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天音花香の小説をUPするブログです。個人サイトの小説はこちらに移しました。現在二時創作と短編を中心に書いています。
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天音花香
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性別:
女性
職業:
主婦
趣味:
いろいろ・・・
自己紹介:
小学生のときに、テレビの影響で、小説を書き始めました。高校の時に文芸部、新聞部で文芸活動をしました(主に、詩ですが)。一応文学部でです。ですが、大学時代、働いていた時期は小説を書く暇がなく、主婦になってから活動を再開。

好きな小説家は、小野 不由美先生、恩田陸先生、加納朋子先生、乙一先生、浅田次郎先生、雪乃 紗衣先生、冴木忍先生、深沢美潮先生、前田珠子先生、市川拓司先生他。
もう一つのブログでは香水についてレビューをしております。
http://yaplog.jp/inka_rose/
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こんばんは、天音です。

この香水ブログ、そしてもう一つの小説ブログに載せている全ての作品の著作権は天音花香にあり、放棄しておりません。
無断転載、無許可の販売は禁止です。
某サイトにて著作権侵害、違法販売されていた私の作品の販売が停止されました。
FC2さまと応援してくださった皆様方のおかげです。本当にありがとうございました。



さて、久しぶりに新作です。
私の小説は見た夢をいじって書くものが多いのですが、これも夢からヒントを得ました。
後は、私の好みが繁栄されている小説であります。
たぶんお好きな方はなんとなく気付かれるかも? 
ですが、登場人物設定は私には珍しく相手が年下であります。
ツキはモデルがいます。
それは後半を書き終わったときに書こうかな、と思っています。
タイトルを決めるの、いつも困ります。なんで白昼夢なのかと言われると、それも自分でもどうしてだろうと思ってしまうタイトルです。
皆さんはどんな風にしてつけられるのかなと思います。難しい……。


それではお楽しみいただければ幸いです。


ココから小説



  「白昼夢」


 ままならないものがこの世にはある。



 私が彼に初めて出会ったのは祖父の修塾でだった。
 主に戦術を教えていた祖父の塾に彼は入ってきた。私が17歳。彼は12歳のときだ。
 妙に綺麗な顔をした育ちのよさそうな少年だった。
 12歳。塾に入るにはやや早い年だ。まだ背の低い少年は、年に似合わぬ丁寧でしっかりした口調で挨拶をした。
「ツキと申します。まだ何も分からぬゆえ、ご指導のほどよろしくお願いいたします」


 祖父の塾には各国に軍師や将軍として仕官したい若者が集まる。
 その中で私、ヨルは唯一人の女の塾生であった。
 両親は婚期の遅れ気味の私が塾に通い、ますます普通の女性としての道から外れていくことを嘆いていたが、私は女性として生きるよりも名を上げてそこそこの主君の下で仕官することを望んでいた。
 祖父の血だろうか。10歳になったときには祖父に質問ばかりをし、14歳で塾に入った。私の才能は塾の中でもぬきんでていたが、いかんせん女の私に仕官を望む主君はなかなか現れず、17歳を迎えていた。
 そんな私にツキは言った。
「女性のヨルさんが塾にいらっしゃるのには驚きました」
 まあ、塾に入ってきた誰もが私の存在に疑問を抱くものだ。
「そうか」
「おじいさまの影響ですか」
「それもあるだろうが、私は名のある主君のもとで自分の力を振るってみたいのだ」
「……仕官をされたいということですか」
「そういうことだ」
 ツキはしばらく目伏せて考える仕草をした。私は興味深げにその顔を見ていた。
「……。僕はまだ世の中の仕組みがよくわかりませんが、女性だからといって仕官できないというのはおかしいと思っていました。ヨルさんの志は尊いものだと思います」
 伏せていた目を上げ私の目を真っ直ぐ見つめてツキは言った。大きな黒瞳は清らかで迷いがなく、私はますます彼に興味を覚えた。


 ツキは聡明な少年で頭角をすぐに現した。年は若いながらも彼のそばには彼に教えをこう者が絶えずいるようになった。ツキは謙虚な姿勢で対応をしていた。だがその姿からは自信が垣間見えた。


 私とツキは塾で学んだことについて話すことはあったが、普段は言葉を交わすことは少なかった。ただ、ふいにツキが同じことを感じているのではと思うときがあり、そんなとき私とツキは全く同じタイミングで互いの姿を認める。私たちは見つめあうことになるのだが、ツキは決まってそんなときふっと優しく目を笑むのだ。その時間にしてはわずかな瞬間が私はとても心地よかった。
 戦術について話す時、私はツキと自分が最も近しく感じられた。
 条件をあらかじめ設定し、どう攻めるか、もしくは敵同士の設定でどう相手を攻略するかなどを時間も忘れて話した。同じ軍として攻めるときは私とツキの考えは似ていたし、敵同士の設定のときもツキがどう軍を動かすかは手に取るように分かった。そしてツキにも私の考えが分かっているようだった。 
 またツキは武術も怠りなく学んでいて、私はよく手合わせを願った。
「お前に1度も勝てたことがない」
「やはり力では女性は男性に勝つことは難しいかもしれませんね。ヨルさんの腕が悪いわけではありません。どうか悲しまないで下さい」
 そういわれると余計に悲しく、女である自分の身が悔しかった。
 だが、私がツキに勝てなかったのは女だからではないのが後に分かった。様々な塾生と手合わせをすると勝てるときも多く、私がツキに勝てないのはツキが強いからなのだと悟った。
「私はツキに勝てるようになりたい」
 私が言うと、ツキは少し悲しげに微笑んで、
「私は貴女に負けるわけにはいかないのです」
 と言った。
「?」
「ヨルさんは察しがいいのにわからないのですか?」
 ツキの長い睫がふるえ、ため息をつくように言われたとき、私は自分の心臓がはねるのを感じた。
 まさか。こんなにも年の違う私をツキが好きなわけがない。
 私が黙っているとツキは目を伏せた。睫の影が落ちた。ツキからは寂しさがにじみ出ていて、私は思わずツキを抱きしめた。抱きしめたつもりだったが、もうツキの身長は伸びて、私よりも少し高くなっていて、どちらが抱きしめているのかわからない図になった。それに気付いて、なんだか急に恥ずかしくなって離れようとすると、今度はツキが私を抱きしめた。はれものに触るかのように。
「私と貴女の気持ちが同じものであればいいのに」
 ツキは本当に私が好きなのだろうか。私はツキを好きなのだろうか。
 分からない。
 なんと答えたらいいのかわからなかった。だがしばらく私はツキに身を預けていた。ツキは16歳に、私は21歳になっていた。
  

 私に仕官の話が来た。
 この1年で力をつけたリュウ国であった。リュウ国は上に位置するソウ国から攻められていた。ソウ国はリュウ国より以前から力を持っている大国で、人材も豊富であった。そのソウ国に対抗するためにリュウ国は人材を探していた。
「リュウ国に仕官されるそうですね」
「ああ、そうなった」
「……おめでとうございます」
「ありがとう」
「寂しく、なります……」
 ツキが儚く微笑んだ。
「……私もだ」
 私の言葉にツキは眉を寄せて泣きそうな顔をした。
「……ですが、きっといつかどこかで会うことになるでしょう」
「……そうだな」
 会えるということは必ずしもいいことではない。
 ツキにも仕官の話がきているという噂があった。ソウ国からもリュウ国からも。そしてリュウ国の下に位置するソン国からも。
 私は一度口にしようとして躊躇った。だが、黙っていることはできなかった。
「ツキ殿はいずれに仕官するか決めているのか」
「……いえ、まだ迷っております」
「そうか……」
「ただ……」
 ツキは少し俯き、ますます顔を曇らせた。
「私の兄がリュウ国にはいらっしゃるので……」
 そのことも耳にしたことがあった。年の10ほど離れたツキの兄、アキはリュウ国の軍師として重く用いられていると。血を絶やさぬようにするため、兄弟で仕官するときは国を違えることが多い。
「……リュウ国には仕官されないということだな」
「そう、なりそうです……」
 私の言葉もツキの言葉も苦渋に満ちていた。
「兄弟で争うのも苦しいものだな」
「はい……」
「私もお前と争うことになるのは苦しい」
「ヨルさん……!」
 ツキが手を伸ばした。いつかそうしたときより力強くツキは私をかき抱いた。肌の触れたところからツキがもう少年の身体ではないのが分かった。私は窒息しそうなな幸福にしばらく身を委ねていたが、運命はままならないものだ。 
「……ご武運を」
「ツキ殿もたっしゃでな」
 私はその次の日、リュウ国へ経った。22歳の夏だった。




 今回はココまで。

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 なるべく早いうちに後半も書きたいなとは思っています。
 いろいろ書きたいものがあるのですが、なかなかまとまった時間がとれず放置状態になっていてすみません。頑張ります。

 
  ここまで読んでくださりありがとうございました。
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 それではまた!               天音花香 


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この「白昼夢」、もう少し短く終わるかと思っていたのですが、書いているとなかなか進まずまだ終わりそうにありません(苦笑 ラストは書き終わっているのですが、間がまだ抜けております。
主人公がいつも書くタイプと違うのでそれもあるかもしれません。
でも書ききりたい作品なので頑張ります。
前回「前半」と書きましたが、たぶん後何回か続きそうなので、今回は2にしておきました。


それではお楽しみいただければ幸いです。

最初から読む


ココから小説



 リュウ王は40歳半ばぐらいの男で、豊かな髭と静かで自愛に満ちた瞳をしていた。だが優しさだけではない強さがあった。
「そなたの祖父についてはよく耳にしておる。だが、私はそなたをそなたとして見る。祖父の名や女であることは気にせずともよい。私は才ある者が欲しいのだ。そなたの力を私に貸してくれ」
 リュウ王にそう言われたとき、瞼の奥がじんと熱くなるのを感じた。私を見つめる瞳はどこまでも澄んでいて、嘘偽りがなかった。この方は私を私として評価してくれるだろう。私はこの方に一生仕えようと心から思った。
 また、ツキの兄であるアキ殿にも会った。
「お噂はツキからきいております」
と言って柔和に笑ったアキ殿は口元がツキに似ていた。だが、ツキよりも線が細く、文官らしい雰囲気であった。
 私がリュウ王に仕官して半年。ツキがソン国に仕官することになったと風のたよりに聞いた。ソン国とはまだ戦にはなってはおらず、私は少しほっとした。


 
 仕官して私は初めて現実を知る。
 戦場は机上とは違う。ツキと戦術について何時間も語り合ってきたが、語るだけと実行するのは重みが違いすぎる。戦場は常に死と隣りあわせなのだ。仕官して幾ばくかの、命令されるだけの時期はまだよかった。
 28歳で私は将軍になった。自分の命令で兵の命が左右されるようになり、私は自分の才を過信し仕官を考えたこと自体を悔やむことが増えた。
 同じ頃にツキがソン国の将軍になったと聞いた。やはりツキの才能はずば抜けていたのだ。



 「ヨル将軍?」
 私が陣営にてあまりの暑さに髪をあげ、うなじを拭いていたときだった。
「なんだ、フユ?」
 副将軍のフユが私の顔をじっと見ていた。
「ヨル将軍は美しい方なのに、いつもはどうしてそんなに顔を隠しておいでなのです? そのように髪をあげていらしたらいいのに」
 そう言って、フユは私の髪に手を伸ばした。
「触るな」
 反射的によけて、私は髪を下ろした。
「も、申し訳ございません!」
「いい。少し一人にしてくれ」
「は」
 鼻が奥がつんとして、私は目を手で覆った。
 ――「ヨルさんは美しいのになぜ顔をお隠しになるのですか?」
 ツキがそう言って私の髪をそっとあげた日が昨日のように蘇る。柔らかな眼差しが。近づいて気付いた意外と細い前髪が。そして指が。ツキの指は細長く、そして思ったよりも骨ばったものだった。
 触られた髪が覚えている。ツキの指を覚えている。ツキを覚えている。
 ツキ。ソン国でお前は何を思っている?
「――くっ」
 私は胸の痛みを吐き出すように息をして、苛立たしげに前髪をはらった。
 いけない。いつのまに私はこんなに弱くなったのだろう。しっかりしなければ。ツキはきっと仕官を後悔なんてしていないだろう。私が、私が甘かったのだ。
 ツキに会いたい。けれど、会いたくない。会うときは戦場でなのだ。でも。それでも会わなければならない日が来るのなら。お前に恥じぬ私でありたい。  

 




 広間はざわついていた。私が一人でツキを追ったこと。そしてとり逃がしたことを責める声があちこちから聞こえてきた。
 私は膝を折り、ただ頭を深く垂れてリュウ王の前で微動だにしなかった。
「もう一度訊く。橋は焼かれていて、ツキは逃げた後だったのだな?」
「はい……」
 私は頷くことしか出来なかった。
「……面を上げよ」
「……」
 私はゆっくり顔をリュウ王の方へあげた。私の目にはどんな光が宿っているのだろう。私がどんな目をしていても、リュウ王の私に向ける眼差しはやはり真っ直ぐで、迷いがなかった。
 きっとこの方は分かっているのだ。
 一瞬がとても長く感じられた。
「分かった。
この度はケイ城攻めご苦労であった。ケイ城はリュウ国とソン国が接する要である。ヨル将軍。ケイ城をそなたに任せる」
 ざわめきがどよめきに変わった。
「リュウ王! ヨル将軍では心もとないのでは!?」
 上がった声に、
「今までのヨル将軍の働きをそなたたちは見てこなかったのか?」
 リュウ王が一喝すると、辺りを見回すようにしながら一人ひとりが口を閉ざした。
「ヨル将軍は明日ケイ城に発つように」
 リュウ王はそれだけ言うとその場を後にした。
 見えない鎖が私を徐々に縛っていく。リュウ王は分かっているのだ。信頼こそが私を最も有効に縛るものだと。
「フユ、兵に支度をさせろ。お前も用意しろ。そして今日はゆっくり休むように言え」
「は」
 私は自室への足を急ぎながら一ヶ月前のことを思い出していた。
 



今日はココまで。


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場面が次々変わり、読みにくくてすみません。
本当は次の部分まで書くのが一番なのですが、長くなりそうなので今日はここまでで。
全て書き終わったら一つにまとめようと思います。
そのとき手を加えるかもしれません。
もう少しお付き合いいただければと思います。


レギオンの二次創作も進めたいし、いざ、出撃! 恋戦もまだ書きたいものがあるし、まとまった時間が、そして思ったらそれが文章になるようなものがあったら! なんて考えます。夜中になればなるほど文章が進むので本当は夜中に書きたいのですが、最近はきつくてパソコンを夜中に開くのが億劫であります。
が、頑張ります。


  ここまで読んでくださりありがとうございました。
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すみません。なんだか体調がよろしくなく、更新が滞っています。
この「白昼夢」は、テーマが単なる恋愛ではないつもりなので、書くのに結構エネルギーがいりますね。
なかなか筆が進まず……。

とりあえず、少しだけ進めましたので載せておきます。
前回の2の部分の
「私は自室への足を急ぎながら数日前のことを思い出していた。」→「 私は自室への足を急ぎながら一ヶ月前のことを思い出していた。」
に訂正します。すみません。

ココから小説
 
最初から読む


 ソウ国はまだ小国がいくつかある北西にも遠征をし、その領土を広げていっていた。ソン国はソン国でまだ平定されていなかった北の国々を手中に収め、リュウ国と接するようになっていた。また、それによってソン国はソウ国とも接するようになり、天下はソウ国が北を大きく支配し、その南西をリュウ国、南東をソン国が占めるようになっていた。リュウ国は相変わらずソウ国と緊迫した状況が続いており、ソン国もまたソウ国と一触即発の状態であった。リュウ国の南西にはいくつかの異民族の小国があり、リュウ王はその国々も平定しようと考えていた。だが。
「ソウ国は北西に兵を割き、またソン国も南東の平定に兵を割いている様子。また、ソウ国とソン国は互いを牽制している状態である。今は南西に兵を割くのはやめ、ソン国のケイ城をとってしまうのは如何でしょう」
 アキ殿の提案であった。
 ケイ城のあるケイ州は人口も農地も多く、リュウ国としてはソウ国と争っているうちにソン国にとられたことが惜しまれる土地であった。
「ふむ……。なるほど」
椅子の肘掛にもたれるようにして、話をきいていたリュウ王はゆっくり思案するように目何度か瞬かせた。
「私はアキの意見に賛成だ。確かにケイ州は惜しい。南西を平定するのにはまだ時間がかかりそうだ。その豊かな土地から入る利益を考えれば先にケイ州をとることが望ましい。して、誰に攻めさせるのだ?」
 リュウ王がアキ殿に問うた。
「ケイ城を現在守っているのはツキです」
 アキ殿の言葉に私は自分の眉の上がぴくりと動くのを感じた。
ケイ城は正面の南門とその左右に東門、西門があり、城の後ろは山になっております。東門西門の周りには森があります。兵糧のたくわえもあると考えられますので、長引けばこちらが不利です。大軍で援軍が来る前に一気に落とすのが上策かと」
「うむ」
「私はケイ城攻め、ヨル殿が適任かと思います」
 アキ殿の言葉に広間はざわついた。
「ふむ、ヨルとな?」
「は。ヨルはツキと同門でしたゆえ、ツキの戦略の癖を分かっているかと存じます。また、最近のヨル殿には勢いがあります」
「……なるほど」
 私は複雑な気持ちでアキ殿とリュウ王の言葉をきいていた。確かに私は二ヶ月前に南西の小国の州のひとつを攻め落としたところであった。
「ヨル、どうだ? そなたケイ城を落としてみよ」
 リュウ王の目が私の瞳を射た。
「……は」
 私は頭を垂れて短く返事をした。広間では私よりも年上の武将や文官たちが数人しかめ面をしてうなっていたが、リュウ王の言葉には逆らえないようだった。かくして私はツキの守るケイ城を攻めることになった。
 王の間から出て、自分の部下たちにことの次第を告げるため足早に歩いていた私を呼び止めたのはアキ殿だった。
「ヨル殿」
「アキ殿」
 私は足を止めて振り返った。
「手加減は無用です。必ずケイ城を手に入れてください」
 アキ殿の声は静かで私はその本心が分からなかった。
「……ツキはアキ殿の弟であるのに……」
 私が戸惑い気味に言うと、アキ殿は少し遠い目をした。
「ソン国にツキが仕えたときに、こうなることは決まっていたことです。私はリュウ王のために尽くすだけ。違いますか?」
 その言葉は私の心に深く突き刺さった。アキ殿は私にもそうしろと言っているのだ。
「……そうですね」
「ええ」
 私の返事にアキ殿は微笑んだ。
「ツキがケイ城を落として二ヶ月ほどです。ケイ州はまだ統治不十分なときでしょう。ただ、ケイ城まで多くの兵を動かすのは容易ではない」
「はい」
「でも貴女ならできるはずです。よろしくお願いします」
「……はい」
 アキ殿の後姿を眺めながら私はケイ城をどう攻略しようかを考え始めていた。



「ケイ城までは拠点が二つある。まずはこの二つを迅速に攻め落とさなければならない。狼煙台を落とし、伝令は直ちに捕らえ、ケイ城まで伝わらぬようにせねばならない」
 私は自軍の将軍や軍師を呼び出し、早速ケイ城攻めについて会議を開いた。
「ふうむ。大軍で早くに攻めるのは難しいかと。まず少ない軍で狼煙台と伝令を先に落としたほうがよさそうですな」
「拠点は小さく、ソン国の将ではなく、元あったハン国の武将が治めている様子」
「フユ将軍に任せようと私は思うがどうだ?」
 私の声に皆頷いた。
「それでは私がまず攻め落とします。精鋭を幾ばくかいただきたく存じます」
「うむ。兵はフユ将軍自身で選んでくれ」
「は」
「フユ将軍の武勇でしたら心配ないでしょう。残りの兵はなるべく迅速にケイ城を目指すということになりますな」
 フユには狼煙台と伝令を始末するのを最優先させ、次の拠点に先に攻めてもらい、残りの兵でフユがかく乱した拠点を完全に落として進むということになった。兵の疲労が予測されるので、ケイ城の前でフユと合流してから数日は休ませる。その間に城攻めのための梯子などを作っておく。正門に兵は集中し、正門を破る。ソン国の兵が手薄になった頃を見計らって、東西に伏せていた残りの兵を使って残る二つの門を破り、一気に叩く。
「ソン軍の援軍がくるとしたら、東門のあるほうですな」
「だが、東門に多くの兵をさいたら、正門に兵を集められますまい」
「うむ。それに援軍が到着すれば我らが危うい」
「兵が多い分こちらの兵糧の消費も激しい」
「そういうことだ。ケイ城をとることを優先させる。援軍が来る前になんとしてもケイ城をおとすのだ。深追いはせずともよい」
 私の言葉に、
「は」
 と皆の声が応じた。


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 ゆっくりな進みで申し訳ございません。もう少しお付き合い下さい。
 
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こんにちは、天音です。
今日は大分止まっていた白昼夢をお届けいたします。
すみません。更新が滞っておりますが、少しずつ進めていきますのでどうかご容赦ください。
どうやら短編ではなくなりそうです。今回の分で半分いくかいかないか……。頑張ります。


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ココから小説

 
最初から読む

 
 「ヨル将軍! 後続部隊はまだいいのですか?」
 フユ将軍が私に耳打ちする。
「まだよい。もう少しこの数で正門の敵をひきつける。東西の門の兵は伏して動かすことのないように」
 私は今回、兵を5等分し、東西の門にそれぞれ5分の1を割き伏せ、正門に5分の2を配置した。残りの5分の1はツキの正門の兵がある程度減った後に投入することにしていた。
 私は考えていた。おそらくツキも兵を5等分しているだろうと。正門に5分の2、退路の近い東門に5分の2、西門に5分の1ぐらいの配置をしているはずだ。私が東西の門から攻めてくるのもわかりきっていることだろう。だが、兵の全体数は自軍の方が勝るはず。正門の兵が崩れれば、ツキは東西の門を守る兵を正門に割かなくてはならなくなるはず。そのとき正門の後続兵を投入し、東西の門に攻め入る。
 
 私の読みどおり、戦況は展開された。
 正門があいた。
「よし、引き続き手を緩めず進め!」
 予想通り、ツキの正門の軍は苦戦を強いられていた。そして、程なくして、兵が東西からやってきた。東西の門を守る兵を正門に持ってきたのだろう。
「ころあいだな。東西に伏した兵で東西の門を破るように伝えろ。また、正門の後続部隊を進ませろ」
 ツキの軍は苦戦はしていたが、いい戦いをしていた。ツキの統率力の高さが窺えた。
(だが、今回は私の勝ちだな)
 私はソン軍兵の剣をかわし、その兵に槍を突き立てる。
(慢心はしてはならない)
「このまま一気に叩くぞ」
「は!!」
 ツキに勝てる。そのことが私の魂を震わせた。戦場にいると、味方兵を失う恐怖が付きまとう。だが、それだけではない。勝利の予感を感じるとき、背がぞくぞくするような興奮を覚える。今の私がそうだった。戦場のざわめきまでもが心地よい。
「撤退~!!」
 ソン国の兵が退きだした。退却の指示のタイミングは難しいと思う。ツキのタイミングは素晴らしかった。敗北を悟ってすぐに撤退する。そして少しでも多くの兵を生かす。
(見事だ)
「よし、城を制圧する。兵を進めろ!」
 退却する兵は深追いせずに城をまず制圧させようと考えた。だが。
(ツキ……。お前は無事なのか? まだツキが捕らえられたという情報は入っていない)
 ツキが私でない誰かに殺られることを想像すると、血が凍るような感覚を覚えた。それだけはあってはならない。ツキは強い。だが、これから何度も戦に出るだろう。その度に死と隣り合わせになるのだ。それは私も同じこと。だが、やはりツキが誰かの手にかかるのだけは許せない。そうなるくらいなら、私がこの手で葬ってやる。
 この機械を逃すと次は難しいかもしれない。だったら、私はツキを追うまでだ。
 私は目に物騒な光をたたえて、東門を見据えた。
「ヨル将軍!?」
 フユが驚き、私を見た。 
「深追いは……」
「分かっている。フユ将軍は城にとどまり、兵にソン国の残兵を捕らえるように指示しろ。殺さず捕らえるように。終われば兵を休ませろ。疲れているはずだ。見張りは交代でさせるように」
「ヨル将軍は!?」
「私はツキを追う。殺れるかもしれない。きっと次はない」
 フユが顔色を変える。
「無茶な! 一人では危険です!」
 駄目だ。他の者の手にかかるのは駄目なのだ。
「……心配ない。たぶんもう追いつけないだろう。すぐ戻る。
いいな、お前はここにとどまり、指示をするように。はっ!」
 私は手でフユを強く制して、馬を駆った。
 そう……。ツキのことだ。もう逃げ延びているだろう。だが……。
 殺すためなのか。一目見るためなのか。自分でも分からない。ツキのことを思うと胸が焼けるように熱くなり、自分が抑えられない。
 ――ツキ……!!



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  ここまで読んでくださりありがとうございました。
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こんにちは、天音です。

今日も白昼夢をお届けいたします。
連日の更新になりましたが、この後はまたお時間いただきます。
書けていない空白の部分があるので、そこを書かなければ……。
が、頑張ります。


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ココから小説

 
最初から読む

 
 東門を一人抜ける。ソン国の兵の退却は見事で、東門から出て馬を進めても残兵に出くわすことがなかった。
 夜風が頬に心地よい。私はただただ馬を走らせた。
「……?」
 風がぬるく……いや、熱くなった……? これは……。
 私は手綱を強く引いて馬を止まらせた。馬は一度嘶いて、足踏みをする。
 橋が燃えていた。
 私は心のどこかでほっとしていた。ツキを追ってここまで来た愚かな自分に笑いがこみ上げる。
「ふ、ははは」
 そのときだった。
 考えるより先に身体が反応していた。
 私の放った弓がひゅうっと空を裂き、木に刺さる音が響いた。
(……ツキ)
 頬をかすめた矢に臆することもない双眸が私を見つめていた。
「流石ですね。ヨルさん。危うく殺されるところでした」
 咄嗟に放った矢だ。手加減など出来うるはずもない。
「……ツキ、なぜお前がここにいる? 橋はもうすぐ落ちるというのに」
「なぜ……? 兵を逃がすためですよ。追撃はないとは思ったのですが、もしものためにと。時間稼ぎにはなるでしょう?」
 飄々とツキは答えた。
「馬鹿な。お前は自分の価値が分かっているのか?」
 私は声を荒げた。
「だから私が残る意味があるんです。
……命の価値は皆等しいものなのに……。皮肉ですね」
「お前は今やソン国になくてはならない存在なのだぞ?」
「だから何なのです? 私はより安全なところまで兵を逃がしたいだけです。
ヨルさんこそ一人で追撃なんて、ソン国の残兵がいたらどうしたんです?」
 私は黙った。
「もしかして、私に会いに来て下さったんですか? 嬉しいな」
 ツキは微笑んだ。私はこんなときに笑えない。
「……ツキを殺しに来たのだ」
 仕官する前のように、私がツキに勝てないと高を括っているのだろうか。
「そうですか。……貴女に殺されるのなら、それもいいかもしれない」
 笑っているツキの顔が一瞬泣いているように見えて、私は胸が痛んだ。
「何を、言うのだ……」
 先刻までふつふつと湧いていた怒りが急に萎んでいく。
 ツキの元に馬はいなく、私は馬上にいる。私の方が完全に有利だ。馬を駆って距離をつめ、槍を振り下ろせば勝てるやもしれない。
 私たちはしばらく無言で見つめあった。ツキの瞳は静かで、何も恐れてなどいないようだった。死をも……?
 私は馬から降りた。ツキに近づく。ツキは動かない。槍の届く範囲に入った。ツキは剣を抜かない。
「本当に死ぬ気ではあるまいな?」
「では、殺りあいますか?」
 私は重い息を吐いた。
「私たちの立場を考えれば、あまりにも情けない行動だな。お前が残ったのも。私が追ったのも」
 もう、ツキを殺そうという思いは一かけらもなくなっていて、逆にツキをどう生かそうかばかりを考えていた。心配してフユが追ってくるかもしれない。急がなければならない。
 橋は完全に燃えてなくなっていた。
「ツキ……」
 私は手にした槍を地に捨て、ツキを見た。
「ヨルさん……?」
「本当はお前に会いたかったのだ。ずっと会いたかった」
 私はツキの肩を引き寄せた。
「私はお前に恥じぬ私でありたいと思っていたのに、この様なのは情けないが……」
「ヨルさん……! 私もです。私も本当に貴女に会いたかった……! 味方同士ではないのは分かっても」
 お互い、慈しむように相手を見て、笑みをもらす。
 十分だと思った。
「……?」
 ツキの黒い瞳が揺れた。
「ヨル、さん……?」
 私はツキの鳩尾に拳を放っていた。
 ツキは一瞬息ができなくなり、よろけた。そのツキの身体を橋の方へと押す。ツキは咳き込んだ。
「な、何をする気ですか?! 不意打ちなんてヨルさん、卑怯です!」
 私は黙ったまま橋の前にツキを立たせた。
「ヨルさん?」
「……ここにいては危険だ。時間稼ぎはもういい。このままではフユ将軍がくるかもしれない。
お前は生き延びなければならない」
 私はツキの目を見たまま、ツキの胸をどんと押し、川に落とした。
「よ、ヨルさ……」
 ツキの声が遠のく。ツキは目を見張ったまま闇に消え、程なくバシャンと水の音が響いた。
 橋から川まではさほど高さはなかったし、川には深さがあった。下流はソン国の領土に続いている。
(ツキ、生きろ。私が死ぬまで、死ぬことは許さない)
 私は木に刺さったままの矢を引き抜き、背の矢筒に入れ、捨てた槍を拾った。
『橋はすでに落ちていて、ツキはいなかった』
 それでいい。
 私は再びケイ城へ馬を走らせた。
 フユ将軍はやはり私を追おうとしていて、東門のそばで会った。
 ケイ城にとり残されたソン国の兵は少数で、私は殺さず投降させた。


 これが一ヶ月前のできごとだった。



 今回はココまで。

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