忍者ブログ
天音花香の小説をUPするブログです。個人サイトの小説はこちらに移しました。現在二時創作と短編を中心に書いています。
カレンダー
06 2018/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
リンク
フリーエリア
最新コメント
[10/10 ブランド激安市場N級品専門店]
[09/22 プラダバッグコピー]
[08/15 激安ブランド館N品激安専門店]
[06/26 カルティエ 結婚指輪 ラニエール]
[08/05 天音花香]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
天音花香
HP:
性別:
女性
職業:
主婦
趣味:
いろいろ・・・
自己紹介:
小学生のときに、テレビの影響で、小説を書き始めました。高校の時に文芸部、新聞部で文芸活動をしました(主に、詩ですが)。一応文学部でです。ですが、大学時代、働いていた時期は小説を書く暇がなく、主婦になってから活動を再開。

好きな小説家は、小野 不由美先生、恩田陸先生、加納朋子先生、乙一先生、浅田次郎先生、雪乃 紗衣先生、冴木忍先生、深沢美潮先生、前田珠子先生、市川拓司先生他。
もう一つのブログでは香水についてレビューをしております。
http://yaplog.jp/inka_rose/
こんな私ですが、宜しくお願いします。





ランキングに参加しております。よろしければ下のバナーをクリックしてください!


にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村

ブログランキングのブログん家


ネット小説情報局


オンライン小説検索・小説の匣


文芸Webサーチ


カテゴリ別オンライン小説ランキング

オンライン小説/ネット小説検索・ランキング-HONなびtitle="オンライン小説/ネット小説検索・ランキング-HONなび"width="200"height="40"
border="0">



NEWVEL2


『小説家になろう』


『MEGURI-NET』


『NEWVEL』





別名で小説を出版しております。

クリックで救える命がある。
バーコード
ブログ内検索
P R
アクセス解析
フリーエリア
フリーエリア
[ 1 ] [ 2 ]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

こんにちは、天音です。

今日二回目の更新は恋人ごっこです。
なかなか進みませんが少しずつ書いていきますので、よろしくお願いします。


コメントいただければ喜びます。
拍手もとても支えになります。その際にはぜひ、一言書いていただければ嬉しいです。
それでは、お楽しみいただければ幸いです。


ココから小説



 それぞれの思い



 帰ってきたはいいが、亜貴は食事が余り進まなかった。
「何かあったの?」
 母親の言葉に、何でもないと答えて、お風呂に入る。
ーー嫌な臭いじゃないーー
 刻の言葉を思い出して、なぜかいつもより念入りに身体を洗ってしまった。布団に入ってもなんだか寝付けず、ぼんやりと天井を見る。樋口先輩を裏切ってるような嫌な感じがした。本屋での出来事がチラチラする。その度に事故よ、と自分に言い聞かせた。ようやく眠れたと思ったら目覚ましが鳴った。
「……今日、日曜じゃない」
 時計を恨めしそうに見て止めると、亜貴はもう一度布団をかぶった。亜貴にしては珍しく昼近くまで寝ていて、起床して階段を下りていくと両親の姿はなく、映画を見に行くとだけ伝言があった。
(娘一人置いて映画……)
 亜貴の両親は仲が良い。それだけに亜貴は結婚に夢があった。いつか本当に好きな人と一緒になりたい。でもそれは樋口先輩ではないようだ、と思うとやっぱり悲しい。その後一瞬刻の顔が浮かび、亜貴は「ないない」と全力で否定した。昨日、刻を置いて帰る際に購入だけしていた少女漫画を開いた。あるシーンに、亜貴は自分の顔が赤くなるのを感じた。
(また思い出してしまった。事故。あれは事故。唇と唇じゃないんだから、キスなんかじゃない)
 結局少女漫画を読むのを諦めて、亜貴はリビングのソファーに座るとテレビをつけた。
(好きな人が変わるなんてあるのかな)
 テレビをぼんやり見ながら亜貴は考えた。樋口先輩は亜貴の初恋の人だった。初めて男性を異性として意識した。顔が見られたらそれだけで幸せ。樋口先輩の存在で学校生活が以前より楽しくなった。そして初めての失恋。
(失恋したからってすぐに先輩への気持ちがなくなるわけないんだよね)
 恋愛にも授業があればいいのに、なんて思ってしまう。今後樋口先輩以上に好きになれる男性(ひと)が現れるのだろうか。でもそれはどこか寂しいことのように感じた。今の気持ちは永遠じゃないのだ。こんなに好きなのに。
(この世に永遠の愛なんてあるのかな。
……あればいいな)
 そう、亜貴の両親のような関係。それが自分にとってはベストだ。
 でもまだ見ぬ王子様を探すより前に、今は樋口先輩のことだ。どうやったら円上先輩とうまくいくだろう。喫茶店で刻が言っていたことを思い出す。できることは限られてる、それは事実だと思う。でも、でも何かしたいのだ。
(とにかく樋口先輩が円上先輩を好きという確信がまだないから、そこをこの目で確認して、それから、それから?
二人であの喫茶店で会わせて……。その後が思いつかない……)
 ふうとため息が出た。もはやテレビの音は耳に入ってこない。
(うーん、刻と考えよう。
待って、でも、刻と私、どんな顔して会えばいいの?!)
 気まずい。今日もあまり眠れないかもしれない。


***


「うわあー!」
  刻は思わず叫んで、自分の声で目を覚ました。
(夢……)
 ほっと胸を撫で下ろす。が。
(何でこんな夢見んだよ、俺!)
 初めてのことだった。女子が夢に出てくるなんて。しかも。柔らかな感触を思い出して、ぐいと自分の唇を拭う。自分は変態なのかと思い、頭を抱えた。今日、どんな顔をして亜貴に会えばいいか分からなかった。とにかく学校には行かなければ。


***


 終業のチャイムが鳴っている。寝不足による頭痛にチャイムの音がさらに響き、亜貴はこめかみを押さえた。昼休みになったと思うとますます気持ちが沈んだ。今日も一緒に昼食をとるのだろうか。いつも通り刻が来るようなら、男女の感覚の違いを感じざるを得ない。はあ~と息を吐いて亜貴は机に突っ伏す。
(今日は約束したわけじゃないから、いつもの場所に行かなくてもいいよね)
 勝手に理由付けて気をとりなおし、自席で弁当箱を開けた。食欲を感じなかったが、作ってくれた母親に申し訳ないので少し手をつけた。余った分は夕飯として食べよう。
 刻は結局昼休み現れなかった。


***


 刻は亜貴の教室に行こうか迷っていた。でも行っても今日は避けられるかもしれない。きっとあの「接触事故」のこと、怒ってるだろうから。もう一度謝りたい。その気持ちは強かったが、情けないことに席を立つ気になれない。今朝見た夢が蘇る。亜貴の顔を見て平常心でいられる自信がなかった。
 結局、刻は自分の教室から出ることなく昼食をとった。会わない安堵と会えない焦燥。味わったことのない奇妙な気持ちに刻は戸惑う。ただ数日一緒にいた、それだけで以前とは違った見方で女子を見ている。相手が誰であってもこうなるのだろうか? 例えば告白してきたあの女子と付き合ってみても?
 思い出して少し心が傷んだ。悪いことをしたと今なら思える。
(でも、気持ちもないのに付き合うのもどうなんだ?)
 そう思う自分もいた。「接触事故」直後の亜貴の顔が思い出される。泣く寸前のような顔だった。
(俺とはそういうことは考えられないってことだよな)
 まあ、付き合いだした理由が理由だし、亜貴は焔が好きなのだからと思うと当然の気もしたが、少し傷つく自分がいた。男女の差がそこにはあるのだろうか。
(俺は……そうだな、別にどうでもいいけど。でも、キスは好きな子との方がいいんだろうな)
 また今朝の夢を思い出して、ぶんぶんと頭を振った。
(別に、亜貴としたいわけじゃねぇし)

             
       やっぱり先輩の好きな人は


 午後の授業を終えると、刻は部活に行ってすっきりしようと教室を出た。
 階段に差しかかるところで少し前を歩く亜貴の姿が見えたが、声をかけることがなかなかできない。そのまま距離を保って後ろを歩く。階段を下りて下駄箱で靴を履き替え、ふともう一度亜貴を見ると、亜貴の足は校舎から出て直ぐの所で止まっていた。何かを見ているようだった。その視線を辿ると、焔とさゆりが並んで帰っているのが見えた。
(!)
 反射的にもう一度亜貴の横顔を見て、刻はなんともいえない気持ちになった。亜貴は羨むような、哀しむような、表現しがたい顔で二人を見ていた。
 刻は足を踏み出した。


***


 結局昼食後も寝不足から頭痛が収まらず、ぼんやりと授業を受けて、終業のチャイムと共に亜貴は早めに帰ることにした。刻は部活だろう。いつまでも避けてるわけにはいかないけれど、今日はとにかくゆっくり寝たい。明日、明日からまた刻とは何もなかったように接する努力をしよう。そう思って、下駄箱を通り校舎を出た時だった。後ろ姿だけでも見間違えることはない。校門に向かって歩いているのは樋口先輩だった。円上先輩と一緒だ。部活のとき以外で二人をセットで見るのは初めてかもしれない。
(あ……)
 樋口先輩のこんなに優しい顔、初めて見る。いつもは大人びて見えた樋口先輩の横顔がなんだか年相応の笑顔に見える。心を許してるんだろうなと思った。そして、それだけじゃなかった。樋口先輩の円上先輩に注ぐ視線には優しさだけでなく、一人の好きな女性を見るときに帯びる熱っぽさがあった。
(やっぱり、樋口先輩は円上先輩が好きなんだ。たぶん、いや、間違いなく。
……そっか。やっぱりそうだったんだ)
 頭でそうだろうなあとは思ってたけど、実際に樋口先輩のこんな顔を見てしまうと、なんとも複雑な気持ちになる。見るんじゃなかったなんても思ってしまう。事実から顔を背けたくなる。でも、それでは駄目なのだ。樋口先輩を応援しなきゃいけないから。いや、応援したいのだから。だから、悲しんではいけない。
 樋口先輩の隣の円上先輩も、普段亜貴が知っているより幼く見えた。こうして二人で歩いていると恋人同士に見えなくもない。でも、樋口先輩は好きな人がいるとは言ったけれど、彼女とは言わなかった。円上先輩はどう思ってるのだろう。
(……)
 もやもやする。自分に何ができるかわからない。
 そのとき、頬を誰かに引っ張られた。
「いひゃい」
 こんなことをするのは刻ぐらいしかいないだろう。
「やめひぇよ」
 手を払って後ろを振り返るとやはり刻がいた。神妙な顔をしている。
「もう、なんなの、いきなり」
「……お前、すっげぇブサイクな顔してた」
「喧嘩を売るつもり?」
「いや」
「だったら何なの、もう」
 頬をさすりながら亜貴はブツブツと溢す。
「やっぱ、やめよーぜ」
 刻が真面目な顔のまま言った。
「……? 何を?」
 亜貴は訝しげな顔で刻を見る。
「兄貴のことだよ」
「なんで?」
「亜貴の顔がブサイクになるから」
「は?」
「そんな表情するぐらいなら、やめた方がいいって言ってんだよ」
 少し苛立ちを含んだ刻の声。亜貴は、自分はどんな顔をしていたんだろうと思った。
「そんなに変な顔をしてた?」
「ああ」
「……」
 刻が何を思ってそんなことを言うのかは亜貴には測りかねたが、引き下がるわけにはいかなかった。
「今日見て、分かった。刻が言ってた通り、樋口先輩は円上先輩が好きだと」
「……」
「やっぱり、私は樋口先輩のために何かしたいと言うのは変わらないよ。だからやめない。でも、刻が私に協力したくないって言うなら、それは仕方がないと思ってる」
 亜貴の目には以前と変わらぬ強い決意が宿っていた。刻は考える。自分はどうしたいのか。
「俺は……」
 焔は刻にとっても兄だ。幸せになってもらいたいに決まってる。
「俺だって兄貴の幸せを望むさ。ただ、亜貴のことだってどうでもいいとは思ってない。悲しそうだとこっちだって何か苛々するんだよ!」
 顔を背け言いにくそうに言った刻に、亜貴は少し驚く。
「苛々……」
「まあ、でも、俺は今お前の彼氏なんだろ? じゃあ、亜貴に協力してやるしかねぇよ。亜貴が望むなら」
 ふんと鼻をならし、今度は偉そうに刻は言い切った。
「やめろと言ったり、協力すると言ったり……。
よくわからないけど、協力してもらえるなら私はありがたいわ」
 可笑しそうに亜貴は笑って言った。
「ふん。
じゃあ、俺部活行くから。
……また明日な」
「うん、また明日」
 また明日。なかなか言えないと思っていた言葉が言えて、二人はそれぞれほっとしていた。


                     続く



 ここまで読んでくださりありがとうございました。次はこの続きになるかわかりませんが(短編になるかもです)、この小説はまだまだ続くと思われます。これからもどうぞよろしくお願いします。

 また、ランキングに参加しております。
 プロフィール下のバナーをクリックしていただければ幸いです。


 それではまた!               天音花香

拍手[0回]

PR
こんにちは、天音です。

恋人ごっこをお送りいたします。
少しずつ書いていきますので、よろしくお願いします。


コメントいただければ喜びます。
拍手もとても支えになります。その際にはぜひ、一言書いていただければ嬉しいです。
それでは、お楽しみいただければ幸いです。


ココから小説



 先輩、県外に行くんですか?!



 亜貴がいつもの場所に行くと刻はすでにベンチに座っていて、サッカーをしてる男子たちをぼんやりと見ていた。
「刻」
 亜貴が呼びかけると、
「おう」
 と応じて亜貴の方を向いた。亜貴もベンチに腰を下ろす。
「「あのさ」」
 声が重なった。
「何?」
「うん……あの、本屋でのことだけど、今更だけど本当にごめんな」
「……土曜日にも言ったけど、誰が悪いって訳ではないから。事故よ。事故」
「ああ。でも、亜貴すげえ悲しそうな顔してたから……」
 刻は亜貴から目を逸らして、自分の足を見つめるようにして言った。
「べ、別に刻だからショックだった訳じゃないわよ? なんていうの? やっぱりキスとかは本当に好きな人とがいいじゃない? 特に初めてのは」
「でも、こないだのは言っとくけど唇同士じゃねーぜ?」
「そんなの分かってるわよ! でも、やっぱりショックだっただけ。あんたは平気なの?」
 亜貴に言われて、刻は両腕を組み考えるしぐさをした。
「……まあ、びっくりはしたけど。でも犬だって口の周り舐めるし」
「はあ? 犬?」
 亜貴の声色が変わる。自分は犬と一緒のレベルってこと?
「バカ、例えだよ!」
「……もうこの話はやめましょう。建設的じゃないわ」
「俺もそう思う」
 二人は何だか疲れて、同じタイミングでため息をつくと同じタイミングで弁当箱を開けた。暫く黙々と食べる。
「あ、そういや兄貴、来週私立の合格発表。その次の日曜日公立の入試みたいだ」
「そうなの?! もう私立受験終わってたんだ……。知らなかった。樋口先輩はどこを受けたのか知ってる?」
「さあ? どこかまでは知らねえけど、新幹線がどうとかって言ってたな」
 のほほんとした刻の言葉に亜貴は顔色を変えた。
「え?! 先輩県外を受けてるの?!」
「え? そうじゃねーの? 何?」
「何って……」
 亜貴はしばらく言葉を失う。刻は不思議そうに亜貴を見ている。
(そっか、樋口先輩、遠くに行くんだ……)
 近くの大学に行ったとしても会える確率なんてたかが知れていて、樋口先輩が高校を訪ねてこない限りはほとんど会える訳ではないだろうけど。それでも亜貴の心にはぽっかりと穴が開くような感覚がした。
 それに。円上先輩はどこを受けてるんだろう。樋口先輩が県外を受けたって知ってるのだろうか。
「亜貴?」
「円上先輩に会わなきゃ」
「え?」
 亜貴はパクパクとおかずの残りを片付けて、最後のおにぎりを一つ刻の弁当箱に入れた。
「お、さんきゅ。って、何? 今から行くの? さゆり姉んとこ」
 目を丸くしてる刻を置いて亜貴は立ち上がった。
「うん。行ってくる!」
 弁当箱片手に駆け出した。ポツンと残された刻は、
「……ま、いっか」
 亜貴からもらったおにぎりにかぶりついた。



「すみません。円上先輩お願いします」
 円上先輩のクラスに行くと、亜貴は教室に入ろうとしている女子生徒に声をかけた。ほどなくして円上先輩が出てきた。
「あら、高城さん? どうしたの? 」
 廊下にはまだ多くの生徒がいた。亜貴はどうしようと考える。
「ここじゃちょっと」
「? じゃあ、放課後部室の前で待ち合わせにする? もうすぐ昼休みも終わっちゃうわ」
 円上先輩の提案に、亜貴は顔を上げ、思いっきり頷いた。
「はいっ! そうして頂けると助かります」
 そんな亜貴にふふふと円上先輩は笑った。
「じゃあ、放課後ね?」
 良かった、と胸を撫で下ろして階段を降りる。自分の教室へ戻ると、その前に刻がいた。
「話せたか?」
「放課後話せるようになった」
「そ? まあ、無茶すんなよ?」
 それだけ言うと刻は自分の教室の方へ歩いて行った。
             

       私、やらかしました


 放課後まで亜貴は落ち着かなかった。告白するときまでとは行かなくとも、自分の心臓がどんなに早鐘を打っているか自覚していた。早く円上先輩と話がしたい。しかしいざ放課後になると、なぜか足は重かった。
 部室の前に円上先輩がいるのが見えた。先輩の方も亜貴を認めて笑顔になった。
「顔色が良くないけど大丈夫?」
 それは緊張しているからだろう。
「先輩、部室棟の裏にいいですか?」
「いいわよ? 何か大事な話なの?」
 円上先輩は不思議そうに亜貴を横目で見上げている。円上先輩の身長は亜貴より少し低い。円上先輩の髪は漆黒に近いが、ふんわりと全体的にクセがあって硬い雰囲気ではない。だが、スッと伸びた背筋と、一重の目は瞳が黒くて大きく、凛とした印象を受ける。可愛いより綺麗という言葉が似合う女性だ。樋口先輩の好きな円上先輩。個人的に話すことは部活中はなかったなと思いながら歩く。
「うん、ここなら人気がないからいいかしら?
どうしたの? 何の相談?」
 果たしてこんなところにまで呼び出す必要があったのかと自分でも思いつつ、でも、呼び出したからには聞かないとと思い、亜貴は腹をくくった。
「あの、円上先輩は、大学はどちらの大学を受けていらっしゃいますか?」
 亜貴の問いに円上先輩は少し面食らう。
「私の大学? ……私は私立も公立も地元の大学を受けるつもりだけれど、高城さんはもう大学のことを考えているの?」
「い、いえ、私はまだ大学のことは考えていません」
「? じゃあ……?」
「あ、あの……」
 言い淀む亜貴に円上先輩は首を傾げ、優しく促す。
「円上先輩は樋口先輩と幼馴染なんですよね?」
「焔?」
 亜貴の言葉に円上先輩は目を丸くした。
「ええ。焔とは幼馴染よ?」
「……樋口先輩が県外の大学を受けていることはご存知ですか?」
 亜貴の言葉に円上先輩はゆっくりと瞬きをした。
「……ええ。そう焔からは聞いたわ」
 明らかに円上先輩の声のトーンが落ちた。亜貴はそんな円上先輩を見て、何だか複雑な気分になる。
(円上先輩は……)
「さ、寂しいですよね。今までずっと一緒だった樋口先輩と離れるのは」
「……ええ、とても」
 円上先輩の本音が聞こえた。亜貴は手にじっとりと汗を握る。
(円上先輩は、樋口先輩のこと、どう思ってるんですか?)
 と思わず口にしそうになって、亜貴は唇を自分で噛み締めて堪えた。
(駄目だ。それは私が聞くべきことではない。また私は立ち入っては行けないところに立ち入ってしまったのではないか)
 そんな不安が急に立ち込める。
 円上先輩は黙ってしまった亜貴を困惑した顔で見ている。
「す、すみません。私、私……」
(私、こんなこと円上先輩に聞いてよかったの?
本当に樋口先輩のためになってるの?!)
「た、高城さん?」
 亜貴の目から涙が一筋溢れたのを見た円上先輩はますます困惑する。
「私、私……」
「高城さん……?」
「すみませんっ! あの、聞きたいのはこれだけです! 失礼しますっ!」
「え? 高城さん?!」
(どうしよう!
私、余計なことしてしまったかもしれない!)
 若干パニックになって走っている亜貴の腕をぐいと誰かが掴んだ。刻だった。
「ま、待てって何?! お前また泣いてんの?!」
「刻! 私! どうしよう!」
 亜貴の足はガクガクと力を失って震えていた。
「さゆり姉と話したんじゃないのか?」
「話したわ! でも、途中で逃げて来た……」
 亜貴は自分の行動を思い返して、さらに不安になる。
「は?」
 刻は真っ青な亜貴の肩に手を置き、
「とりあえず落ち着け。深呼吸だ」
 と言った。いつもなら怒るだろう亜貴は、刻に言われるままに深呼吸をする。
「何を話して来たんだ?」
 亜貴は途切れ途切れに円上先輩との会話を話した。刻の顔が見る見る変わり、
「あちゃー」
 とその口から言葉が漏れた。
「こんなはずじゃなかったのよ?
ただ、円上先輩が樋口先輩が県外に出ることを知らなかったら、二人ともあまりにも悲しすぎると思ったのよ!」
 刻はしばらく黙っていた。
「刻?」
 不安になって亜貴は刻の顔を見上げる。
「亜貴の気持ちは分かる。分かるが、俺が兄貴だったら……」
 刻の言葉に亜貴の肩がピクリと震えた。
「だったら? 樋口先輩だったら?」
 亜貴の眉がハの字に寄せられる。刻はそんな亜貴から目を逸らして、
「……そんなこと望まない」
 と小さく言った。亜貴の目から大きな雫が零れ落ちる。
「……そう、よね……」
 亜貴はがっくりと肩を落とし、うなだれた。その肩を刻は叩く。
「でも、今更嘆いたって仕方ないだろ? 次、どうするかを考えようぜ?」
「……」
 前向きな刻の言葉。すぐにそんな気にはなれない、と思う自分もいた。だが他ならぬ樋口先輩のことだ。このままでいいわけない。亜貴は涙を拭う。
「本当だわ。自分がしたことには責任をとらなきゃ」
「それでこそ亜貴だ」
 刻はそう言ってもう一度亜貴の肩を叩いた。
「俺、悪りぃけど部活行くから。あ、そうだ、その前にケータイの番号だけ交換しとこうぜ?」
「そう言えば聞いてなかった」
 二人は赤外線通信で携帯の情報を交換した。
「じゃ、またな」
 刻は足早に去って行った。残された亜貴はどうしよう、と考える。部室は行く気になれなかった。円上先輩ともう一度会ったらどうしていいかわからない。
(家に帰って今後のことを考えよう)
 亜貴は校門へ歩き出した。


             初電話は反省電話?


「どうしたらいいんだろう」
 夕飯を食べてお風呂に入り、亜貴はベッドに横たわって独り呟く。
 自分に自信がなくなってきた。そもそも自分のこともしっかりできていないのに、人の恋愛に首を突っ込むこと自体どうなんだろうと。
「刻の時だってそうだ」
 自分が振られたから、だから刻が振っているのが許せなかったんじゃないかとさえ思えてくる。
 そうじゃない。あの時は刻を知らなかったし、刻があの女子生徒を小馬鹿にしているように感じたのだ。
(きょーみないとかめんどくせーとか、ほんと失礼すぎる)
 あの日の刻の言葉を思い出すとやっぱり今でも胸がムカムカしてくる。
 でも。刻と付き合ってみると、刻が悪気を持って言っていたのではなく、正直な気持ちだったんだろうと分かってしまった。正直に向き合うというのが刻の優しさだったのなら、私は何様なんだろう。彼女の告白をあんな形でめちゃくちゃにしてしまったのは私の方なのではないか。胸がちくりと痛む。
(馬鹿なのはほんと私だわ)
 心の中で、彼女に謝った。悪気はなかったのは事実。自分の正義に従ったのも事実。でも、自分のしたことが正解かどうかと問われると全く自信がなくなってきた亜貴だった。
「……とにかく今は樋口先輩のことだ」
 自己嫌悪でいっぱいになりながらも、樋口先輩のことに思考を戻した時だった。携帯がけたたましい音を発てて鳴った。刻の名前が表示されているのを見て、亜貴は通話ボタンを押した。
「はい、高城です」
「おう、亜貴。俺だけど」
 耳元から刻の声が聞こえてくるのはなんだかくすぐったいような変な感じがする。
「うん。何?」
 つっけんどんな言い方になってしまった。
「今、時間大丈夫か?」
「大丈夫」
「今後のことだけど」
「樋口先輩のこと?」
「そう」
 亜貴の口から思わずため息が出る。
「……今、考えて自己嫌悪に陥っていたところよ」
「あー、まー」
 刻が言葉に詰まった。
「あれだ、そのー」
「いいわよ、はっきり言って」
「亜貴はおせっかいなんだろうな」
「おせっかい、ね」
 思っていたよりも柔らかい表現に亜貴は刻にちょっと感謝した。
「でも、亜貴は悪気があったわけじゃねーし、亜貴なりに頑張った結果なんだろ?」
「そう。頑張ってはいるのよ。闇雲にね。でもそれがいい結果を伴うとは限らないってやつね」
 自分でもわかっている。
「まあ、そう、だな。わかってるじゃねーか。でも、人間そんなもんじゃねー? 何が正解なんてわかんねーし。お前の今回の行動のおかげで兄貴とさゆり姉が付き合うことになるかもしれねーし」
「刻ってすごいポジティブよね」
「俺? そーかな。まあ、そーかも。で、亜貴は今ネガティブなんだろ?」
「そうみたい」
「じゃあ、よかったじゃねーか。二人合わせればいい考えが浮かぶかもしれない」
 亜貴はその言葉に感心する。
「すごいわね、あんた」
「は? 馬鹿にしてんのか?」
「してない。本当に、尊敬する」
「バーカ」
 その声に照れが混じっているのがわかって、なんだか亜貴も恥ずかしくなって咳ばらいをした。
「本題に戻るけど」
「ああ」
「再来週の日曜日、入試なのよね? 樋口先輩」
「そう言ってたぜ」
「そうなら、それまでは行動は慎もうかと思うの」
「うん。俺もそれがいいとは思う」
「あとは、喫茶店で会わせる作戦だけど」
「ああそれね。国公立入試が終わってから卒業式まで10日しかない。どうすんだ?」
「うーん」
 日程については刻から聞いて初めて知ったことなので、亜貴も考えあぐねる。
「休日となると、入試後の土日のどちらかになるわよね?」
「そうだな。でも、前期で落ちてたら後期が日曜日あるはずだぜ?」
「そうなの? なんか大変な時期なのね」
「何今更」
「……」
 こんな時期に告白をしたのも、さらに恋愛イベントを無理やり起こそうとしているのもなんだか申し訳なくなってくる。でももう後には引けない。自分のできることをするだけだ。
「えっと、じゃあ、合格発表はいつだかわかる?」
「や、知らねー。でも、確か卒業式より後だって聞いたような?」
 そう答えた刻の声の後に、コンコンとドアをノックするような音が聞こえた。
「僕だけど」
 くぐもった小さな声が亜貴の耳に届く。聞き取り辛いけれど、樋口先輩の声に違いない。
「あ、兄貴?! ちょ、ちょっと待って」
 案の定、焦って裏返る刻の大きな声が耳を刺激し、亜貴は携帯を耳から少し遠ざけた。
「入るよ?」
「ま、待っ」
 刻が答える前にドアの開く音がした。
(樋口先輩って意外に弟には強気なのかな?)
「誰と話してるの? もしかして、彼女?」
「い、いやいやいや、ち、違う!」
「渓が言ってたよ? 刻が女子生徒と一緒に歩いているのを見たって」
「渓ちゃん?!」
 刻は動揺して通話を切り忘れているようだ。二人の会話が小さく聞こえてくる。
(盗み聞きみたいで駄目だわ、こんなの)
 亜貴はこちらから通話を切った。
 今更だが、やっぱり二人は兄弟なんだなと亜貴は思った。それにしても。
(イメージが違うわね。樋口先輩、砕けた感じだった。刻は樋口先輩には頭が上がらないみたいだし)
 くすりと笑ってしまう。
(再来週の日曜までは少し時間がある。今度は失敗しないようにちゃんと作戦を立てないと)
亜貴は手帳を取り出し、卒業式である3月8日と、入試がある2月26日と3月5日にも印をつけた。
                     続く



 ここまで読んでくださりありがとうございました。次はこの続きになるかわかりませんが(短編になるかもです)、この小説はまだまだ続くと思われます。これからもどうぞよろしくお願いします。

 また、ランキングに参加しております。
 プロフィール下のバナーをクリックしていただければ幸いです。


 それではまた!               天音花香

拍手[0回]


Copyright © 天音花香の小説ブログ All Rights Reserved.
Powered by Ninjya Blog 
忍者ブログ [PR]