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天音花香の小説をUPするブログです。個人サイトの小説はこちらに移しました。現在二時創作と短編を中心に書いています。
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HN:
天音花香
HP:
性別:
女性
職業:
主婦
趣味:
いろいろ・・・
自己紹介:
小学生のときに、テレビの影響で、小説を書き始めました。高校の時に文芸部、新聞部で文芸活動をしました(主に、詩ですが)。一応文学部でです。ですが、大学時代、働いていた時期は小説を書く暇がなく、主婦になってから活動を再開。

好きな小説家は、小野 不由美先生、恩田陸先生、加納朋子先生、乙一先生、浅田次郎先生、雪乃 紗衣先生、冴木忍先生、深沢美潮先生、前田珠子先生、市川拓司先生他。
もう一つのブログでは香水についてレビューをしております。
http://yaplog.jp/inka_rose/
こんな私ですが、宜しくお願いします。





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こんにちは、天音です。

今日二回目の更新は恋人ごっこです。
なかなか進みませんが少しずつ書いていきますので、よろしくお願いします。


コメントいただければ喜びます。
拍手もとても支えになります。その際にはぜひ、一言書いていただければ嬉しいです。
それでは、お楽しみいただければ幸いです。


ココから小説



 それぞれの思い



 帰ってきたはいいが、亜貴は食事が余り進まなかった。
「何かあったの?」
 母親の言葉に、何でもないと答えて、お風呂に入る。
ーー嫌な臭いじゃないーー
 刻の言葉を思い出して、なぜかいつもより念入りに身体を洗ってしまった。布団に入ってもなんだか寝付けず、ぼんやりと天井を見る。樋口先輩を裏切ってるような嫌な感じがした。本屋での出来事がチラチラする。その度に事故よ、と自分に言い聞かせた。ようやく眠れたと思ったら目覚ましが鳴った。
「……今日、日曜じゃない」
 時計を恨めしそうに見て止めると、亜貴はもう一度布団をかぶった。亜貴にしては珍しく昼近くまで寝ていて、起床して階段を下りていくと両親の姿はなく、映画を見に行くとだけ伝言があった。
(娘一人置いて映画……)
 亜貴の両親は仲が良い。それだけに亜貴は結婚に夢があった。いつか本当に好きな人と一緒になりたい。でもそれは樋口先輩ではないようだ、と思うとやっぱり悲しい。その後一瞬刻の顔が浮かび、亜貴は「ないない」と全力で否定した。昨日、刻を置いて帰る際に購入だけしていた少女漫画を開いた。あるシーンに、亜貴は自分の顔が赤くなるのを感じた。
(また思い出してしまった。事故。あれは事故。唇と唇じゃないんだから、キスなんかじゃない)
 結局少女漫画を読むのを諦めて、亜貴はリビングのソファーに座るとテレビをつけた。
(好きな人が変わるなんてあるのかな)
 テレビをぼんやり見ながら亜貴は考えた。樋口先輩は亜貴の初恋の人だった。初めて男性を異性として意識した。顔が見られたらそれだけで幸せ。樋口先輩の存在で学校生活が以前より楽しくなった。そして初めての失恋。
(失恋したからってすぐに先輩への気持ちがなくなるわけないんだよね)
 恋愛にも授業があればいいのに、なんて思ってしまう。今後樋口先輩以上に好きになれる男性(ひと)が現れるのだろうか。でもそれはどこか寂しいことのように感じた。今の気持ちは永遠じゃないのだ。こんなに好きなのに。
(この世に永遠の愛なんてあるのかな。
……あればいいな)
 そう、亜貴の両親のような関係。それが自分にとってはベストだ。
 でもまだ見ぬ王子様を探すより前に、今は樋口先輩のことだ。どうやったら円上先輩とうまくいくだろう。喫茶店で刻が言っていたことを思い出す。できることは限られてる、それは事実だと思う。でも、でも何かしたいのだ。
(とにかく樋口先輩が円上先輩を好きという確信がまだないから、そこをこの目で確認して、それから、それから?
二人であの喫茶店で会わせて……。その後が思いつかない……)
 ふうとため息が出た。もはやテレビの音は耳に入ってこない。
(うーん、刻と考えよう。
待って、でも、刻と私、どんな顔して会えばいいの?!)
 気まずい。今日もあまり眠れないかもしれない。


***


「うわあー!」
  刻は思わず叫んで、自分の声で目を覚ました。
(夢……)
 ほっと胸を撫で下ろす。が。
(何でこんな夢見んだよ、俺!)
 初めてのことだった。女子が夢に出てくるなんて。しかも。柔らかな感触を思い出して、ぐいと自分の唇を拭う。自分は変態なのかと思い、頭を抱えた。今日、どんな顔をして亜貴に会えばいいか分からなかった。とにかく学校には行かなければ。


***


 終業のチャイムが鳴っている。寝不足による頭痛にチャイムの音がさらに響き、亜貴はこめかみを押さえた。昼休みになったと思うとますます気持ちが沈んだ。今日も一緒に昼食をとるのだろうか。いつも通り刻が来るようなら、男女の感覚の違いを感じざるを得ない。はあ~と息を吐いて亜貴は机に突っ伏す。
(今日は約束したわけじゃないから、いつもの場所に行かなくてもいいよね)
 勝手に理由付けて気をとりなおし、自席で弁当箱を開けた。食欲を感じなかったが、作ってくれた母親に申し訳ないので少し手をつけた。余った分は夕飯として食べよう。
 刻は結局昼休み現れなかった。


***


 刻は亜貴の教室に行こうか迷っていた。でも行っても今日は避けられるかもしれない。きっとあの「接触事故」のこと、怒ってるだろうから。もう一度謝りたい。その気持ちは強かったが、情けないことに席を立つ気になれない。今朝見た夢が蘇る。亜貴の顔を見て平常心でいられる自信がなかった。
 結局、刻は自分の教室から出ることなく昼食をとった。会わない安堵と会えない焦燥。味わったことのない奇妙な気持ちに刻は戸惑う。ただ数日一緒にいた、それだけで以前とは違った見方で女子を見ている。相手が誰であってもこうなるのだろうか? 例えば告白してきたあの女子と付き合ってみても?
 思い出して少し心が傷んだ。悪いことをしたと今なら思える。
(でも、気持ちもないのに付き合うのもどうなんだ?)
 そう思う自分もいた。「接触事故」直後の亜貴の顔が思い出される。泣く寸前のような顔だった。
(俺とはそういうことは考えられないってことだよな)
 まあ、付き合いだした理由が理由だし、亜貴は焔が好きなのだからと思うと当然の気もしたが、少し傷つく自分がいた。男女の差がそこにはあるのだろうか。
(俺は……そうだな、別にどうでもいいけど。でも、キスは好きな子との方がいいんだろうな)
 また今朝の夢を思い出して、ぶんぶんと頭を振った。
(別に、亜貴としたいわけじゃねぇし)

             
       やっぱり先輩の好きな人は


 午後の授業を終えると、刻は部活に行ってすっきりしようと教室を出た。
 階段に差しかかるところで少し前を歩く亜貴の姿が見えたが、声をかけることがなかなかできない。そのまま距離を保って後ろを歩く。階段を下りて下駄箱で靴を履き替え、ふともう一度亜貴を見ると、亜貴の足は校舎から出て直ぐの所で止まっていた。何かを見ているようだった。その視線を辿ると、焔とさゆりが並んで帰っているのが見えた。
(!)
 反射的にもう一度亜貴の横顔を見て、刻はなんともいえない気持ちになった。亜貴は羨むような、哀しむような、表現しがたい顔で二人を見ていた。
 刻は足を踏み出した。


***


 結局昼食後も寝不足から頭痛が収まらず、ぼんやりと授業を受けて、終業のチャイムと共に亜貴は早めに帰ることにした。刻は部活だろう。いつまでも避けてるわけにはいかないけれど、今日はとにかくゆっくり寝たい。明日、明日からまた刻とは何もなかったように接する努力をしよう。そう思って、下駄箱を通り校舎を出た時だった。後ろ姿だけでも見間違えることはない。校門に向かって歩いているのは樋口先輩だった。円上先輩と一緒だ。部活のとき以外で二人をセットで見るのは初めてかもしれない。
(あ……)
 樋口先輩のこんなに優しい顔、初めて見る。いつもは大人びて見えた樋口先輩の横顔がなんだか年相応の笑顔に見える。心を許してるんだろうなと思った。そして、それだけじゃなかった。樋口先輩の円上先輩に注ぐ視線には優しさだけでなく、一人の好きな女性を見るときに帯びる熱っぽさがあった。
(やっぱり、樋口先輩は円上先輩が好きなんだ。たぶん、いや、間違いなく。
……そっか。やっぱりそうだったんだ)
 頭でそうだろうなあとは思ってたけど、実際に樋口先輩のこんな顔を見てしまうと、なんとも複雑な気持ちになる。見るんじゃなかったなんても思ってしまう。事実から顔を背けたくなる。でも、それでは駄目なのだ。樋口先輩を応援しなきゃいけないから。いや、応援したいのだから。だから、悲しんではいけない。
 樋口先輩の隣の円上先輩も、普段亜貴が知っているより幼く見えた。こうして二人で歩いていると恋人同士に見えなくもない。でも、樋口先輩は好きな人がいるとは言ったけれど、彼女とは言わなかった。円上先輩はどう思ってるのだろう。
(……)
 もやもやする。自分に何ができるかわからない。
 そのとき、頬を誰かに引っ張られた。
「いひゃい」
 こんなことをするのは刻ぐらいしかいないだろう。
「やめひぇよ」
 手を払って後ろを振り返るとやはり刻がいた。神妙な顔をしている。
「もう、なんなの、いきなり」
「……お前、すっげぇブサイクな顔してた」
「喧嘩を売るつもり?」
「いや」
「だったら何なの、もう」
 頬をさすりながら亜貴はブツブツと溢す。
「やっぱ、やめよーぜ」
 刻が真面目な顔のまま言った。
「……? 何を?」
 亜貴は訝しげな顔で刻を見る。
「兄貴のことだよ」
「なんで?」
「亜貴の顔がブサイクになるから」
「は?」
「そんな表情するぐらいなら、やめた方がいいって言ってんだよ」
 少し苛立ちを含んだ刻の声。亜貴は、自分はどんな顔をしていたんだろうと思った。
「そんなに変な顔をしてた?」
「ああ」
「……」
 刻が何を思ってそんなことを言うのかは亜貴には測りかねたが、引き下がるわけにはいかなかった。
「今日見て、分かった。刻が言ってた通り、樋口先輩は円上先輩が好きだと」
「……」
「やっぱり、私は樋口先輩のために何かしたいと言うのは変わらないよ。だからやめない。でも、刻が私に協力したくないって言うなら、それは仕方がないと思ってる」
 亜貴の目には以前と変わらぬ強い決意が宿っていた。刻は考える。自分はどうしたいのか。
「俺は……」
 焔は刻にとっても兄だ。幸せになってもらいたいに決まってる。
「俺だって兄貴の幸せを望むさ。ただ、亜貴のことだってどうでもいいとは思ってない。悲しそうだとこっちだって何か苛々するんだよ!」
 顔を背け言いにくそうに言った刻に、亜貴は少し驚く。
「苛々……」
「まあ、でも、俺は今お前の彼氏なんだろ? じゃあ、亜貴に協力してやるしかねぇよ。亜貴が望むなら」
 ふんと鼻をならし、今度は偉そうに刻は言い切った。
「やめろと言ったり、協力すると言ったり……。
よくわからないけど、協力してもらえるなら私はありがたいわ」
 可笑しそうに亜貴は笑って言った。
「ふん。
じゃあ、俺部活行くから。
……また明日な」
「うん、また明日」
 また明日。なかなか言えないと思っていた言葉が言えて、二人はそれぞれほっとしていた。


                     続く



 ここまで読んでくださりありがとうございました。次はこの続きになるかわかりませんが(短編になるかもです)、この小説はまだまだ続くと思われます。これからもどうぞよろしくお願いします。

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 それではまた!               天音花香

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