仲間とあの人が戻ってきていたところを見ただけ。部仲間がいると、またからかわれてはたまらないので、すぐ視線をはずした。やっぱり、邪魔だな。部仲間の人たち。しかし、友達の話によると、今日は防衛医科大の受験日だったらしく、東大や京大を狙う人たちは受けてる人が多かったらしい。試しとして。でもあの人は学校に来ていた。別の友達からはあの人が担任に呼び出されてるところを見たときいたし。まさか進路変えてないよね? 私が訊いたとき迷わず答えたってことは、本当にそこに行きたいからでしょ? そんなに簡単に変えないよね?
一九九六年 十一月三日
父が朝、起こしに来たとき「カレンダーがまだ十月じゃないか」と言って、めくられた後、十一月のカレンダーを見て唖然とした。「えー、明日も休みなのー?!」文化の日は日曜だったので、月曜日は振り替え休日なのだ。ガーン。明日は体育がある日だから、あの人を見れる可能性が高い日なのに!! 二日も会えなくなるなんて!! あー発狂しそう。
話は変わって、ただいま十四時七分。今まで何をしていたかって? 茶碗を洗って、ピアノを弾いて、昔の日記を読んでいた。なんか……。たぶん、書いていた当時はすごく一生懸命で、いろいろ悩んでいたのだろうとは思う。けど、だ。なじゃこれは!! 小学校三、四年のころからつけてあるけど、そのときは男子にいじめられていたので、そればっかり。ま、それはまだいい。五年、六年。恋の話題だらけ。しかも。何人好きになれば気が済むんだー!!? 一番短かったのは、一ヶ月ない……。もー、あきれてものも言えない。でも、かく言う今の私も、恋話ばかりだから、似たようなもの?! いつか大学卒業したあたりでこれを読むと、やっぱり笑いが止まらないのだろうか? うーむ。
でも、やっぱり「そのとき」しか味わえない感情っていうものはあるから、いいか。そういうことにしておこう。
今頃みんな勉強してるんだろうな。私もしなきゃ!
一九九六年 十一月三日
今日、私は父に酷いことを言いました。というのも、父は酔っていて、話が全然通じない状態で……。私は実は中三のとき、酔った父に殴られたことがあって、それがトラウマになっているようで、それがもやもやとよみがえって、酔っているんだから相手にしなければよかったものの、むきになって、結構酷いことを言ってしまったようです。「人をきちがい扱いして、見下して!!」と父は言った。別に、見下していたわけではないのだけれど、何せ、どうしてそんなになるまで、人の家で飲んでくるんだ!! という思いだけが私を支配していて、怒りを爆発させてしまっていたのだ。そして、また殴られてしまって、私は完全に切れました。泣き叫んで、相手にしてしまいました。前のときみたいに、翌日にはきっと忘れているだろうに。でも許せなかった。酔っているからって殴っていいのでしょうか? それでは私は殴られ損です。確かに私は、父の酔ってて私をからかうような態度に頭にきていたので、「こんなになるまで飲んで」とか「この人どうにかして」とか、言ってしまったけれど、言いたくもなるでしょう。とにかく、もうこんなになるまで飲まないでほしい。いつもの父はどちらかというと温和で冷静なので、大好きだけど、酔っている父は嫌いです。体にも悪いし、お酒は飲まないでほしい。
一九九六年 十一月四日
朝、父は謝ってきました。私はもう、気にしていません。それより、父のどこかよそよそしい態度が気になりました。父は、昨日のことをかなり覚えているようです。父のその態度は私の言葉が作ってしまった傷のせいだろうことが分かって、私はひどく落ち込みました。父は単身赴任をしているので、それでなくても、家族の中に居場所がないのでは、という不安があるようで、昨日の私の「何この人」というような態度がそれを刺激したのではないかと私は考えています。その父の心を考えると、私は頭痛がして、苦しくなるほど悲しくなりました。私はなんてひどいことを言ってしまったのでしょう。私は父との間に小さな溝を作ってしまったようです。その溝を埋めようと、私は必死で前と同じように父に接します。父もそうします。でもそれが余計に悲しくて、私はどうしていいか分かりません。「もう言うな」と言われるので、直接父に言うことはできませんが、本当にごめんなさい。私は自分に攻撃する相手には容赦しないようなところがあって、自分でも驚くほど残酷で、冷たいひどい人間になります。でも、それは間違いなく私の一部分なのです。それが怖くて怖くてたまりません。私は酷い人間だ。どうしたらやさしくなれるのだろう。あの人に会いたいと切実に思うのは逃げでしょうか。
一九九六年 十一月四日
中三のときに、T先生に対しての想いを英語の詩として書いていて、それがあまりにもすごかったので書いておきます。今もそうO君に対して想うよ。
I love you.
I don't mind betting my life for you.
I can do anything for you.
I can't sleep when I think about you.
If I can sleep, I will dream about you.
Please notice my heart.
I am always by you.
恥ずかしい……。
一九九六年 十一月五日
友達に手紙を渡しに行った。休み時間が終わろうとしていて、あの人が戻ってくるので、私は早く教室に戻りたかった。待ち伏せしていたと思われたくないからだ。ところがちょっと遅かった。あの人が階段を上がってきたのだ。私は気づかぬふりをした。つとめて冷静を装った。だが。友達が……。私の名を呼び、あれこれ手でサインを送ってくる。分かってるのよー!! そんなことしたら、ばれてしまうでしょおお! ぐすん。かの君、誤解しなむ。うー、違うんだああ。絶対変な奴って思ってる! うっとーしー、待ち伏せすんな、って! 私は無実だあ~!
それと十一月三日のことを反省を踏まえて、K子に話した。K子は親身になって聞いてくれて……。いろいろ考えを言ってくれた。「愚痴聞くのって、つらいよね。ごめんね。ありがとう」という私の言葉にも笑って、「ぜんぜん!」と答えてくれて。なんてやさしいんだ~!嬉しい。本当に友達ってありがたい。本当にありがとう。大好きだよ!
一九九六年 十一月六日
夕 暮れに
君 を思ひて
過 ぎ行くときを惜しむとき
季 節の移り行く様も
い とあはれにおぼへり。(夕君とはあの人につけているあだ名です)
夢でさへ 現と変はらぬ つれなさに
覚めても残る 胸の傷かな
一九九六年 十一月七日
「蒼穹の昴」読み終わってしまいました。本当に面白かった。登場人物皆が魅力的で……。私は特に李鴻章が香港の条約を結ぶときがドキドキしました。未来を見越して、永遠(百)から一つ欠けた九十九年としたところがすばらしい。長い歴史からしたら、一瞬ではあるけれど、彼らは本当に一生懸命国のことを考えてやってきたのでした。本当にすばらしい。やっぱり中国はすごいですね。紀元前年からあれだけ思想が発達していた国ですから、やはり考え方も独特のがあって、惹かれます。いつか行ってみたいなあ。
しっかし、本当によくまとまっていて、まるで映画を見ているかのようでした。夢に出てきそう。もっと歴史は続いているから、あの後も読みたいと思ったけれど、あそこで終わるのがまたいいのかもしれない。よく調べて書いてあるよなあ。本当歴史って面白い。「事実は小説より奇なり」って言葉があったっけ? 本当にそのとおりだと思う。現実の人は本当に一生懸命で、(未来と言うものが不確かだからこそ)それが人を感動させるのかもしれない。背景も複雑だしね。
私もいつか歴史物語を書いてみたいなあ。
明日から読めなくなるので、寂しいな。
一九九六年 十一月八日
あの人の夢から始まった今日一日。昨日は会えなかったので、今日こそは! と意気込んで学校へ! 地学の移動教室のときに後姿が見えた。それだけで私は嬉しくて、隣の友達に「あの人だ、あの人! 今いた!」と興奮気味に話しかけた。最近急に寒くなって(今まで暖かかったのだけれど)、最低気温十三度最高気温十八度で、とっても冷たい風が吹いていたのに、あの人はカッターシャツ一枚。寒くないのー? 風邪引いちゃうよお! 心配。
さらに数学の補習の前に、一度部室へ寄って、弁当の残りを食べて、「さあ、補習に行こう!」と思って部室から出ると、あの人が自転車の鍵をはずしていた。さすがに帰るときは学ランを着ていた。自転車が前のになっていた。今日は朝雨が降って地面がぬれていたからでしょう(いつもの自転車はサイクリング車だから、泥除けがないの)。おかげで、補習分の元気補給ができちゃった!
それと、補習があの人と同じのN子からいろんな情報が……。かなり観察してくれてるようです。頬杖ついて、授業を受けてただとか、爪が伸びてるだとか……(詳しすぎる)。うう、いいなあ、私も見たい! それと、担任から前呼び出されてたのって、やっぱり進路のことだったようです。その先生は京大志望の人に、東大にしなさいと言って回ってるようで……。あの人にも言ってたみたい。やだなあ。東大に行くと人が変わりそうで……(かなり偏見)。本当に東大に行きたいなら応援するけど、そう簡単に志望校変えないよね?
まあ、明日と明後日が休みなので、二日見られなくなる前日に、二回見られてよかった! よおし、この二日間は勉強だああ~!!
一九九六年 十一月九日
一日があっという間に過ぎていく。入試と言うものが段々近づいてくるのが分かる。逃れられるわけはないのだ。分かってはいる。ちょっとの時間も無駄にしてはならない。そうなんだけれど、机に向かうのがきつくて(余計に受験を意識するから)、一時しのぎにしかならないとは分かっていてもほかの事をしてしまう。そして、後悔するんだ。怖い。休日は余計にだめだ。時間がある分怖い。どうしていいかわからない。「勉強」それしか選択はないのに。
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それではまた! 天音花香
こんばんは、天音です。
ほんと寒くなりましたね。
冬物のコート着ていますが、
学校帰りの学生さんを見ていると、セーラー服だけで帰っているので、
凄いなあと思います。
私もまだセーラー服のみで高校いってたのかな?
でも寒がりだったから、かなり着込んでた気がする。
受験も間近なのに、片思いモード全開の内容になっていますが、
でも、寒さには勝てなかった気がするなあ。
うちの母は着膨れするのが嫌で、寒いのを我慢して薄着という女性!!という感じです。
私は一番寒い時期はセーラー服の下にババシャツ、その上に薄いセーター。
その上にセーラー服。そして、紺のカーデ。その上にダッフルコート。マフラー。
……。着過ぎですね。
確かにだるまのようになっていたような……。
髪型とかは気にするようになっていたようだけど、
まだまだですなあ~。
ちなみに、結婚している今はもう、好きな格好し放題ですよ。
部屋着とパジャマが一緒なので、
外から帰宅したときのままの格好だと、逆に主人に、
「天音がちゃんとした服着てる」
と言われます。
やばい。女として終わってる!?
寒いときは、家用のジャンパーを羽織ります。
家用のジャンパーって何!?
と思われるかもですが、なんの、
外には着ていけないようなしょぼいジャンパーであります。
うちの母に未だに実家に帰ると、服を渡されます。
外着ももちろんありますが、
「家でなら着れると思わない?」
ともたされたものは、家着となります。
いや、もう、いらないよと言っているのですが、
買い物が楽しみの母。
まあ、母がそれでいいならもうそれでいいかと最近は思います。
では、
今日も未来の誰かに贈る日記をお送りいたします。
ココから日記
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一九九六年 十一月十一日
偶然会えたら、なんか運命感じるし、素敵じゃん? だから、偶然がいい。なんて。まあ、確かに思うけど。うそだね。本当は会いたくて会いたくて、待ち伏せして、袖引っ張って、無理やり話しかけたいぐらいだよ。あの人が気になって気になってしょうがない。今日、なんか深刻そうな顔してたように見えたから、心配でたまらないよ。悩んでるの? 話してほしいよ。力になりたいよ。今日も遅くまで残ってたね。自習? それとも……先生と進路のこと話してたの? ちゃんとご飯食べて、睡眠とってる? 勉強はかどってる? 大学のことどう考えてるの? 将来は? 今、何を考えてるの? いっぱいいっぱい訊きたいことがあるけど、ちっとも話せない。話す機会がない。何のために友達になったんだろう。お話がしたいの。それだけなの。あなたのことが知りたいんだよ。私の存在はあなたの心の中で、どれぐらいなんだろう? まったくなし? それはちょっと悲しいし、悔しいな。私はこんなに毎日毎日考えてるのに。でもそんなの知ったこっちゃないって感じだよね。分かってはいるの。私が勝手に好きになっただけ。迷惑極まりないよね。ああ、人の心はなかなかうまくかみ合わないよね。お互いに好きになるってすごいよなー。ミラクルだよ。羨ましい。そんな無茶なことは言わないから、せめてあなたの何か役に立ちたいなあ。私にできることはないの? 言ってくれたらできる限りするよ。ねえ……?ふー。一人、心の中で話しかけるのはさびしいぞ。明日会えるといいな。そして、お話できるといいな。
さあ、勉強。きっとあの人もがんばってる。
このページがあの人の心に届いたらいいのに。
一九九六年 十一月十二日
あーあ、今日は一度も見られなかった。あの人は今日も遅くまで勉強していたようです。たぶん、学館と呼ばれる、昔、うちの学校の先生が教えていた塾だったところで(今は塾つぶれちゃったの)。でも、そこ、なんか古くて暗いし、自分ひとりで行く気がしない。特にあの人、行ってるだろーから気まずいじゃん。うーん。でも覗いてみたいかも。ふう……。明日こそは絶対会えますように!
一九九六年 十一月十三日
うう、今日も会ってない。最近あんまり時間がかみ合わないなあ。寂しい……。友人が「うちのクラスにO君のカナヅチがあるよ。失くしてない? ってきいてみたら?」と言ってくれたけれど。うん。でもね。話す機会がないんだあ。だけど、話題をわざわざもってきてくれてありがとうね。後もう一つ、嬉しいことと言えば、今日、具合悪いから補習受けないで帰ったんだけど、そのことをK子に告げると、さりげなあく、「気をつけて帰りなよー」と言ってくれて、それがすっごく心に暖かかった。あー、なんかやっぱり友達っていいな。あの人とそんな仲になれたらいいのに。明日こそは会わせて!!
一九九六年 十一月十四日
N子が中学のとき仲良くしてた、T子に会ったんだって。私のことをしきりに訊いてくれたらしい。なんか嬉しいなあ。私も会いたかったなあ。
しかーし、O君には今日も会えなかったんだああ!! 十一日に、三回見られたから、三日分ってことなのか? なーんて、そんなまさか。うー。明日こそは会いたーい。O君。実は君も私の顔見られなくて寂しい思いしてない?(してないしてない。安心してるよ)だったらやっぱ、会えるように行動しなきゃ。文系クラスの前うろつくとか(んなことするかー、変人じゃー)ふう、やっぱ、さみしーよお。
話は変わって、今日の夜の空はとってもきれいでした。私の好きな空(地平線に太陽が沈んだ後も空が赤く染まっている時間)。この空は本で調べると、薄明というらしいのだけれど、今日は本当は薄明の時間なのに黒い影のような雲が地平線を覆ってしまって、空は深い深い青色をしていて、でも夜とは違ってかすかに光っていたのよ。それで、そこにうすーい三日月が輝いていて、とってもきれいだったの。ああ、うっとり。空ってやっぱりきれいだね。
一九九六年 十一月十五日
会いたい。あいたい。AITAI。I want to see him.我欲会彼。会えない四日目が終わっていく。会いたいのに、どうして会えないのー!? 明日会えないと、日曜はもち、会えないから、必然的に六日会わないことになる! 同じ学校にいるのにー。補習の前、部室に行ったときは、O君の部室開いてなかったけど、私が補習の教室に行くときは開いていた。たぶん、そこにいたと思う。なんかくやしーぞ。あの人には見たくない私が見えて、見たい私は見られないなんて! うー、イライラが積もる。明日は絶対会わなきゃ!!
母が父のところへ行ってる(単身赴任先)明日、ちゃんと自分で起きなきゃ。
一九九六年 十一月十六日
昨日前髪を切ったので、ちょっと恥ずかしいなあと思いながら学校に行った。部室にコートを置くために入ろうとしてると、あの人が自転車をとばしてやってきた。ああ、やっと会えた! さらに掃除のとき、自分の区域が終わったので、N子の教室の前で話してたら、あの人が教室へ戻ってくるのが見えた! そこまではいい。
放課後。K子を部室の前で待っていると(暖かかったし、あの人が出てくるかもしれないので)あの人は意味もなく出たり入ったり。最初は二年生も出てたのだけど、そのうち部室に入ってしまった。あの人も。しばらくしてもう一人の人と帰るためだろう、出てきたの。それで、もう一人のほうはすぐ自転車の鍵をはずして行っちゃったんだけど、あの人は一人でうろうろ。私とあの人だけだ。これって、チャンス! でもちょおっと距離があったのよ。3メートルくらい。だからちょっとためらいながら、小さく手を振ってみたが気づかれなかった。(無視したのか?)だから、遠慮がちに、「Oくーん」と呼んでみたが、しーん。ちくしょおと思った私は「だー、バカヤロオー」と小さく叫んでしまったのね。聞こえちゃったかな。どうしよう。明日は会えないから、余計になんか気まずい。声かけないほうがいいのかな? でも、わざと一人になったように見えたんだもん(恋する乙女は盲目です)。そんなのって、ずるいよねー。
明日テストなんだけどなあ……。
一九九六年 十一月十六日
あの人に言いたいこと。
「友達になってください」って言ったとき、「はい」って言ったよね?
それとも私の聞き間違い? 全然話してないし、ちっとも友達らしくないよね。私はね、ただね、あなたに男子と話しているのと同じような感じで話してほしいの。
もっと自分のこととか話してほしいの。「会話」っていえるものがしたいの。それだけ。
だって、いっつも私が聞くだけじゃん。で、あなたは「はい」「……いや」としか言わない。これじゃなんか私が尋問してるみたい。
それとも迷惑なの? こうやって私があなたを呼び止めて話しかけるの「うざってー」とか「やめてほしー」とか思ってる? だったら、ちゃんと言ってほしい。そしたら、話しかけるのやめるよ。私だってなにもあなたを困らせようとしてこんなことしてるんじゃないし。時期も時期だし、勉強の妨げになったりしちゃ困るし。「別に……」って言うんだったら、私、話しかけちゃうよ?
それに、あなたも挨拶ぐらいしてほしい。朝は「おはよう」昼は「こんにちは」帰りは「バイバイ」。友達同士で挨拶するっしょ? 私ともしようよ。
で、結局あなたの答えは?
これだけ訊くチャンスと時間がほしい。
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高校生日記
月に恋した
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それではまた! 天音花香
十二月ですね。 早いです。
お久しぶりの天音です。
十二月に入ったと思ったら、もう一週目が終わりました。
先生も走る十二月。(十二月だけじゃなくて走ってる気もしますけれど、最近の先生は)
高校生だった私は寒さと反比例するように、
恋心を燃やしていたようです(苦笑
読んでやってください。
ココから日記
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一九九六年 十一月十八日
昨日はS子がいきなり帽子をくれると言う、嬉しいびっくりプレゼントがありました。風邪引きで寒そうにしてたら、コートを貸してくれたし……。
なんか、最近すごく友達に甘えちゃってます……。
それに今日は一回だけあの人を見ることができた。お昼を食べる前に手を洗いにいったら、教室から出てきたのだ。寒かったので、肩をすぼめて、首をすくめて、手を袖の中に入れて……。でもなぜか顔はりんごのように赤かった。風邪ひいてるの? 大丈夫? 寒いから気をつけれー。私のことには気づいてくれたかなあ。一昨日のこときにしてないよね。(っていうか、あの人にとってはどうでもいいよね)
明日もテスト。来週は期末もある。体調悪いから困るなあ。
一九九六年 十一月二十三日
今日はせっかくの第四土曜日なのに、小説の整理にはまって、ほとんど勉強してなーい! こんなんじゃだめだー! センターまで50日ちょっとなのに! それに、関係ないけど、昨日も一昨日もあの人に会ってなくて、今日も会えるわけないし、明日も日曜だし、四日も会えないんだー! N子が「髪切ってたよ」と言っていた。ほら、もう、私の知らないあの人ができてる。なんかヤダ、そういうの。会えないとどんどん私の知らないあの人が増えてくんだ。そんなのやーだー。うう、絶対月曜日には会えますように! そして、話すんだ! GO!
明日は勉強ー!
一九九六年 十一月二十五日
昨日は六時間ほどは勉強した。あまり集中できなかったけど。今日はね。ふっふっふw 朝「遅刻やー!いややー!」と思いながら自転車ぶっとばして、なんとか間に合った! と部室前の通路にすべらすと、後ろから自転車の音。まさか、ね。心のどこかでは、分かってた。けど、違うよ、期待しないように否定して。自転車止めて、鍵はずして。すると後ろの方も止めて鍵をはずしているようで。まさかね。と思いつつ、部室に行くとき、(といってもチャリから数歩)振り向きざまに見て、ああ、やっぱり……。向うもちょっとびっくりした顔で、こっち見て。あまり見てるとぼろがでるから、努めて平静を装って、部室の鍵を開けた。ほんとはもっと見たかったんだけどね。で、体育のあとも見た。着替え終わって、部室から出ると、あの人は部室に入るところだった。そうよ! こういう偶然、最近なかったから、寂しかったんだなー。帰り。自転車がまだあって、部室、開いてて、いるのは分かってたけど、覗くわけにもいかず、ちょっと悲しい、かな? でも、なんか近くにいると分かるんだよね。後ろから来てるとか、見てもいないのに、全意識がそっちに集中して、なんとなく気になるときは、ほとんどあの人だったりする。変だよね。でも、体中の細胞が「いるよ!」って言ってるんんだわ、きっと。明日は話せるといいなあ。
テスト近し。
一九九六年 十一月二十七日
今日は体育のとき、着替えに部室に行ってると、例の細い通路であの人とすれちがいました。なんかそこで会うのって久々。昨日も会えなかったし。そこ、狭いし、正面からくるから、もろに顔見えるじゃん? なんか恥ずかしくて、下向いちゃった。向うも気がついたよう。最近は目が合っても、硬直してるって感じではなくて、自然でいてくれるようなので(私の思い違いかも)ちょっと嬉しいです。
最近よく小説を読んでしまいます。漫画より読んでる。二年のときとか、他に楽しいこといっぱいあって、目もくれなかったのにね。今、きついから。現実逃避したいから読んじゃうんだ。どうにもならないのにね。しっかし、小説の世界ってやっぱいいなあ。楽しそう。魅力的な人いっぱい出てくるし。でも、私はやっぱ、もしその世界にいけるとしても、今は現実を選んでしまうなあ。だって、あっちにはあの人がいないもん。人生楽ありゃ苦あり。何でもがんばんなきゃだめなんだよね……。
もうすぐ十一月も終わるなあ……。
一九九六年 十一月二十八日
今日は鐘が鳴ってるときに、急ぎながら三階廊下を走っていると、下(一階の外)にあの人が走っているのが見えました。遅刻したなあ。悪い子ちゃんですのー! でも、なんかそれ見ただけで、どうしようもなく愛しくなってしまう。もー、なんて可愛いんでしょお! で、今日も体育後友達とふざけ合いながら、例の細い通路を通っていると、前方からあの人が。寒いため真っ白な肌の、鼻の頭と頬が赤くなってて、自分より20センチ以上は背の高い人にこんなこと言うのは変かもしれないけど、かわいすぎるー! もーうーきゃー、ぎゅって抱いて、頭なでたい気分。だって、きょとんとした目で見て、まるで犬みたいで可愛いんですものー。本人に行ったら殺されそうね。でも、思い出すだけで、顔がにぱあってしてしまうよ!! 明日は話ができるといいなっ!
一九九六年 十一月二十九日
今日は体育もなかったし、もう会えないだろうなーって思いながら、部室へ向かっていると、O君がなんとチャリの鍵をはずしてるではあーりませんか! うう! 話しかけたいけど……。と、そのとき、O君の部室のドアを閉めて入っていった男子がいたのね。なんてラッキー! さあ、あんまり人いないし、勢いでいけーってことで、友達のところに駆けていくふりしながら、「O君、バイバイッ!」って言ったのだっ! おし! 言えたっ! すると、「あ」っと言ってあの人はこっちを見た。一瞬目があった。でも私は走ってたので、そこでとまるわけには行かず、そのまま通り過ぎた。まさに、台風ってやつね。びっくりしただろーなあ。でもね、あの人の表情硬くなかったの。どっちかというと、緩んだの。(気のせいかな)なんかすっごく嬉しくて、ニマニマしちゃった。明日からテスト。今日はなんだか夜もがんばれそう!
一九九六年 十一月三十日
昨日は結局、オーラルが終わらなくて、三時までがんばって、お風呂の中でも勉強して、寝たのは四時……。しかも、現文と政経全くしてないっ! まずーい。まあ、現文は日ごろしているからいい。でも、政経! おーいって感じ。絶対赤ってる。政経で留年なんて救われないぞ……。でも、オーラルは結構できた! 何度ももう寝ようと思うたびに、あの人もがんばってると心で言い聞かせて、粘ったかいあり! しかも帰りにまた会えた! 今日は雨。なのに、あの人は自転車で来ちゃってたのよ。しかもサイクリング車のほうで。まあ、そのほうが私は見れるから嬉しいけど……。今日もK子と部室から出ると、向うもドヤドヤ出てきて……。あの人はなんだか機嫌よさそうだった。笑ってたもん。んで、「雨ふってるよー」って、K子に言ってたら、向うも雨を気にしているみたいで、みんなで、チャリがどーのこーのって話していた。あの人は傘は持ってきてたみたいだけど、自転車はずぶ濡れで気の毒だった(私のチャリもだけどね)それから、またもや他の人はさっさと消えたのに、あの人は一人ぐずぐず。もしかして、結構トロイってやつ? 私は話しかけたかったけれど、雨だし、距離があったから、わざわざ行くのも変かなと思って、ずっと見てるだけでやめといた(ストーカーだ)。それにしても、本当に遅い。いつまでもたらたら。もしかして、私、話しかけてもよかったのかな? なんて。でも、自転車をようやく出そうとするとき、私を見たのよね。すぐおずおずと下を向いちゃったけど……。何? 何なのお? はっきりせんかーい! まあ、でも可愛かったからいいや。最近、いろんな表情するから面白いのだ。明日は日曜日。勉強がんばろっと。それで、月曜日にご褒美として、また会えますように! そして、会話ができますように!
そういえば、あの人、チャリ乗ると泥はねするから、引いてたけど、ずっと家まで引いて帰ったのかな? かわいそうに……。
明日から十二月!! うおー早い!!
一九九六年 十二月三日
今日はあの人の夢から始まった。「もっと話したいです。迷惑なのでしょうか?」と私が言うと、「迷惑」と言われて、夢でもぐさっときた。「今の状態はおかしい。もっとはっきりしてほしい。このままでは困る」とあの人は続けた。「友達なら友達。それ以上の感情があるなら、ためしに付き合ってみればいい」と。こんな人だっけ?! と思ったら、やっぱり夢だった。夢現の状態で、6時におきて、数学して、遅刻ぎりぎりに学校に着いて、自転車を置いて、部室の方へ行くと、O君の部室のドアが開いた。まさかね。と、やっぱりあの人じゃん! ちょっとびっくり。何か嬉しい偶然でした。明日でテストも最後。「気合!」だっ! (気合、は、あの人からもらった言葉なのです。一年生のとき、学校の十里行軍という行事のとき、偶々隣になって……。英語で留年しそうな私が、英語の得意なO君に「どうすれば英語、そんなにできるようになるの?」と聞くと、彼は「気合」と答えたので、特別な言葉なの)
一九九六年 十二月五日
昨日は棚や机の掃除をした。今、久々にすっきりした机上でこれを書いている。いらなくなった教科書は全て捨てた。今日から受験前の特別時間割になった。受験なんだなと実感する(今更だけれど)。そして、私は卒業するんだ。なんだか、無性に寂しくて苦しくなった。嫌、だな。時間を進めたくない。止めたいのではないけれど。
今日は、あの人が教室から出てくるところを見た。手を洗いながら、ボーっと窓の外を見てた私。そのときあの人が教室から出てきたのだ。あの人は私の視線に気づいてか、俯き加減になって、教室のドアを閉めていった。
こんなささやかな幸せもがなくなってしまうなんて。私、高校卒業したくないな。最近になって、この高校がとても居心地がいいことに気付いたんだ。仲のよい友人と別れなければいけないのも辛い。でも、常に前を向いていなければならないんだよね。
<あなたへ>
あなたが悲しみに沈むときは
私は船になりましょう
あなたが迷えるときは
私は月の光になりましょう
あなたが怒りに我を忘れるときは
私は雨になりましょう
あなたが喜びに踊るときは
私は鳥になりましょう
いついかなるときも
私はあなたの支えでありたい
<馬鹿な少女>
私があの人を想っても
あの人は全く気付かなくて
私が会いたいと思っても
あの人は知るはずもなくて
私が話しかけても
あの人は返事をするだけで
私があの人見つめても
あの人は目を伏せてしまって
完全に一方通行
それでもいつかはなんて
甘い夢を見てる
私は馬鹿な少女
そういえば、今日はすっごく恥かいた。
現文の答えが「取捨選択」と書いても意味の通るところだってので、「どうして違うんですか?」って言ったら、「漢字が違う」と先生。え?
ガーーーーン!
「拾捨選択」になってるう~~~!
すっごいはずい!!! 先生が「うけた」と言いふらしたので、聞くんじゃなかったーという感じ。真っ赤になってるよと友人に言われた。いやはや恥ずかしい。
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今回はココまで。
受験生の皆さんは最後の追い込みの冬ですね。
風邪をひかれないように、頑張ってください。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
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それではまた! 天音花香
明けましておめでとうございます。
遅い新年の挨拶で申し訳ございません。
センター、雪のところが多く、大変だったようですね。
皆様風邪などひかれないように……という私は風邪ひいております。
そして、高校生ころの私はというと……。
ということで、久しぶりに未来の誰かに贈る日記、お送りいたします。
センター試験の結果とか生々しく書いておりますが、
この後、かなり無謀な挑戦をする高校生の私を見守ってくださいませ。
今年は日記の更新ばかりでなく、小説を少しずつ書きたいと思っています。
短編をいくつかと、マーニの話の続きですね。
が、頑張ります。
ココから日記
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一九九六年 十二月九日
弟が修学旅行オーストラリアから帰って来ました。小さなオーストラリアの動物のぬいぐるみのセットとメモ帳がお土産。結構高かったようです。私が一番気に入ったのは、ハリモグラでした。ふかふかの針の部分が気持ちいです。
もうぬいぐるみは卒業してるけど、弟の気持ちとして、ありがたく受け取っておきます。ありがとう。
さてさて、昨日と一昨日は風邪ひいていたけど、センタープレテストだったので、無理したせいか、風邪が悪化。今日は学校を休んで病院にいきました。うー、のどは痛いし、鼻水だらだらだし、咳出るし……。き、きつい……。あの人は私が休んでるのにさえ気付いてもいないんだろうなあ。
明日は会えるといいな。でも声がだみ声になってて恥ずかしいので、声をかけるのはやめておこうっと。
一九九六年 十二月十一日
まだまだ声が治らない私。早く全快するといいのに。
今日は朝課外後、地学の一式をとりに部室に行くと、O君が部室から出てきたのー!きゃあ! こういう偶然は本当にいい!
今日は学校の模試の結果が帰ってきたの。総合順位はようやく半分より上がったけれど、国英社では丁度半分ぐらい。英語がねえ……。あの人は総合、国、数、英、で名前が載ってた。すごーい! やっぱり頭いいー。素敵! がんばってるんだろうなあ。私もまだまだこれじゃだめ。もっともっとがんばらなきゃ! 負けないぞ!
一九九六年 十二月十一日
今日は全く会えずじまいかと思いきや、K子を待つとき本屋に言って、何か買って読んでよいようと思い、(勉強しろよ)部室を出ると、あの人だ。しかも上機嫌。嬉しそうな笑顔。隣の友達と何話してたのかなあ。まあ、見れたからいいや、と思って本屋へトコトコ。そのとき、信号があったのよ。それで、待って、青になって歩きだすと後ろからあの人の自転車。え? 帰るんだ。見れてよかった。まあ、よっぽど嫌われていたら会いそうなときに帰るわけないし、避けられてはいないってことよね。
そういえば、今日はとても月が綺麗だった。薄い三日月。右下が光ってた。でも私は発見した。よーく見ると、ほんの少しだけど、ちゃんと丸く光ってるのよね。うーん、綺麗。それと、暗いのに、地平線のところだけほのかに橙になっていて、綺麗だった。空は真っ暗なのに。はじめ、火事かと思っちゃったけど。
咳で、字がよれよれになるー。
明日もいい日でありますように!
一九九六年 十二月十四日
高校での漢文なんてたかがしれている。読みやすいものを一部取り出して授業で習うにすぎないからだ。しかし、私はそうであるのに感動せずにはいられない。文は簡潔明解。言いたいことを簡単な例などを出して、そのままポンと書いているものが多い。そして中国人独特のセンスが文には表れている。それはとても新鮮に感じられる。それから思想。現代の私たちが読んでも衝撃をうける。目の付け所がまず違う。そんな思想が様々あって、対立する思想を読んでいても、それぞれがもっともであると思うようなものばかりだ。面白い。
私は中国への興味がわいた。しかし、それは現代の中国にではない(申し訳ない)。私は少し悲しく思う。現代の日本には古典に描かれている匂いのする場所はほとんどない。まるで違う世界のような感じで私は古典を読んでいる。確かに日本は豊かになって、私たちは何の不自由もなく暮らせるようになった。しかし、風流を感じる「余裕」、時間が失われている。皆、仕事、勉強に励み、自分を見つめる暇さえもない。中国は現在著しく発展してきている。それは結構なことだが、素晴らしい思想は残しておいて欲しい。昔の趣きを失わずに発展して欲しい。中国文化は本当に優れたものであるのだから、日本のように急いで近代化せずに、独自の文化を尊重し、誇りに思いながら成長して欲しいのだ。
私はこんな理由で中国を学びたいと思い、大学に行きたいと思っている。そう、大学に行かなければ!そして、中国に行くんだ!
(この願いは、結論から言うと、叶うことになる。私は大学二年と三年の夏休み、合計二ヶ月、北京に留学をすることとなった。そして、建築物や庭園などはしっかり残っている中国に感嘆し、思想については一部の上流階級にのみ残るだけで民間人にはみられないことを知り、残念に思った)
一九九六年 十二月十六日
今日は体育終わって部室の外に出ていると、あの人はこれから体育なので部室に着替えに来てました。
帰りは掃除があって、遅くなっちゃうから、あの人はもう帰ってるかもー。お願い、もう少し学校にいてー! と思って、一生懸命自分の受け持った階段のところを掃いて、それで、走ってもどると、丁度あの人は帰るときだったみたい。部室の外に出てて、友達と楽しそうに雑談をしていた。隣にその友人がいなければ、「バイバイ」っていえたのになあ。もう一度部室から出たときにはあの人ははもう、帰ってました。私が来たから逃げたのかな? それとも一目私を見るためにいて、見られたから帰ったとか? とかあるわけないってね。言ってみただけ。まあ、このごろはよく顔を見るので嬉しい。明日も会えるといいな。それで、話が出来るといい。
一九九六年 十二月十七日
休日以外は雨が降らないといいのに。雨の日は、あの人が自転車で来ないから、学校に来ているかどうかが分からない。もう、あと何日かで授業が終わる。会いたいな。
今日は夢で会えたからまだいいかも。古典の世界では、夢に出てきてくれるのは、相手が想ってくれているからってことになっているけれど、実際は逆だよね。夢は自分の心が面白いほど反映されている。好きな人もだけど、恐いものとか、気になることとか・・・。でも、古典の世界の考え方のほうがロマンチックだよね。そうだったら、私は毎日あの人の夢に乱入しているんだ。なんだか楽しそう。でも、あの人は迷惑するか。
明日は三年生全員による学年集会がある。先生はノータッチのようだ。いろんな思い出話が聞けそう。あの人にも会えるといいな。
一九九六年 十二月十八日
今日は朝から凄い吐き気がして、胃が痛くて、牛乳をコップ半分だけで学校にいった。部室により、部室からでて、教室へ向かっているときに、あの人は学校に到着! 朝からラッキー! と思っていると、体育のときも、着替え終わって体育館に行こうとしてるとあの人が出てきて、教室に帰っていた。後姿だけしか見られなかったけれど、でも嬉しい。
休み時間。気持ち悪いけれど、何もお腹の中にいれないのもよくないよ、と友人に言われ、私は友人と売店に行った。
あ、あの背の高い人は……。そこに、あの人はいて、並んでた。しかも、私がO君が好きと知らない友人が、あの人の前を通り抜けたもんだから、きゃー恥ずかしいよー、わざとじゃないのよーと思いながら、ちょっと俯きながら通った。あの人は気付いたか分からないけど、恥ずかしかった。それで、買ったココアを飲んで、地学教室へ向かったが、なんと先生はお休みで閉まっていた。(昨日も休んでいたの。退職している先生で、かなりのお年なので、心配。早く治りますように!!) 地学教室は遠いので、胃がいたいのに、ちょっと苦しいと思いつつ、教室に戻っていると、前を歩いているあの人。隣にはあの人の友達。なんて楽しそうなんだろう! 男子相手なら、こんなにしゃべれるんじゃないー! 私とも話してよー! と思ってしまった。
この後、私は結局保健室で休んでいました。それで、学年合同のHRの時間。あれ、あの人ちゃんと来てるじゃん。私は後ろのほうに座って、ずっとあの人を見ていた。眠そうだ。ずっとうつらうつら。ふふ、可愛いなあ。しかーし、その隣の友人が私の視線に気付いて意味ありげににたあと笑った。な、なんなの! ほっといてよ! その後、部室に戻るとき前方に発見。これで今日は六回目だ! 一日に何度も見ると、なんとなく距離が縮んだような気がして(そんなわけないのに)、声をかけてみた。
「こんにちわ」
あの人は。ああ、またかという感じで、こっち向いてくれさえもしない。それどころか、久々の、表情硬直だ。ただ、まっすぐ進行方向を見て、足をもくもくと動かす。しかも、足が長いので速い。うう……。何か話を……。今思えば、まず模試のことを誉めればよかったな、と思うけれど、後の祭り。
「冬の補習とってる?」私はそう聞いた。
「はい」
「ふーん」
会える確立が上がる! と内心喜ぶ。でも……。会話が続かん……。私は部室に入ろうとするあの人を呼びとめついに言ってしまった。
「あのさ、夏休み、私が友達になってっていったとき、「うん」って頷いたよね?」
おい、どうしてそこで止まるのさ。なんで返事してくれないの? 私一人勘違いしてたの?
馬鹿みたいじゃん! でも私は、そこでとまっちゃだめだと、話を続けた。
「あのね、友達だからもっと話したいっていったら怒る?」
ピキ。あ。マジで凍った。ど、どうしよう。言わなきゃよかった。しかも、こんな部室の入り口のところじゃ、いくらドアは閉まっているとはいえ、筒抜けじゃん! あー、またもや失敗!!! 私はあの人が反応するのを待つしかなかった。
あの人はかすかに口元に笑みを浮かべて、片手を軽く挙げて……。部室の中に逃げてしまった!!
?! おーい、もどってこーい!! なんなのー今のはー!
笑みは、困った笑みか、テレの笑みか(ありえん)。しかも、どういう意味? あの手は。
「そーゆーの困るからバイバイ」か「またにして」か「好きにして」どれ? ぜんっぜん意味不明! でも、よければ「別に」って言いそう。言わなかったってことは、困るってこと? まあ、いきなりだったから、戸惑ったんだよね。きっと。ごめんなさい。部室の中の人に聞こえるのを気にしてたとか? でもどっちにしろ、私は、あの人を困らせてしまったんだ。いいのに。迷惑っていってくれたほうが切り替えだってつくのに。わかんないよ。それじゃ。どうしたらいいの?
あああ、私は「友達」ってのも夢幻だということを自分で暴いちゃったわけだ。なんか、どうしようかな。とりあえず、ふつーに挨拶しよう。でも、目とか合わせられないかも。
夜はなんとかご飯食べれた。やっぱ物が食べれるって幸せなことだな。
明日はテスト。あの人のことはまず、置いといて、勉強しなきゃ。
HRで印象に残った言葉。
「梯子が出来たから二階に上がるのではなくて、二階に上がりたいから梯子ができた」
成せば成るってやつ?
一九九六年 十二月二十三日
「欲がなければ志は保てない」
そういう内容を諸葛孔明は最後の出陣の際、一人息子に言ったという。昨日は「知ってるつもり」というTV番組で、三国志スペシャルだったのでつい見てしまった。「欲」・・・エネルギー源だものね。私の場合「何々したい」というのは、ぼんやりとはあるけれど、そこまで強くない。地球が病に伏しているのに、政治は滅茶苦茶なのに、景気悪いのに、私は何の不自由もなく暮らしている。どうにかしたいじゃなくて、どうにかなればいいのにしか思っていない。孔明の生きていた世よりも随分と豊かだからだ。しかし、私は孔明の状況にあったとしても、孔明のように「自分がどうにかしなければ」とは思わなかっただろう。そこが孔明の凄いところだと思う。さらに、孔明は最後まで主君にはならなかった。欲・・・「民が安心して暮らせる世にしたい」これはあっただろう。でも「自分が天下を治めたい」という欲もあったのではないか。それを表に出さずに、二番に徹し、お世辞にも、劉備のように優れた人ではなかった劉禅を支えた。本当に改めて孔明と言う人は優れた人だったのだなと感嘆した。私ももっと頑張らなければ。
一九九六年 十二月二十三日
なんで今更親や弟に進路のことを言われなければならないのだろう。受からないから別のところを受けろ、だって? なんで行きたいところに行かしてくれないの?! 知りもしないくせにって、大学に行ったことないんだから、全てわかるわけないのは当然だ! 今更行きたくない所に行って、結局面白くなくて、途中でやめるよりもいいじゃない! ほんの影響からだって、別にそれもいいじゃない! 人生を変える本だってあるんだ! それに、中学のときから、漢文は面白いと思ってたし、高校に入って、ますます中国の思想は面白いと思ったんだ! そんなの先生方に私の国語の授業態度を訊けばわかることだ! それにのほほんとしてって言うけれど、気持ちはすごくあせっているんだよ! 体に異常がでるほどに! それなのに、追い討ちをかけることないじゃん! 親ならそれくらいわかってよ! もう、家にいるの嫌だよ! むかつくよ! うるさいよ! 経済苦しいのなんてわかってるよ! でも、それならなんで生んだんだよ! 畜生! 畜生!
一九九六年 十二月二十四日
今日はあの人は帰りに見られただけ。一応、クリスマスイブだけれど、悲しいかな、受験生であり、独り身でもある私には何の意味もないものでありました。そういえば、K子を待っているときに雲ができるところを見ました! 真っ青な空にうすーい一欠けらの雲ができたかと思うと、その真ん中からもわもわと雲がでてきて、外側に広がっていくの。なんか、とても不思議だった。何もないところから、何かが生まれる瞬間。目に見えないだけで、水蒸気はもっと前にあったのかもしれない。でも雲になっていく様は神秘的だった。
そういうことで、今日は終わり!
うーむ、今日は寝てばっかりで、勉強が……。
それと、最近前髪が鬱陶しくなってきた。
一九九六年 十二月二十六日
最近、あの人はやたら機嫌がいい。異常に。腹が立つほど。始終笑顔!(O君がO君の友人といるときに限られる)。 何かあったの? 何なの!? なんだか、なぜか恨めしい。(意味不明) そして、悔しい! 私にも笑ってよー(無理難題)話しかけてよ! あなたの生活の片隅でいいからいれてよ、もう!!
話は変わって、最近、図書館に行って勉強している。なかなか捗ります。がんばるぞ!
一九九六年 十二月二十七日
今日はあの人は課外を休んでいた。風邪? うーん。最近ではすぐそう思えなくなっちゃってる。塾に行ってるのかな? たまたま今日は重なったとか? それとも家のほうが捗るのかな? いや、やっぱり風邪……? 大丈夫かなあ。
無理しないでゆっくり休んで、はやく元気な顔を見せてほしいな。
一九九六年 十二月二十八日
今日もあの人は休み。なんだか、自転車がないのは寂しい。本当にどうしたんだろう。明日は課外の前半最後の日。来てほしいな。
一九九六年 十二月二十九日
今日は半年ぶりに行きつけのお寿司屋さんに行った(家族でだよ)。
上にぎり。とろが本当にとろけるような口当たり。さらに、うにが甘くて最高! えびは食べ終わった後も尻尾がぴくぴくしていた。どきどき。えびといえば、えびだけすっごくわさびがきいていて、お茶を飲んだけれど、すっごく、すっごくつーんときて、鼻を押さえて、涙をにじませていると、「わさび、ききすぎていたかな?」と、握ってくれたお兄さんがいって、よく来ているからというのもあるのか、「泣かせたから」と、卵を特別に握ってくれたの。のりで仕切りが作ってあって、芸術的! すっごく可愛いの! 食べるの勿体無いほど! ありがとー、おにーさん!
そういえば、あの人、今日も来てなかった。もー、次に顔見られるのは来年の四日だよー。それまで会えないなんて寂しいな。よいお年を!
一九九七年 一月一日
新年、明けましておめでとうございます。
今年は丑年だそうで、少し牛のように落ち着かなきゃね。
さてさて、冬休みが十二月三十日からはじまったわけですが、無理な計画を立ててしまって、ただ今、やり残しがたまっております(それでも紅白見たあたり、私って、中学のときから成長してない……)
おじいちゃんのところに帰らなかったので、電話したの。「合格する! って気で勉強しなさい」とおじいちゃん。「今の時期、健康が大事だから楽観的に構えてがんばれ」と優しい従兄弟君。「健康に気ぃつけてがんばれ」とめずらしく、優しい弟。よおーし、悔いが残らないようにがんばらなきゃ! きっと、あの人もがんばっているはず!
では、今年も皆様にとって良い年でありますように!!
ペルーのリマで人質にとられている方々、かわいそう。早く開放されるといいな。
一九九七年 一月三日
基礎教育は確かに必要だと思う。これくらいは知っていなくてはということはある。でもそれは最低限でいいと思う。自分の勉強したいことを自主的にできるような時間がもっと必要だと思う。(今更、本当に今更だけど)
一九九七年 一月四日
八日ぶりにあの人を見た。やっぱ、背高いな。ほんのちょっとだけしか見られなかったんだけど。ああ、うう、なんていっていいのやら。私は本当にこの人に会いたかったんだなあと感じた。
帰りも部室の外でK子を待っていたら、来るのが見えた。横には友人。また楽しそうな笑顔。べ、べつにいいけどね……。で、でもやっぱりくやしいかも! あの人が来ると、見てるって気づかれるのが嫌だから、明後日の方向を見る私。すると、一瞥する気配?(たぶんね)はあ~。なんだかなあ。
今、前髪が鬱陶しいのでピンで留めてるの。友達にかわいーと言われた。お世辞でも嬉しいよ! えへへ。
友達を
あの人見るため
外で待つ
かじかむ指に
息かけて
まだかな まだかな
時計を見る
人影見えるとドキッとして
違うとガッカリ肩落とす
そのうちあの人やってきて
私はうつむき笑みもらす
一九九七年 一月七日
今日は、朝、あの人が部室から出てくるのに出くわした。とってもはっぴーな一日になりそうだった。そう、だった、のに。
昼、学館(課外をやっている校舎)のトイレはこむので、本校舎のほうに行くことにした。そのとき横を通り過ぎる部室にはあの人がお昼を食べているはずだし、もしかしたら会えるかもしれない、と……。
寒さにコートの前をしめて、肩をすくめて歩いていると前から先生が来られたので「こんにちはー」と挨拶をする。丁度そこはあの人の部室の前らへんだった。そこで、いるかなあ、とチラリと部室のほうを見たときだった。
バンッ! と音。冷たい音だ。たぶん、否、絶対窓が閉まった音だったと思う。わざと……? 嫌、なの? 顔もみたくない、の……? でもさ、やり方、ひどくない? ひどいよ。十分酷い。あんまりだよ。
私は悲しくて、靴をバン! と鳴らして、「むかつくー」と小声で言いながら、歩いた。
でも、本当はむかつくより、心が痛くて痛くてどうしようもなかった。私はそれを紛らわすためにも、「むかつくー」を連発した。なんか、涙がでそうだ。どうしたらいいんだろう。嫌われてなきゃそれでいいと思ってた。でもこんなに疎まれていたなんて。
でも、好きなんだもん。それはどうしようもないんだもん。
このごろは、あの人の反応があってもなくても、腹が立って、笑顔を見ても腹が立って、背中だけが静かに見ていられるものになってしまった。あの人の表情は分からない。でも、あの人からも私は見えない。そっと見るのが好きなんだ。なんだかストーカーみたいだけど、寒そうな後姿を見ていると、何か力になりたいなあ、何かしてあげたいなって思うんだ。
必要とされてもいないのだろうことは分かってる。でも、何か……。
ああ、私はどうなるんだろう。
課外は今日まで。明日は新学期。
一九九七年 一月七日
私は結局何も分かっちゃいなかった。迷惑だけはかけないようになんて。
私があの人を見る。あの人は私に見られる。視線。これはどんなにあの人を不快にするか……。大切なときだからこそ、他の事に気を散らせてはいけないのに。それなのに、私はあの人の気を散らすような行動ばかりをしているんだ。なんて馬鹿なんだろう。思いやりが足りない。なんでそっと見守ることができないんだろう。もう、私は露骨に視線を送るのやめよう。私も授業の方をがんばらなきゃ。ごめんね、今まで。
荒木真樹彦さんの曲で好きな曲
TIME TRIP DANCE
どんなに小さな夢も
確かにあるなら
誰よりも君は
素敵になる
true love 君を守るよ
true love 信じていてほしい
round and round
です。
ああ、守られたい……。
一九九七年 一月九日
なんか、心の中に闇が巣くうのを感じた気がした。怒り。何に対する? 憎しみ。誰に対する? そして。もらいたくないほどの気持ち。憎愛。誰にって決まってる。
帰り、部室に行った。目はあわせたくないから、後姿だけ見られればいいと思った。そして、いつもの細い道。私はその道に入るとき、あの人があわてて、仕切りの外側を通るのが見えた。きっと私と一緒にならないように、だね? 外側を通り、そして、部室へと急ぐあの人。私は前を行くあの人を見て、声をかけることができたらどんなにいいだろうと思った。でも、嫌われていると分かっている今、わざわざ後を追ってまで、声をかける気にはなれなかった。
あの人は今のうち、というように部室付近までいくと、たったと走って部室に入った。私はずっと歩みを遅くして下を向いて歩いていた。
黒い気持ちがわきあがる。嫌いだ。なんて無神経なんだろう。悔しかった。なんで、私はこの人が好きなの?
最近、女の子らしくなったって言われて、嬉しく思っている私、本当に馬鹿みたい。鬱陶しい髪なんか、じょきじょきに切って、あの人の自転車蹴り倒したいぐらいだよ! もう嫌だ。入試も追ってくる。全部一緒になって私を追い詰める。大嫌い。
何も悩まないで、生きることだけ考えていられる鳥になりたいな。でも、そしたら本も読めないんだ。でもでも、もとから読めないのなら、読みたいと思わないだろう。
あー、もう、わけが分からない。
一九九七年 一月九日
音楽というのは、脳のどこか深い深いところに記憶されるのだろうと思う。宮崎駿の(アニメだが)の映画を見たことがあるだろうか。内容も凄く言いのだが、久石譲の曲がまた素晴らしい。テープを久々に聴くと、場面が一緒にぶあーっと蘇ってきて、凄く切なくなった。胸がぎゅっとして、軽い眩暈に似たものが襲ってくる。どうしようもなく感情が溢れそうになって、それを抑えるのがきつい。見たときの感動に、また新たな感動が曲と一緒に体中を駆け巡るのだ。自分の感覚にうったえる曲に出会ったときも、それに似た感覚が体を貫き、鳥肌がたち、胸が苦しくなる。音って、曲って、凄い!
一九九七年 一月十日
会えなくて寂しい。その気持ちがあるうちはきっと、その人のことをとても大切に想っている証拠だと思う。どうしても、今最もよく会う人(言うなれば、現実)に心は向くものだと思うから。人は毎日いろんなものを記憶していく。新しい記憶は、古い記憶の上にどんどん乗ってゆくような気がするのだ。必然的に前の記憶というものは、印象が薄れていく。そんな中、まだその人の印象が強く残っているというのは、どこかに「留めたい」と言う意思があるからではないだろうか。
今日、私はあの人を見ることはなかった。でも、どちらかというとほっとしている自分がいる。私は恋に疲れてきているのかもしれない。あの人をみて、心を痛めて、苦しむのに嫌気がさしてきているのかもしれない。
なんだかそっちのほうが寂しかった。二年以上も心に占めていた人が、こうも簡単に出て行こうとしているなんて。否、まだまだひきずっている? 分からない。分からない。でも、もう、以前のような、澄んだドキドキした気持ちにはなれないと思う。こんなに、こんなにも私の気持ちが浅いなんて、少し哀しい。それは今だけかもしれないけれど、私はこの状態が受験まで続けばいいと思っている。そうすれば、勉強に専念できるからだ。私は冷めているのだろうか。
enyaを知っているだろうか?
エコーのかかった独特の声とメロディー。強弱が波のようについた、心に優しい彼女の音楽は素晴らしい。
一九九七年 一月十一日
私は自分に嘘をついている。「うそじゃないもん」と叫び続ける私もいるけれど、それは、あまりに惨めで、悔しいから。私だって嫌いだもんって言ってやりたいから。そっちのほうが馬鹿みたいなのに。
でもね、会いたくないってのは事実。O君を見るたび、「O君は私が嫌い」というのが、どーんと頭上から降ってきて、私を押しつぶそうとする。すごく重くて、心に重くて、どうしようもなく哀しくて、それを認めたくなくて、でも事実だって分かるから余計に……。
でも、それでも会いたいと思っている自分がいるのも確かなんだ。
O君。私はあなたの口から直接ききたい。嫌いならそういってくれればよかったんだよ。私が話しかけたときはあやふやな態度をとってごまかすくせに。卑怯だよ、そんなやり方。O君は一度も私に本心を言おうとしない。私はそれがますます悔しいんだよ。それが、「嫌だ」でもよかったのに。あなたの言葉ならば。こんな形で大学生になって会えなくなるのなんて、絶対嫌だよ。
一九九七年 一月十三日
昨日も今日もあの人の気配がない。自転車もなかった。休んでる? 風邪……じゃないだろうな。きっと家で勉強してるんだろうな。ま、ね。目指しているとこが目指しているとこだし、仕方ないの、かな。風邪うつされたりしたら困るし、それに……、いろいろ気が散るからでしょう? 私みたいなのがいると。がんばってほしいと思うから、何もいえないけど、やっぱり寂しいな。嫌われているの、分かってるけど、やっぱり気になるかな。自分でも良くわかんない。とりあえず、私、勉強がんばらなきゃ。
一九九七年 一月十四日
なんか、自分で自分が分からない。混乱。会いたくなくて、会いたいという気持ちだったけど。でも。
今日は小雨がぱらついてた。でも、あの人は何を血迷ったか、自転車で来ていた。
なんかね、自転車見ただけでね、ああ、来てるんだと思うと、ほわあって心が暖かくなって、嬉しくて、自分でも、あれ? って感じ。こんなにも会いたがってるんだってやっと気がついた。
顔が微笑んでしまった。しかも、それが少し嬉しかった。ああ、私、まだこういう純粋な気持ちがあるって。真っ黒じゃないんだって。
地学教室に行くとき、O君とその友人がスカイロードの下(地学教室のある塔と本館を結ぶ道で、以前、避けられた細い道)を本館側に向かって歩いているのが見えた。休み時間も、もう終わりだし、このまま上がってきて教室に帰るのだろう。だったら、階段を降りている私とすれ違うはず! うわあ、嬉しい! そう思いながら降りる。が、一向に上がってくる気配がない。でも、とっくに上っているはずなのに。そうしてるまに、二階に至ってしまった。スカイロードを通って地学教室に行くので、一階までは下りないのだ。
あー、会えなかった、と悲しく思いながら、スカイロードを通っていると、あれ!? なんで!? だって、スカイロード通るには、下の道を引き返して上がってこなきゃいけないんだよ? あれ、さっきの見間違いだったのかな? でも、私がO君を見間違えるなんてことはないはず。……。よく分からないけど、その姿を見つけるだけで、私は顔が上げれなかった。だって、顔がにやける。恥ずかしい。でも、とても幸せだった。私は、すれ違った後、やっと顔を上げて、O君の後姿を拝んだ。駄目だ。私。まだこんなに好きだ! でも、嫌われてるって気づいたほうが謙虚になれるからよかったのかもしれない。
私は卒業するまで、勉強も恋もがんばろうと改めて思った。
一九九七年 一月十六日
朝、学校について、部室の前の道を自転車で通ると、O君が丁度部室から出てきた。私は挨拶したいな、と思ったけど、思いとどまった。自転車を止める。O君は肩をそばめて、ちょっと寒そうに歩いていた。私の視線に気づいていたのだろうか。なんとなくギクシャクして。私はその背中に無言で言う。「もう少しだね、受験。がんばろうね。風邪ひかないでね」
センター説明会。よーし、がんばらなきゃ、と思った。チラリとO君を見ると、見慣れた後頭部と時々横顔が見えた。いつもと変わらない顔。あんまり緊張はしてない、かな? でも、実は私も中学受験のときより落ち着いてる。そこまで成績がよくないので、背負うものがないからだ。勉強不足であることは分かっている。それはもう仕方がないのだ。だから今やれるだけのことをとりあえずする。そして、自分以上の力をだそうったって無理なんだから、自分の持てる力を全て出し切るようにしたい。終わってから、「もう少しとれたのに……」じゃなくて、「よくがんばれた」って、言えるようにしたい。
今日は帰りにもO君が見れた。自転車の鍵をはずしてる。
「バイバイ」背中に心の中で声をかける。O君は気づいてない。自転車を後ろにひいたとき、丁度私がいたから、そのときは気づいたかも?
私はO君がコートを着ていることにまず安心している自分に気づき、よかったと思った。いつも寒そうと思っていたからだ。やっぱり私はこの人が好きなんだな、とにべにもなく感動した。明日はセンター試験の場所の下見だ。どんなところかな。
目標点数
英語 150以上
数学ⅠA 70以上
数学ⅡB 65以上
地理 80以上
国語175以上
地学 80以上
一九九七年 一月二十二日
私はセンター試験で、数学で見事に失敗しました。今年は簡単だったそうですが。そう、言い訳でしかないけれど、家で解きなおすと解けたのに、という問題がいくつもあって、余計に悔しい。平均は150くらいは軽くありそうですが、私は105しかとれませんでした。でも、自己採点の前日、自己採点する夢(予知夢)で、点数が分かっていた分、そのときは、やっぱり、という感じだったけど。
でも、うちの学校の平均が652と聞いてかなりショックをうけました。全体の平均でも550ぐらいはあるだろうという話。私は590しかありませんでした。K大はほど遠い。まあ、文学部は、センターと二次の割合が225:500なので、それは不幸中の幸いですが……。
気持ちの切り替えをして、二次でがんばろう。友人にも励まされ、そう思ったのですが、体は正直で、胃にきてしまい、昨日は何を食べてももどしてしまう。そのことで病院に行ったのだけれど、そのとき強い悪寒と体中が痛いという症状もあったので、熱を測ると三十七度九分。歩いて病院に行った私はベッドに寝かされ、点滴を受けることに。検査で、インフルエンザと判明。なので、昨日は夜九時に寝て、今日の朝九時半まで眠り続けた。私には休養が必要だったのかもしれない。でも早く治して、勉強しなきゃ。私はただでさえ、センターでみんなより遅れてるし、病気で休んだ分もプラスして遅れることになるのだから……。
結果
英語 156
数学ⅠA 55
数学ⅡB 50
地理 77
国語 173
地学 79
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ここまで読んでくださりありがとうございました。
センター試験の会場でインフルエンザもらった方、いるかなあ?
試験に向けて、身体の調子、整えてくださいね。
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それではまた! 天音花香