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天音花香の小説をUPするブログです。個人サイトの小説はこちらに移しました。現在二時創作と短編を中心に書いています。
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天音花香
HP:
性別:
女性
職業:
主婦
趣味:
いろいろ・・・
自己紹介:
小学生のときに、テレビの影響で、小説を書き始めました。高校の時に文芸部、新聞部で文芸活動をしました(主に、詩ですが)。一応文学部でです。ですが、大学時代、働いていた時期は小説を書く暇がなく、主婦になってから活動を再開。

好きな小説家は、小野 不由美先生、恩田陸先生、加納朋子先生、乙一先生、浅田次郎先生、雪乃 紗衣先生、冴木忍先生、深沢美潮先生、前田珠子先生、市川拓司先生他。
もう一つのブログでは香水についてレビューをしております。
http://yaplog.jp/inka_rose/
こんな私ですが、宜しくお願いします。





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 こんばんは。天音です。

 お久しぶりになるのかな。
 

 最近書く短編は意味がわからないのが多いなあと自分でも思います。
 小説を書くとき、登場人物に名前をつけるのが結構好きなのに、最近のは名前すらでてこない……。自分でも何で書いているのかよくわからないのですが、あえて言うなら思いつくままに書いています。
 今回のタイトルは「煙草」ですが、私は吸いませんので、リアリティがなかったらすみません。
 

 拍手ときどき頂いています。ありがとうございます。
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 では小説いきます。


 ココから小説
 
 

 煙草


 ピピピピ……
「う……」
 私はベッドの脇に置いてある目覚ましを止めた。
 七時。
「……」
 目覚ましの横を手で探って、あ、と思い直す。そういえば、禁煙をしていたんだっけ。しばらく切っていない髪をわしゃわしゃとかいて、ベッドから出た。
「……」
 だめだ。我慢できない。煙草、煙草……。
 メイクをするより、少しでも長く寝たいから、七時に合わせてある目覚まし。
 まずいな。遅れるかもしれない。でも、煙草が欲しい。確か引き出しの奥にまだ数本あったはず……。
 キャミソールにショーツという、ほとんど裸に近い姿で、あたり構わず引き出しを開ける。
 あった!
「ふー」
 自分の口から出る煙をぼんやり見つめる。肺にニコチンが入ってくる。頭がすっきりしてきた。久しぶりの煙草は想像以上に美味しい。
「……」
 なんで夢に出てきたのかな。もう忘れていたのに。
 学生のときの片思いは、淡くて儚くて、なんだろう、何かに似ている。確か甘いもの……。
 甘かったかなあ……。
 見た夢を回想する。確かに夢は甘かった。アノ人が私に微笑みかけるなんて。手をとって電車に乗り込むなんて。
「ふ、ふふ」
 現実じゃありえなかった。目を合わす事さえ恥ずかしくて、でもそれがくすぐったくて、大切で……。
 今だって違う人に片思いをしているのに、今の私は、甘い何かより、煙草の方がずっと美味しい。嘘もつくし、恋の駆け引きを楽しんでいる。でも、胸が苦しいと思うのは同じかもしれない。
 私から煙が出る。
「……。あちっ」
 いつの間にか短くなっていた煙草を慌ててテーブルに押し付けた。
 まったく、汚いな、何もかも。
「やばい、遅刻する」
 おきっぱなしのスーツから一着選んで、着ながら、栄養ドリンク剤を飲む。髪を手ですいて、眉をかいて、口紅をひく。
 履いても履いてもなれないピンヒールの靴に足を入れて、鍵を閉めた。
 ああ、もう一本ぐらい吸いたかった、なんて思いながら、私はいつもの駅までの道を走った。
 



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 それではまた必ず!               天音花香

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こんにちは。天音です。

体調がよくないので、他の活動を休んでいます。
ということで、短編を思いつくままに書くことが増えるかと思います。
一応、タイトルの言葉には意味があるのですが、(虫がオンナだったみたいに)
分り辛かったらすみません。
今日は、この「学校」ともう一つアップして終わります。
レギオン書ければ書きたいな……。

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では小説いきます。


ココから小説


 学校


 普通に友達もいる。好きな人もいる。
 それなりに楽しい。
 でも、この箱の中はとても窮屈で、そして、居心地が悪いと感じる。
「……」
 窓から見える隣の高校。あそこに行けば、何か変わるのかな……。
「……」
 憧れの隣の高校に入ったけれど、やっぱり居心地がいいとは思えない。
 隣の大学に行けば……。
「……」
 あれ? 大学に入ったのに、なぜ隣に学校があるんだろう……。
 卒業しても、卒業しても……。学校が次々に現れて、卒業できない。
「……!」
 夢……。
 そうだよ、私、ちゃんと卒業した。うん。就職活動はきつくて、もう二度としたくない。

 スーツを着て、会社へ向かう。いつものこと。会社の入っているビルをふと見上げる。あれ……? 一瞬……。
 そうか……。先生が上司になって、同級生が同期(ライバル)になって……。毎月お金が入るようになったけれど、守ってくれるものはなくなった。ただそれだけ。そして、さらに窮屈になった……。
「適応力がないのかもしれないなあ……」
 でもどうしようもないことは分っている。
 人間は人間である限り、一生卒業はできないのだ。社会という箱の中から……。
 それでも、みんな生きている。




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 それではまた数分後!               天音花香

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 こんにちは。今日、二回目の天音です。
  
 内容は相変わらず暗いです。
 そして数行で終わります。

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 では小説いきます。


 ココから小説

 

 ブルータス


 「○○○○○」
 誰? 今日は、C子。
「……ふぅ」
 疲れているときにうとうとすると、見てしまう夢がある。
 人物は変わる。友人だったり、彼氏だったり、家族だったり。
 顔は変わるのに、口が同じ言葉を刻む。
 実際にもあった。悲しかったけれど、でも、「やっぱり……」と思う自分がいた。皆がそうではないのに。なのに。疲れていると、私の中でブルータスが笑う。
 以前言ってしまったことがあった。
「どうせあなたも私から離れていくんだ!」
 そのときの彼の目が忘れられない。「信じない」ということが人をあんなに傷つけるとは思わなかった。きっと彼だけじゃない。友人だって、家族だって悲しむはず。
 それに……私だけじゃない。皆だって不安なんだ。それでも頑張っているんだ。
 だから、私も戦わなくちゃ。ブルータスはいない。
 そうだ、こう言えばいいじゃないか。大嫌いなあの言葉ではなく、
「またね」
 って。きっと大丈夫。
 またね。




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 それではまたできれば近いうちに……。            天音花香

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こんばんは。こんな時間に天音です。
書いていたら遅くなってしまった……。


体調、少しずつ回復しています。

今日は新しい試み。
選択場面は2つですが、ギャルゲーもどきを書いてみました。
一度、こういう選択肢のあるもの書いてみたかったんですよね。
本当は乙女ゲーを書いてみたいのですが、妄想暴走女になりそうなので、
とりあえず、ギャルゲーにしてみました。
くすぐったいような恋愛ものは書いていて楽しいですね。
ですが。
私は決して変態ではありません!
抵抗のある方はご遠慮下さい。
年齢制限はありません。
選択肢の結果は少し離して書いてはいますが、
それぞれ以外、見ないようにして読んでくださいね。

タイトルは思いつかなかったので、なしです。


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では小説(?)いきます。


ココから小説


  

 小学生のとき、好きな女子にいたずらばかりしていた。
 同じマンションに住んでいる相川 舞(あいかわ まい)。
 特に容姿がよかったとか、明るくて目立っていたとか、そんなのはなかった。恥ずかしがりやで、口数は少なくて、でも、人の話を優しく笑いながら聞いている……。そんな女子だった。でも、俺にはそんな舞が魅力的に見えた。
 自分の方を向かせたいと思った。
 だから舞の、後ろでくくられていた髪をひっぱった。
「きゃ」
 髪を抑えて後ろを向いた舞。怯えた目だったけれど、それでも、初めて舞の目が俺だけを捕らえて……。そして、その愛らしい声に、俺はすっかり魅せられてしまい、その後も何度も何度も髪をひっぱった記憶がある。


 
「ち、雨……」
 体育の水泳が今日は最後の授業で、タオルでせっかく拭いた髪が、雨に打たれてまた額に張り付いた。そればかりか、雨の勢いが強く、制服まで体にべったりとまとわりつき、気持ちが悪い。ついてない。
 でも、そういえば朝のニュースで雨だって言ってたから、おふくろが折りたたみ傘を渡してくれたんだっけ。
「……」
 ああ、でも、住んでいるマンションはもう見えている。傘を出すまでもないか。俺は、先ほど使ったばかりのバスタオルを被るようにして、走ることにした。早く帰ってシャワーを浴びよう。
 走っていると、前に一人の女子高生の姿が見えた。
「……!」
 高校二年生になった今でも、舞の後姿は覚えている。それは、いまだに俺が舞を忘れられないからだった。
 今、前を歩いているのは間違いなく舞だと俺には分かった。
 背は昔より若干高くなっている。でも、癖のないストレートの髪。小さな頭。そんな女子は5万といるだろう。でも、この後ろ姿は舞だと俺の勘が告げるのだ。
 どうしようか……。

1、声をかける               →①へ
2、髪をひっぱる              →②へ
3、何もしない               →③へ















「相川!」
 俺は舞の隣に並び、声をかけてみた。
「え、保坂君? 久しぶりだね」
 俺は違和感を覚えた。声が、違う?
「ごめんね、相川さんじゃなくて」
「あ、いや……。俺こそごめん、間違っちゃって……。
えっと、小島さんだったっけ?」
「そうそう、よく覚えてたね。
保坂君、よく舞にちょっかいかけてたよね~。舞、私と一緒の高校なんだよ」
「そうなんだ」
「変わってないよ。あ、でも少し綺麗になったかも……。好きな人でもいるのかな」
「……そ、そっか……。
……あ、俺、折りたたみ傘持ってるんだ。俺んちはあのマンションだし、これ、使いなよ」
「いいの? ありがとう。じゃあ、舞に返すように言うね」
「! あ、う、うん。……それじゃ!」
 俺はまた走り出した。
 別の女子と舞を間違えるなんて……。俺の目ももうろくしたものだな……。
 あーあ。              
                  END 0点 














「きゃ!」
 舞の声! 俺は嬉しさに胸が震えた。
「ほ、保坂君……」
 舞が戸惑いながらも俺を振り返った。
「……よお、久しぶり」
「……久しぶり……」
 舞は恥ずかしそうに下を向きながら答えた。変わってない。やっぱり舞だ。
「元気にしてる?」
「う、うん……。保坂君も元気そうだね」
「ああ。
相川は、高校……」
 ふと舞を見て、俺は続きを言えなくなった。
「え? 何?」
 被っていたバスタオルを舞の肩に乗せる。
「す、透けてる、から……」
 そっぽ向いて俺は言った。やばい、顔が熱い。
「あ、ありがと……」
 舞は、バスタオルで体を包むようにして、前で合わせた。
 舞の顔も赤い。
「……」
 ダメだ。何を言おうとしていたんだっけ。あ、そうだ。
「相川は高校はどこ行ってんの?」
「……東中央高校。保坂君は……その制服、西北高校だよね」
「そうそう。よく知ってるね」
「うん……。ここら辺で、男子がブレザーの高校ってそこだけだから……」
 無言で歩く。マンションが近づく。
「あ、俺、傘持ってたんだ」
 とにかく時間を稼ぎたいと思った。折り畳み傘を鞄から出す。
「あ、ありがとう……」
「い、いや、別に……」
 これって、相合傘ってやつじゃないのか? そんなことをふと思って、俺はまた赤面した。
「……」
「……」
 何か話さなければと思うのだが、言葉が出てこない。雨が傘を叩く音だけが響く。
 ふと舞が俺を見上げた。
「保坂君、変わったね。私も背、伸びたと思うんだけど、でも、保坂君の方がずっと高いや」
 そう言って、ふんわりと笑った。笑った!
「そ、そーだな。なんか、高校入って急に伸びて、今175センチある」
「そっかあ……。高いはずだね」
「あ、ああ」
「……それに、なんだか雰囲気が変わった気がする」
 舞は俯いて小さくそう言った。
「え? そーかな?」
 どんな風にだろう。
「……なんか柔らかくなった感じ……」
「そお?」
「うん……。髪をひっぱられたときはびっくりしたけど……」
「あ~、ああ。えっと、ごめん。痛かったよな」
「そ、そうだね。でも、だからすぐ保坂君って分かった」
「……まじ?」
「……う、うん」
「小学校の頃、何度もひっぱったもんな。えっと、今更だけど……ごめん」
 舞はちょっと驚いた顔をして俺を見た。
「な、何?」
「わ、私……、保坂君に嫌われているのかなって……思ってて……」
「き、嫌ってたわけじゃ、ねえ、よ……?」
「そ、そうなんだ……」
 ああ、もう、マンションの敷地内に入ってしまった。どうしたらもっと長く一緒にいれる? 何か、何か……。
「そ、そう言えば!」
「う、うん?」
「えーっと……」
 口にしたけれど、続かない。何か、何か……!
「そ、そーいや、俺、今日、家の鍵、忘れた!」
 咄嗟に嘘をついた。それを言って何を期待しているんだ俺は!
「そうなの……?」
 舞の心配そうな声。
「あ、ああ。でも、まあ、たぶんもう少ししたらおふくろも帰ってくると思うし……」
 何やっているんだか、俺……。
「……」
 舞はちょっと考え込んでいるようだった。
「風邪ひいたら、大変だよね……」
「ああ、大丈夫、大丈夫! 俺、強いし!」
「……」
 マンションの階段にさしかかる。俺は傘をたたんで、ばさばさと水を払った。
「……保坂君」
 舞が遠慮勝ちに声をかけてきた。
「……何?」
「……お母さん帰って来るまで、うちに来る?」
「え?」
 心配そうな舞の目。嘘なのにな……と罪悪感を覚える。第一、いいのか、家になんか上がって……!?
「せめて乾いたバスタオルで拭くだけでも……」
 舞は何も心配なんかしてない。というか俺を意識もしていないのだろう。だとしたら、ここで断るのも余計におかしいかもしれない。
「……えっと、じゃあ、バスタオルを借りようかな」
「うん……そうして? 私もバスタオル、借りちゃったし……」
「あ、別にそれはいつでもいいから、返すの。すぐ近くだしな、家。えっと、何号室だっけ?」
「407号室」
「あー、そうだったっけ。うちは、302だから。ま、いつでも」
「うん。わかった」
 って、本当にこのまま舞の家に行くのか?! 俺!?
 3階から4階への階段を2人で上る。
「鍵、開けるから、ちょっと待ってね?」
「あ、ああ」
 舞が鍵を開けている。まずい、かなり緊張してきた。心臓が、早鐘を打っている。
 舞もなのだろうか。なかなか鍵を開けられないでいる。
「ちょ、ちょっと待ってね」
「あ、ああ。あせらないでいいぜ」
「う、うん……」
 カチャリ。
「ど、どうぞ?」
 舞が一度振り向いて言った。俺はどきどきしながら一歩踏み出す。
 が。
 !?
「きゃ!」
 舞が何かに(たぶん靴だろう)つまずいた。
 咄嗟に庇った俺は舞と一緒に倒れこんだ。
「っ痛!」
 玄関の段差のところにちょうど頭をぶつけて俺は思わずうめいた。
 でも、よかった。舞は無事のようだ。
 とほっとしたのもつかの間。
 無意識に舞を抱きかかえるようになってしまったので、俺の左手が……、左手が、舞の背中に……。でもっ! これは不可抗力だ!!
 恐る恐る舞を見て、ますます俺は焦った。ち、近すぎる!! 
「あ……」
 やばい。意識すると、思った以上に軽い舞の体重を感じてしまい……。
 それだけでなく……密着した膨らみが……。
 これはまずい!! 
 あ、舞の心臓の音が伝わってくる……ってことは俺のも伝わっているってことか?
「ご、ごめんなさい!」
「あ、ああ」
 舞が起き上がろうとしているが、なかなか上手くいかない。
 あ、ダメだ、もう、俺。

1、舞を起こすのを手伝う          →④へ
2、舞の胸に触れる             →⑤へ
3、舞を抱きしめる             →⑥へ
 
 







 たぶん、舞だ。だけど……。
 今更声をかけることなんてできない。俺は脚を止めることなく走った。
 すれ違う瞬間、横目で見て……。
「あ……」
 舞の小さな声が聞こえた気がした。でも、俺は聞こえないふりをして走った。
 ああ、なんて小心者な俺……。

              END -1点









「だ、大丈夫?」
 俺は舞の肩をそっと掴んで、上に押し上げたので、二人で玄関に座り込むような形になった。
「あ、ありがとう……」
 お互い、恥ずかしくて、顔を見ることが出来きない。顔が熱い。こういうときどうしたらいいのだろう。
「あ、あの……。頭、大丈夫? さっき、痛いって……」
「あ、ああ。ちょっと痛かったけど、大丈夫。それより、相川は大丈夫?」
「う、うん……。保坂君のおかげで……」
「そ、そっか、よかった……」
「……」
「……」
 このままでもまずい気がする。バスタオルをかけたとは言え、目のやり場に困る……。
「相川さ、風邪ひくとよくないから、シャワーか何かかかったら?」
「あ! う、うん。じゃあ、保坂君にバスタオル持ってくるね!」 
「うん、そうしてくれるとありがたい」
 舞はゆっくり立ち上がると、洗面所の方へ歩いていった。
「はあ~」
 俺は安堵か何かわからない息を吐いた。これでいいんだ。うん。
 すると舞がバスタオルを手に戻ってきた。
「はい。これ……バスタオル」
「あ、さんきゅ。俺、じゃあ、これでふかせてもらうから」
「うん……。じゃあ、私、シャワーかかってくるから……」
 そ、それもまずい気がする……。
 せっかく取り戻せた理性が崩壊しそうで……。
「あ、あのさ。 バスタオル、もう一枚だけ貸してもらえる? 俺、バスタオルがあれば大丈夫だから、おふくろ帰って来るの下で待ってるわ」
「……? 大丈夫? 寒くない?」
「ああ、大丈夫、大丈夫。夏だし」
 俺はもう一枚バスタオルをもらって家に戻った。
 まあ、バスタオルを返すということで、また会う口実もできたことだし、これでよかったことにしよう。
 しかし……。鍵を持っているのに、家の前で待つふりをするってのも、なんだか馬鹿げた話だが。
 でも。
 舞の重みを思い出して、まあ、いいか、なんて思う俺。これを機に舞との仲が発展できればいいな。

             END +1点









 密着した体から舞の体温が伝わってくる。
 もう、限界だ。
 俺は舞の柔らかな膨らみに触れてしまった。
「!」
 舞がびくっと振るえた。次の瞬間、俺の頬に痛みが走った。
 呆然として舞を見ると、舞は真っ赤になって、涙を流していた。そうか、俺、舞に平手打ちを食らったのか……。
「……ほ、保坂君、最低……!」
 舞は自分で起き上がると、俺を避けるように離れた。俺はとんでもないことをしてしまったことを悟った。
「……ごめん。俺……」
「……もう、帰って」
「うん……、ほんと、ごめん」
 俺はうなだれて、舞の家を出た。もう、舞は俺に会ってはくれないだろう。
 せっかく会えたのに。ああ、俺はなんて最低なんだ……。
 
             END -2点











 舞の体温が温かい。
 不思議な感じだ。好きな女の子とこんなに密着することなんてなかなかないだろう。だめだ。愛おしさが……。
 俺は、思わず舞を抱きしめてしまった。大切なものを触るようにそっと……。
「ほ、保坂君……?」
 驚いたような舞の声。
「……怪我しなかった?」
「う、うん……」
「よかった……」
「……あ、ありがとう……」
 舞の鼓動が伝わってくる。少し早い。きっと俺のも早いはず。
「あ、あの……」
 舞の戸惑うような声に、俺ははっとした。俺は何をやっているんだ?
「ご、ごめ!」
「う、うん……」
 ゆっくり舞を抱き起こす。
「……」
 しばらく俺たちは無言だった。でも、その無言は優しいものだった。
「え、えっと、私、バスタオル持って来るね」
「あ、ああ」
 舞は一度洗面所の方へ行って、タオルを手に戻ってきた。そして。
「え?」
 舞は俺のぬれた髪をタオルで優しく拭きだした。
「相川……?」
「あ、あの……。助けてくれたお礼……」
 舞が近い。舞が優しい。なんだか俺はそれだけで、感動していた。俺、なんて幸せなんだろう。小学生のとき、あんなにいたずらばかりして、困らせていたのに……。
「相川……、ありがとう……。でも、俺……」
「うん?」
「こんなに近いと、なんだか、どきどきして……」
 俺は正直に気持ちを言ってしまった。
「……うん……」
「俺……」
 俺の言葉に、舞は手を止めて、俺の顔を覗き込むようにした。
「あ、相川!」
 舞のアップに思わず俺は声をあげてしまった。
「保坂君……あのね」
「あ、ああ」
「私ね、保坂君が髪をひっぱるから、悲しかったの……」
 舞の言葉に、ちくっと心が痛んだ。
「それは……違うんだっ!」
「……」
 舞は俺をまっすぐ見つめている。
「それは、俺、相川に俺を見てほしくて……! 相川の声を聞きたくて……」
 俺の言葉に、舞はふわりと微笑んだ。
「……友達がね、保坂君が私の髪をひっぱるのは、保坂君が私を好きだからだよって言ったの……。でも、私、そうは思えなくて……。でも、それを聞いてから、保坂君をちゃんと見るようになったの。そしたら、確かに保坂君、私の髪しかひっぱってなくて、私、ちょっと期待するようになっちゃったの」
「え?」
「保坂君は私のことが好きなのかなって……。でもね。嫌いだからするんだって思うほうが大きくて……。だから、期待しちゃだめって自分に言い聞かせてた……」
「相川……。俺、相川が好きなんだ……」
 舞は、俺の言葉に恥ずかしそうに頷いた。
「……嬉しい……。私も本当は保坂君が好きだったから……」
「ま、マジで!?」
 舞は、小さく頷いた。
 やばい、嬉しい! 
「相川……!」
 俺は今度はぎゅうっと舞を抱きしめた。
「ほ、保坂君!?」
「好きだ!」
「……うん……」
 俺たちはしばらくお互いの体温を感じていた。
「あ、あのさ。舞って呼んでいい?」
「うん……」
「あ、あのさ……キスしていい?」
「……まだダメ」
 舞はちょっと怒ったように顔を赤らめた。
「俺と付き合ってくれる?」
「……うん」
 今度は舞はしっかり頷いた。

                 END+2

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 選択肢を二つに絞ったので、展開が早くなってしまいましたが、楽しんでいただけたら幸いです。
 シチュエーションは単なる思い付きです。なんか恥ずかしいですが。



 ここまで読んでくださりありがとうございました。

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 それではまたできれば近いうちに……。            天音花香

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こんにちは、天音です。


今回の小説は高校生のときに書いたものを一部書き直したものです。
ちょっと私にしては珍しい感じかもしれません。

今回はまだ載せませんが、近いうちに、
「未来の誰かに送る日記」
というものを公開していく予定です。
私が高校二年生のときに、未来の誰かが読むことを想定して書いていた日記です。
サイトの方にアップしていたのですが、それは思いっきり省略していまして・・・。
主に日記の内容だった、片思いの話と、受験の悩みを削った形で公開しておりました。
でも、いろいろ考えた結果、公開するために書いた日記なのだから全て公開しようと思いまして・・・。
長いので、分割して載せて、それに対して一言コメントを書こうかと思います。

小説、二次小説はこれからも平行して書いていきますので、どうぞこれからもよろしくお願いします。


それでは、話をもとに戻して・・・。
小説、読んでくだされば嬉しいです。


ココから小説



           声


           1
 

 見慣れた、薄汚れた白い天井が見える。
 鈍い頭痛と吐き気。私、美月 沙匂羅(みつき さくら)はいつものように、保健室のベッドに横になっている。私は変わり者で有名だった。無口で、いつも一人でいるし、毎日保健室に行くかららしい。まあ、別にどう思われていようと私は一向に構わないけれど。
 実際私は変わっていると自分でも思う。というのも、私は超能力者だからである。と、たいそうなことを言ってしまったが、そんなに凄いものではない。――自然と同調する力と、世界に存在するものの心を聞く力があるだけだ。
 
 私は幼いころから原因不明の体の痛みに悩まされていた。母親は何度も違う病院に私を連れて行った。その度にいろいろな検査をされたが、やはり原因は不明だった。結局、ストレス性だとか、自律神経失調症などで片付けられた。
 本人である私は、体の痛みよりも、検査の方が苦痛になっていき、病院に行くのを嫌がった。それからはそのままだ。
 原因は些細なことで判明した。小学校低学年のころだったと思う。男女の友人たちと公園で遊んでいたときだ。不意に男子が桜の木の枝を折った。そしてそれを振り回していた。そのときだった。
 ――イタイ――
という「声」と共に私の腕にも激しい痛みが走った。同じようなことが何度かあって、自分の体はどうやら地球上のものと同調しているらしいことが分かってきた。それも近ければ近いほど明確に。
 ここ最近、自然破壊が進んでいるため、同調している私の身体も痛み(だるいと言ったほうがいいのだろうか。鈍い痛みで、なんとなく調子が悪い)を訴え続けている。そのせいで、こうして毎日保健室に通っているのだ。

 「声」のほうは。
 思い出して私は憂鬱になった。小学生ぐらいの思考回路は単純で、私の脳に響いてくる「声」もいたって単純なものだった。だから、あまり気にしていなかった。しかし、私は致命的な間違いを犯していた。皆にも聞こえているものだと思っていたのだ。そして。
「はい。○○ちゃん。これ、落として探してたんでしょ?」
 私は好意からしたことだった。ところがその子は。
「私、さくらちゃんに言ってないよ? な、なんで分かったの?」
 私は首をかしげた。
「聞こえたから。
聞こえないの?」
 それから、私は友人を失くした。
 親からもきつくとがめられた。「声」の内容を言わないように。
――私たちまで変に思われるでしょ――
 そのとき聞こえてきた母親の「声」に私は絶望し、誰にも心を開かないようになったのだった。
 
 どうして私だけこんな力を持って生まれてきたんだろう。毎日繰り返される疑問。私は小動物の嘆きや木々の悲鳴を聞いても、どうすることもできない。こんな中途半端な力、どうしろというのだ。どうせなら、私は加害者の人間ではなく、酸素を提供する役目を持った木に生まれたかった。そうであったら、他の生物の役に立てるのに。 
 私はこの世に存在するものは、何らかの役目を持って生まれてきていると考えている。だが、今の私は、何の役目も持っていないような気がして情けなくなってくる。
「美月さん。具時はどう?」
 保険医である泉 龍子(いずみ りゅうこ)の声が、私を現実に引き戻した。
「……あまりよくありません」
 私は答える。
「そう……困ったわねえ」
 龍子が本当に心配しているのが伝わってくる。
 彼女は私が最も信用している人間の一人である。心で思っていることと、表に出す言葉が一致しているからだ。
 私は基本的に人間が嫌いになっていた。顔で笑って、心で何を考えているか。それが実際に聞こえてしまう私が、人間に愛想を尽かすのも当然のことだ。無口と言われようと、何と言われようと、嫌なものは仕方ない。しかし、そんな私でも龍子とは本心で話せるのだ。
「一度病院に行ったほうがいいかもしれないわ」
 龍子の言葉に、私は痛い頭を横に振る。
「い、いいえ。身体が弱いのは生まれつきですし、病院にいくほどではありません。
あ、もう大丈夫みたいです」
 私はくらくらする頭を押さえて、無理矢理ベッドから身体を起こし、「お世話になりました」と言って保健室を出た。
 ごめんね、龍子先生。これは病院にいっても治らないの。


           2


 教室はうるさいから嫌いだ。たくさんの複雑な声で、頭痛が酷くなる。
 自然と廊下を歩く足取りは重くなった。ああ、眩暈がする。
「っ!」
 教室のドアの前で人とぶつかってしまった。顔を上げると気遣う目があった。
 色白で、綺麗な目をした、そこらの女子などよりずっと可愛い男子。
 そういえばこの顔は見たことがある。確か……夕影君だっけ?
――大丈夫かなあ。えーっと、どうしよう。何か声をかけるべきだよね――
 夕影の心の声が聞こえてくる。まだこんな子もいたんだ。少し嬉しくなって、私は微笑んだ。
「大丈夫よ」
「よ、よかったあ。ごめんね。
あの、具合の方はもういいの?」
 声変わり前の高い声。
「あまりよくないけど、いつものことだから」
「そっか……。お大事に」
「ありがと」
 私の言葉に夕影は笑って教室を出て行った。
 私は静かに窓側の一番前の自分の席に着いた。
 前にある余った机の上には、花が飾ってあった。担任の実家が花屋なので、よく持ってくるのだ。私はその花へ手を伸ばした。蕾の花。もう少しで開くころかな。
――咲きたい、咲きたいわ!――
 うずうずしている蕾の声が聞こえてくる。何の花かは知らない。早く咲けばいいなと思って触れると、花が開いてしまった。幸い誰も見ていないようだし、まあいいか。
 私の力はまだまだ未知数で、自分でももてあましている。他にどんな力があるのだろう。今のは成長の促進かな?
――人間も花のように素直だといいのに。
 そんなことを思いながら、退屈な授業を受けて、終了と同時に教室を出た。学校なんかに長居は無用。私は走るように学校の門をくぐって、帰路を急いだ。


 途中、公園の横を通ると、犬が飛び出してきた。体中の毛はぼさぼさで、足には怪我をしていた。
 どうして捨てるのに飼うのだろう。
「お前は何もしていないのにね。ごめんね。でも私もお前を飼うことはできないんだ」
 私は弁当の残りをあげたあと、犬の怪我している後ろ足に手を当てた。花を開かせることができたのだ。回復を促すことだって成長を促すことと同じ原理に違いない。きっとできるはず。
 案の定、傷はふさがっていった。
――ありがとう――
 犬の声が聞こえた。嬉しそうに走っていくその姿を見て、私は情けなくなった。私は礼を言われるようなことはしていない。もっと。もっと何かできたら……!
 悔しかった。私はどうして生まれたのだろう。毎日繰り返される疑問。こんなのはもう嫌だ。


             3


 ――やめろ!――
 昼休みの教室。たくさんの聞き取りたくない声を無視しながら弁当を食べていた時だ。能天を突き抜けるような悲痛な叫びに、私はびくんと身体をそらせた。
 誰? 誰が困っているの?
 声の主はすぐに見つかった。夕影だ。頬が赤く腫れている。教室の後ろの方で、数人の男子が彼を取り囲んでいた。
「ゆーれい、お前、本当に男かよ? 何だあその声は。耳障りなんだよ! それにその顔。ちょっと綺麗な顔してっからって、いい気になってんじゃねーよ!」
「何だ、その目は? やるか、ゆうれいさん」
――悔しい。悔しい! 畜生!――
 夕影の心の叫び。びんびん伝わってくる。それとは対照的に、取り囲んでいる男子たちの声は邪悪な喜びに溢れていた。
――とにかく困った顔が見たい!もっと苛めてやれ! ――
――人間サンドバックがいると助かるぜ! ――
 醜い! 汚すぎる。
「ほんと、お前気持ちわりーんだよ。中学生男子だとは思えねえ」
「俺たちが強くしてやるって言ってんだ。有り難く思えよな、ゆーれい」
 そう言いながら、一人は腹を蹴り、一人は顔を殴った。
――いってー! 僕の名前はゆーれいじゃない。余計なお世話だ! 畜生! 何で僕だけいつもいつもこんな目に!――
 人間のこんなに悲しい声は初めてだ。
 これが世に言う、苛め?
 何とかしたい。でもどうすれば……。
 私のイライラした心に反応してか、強い風が教室に入ってきた。カーテンが舞い上がる。運良くそれは夕影を取り囲んでいた男子たちにかぶさった。
 私はすかさず夕影の手をとり、教室を飛び出した。
 走る。走る。走る。そうだ、屋上へ行こう!
――バタム!
 屋上のドアを開けた瞬間、気持いい風が頬をかすめていった。男子たちは追ってこなかったようだ。とりあえず、ほっとする。
「大丈夫?夕影君」
「あ、ありがとう」
 夕影はそう言うと悲しげに笑った。
「なーんか僕って情けないね。女子に助けられちゃうなんて。こんなんだから苛められるんだよな」
 今まで保健室にいる時間が多くて知らなかったが、夕影がどこか暗い顔をしていたのは苛められていたからだったんだ。
 なんて言ったらいいか私は少し迷った。
「……成長の度合いって、人によって違うから。
それにあいつらひがんでるんだよ。夕影君顔が綺麗だから」
「……」
 夕影君は黙って空を見ていた。
 初夏の蒼い空。
 何だかその姿が痛々しかった。
 私には夕影の痛みが解らない。声は聞こえるのに。なんとかして、救えないものか……。
 ! そうだ!
 私は夕影の頭に手を当てた。
「え! な、何?」
 夕影は動揺している。
「いいからじっとしてて」
「う、うん?」
 彼の成長を促せばいいんだ。成功するかは分からないけれど、何かしたい!
 私はしばらく彼の頭に手を当てていた。
「ごめん。もういいよ」
「何したの?」
 私はくすりと笑った。
「おまじない。夕影君が強くなるように」
「おまじない、か……。美月さんって優しいね。何だか元気出た」
「それはよかった。
――あんな奴らはほっときゃいーのよ。反応すればするだけ喜ぶ馬鹿たちなんだから。ね、負けるな! 少なくとも私は夕影君の味方だから! 何かあったら相談に乗るよ」
 いじめは、無視することができるほど、軽いものではないだろう。だが、そんな言葉しか私は言えず、夕影の背中を力強く叩いた。
「あ、あたっ!
う、うん。ありがとう」
 この前の犬のときと同じ一時しのぎのようなものだ。
 だけど。何でだろう。感謝の言葉はとても気持ちいいものだった。今まで嫌悪感しか抱けなかった人間。自分もそれに属しているのがたまらなく嫌だった。
 でも。
 人間だって複雑なんだ。さまざまな思い。それは、悪い心だけじゃない。良い心は?
 加害者だけじゃない。被害者は?
 私は大事なものを見落としてきたのかもしれない。


          4


 それから一ヵ月後の休み時間。
 隣で窓から空を見ている、夕影の声は低くなっている。身長も以前より、五センチ近くは伸びてるだろう。男らしくなっていた。
 まだ何か言う男子もいるようだけれど、夕影は相手にしないようにしたみたいだ。ま、人生いろいろある。これからも、頑張れよ、夕影!
「あれ? 美月さん、何か言った? 頑張れって聞こえたような……」
 何だって? そんな、まさか。
 頭で否定をしていたそのとき、鳥が鳴きながら飛んでいくのが見えた。雨が降る、としきりに教えてくれている。傘持ってきていないなあと思っていると、隣で夕影が首をかしげていた。
「僕、耳がおかしいのかな。こんなに天気がいいのに、雨が降るって声が聞こえるんだ」
 ――え?
「あのさ、夕影君」
 私はそう言って、試しに花瓶を持ってきた。
「ま、馬鹿馬鹿しく思うのはわかるんだけど……」
 私が言い終わらないうちに、夕影君の表情は変わっていった。
「嘘だ。『私を見て』って言ってる……。
 え? どうしたの、美月さん。頭抱え込んで」
 私の力が微かに移ってる?
 私はポンと夕影の肩に手を置いた。
「これからも苦労するとは思うけど、お互い頑張ろう」
「え? 何言ってんの。美月さん?」
 夕影の声を背に、私は何だか可笑しくなってくすくすと笑ってしまった。何だか今までの自分が馬鹿らしくなっていた。
 夕影のことで人間も捨てたもんじゃないと思うようになった。私は夕影に関わらないようにしているクラスメートたちをどこかで軽蔑していた。いじめをしているのと同じだと。けれど。
 夕影に心で頑張れコールを送っている人にどうして今まで気が付かなかったんだろう。怖くて何もできない。でも、心配している。夕影のために心を痛めているのだ。とても小さい声。私は聞き逃していた。いや、人間の声自体を聞こうとしていなかったのかもしれない。
 そうだね。確かに、人間はずるくて汚いところがある。でもそれでも何とかしようと思っている人もいる。前向きに生きようとしている人がいる。
 私は? 私は命を、生きていることを無駄にしていた。絶望することで。一番最低なことだ。
 人と違う力がある? 別にいいじゃないか。それどころか、困っている夕影のような人の声を聞けるんだから、ラッキーだ。役に立てないと悩むだけでは本当に役に立てなくなってしまう。力がある分、私はできることが増えると思わなければ。
 少しでもいいではないか。それでも役に立つと言うのなら。気づいてよかった。夕影のおかげだな。
 しかし……。問題は夕影の力だ。夕影にどうして力が移ったのかはわからない。もしかしたら、人間誰でも持っている力で、それが覚醒しただけかもしれないし。でも……。
 私は考える。みんなが「声」を聞けるようになったら……。
――それは私のように苦痛を伴うかも知れないけれど。でも。 
 私は明るい未来を見た気がして微笑んだ。
                                                                了

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