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小説をおいております。 『いざ、出陣 恋戦』シリーズの二次創作、『神の盾レギオン 獅子の伝説』の二次創作、そして、高校生の時に書いた読まれることを前提にした日記と、オリジナル小説を二編のみおいております。
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プロフィール
HN:
天音 花香
性別:
女性
職業:
主婦業メイン
趣味:
いろいろ・・・
自己紹介:
小学生のときに、テレビの影響で、小説を書き始めました。高校の時に文芸部、新聞部で文芸活動をしました(主に、詩ですが)。大学時代、働いていた時期は小説を書く暇がなく、結婚後落ち着いてから活動を再開。

好きな小説家は、小野 不由美先生、恩田陸先生、加納朋子先生、乙一先生、浅田次郎先生、雪乃 紗衣先生、冴木忍先生、深沢美潮先生、前田珠子先生、市川拓司先生他。

クリックで救える命がある。
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こんばんは、天音です。

この小説は、六道 慧さんの「神の盾レギオン 獅子の伝説」の二次創作です。
(古い作品なので、知らない方が多いとは思いますが……)
登場人物は左のリンクにある「登場人物」を参照されてください。

えっと、お手数ですが、タイトルにある数字の順番に読んでください。

それから、一気に書いていないせいか、内容がだぶっているところがあるかもです。
我ながらしつこい文章だな……と思いますがすみません。


コメントいただければ喜びます。
それでは、お楽しみいただければ幸いです。


ココから小説


「ねえ、マーニ。どうして勉強なんかしなきゃいけないの? 兄上もしてたの?」
 無理やり机につかされ、勉強をしながら、ミレトスがマーニに問う。むくれた顔が幼さを際立たせる。
「ソリスさまのようにならないためにも勉強は必要なのですよ」
 ソリスが居れば怒られそうなことをマーニはさらりと言って、中断された各国の地理の授業を再開させる。
「むぅ~、僕は兄上のようになりたい~!」
 ソリスはどうやらミレトスにとって憧れのようだった。
「……」
 ただでさえ、ソリスとその姉、レイミアは破天荒な性格でマーニをはらはらさせている。その上、ミレトスまで加わったら……と思うと、マーニは頭痛がした。
「いいですか、ソリスさまを目標にしてはいけません。ソリスさまよりさらに優れた王子になれるように努力するんです」
 もっともらしいことを言って見せるが、ミレトスはふくれ面のままであった。
「ねえ、剣技の授業は?」
「この問題が解ければやりましょう」
「ほんと?」
 目を輝かせるミレトスに、マーニはにっこり笑い、
「ほんとです。さあ、続きを……」
と言って、授業のおさらいのミニ試験をミレトスに渡す。そして、時計を見る。
 もうそろそろか……。
 マーニの予想通り、ミレトスの部屋をノックする音がした。
「ルアザン大将、ソリスさまが見当たらないのですが……」
 息をきらしてアルベルトが入ってくる。
「アルベルト、また兄上いなくなっちゃったの?」
 呆れ顔でミレトスが言うと、アルベルトはむっとした顔をして、ミレトスを睨んだ。
「奥宮は……」
「探しました」
 間髪入れずアルベルトが答える。
「例の抜け穴もですか?」
「はい」
「ねえ、抜け穴って何? 僕にも教えてよ!」
 ミレトスがマーニの短衣の裾を引っ張るが、マーニはそれを無視する。
「では……。城下町の娼館を当たってみてください」
「全てですか?」
 げんなりした顔で、アルベルトが訊く。
「ええ……。どこにいるかわからないときはそうするしか……」
 マーニは気の毒そうに答えた。そんな二人に、
「ねえ、娼館ってなあに?」
とミレトスが言った。
 マーニとアルベルトは顔を見合わせる。
「ええっと……。ミレトスさまは知らなくていいところです」
 マーニが視線を泳がせると、
「なんで?」
とミレトスは突っ込む。
「大人になったら教えてあげます」
「大人っていつ?」
「……」
 ため息をつき、マーニとアルベルトはまた顔を見合わせる。
 ソリスさま……。あなたの弟君がこんな質問をするのはあなたのせいですよ……。
「今でないことは確かです」
 マーニがきっぱりと言い切ると、アルベルトも隣で頷いた。
「なんで~?」
「なんででもです」
 相手にしないマーニに、ミレトスは頬を膨らませるが、マーニはとりあわなかった。
「……それにしても……。マーニ殿のときも、ソリス殿下は……その……こんな感じだったのでしょうか……?」
 いささか自信をなくしたらしく、うなだれながらアルベルトが言った。
 昔の自分を見ているようで、なんだか哀れに思い、
「ええ、わたしのときもそうでしたよ。ソリスさまは神出鬼没。そして都合のいいことは聞きますが、都合の悪いことは聞こえない耳をお持ちです。人の言うことを簡単に聴くタイプではありません。だから、アルベルト殿が悪いのではありませんよ。わたしも手を焼いていました」
と答えた。
「そうですか……」
 アルベルトは大きなため息をついた。
「……では、わたしはこれで……」
 一礼をして、出て行こうとするアルベルトに、
「頑張ってね、アルベルト」
 と、他人事のようにミレトスが声をかける。
 一瞬、すうっとそばまった目がミレトスに向けられたのは、見間違いではないだろう。
「さあ、ミレトスさまは勉強を頑張りましょう」
 マーニがぴしゃりと言うと、ミレトスはまた頬を膨らませた。
 それにしても……。
 ミレトスはわがままだが、ソリスを相手するよりも何倍も楽だとマーニは思う。望んでいた平穏な暮らし。
 これでよかったのだろうか。
 アリク王に命じられた日から、ソリスには会っていない。
「……」
 あの日のソリスの目が忘れられない。
「マーニ?」
 ソリスと同じ琥珀色の目がマーニを見上げていた。
「マーニ、時々、とても悲しそう」
「え?」
 そんなことないですよ、と答えようとしたが、声が出なかった。
「……」
「マーニは、僕の従者になったの嫌なの?」
 ミレトスが不安そうな目をして訊いてきた。
「そんなことはありませんよ」
 違うんです。ミレトスさまの従者になったのが嫌なわけではなく、ソリスさまの従者でいたかったんです。
 そう言ってもこの少年は理解できないに違いない。
「マーニ。アルベルトは。アルベルトはどうなのかな。アルベルトも兄上の従者の方が、いいのか、な……」
「それは間違いなく違うと思います」
 間髪おかずにマーニが答えると、
「そ、そっか……。父上が言ったからだよね」
 ミレトスはちょっと安心したように微笑んだ。
「その通りです」
「あ、別に、アルベルトの方がいいって訳じゃないんだよ? マーニは兄上の従者で、僕、凄く尊敬していて、そんな人が従者になってくれて、凄く嬉しいんだ。でも、でもね、アルベルトも僕、好きなんだ」
 必死に言葉を紡ぐミレトスに、
「ええ、分りますよ」
とマーニは笑ってミレトスを見つめる。
「でもね、アルベルトは、僕が何かすると、いつも怒ってばかりで……。アルベルトは僕のことが嫌いなのかなって……」
「それは違います。ミレトスさまが心配だからですよ、きっと」
 マーニはミレトスの頭をなでて、優しく言った。
「心配だと怒るの?」
「ええ。怒るというのはエネルギーがいるんです。どうでもいい人には怒る気もしませんよ」
「ならいいんだけど……」
「さ、勉強の続きです」
「はあい」
 顔をしかめながらも、鉛筆を動かしだしたミレトスをマーニは目を細めて見た。
 ソリスさまよりも何倍も素直だ。
 だが。
 どこかこの状況は歪に思えた。
 いつも行方知れずになるソリスを追いかけていたのは自分で、この幼いミレトスのそばにいたのはアルベルトだった。それが、今は、自分でさえ手を焼いていたソリスをアルベルトが追い、ミレトスのお守りを自分がしている。不自然な人事だとしか思えなかった。

                      5に続く……


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