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天音花香の小説をUPするブログです。個人サイトの小説はこちらに移しました。現在二時創作と短編を中心に書いています。
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天音花香
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性別:
女性
職業:
主婦
趣味:
いろいろ・・・
自己紹介:
小学生のときに、テレビの影響で、小説を書き始めました。高校の時に文芸部、新聞部で文芸活動をしました(主に、詩ですが)。一応文学部でです。ですが、大学時代、働いていた時期は小説を書く暇がなく、主婦になってから活動を再開。

好きな小説家は、小野 不由美先生、恩田陸先生、加納朋子先生、乙一先生、浅田次郎先生、雪乃 紗衣先生、冴木忍先生、深沢美潮先生、前田珠子先生、市川拓司先生他。
もう一つのブログでは香水についてレビューをしております。
http://yaplog.jp/inka_rose/
こんな私ですが、宜しくお願いします。





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こんばんは、天音です。

今日ホワイトデーだったのですね。
主人からは今日より前にクッキーの詰め合わせを頂いたので、
今日は二人でまったりでした。

短編、以前に書いたものですが、
ホワイトデーのということで載せておきます。

拍手時々頂いていて、嬉しいです。
励みになります。一言あればさらに嬉しいです。

(以前ホワイトデーに以前アップしましたが、カテゴリーを別にしましたので、更新されています)

天音花香が書いている全ての作品の著作権は天音花香にあり、放棄しておりません。
無断転載、許可のない販売は禁止です。
某サイトにて著作権侵害、違法販売されていた私の作品の販売が停止されました。
FC2さまと応援してくださった皆様方のおかげです。本当にありがとうございました。



ココから小説


「彼女」





         
       1


 僕が「彼女」に気がついたのは、いつだったか。
 多分、無意識のうちに知っていたのだと思う。いつも、視界に入る彼女を。
 彼女はセミロングの真っ直ぐな黒い髪をして、T女子高校の制服をきちんと着ていた。それは風紀のお手本のような着方で。
 なるほど、僕が気がつくのが遅れたのも仕方がないことだ。そう彼女の容姿をまじまじと見たとき、自分で勝手に納得した。彼女はあまりにも普通だったから。どこにでもいるような容姿。背丈。
 それなのに僕が彼女に気がついたのには理由があった。
 彼女は、毎日僕と同じ時間の電車に乗っていた。いつもほぼ決まった時間にホームにあがり、決まった場所で、電車を待つ。そのとき、彼女は線路をひたすら見ていた。僕は彼女が自殺を考えているのでは、と不安になった。だが、彼女は僕のそんな心配をよそに、いつも通り電車に乗るのだった。

 最近判ってきたことは、彼女は線路を見ているのではない、ということだ。彼女の目はそのとき何も映していないようで、明らかに現実から離れていた。僕は次第に彼女に興味を覚えるようになった。彼女は線路をぼんやり見ているとき、何を考えているのだろう。


 突然その日はやってきた。
 彼女が、線路から目線を外し、ゆっくりと僕のほうを向いたのだ。
彼女の、思ったより大きな瞳が僕を捕らえた。僕は少しだけ動揺した。でも、目をそらすことはできなかった。彼女は視線をなかなかそらそうとせず、僕たちは一時見つめあった。
 先に目をそらしたのは僕だった。
彼女の真っ直ぐすぎる視線に僕はなんだか心が落ち着かず、気まずさに耐えられなくなってしまったのだ。だが、彼女の視線は、僕が目をそらしてからも感じることができた。
 僕は何事もなかったように装って、電車に乗った。彼女も乗ったようだった。

          
     2


 彼女は電車の中でもいつも同じ場所に立っていた。
 めったに開かないほうのドアの前に立ち、手すりを掴んでいるのだ。席が空いていても、それは変わることはなかった。
 僕は「そこは一番痴漢に狙われやすい場所だよ」と言いたい気持ちでいっぱいだったが、勇気が出せずに、毎日黙っていることしかできなかった。ただ、もし、彼女に不貞を働く奴が現れたら、必ず助けようと心に決めた。

 彼女と視線を交わせてから、僕は彼女の視線を感じることが多くなった。僕のほうはというと、どう対応していいかわからず、その視線に応えることはできなかった。正直、彼女に興味を覚えたのは、彼女の行動があまりにも、規則的でそれがかえって不自然に思えたからだ。それ以外の何でもなかった。多分。

          
     3


 「きゃ」
 電車の中で、小さな悲鳴があがった。何事かと声のほうを見ると、彼女が今にも泣きそうな顔をしていた。
(やっぱり痴漢にあっちゃったんだ!)
 僕は彼女の元に駆け寄った。犯人を捕まえたかったが、結局判らなかった。僕はとりあえず、彼女に声をかけた。
「大丈夫? じゃ、ないよね……」
こんなときさえ、まともに声もかけられない自分を呪った。
 彼女は涙に潤んだ目で僕を見て、一言、
「怖かった……」
と言って、うつむいて、それっきり何も言わなかった。
「この場所は痴漢にあいやすいから、違う場所に立っていたほうがいいよ」
 僕が言えたのはこんなつまらない言葉だけだった。彼女は、ただ、こくんと頷いた。

   
     4


 それからは、部活の大会などの忙しさに振り回されて、僕はしばらく彼女のことを忘れていた。
僕は剣道部に所属していた。
予選のまず一試合目で勝利を飾って、面を外す。ふうと一息ついて、隣の女子の試合に目をやった。ちょうど、女子の一戦も終わったようだった。相手は偶然にもT 女高校だった。そして、そのT女にうちのチームは負けたようだった。T女の女子は、面を外し、髪を振って、一息つくと、手で額の汗をぬぐった。まっすぐなセミロングの黒髪が汗で重たそうに光った。
 僕はその女子に見覚えがあった。
 そうだ、間違いない。朝の彼女だ!!
 彼女は僕の視線に気づいたのか、僕の方を向いて口元をほころばせると、小さく礼をした。
 その彼女の動作に僕はどきりとした。
 彼女は電車を待っているときとは明らかに違って、強い光を瞳に宿し、背筋をすっと伸ばして立っていた。汗で額に張り付いた髪もいつもより艶めいて見えた。明らかに僕の知らない彼女だった。
 でも、それだけだった。

 次の日の朝、こっそり彼女を盗み見たが、彼女はまた僕の知っているいつもの彼女に戻っていた。
時々視線を感じることも変わらなかった。
 視線を感じたら、僕は彼女から目をそらす。
僕たちはただ毎日それを繰り返していた。


    
       5


 その日の朝は寒かった。2月とはいえ、まだ雪だって降っている地方だってあるのだ。寒い日と暖かい日を繰り返して、春は訪れるのだった。
 その日も彼女はいつもと同じくらいの時間にホームに上がってきた。どことなく彼女の頬は赤かった。熱でもあるのだろうか。
僕が少し心配になったそのとき、彼女は、いつも電車を待つ位置を素通りした。
 え?
 そして、僕の方向へ歩いてきたのだ。いや、彼女が歩いてきたのは、僕のところだった。
彼女は少し眉を寄せて、唇を軽く噛んで、ちょっと困ったような顔をして、うつむいていた。そして黙ってしまった。
 僕は彼女より困っていたと思う。どうしていいかわからなかった。とりあえず、声をかけるしかなかった。
「えっと、どうしたの? また何かあった?」
 僕が口を開くと言葉が白く染まった。彼女は今度は怒ったような顔になって頭を横に振った。真っ直ぐな黒い髪がゆれる。
「えっと、じゃあ、どうしたのかな?」
 僕はますます困ってそう言った。
 彼女は、一度僕を見上げて、泣きそうな顔をして、またうつむくと、鞄から何かを取り出した。そしてそれを、ぐいと僕に押し付けた。
「え? 僕に?」
 僕は混乱したまま、それを受け取った。すると彼女は脱兎のごとく走ると、いつもの場所に戻ってしまった。
 僕は何がなんだかよくわからないまま、手に残った物を見た。可愛らしくラッピングされたそれに貼ってあったシールを見て、僕は初めてその日が何の日であったか気づいた。バレンタインデーだったのだ。


                 
      6


 その日家に帰って彼女からのプレゼントを開けてみると、マフラーと、手作りであろうチョコレートと、封筒が入っていた。僕は自分がマフラーをせず、電車を待っている間、首をすくめていたことに今更ながら気づいた。チョコレートはかすかに甘い程度のもので、甘いものが苦手な僕にはちょうどよかった。ただ、それをじっくり味わう余裕は僕にはなかった。
 心臓がどくどく言っているのが自分でもわかった。どきどきを通り越して、頭痛がするほどだ。
 僕は残った封筒としばらくにらめっこをした。そして、一つ深呼吸をすると、丁寧に封を開けた。中に入っていた、シンプルな便箋を取り出し、それを開くと、そこには一生懸命書いたんだろう文字が一行だけあった。
   
「あなたのことが好きです」
 それだけだった。名前も何も書いていなかった。僕は困ってしまった。
どうしたらいいのだろう。彼女は僕にどうしてほしいのだろう。僕は彼女のことをどう思っているのだろう。自分でもよくわからなかった。
 そして、何より、明日、僕はどんな顔をして、彼女に会えばいいのだろう。
 僕はベッドに入ってからも、天井を見ながら、次の日のことばかりを考えていた。時間をずらして避けようと思えば避けれる。でもそれでは彼女の気持ちさえ無視したことになる。彼女は僕なんかよりずっとどきどきしながらこれを渡したのだ。それを無視なんてできない。でも、どう応えていいかわからない。だって、僕は電車を待つ彼女しか知らないのだから。こんな中途半端な答えでいいのだろうか。
「僕はあまり君を知らないから、わからない」
 これは断り文句なのではないだろうか。僕は断ろうとしているのか?
 彼女はどんな顔をするだろう。きっと、また、今朝見せたような泣きそうな顔をするに違いない。天井にあるシミを見ながら、彼女に悲しい顔はさせたくないな、とぼんやり思った。


          
     7


 結局、僕は答えを出せないまま、朝を迎えた。でも、時間だけはいつも通りの時間にホームに立った。そして、彼女を待った。
 いつもより時間が長く感じた。気が付けば、僕は彼女がしているようにぼんやり線路を見ていた。彼女はいつも、何か考えていたのだろうか。それとも何も考えていないのだろうか。そんなことを考えた。
 だが、避けたのは彼女のほうだった。
 彼女は来なかった。
一本電車を見送ったが、彼女が現れることはなかった。
 え? こんなことって……。
 僕は遅刻するわけにも行かないので、電車に乗ったが、混乱していた。
 僕にどうしてほしかったのだろう。彼女は自分の気持ちを伝えればそれでよかったというのだろうか。
 なんだか、昨夜寝ずに悩んだ自分が馬鹿みたいじゃないか。
 怒りに近いものが胸の中を渦巻くのを止められなかった。その日、僕は授業の間中、ずっと窓から空を眺めて、なんともいえない感情をもてあましていた。
 家に帰ったら、昨夜寝ていなかったせいか、ひどい眠気に襲われて、ベッドに倒れこむようにして僕は寝てしまった。
 夢の中にさえ、彼女は出てきて、いつものように電車を待っていた。その彼女が、僕のほうを向いて、かすかに笑った。その笑顔は剣道の大会で見せたものだった。
「はっ」
 僕は思わず目を覚ましてしまった。
 あれ?
 僕は一度見た彼女の笑顔をなぜここまで覚えているのだろう?
 確かに、彼女の笑顔は綺麗だったと思う。彼女は美人の部類に入るわけではなく、容姿は平均的なものだった。だが、その笑顔は爽やかで、好感が持てるものだったのだ。
 僕は髪をぐしゃぐしゃとかきむしると、もう一度ベッドにもぐりこんだ。
 なんだ、これではまるで僕のほうが彼女を好きみたいではないか。馬鹿馬鹿しい。

 その日から、ずっと彼女は僕の夢に出現して、僕を困らせた。彼女は時に笑い、時に、怒ったような顔になり、泣きそうな顔になり……。それはまるで、僕の知っている彼女の表情がエンドレスに回っているようだった。

 彼女は相変わらずホームにいない。
 なぜ、ここまで僕は彼女を探すのだろう。
 気がつけば三月になっていた。


  
      8


 「おい、大丈夫かよ? 最近ずっとお前目のした、くまがあるぞ? 溜息ばかりついてるし」
 親友に指摘されるほどに僕は重症のようだった。
「恋煩いか?」
 と言って笑った親友。
 恋煩い……?
 え? 逆なはずなのに……?
 しかし。確かに気がつけば彼女のことばかりを考えている自分がいる気がする。

 朝、カーテンからの光にぼんやり目を覚ます。
もう夢には慣れてしまった。これだけ見れば。現実で彼女にあっていないのが不思議なぐらいだった。
 こんなの、ひどいじゃないか。夢でも彼女に会えて嬉しいと思う自分がいるなんて。
 こんなに、僕は彼女のことを想っているのに!
 え?
 彼女のことを想っている?!
「なんだ、僕、彼女が好きなんじゃん」
 そう独り言を言ったら、なんだか憑き物がふっと降りたように心が軽くなった。
 なんだ。結局そうだったんだ。
 僕はある決心をして、決戦日を待つことにした。


      
      9


 その日は晴れていて、まだ朝は少しだけ寒かった。でも確実に春になっていると僕は感じていた。夕方と呼ばれる時間が長くなって、風に花の香が混じって。
 でも、その日僕はしばらくつけていなかったマフラーを巻いていた。ちょっと恥ずかしいとは思ったが、仕方ない。
 はあ、本当に会えるんだろうか。
 3月14日、ホワイトデーのその日、僕は朝の5時から駅のホームで彼女を待つことにしたのだった。まだ、人のほとんどいないホーム。僕はただ彼女だけを待っていた。立っていると疲れたのでベンチに座ったのだが、ベンチは僕の体温を奪っていった。僕はつま先を小刻みに揺らして寒さを紛らわせていた。
 彼女は現れた。
僕がいつも乗っている電車より一時間ほど前の時間だった。
彼女は僕に気がついていないようだった。時間が違うだけで、彼女は以前と同じように線路をぼうっと見て電車を待っていた。
 僕は彼女にそっと近付いていった。
 彼女は気がつかない。
 そんな彼女の肩を僕はぽんと叩いた。彼女がおびえたように振り返る。僕を映した彼女の瞳が大きくなった。
「あ……」
「どうも」
 僕はにっこり笑ってみせた。自分でも嫌味だったかなと思うくらい。
 彼女はあわてて逃げようとした。その腕を軽く僕は掴んだ。
「こらこら。言い逃げはずるいんじゃないの?」
 彼女は観念したように力を抜いた。そして、もう一度僕の方を向いて、うつむいてしまった。
「えーっと、その、このマフラー気に入ってます。ありがとう。それから、チョコも僕甘いもの苦手だったから、丁度いい味だったよ。ーーまあ、味を感じる余裕なんて実はなかったんだけどね」
 彼女は黙っていた。彼女が黙っているのに反するように僕はしゃべり続けた。
「僕は寝ずに考えたんだよ。どう応えようか。なのに、時間を変えちゃうなんて。ってなんか、愚痴みたいだね。ごめん」
 僕が謝ると、彼女はぶんぶんと頭を振った。
「……ごめんなさい」
 これで二度目に聞く彼女の声が、僕の耳に心地よく響いた。自分でも驚くほど、この声を聞きたかったのだと実感する。夢では何度も聞いていたはずなのに。
「うん。謝ってくれたから許してあげる。だから顔を上げてよ」
 僕は軽くそう言った。彼女はゆっくり顔を上げた。その目が、僕の表情から僕の心を読み取ろうとしているのがわかった。
「でも、考える時間があってよかったのかもしれないんだ。僕、自分の心がいまいちわからなかったみたいだから。
 一つ聞いていい? ホームで見たことのあるだけの僕をどうして好きだといえるの?」
 彼女は少し恥ずかしそうに目をそらした。そして、一度嘆息して、
「具体的にはわからない。ただ、あなたのことは剣道の大会で何度か見て知っていたの。静かで綺麗な試合をする人だと思った。でも、まさか同じ電車に乗ってるとは知らなかった。
 あの日、初めて目があった日気づいて驚いた。憧れていた人が、すぐそばにいたんだもの」
 と一気に話した。
「そうか、僕を前から知っていたんだね。
不思議な縁だね」
 僕は本当に驚いてそう言った。
「じゃあ、今度は僕が応える番だね」
 僕は、飴、マシュマロ、クッキー、挙げればきりがないほどのお菓子を入れてリボンで結んだだけの袋を彼女に渡した。
「何が好きか判らなかったんだ。だから考えられるもの全部入れちゃった。甘いものは好き?」
 彼女は渡された袋に呆然としながら、頷いた。
「そう、よかった。
 これから君の好きなものをたくさん教えてほしいな。時間はいくらでもあるから」
 僕の言葉に彼女は訝しげな表情をした。
「ははは、変な顔ー!」
 僕が言うと、今度は彼女はむっとした顔になった。彼女がいろんな表情を見せてくれるのがこんなにも嬉しい。僕もなんで彼女を好きになったのかは分からない。もしかしたら、駅に一人たたずむ彼女に気づいてから、ずっと好きだったのかもしれない。好きになるとは本当に些細なことからなのかもしれない。
「僕は笑顔が好きだけど? というより、君が好きみたいだけど?」
 なんでもないことのように僕の口から漏れた言葉に、彼女は少し、首をかしげ、次の瞬間顔を紅く染めた。
「君が、まだ僕のことを好きなら、電車の時間は前に戻そう、ね? 朝は弱いんだ、僕」
 そう言って、僕は少しどきどきしながら、手を差し出した。そしてグーパーを交互にしてみせる。彼女は僕の顔を穴が開くように見つめ、恐る恐る僕の手を握った。彼女の手は僕の手より温かく柔らかかった。
「あ、冷たい?」
「大、丈夫」
 僕は本当に嬉しくて、満面の笑顔で彼女を振り返った。彼女も今度は笑い返してくれた。その笑顔は、剣道場で見た笑顔より数倍も可愛かった。
「そうだ、ねえ、なんで電車を待つとき、線路ばかり見ていたの?」
 僕はずっと気になっていたことを聞いてみた。
「え」
 彼女は困ったような顔をした。
「線路を見ていたかな、私。
ただ、じっと待っているときって視線をどこに向けたらいいのか分からなくて」
「なんだ、よかった。自殺でも考えているのかと思ってたよ」
 彼女は驚いた顔になった。
「え?! いえ、考えてないです。そんな」
「それを聞いて安心したよ。
そうだ、君の名前、教えてもらわないと。僕は田中賢治」
「私の名前は……」
 僕はやっと彼女の名を聞くことができた。
 そして、彼女は僕の「彼女」になった。


                    了




 結構恥ずかしい作品ですが、でも、意外に気に入っていたりします。
 お楽しみいただけたら幸いです。
 
 ここまで読んでくださりありがとうございました。
 これからもどうぞよろしくお願いします。


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