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天音花香の小説をUPするブログです。個人サイトの小説はこちらに移しました。現在二時創作と短編を中心に書いています。
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天音花香
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女性
職業:
主婦
趣味:
いろいろ・・・
自己紹介:
小学生のときに、テレビの影響で、小説を書き始めました。高校の時に文芸部、新聞部で文芸活動をしました(主に、詩ですが)。一応文学部でです。ですが、大学時代、働いていた時期は小説を書く暇がなく、主婦になってから活動を再開。

好きな小説家は、小野 不由美先生、恩田陸先生、加納朋子先生、乙一先生、浅田次郎先生、雪乃 紗衣先生、冴木忍先生、深沢美潮先生、前田珠子先生、市川拓司先生他。
もう一つのブログでは香水についてレビューをしております。
http://yaplog.jp/inka_rose/
こんな私ですが、宜しくお願いします。





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        「治雪の場合」3

 十一月になった。
 最近は女子と談笑する孝子の姿をよく目にする。以前は一歩引いて話しているように感じられたその図だが、今はそれが感じられない。
 一方治雪の孝子にとっての位置づけはというと、「いい友人」のようで、段々と様々なことを話してくれるようになった。
 放課後には苦手な数学を見てもらってもいる。
 しかし、異性として見られていない気がするのは気のせいだろうか。
「人間は満足することはないってーのは本当だな」
 思わず口に出した治雪に佐々木は笑って言う。
「とーぜんだろ。好きなら」
 全てお見通しのようだ。
「そういえば、お前、さっき満ちゃんにプリント取りに来るように言われてなかったか?」
 授業終了時、丁度目が合ってしまい、満に頼まれたのを治雪は思い出した。
「そういうことは、早く言え。行って来る」



 小柄で「可愛らしい」という表現がぴったり合うあの娘が見える。
「ほら、えっと、りこちゃんだっけ?手をふってるわよ」
 自分の心に広がっていく暗い気持ちを隠して、孝子は笑顔を作りそう言った。
「あ、本当だ」
 笑顔になって、手を振り返す翔。孝子はそんな翔から目をそらす。
「可愛らしい人ね」
 自分でも驚くほど低い声が口から漏れた。
「だろ?」
 嬉しげに翔が頷く。孝子の声の調子にすら気付かずに。
 梨呼を見る孝子の目に暗い炎が宿る。
 自分が翔を好きなように、翔にも好きな誰かがいることは当然のことだ。
 私の気持ちは迷惑をかけてしまうだけ。
 だけど。
 自分の醜い心に孝子は苛立った。
「そーいえばさ、最近、堀内さん春日と仲いいみたいだな」
 突然出された名に孝子は驚く。
「春日君?」
 自分と治雪はそんな風に見えていたのか。
 ……治雪が嫌とかそういうのではない。
 ただ……。



 思っていたよりも随分量の多かったプリントを抱えて、足元に注意しながら治雪は階段を上っていた。
「春日、最近頑張ってるじゃないか。今後、特に冬休みも気を抜くんじゃないぞ」
と、プリントを渡す際に満にそう言われて、乱暴に頭をなでられたのを思い出す。
 治雪の口元に笑みが広がった。
 自分の努力を認められると、自分自身を認められたような気がして嬉しい。
 頑張ろう、心で呟いて階段を上りきり、廊下への角を曲がろうとしたときだった。

「春日君?」

 突然聞こえてきた自分の名に治雪は足を止めて辺りを見回す。
 治雪の耳はざわめきの中で孝子の声だけを確実に拾っていた。
 少ししてくすくすと笑う声がした。
 間違いない。孝子の声だ。
 治雪は壁から少し顔を出して廊下の方を盗み見た。
 やはり孝子がいた。翔と一緒だ。
 治雪は首を引っ込めて壁にぴたりと背をつけるようにして隠れた。なぜか、今、出て行ってはいけないような気がしたのだ。
「春日君とはいい友達同士よ」
 はっきりと言った孝子の言葉に、治雪は歪んだ笑みを浮かべた。
「ふーん」
 笑ってるだろう翔の顔が容易に想像できる。
「からかわないで」
 明らかにむっとしたように孝子が言っているのが聞こえた。
「いや、いいんじゃない? やっぱり、いくら男子より何でもできる堀内さんも女だもんな」
「いい加減にして! どうしてっ」
 そう言い返す孝子の声に違和感を覚えた。
 こんな声をしていただろうか。自分の前ではこんな声は……。
「どうして羽柴君は!」
 孝子はそこまで言って言葉を呑んだ。
 自分の心臓がうるさい。沈黙が自分のことのように重い。
 治雪は少し顔を覗かせてまたすぐ引っ込めた。
 予想通り孝子は熱っぽい女の目をしていた。そういえば、進路指導室で孝子が目で追っていたのも翔だったではないか。
 孝子のあの目が脳裏にちらつく。
 胸が苦しくなった。でも、きっと孝子はもっと苦しい。
「怒鳴ってごめんなさい。とにかく、そんなんじゃないのよ? 
ほら、りこちゃんが不安そうにこっちを見てる。行ってあげたら?」
 いつもの孝子の声がした。
 きっと笑っているんだろう。
「え? ああ、悪い。ふざけすぎたな。じゃ」
 鈍感な翔が走っていく音がする。
 治雪は困ってしまった。腕時計に目をやると、後五分で五限目が始まる時間になっていた。
 治雪は大きく息を吸った。

「ふう」

 息を切らしたように肩を上下させて、治雪は足を踏み出す。
 案の定驚いたように孝子が振り返った。
「おっ、堀内さんじゃん。いいところにいた」
 少し持たない? という目で孝子を見る。
 孝子はふっと笑うと半分ほど取って、治雪の隣に並んだ。
 孝子の探るような目を感じる。
 治雪は、自分は何も聞いていないと自分に言い聞かせる。ほぼ、自己暗示だ。
「何? どーかした?」
 とても自然に言葉が出た。
「え? ああ、さっき羽柴君に言われたのよ。最近春日君と仲がいいって。そんな風に見えるのかしらね? 春日君に失礼よね」
「なんで?」
 瞬時に言葉を出してしまった。
「え?」
 驚いたように孝子が治雪の目を見つめる。
「だって、実際そーじゃん? マブダチ!」
 苦しいと言ったら嘘になる。でも、自分をも騙すように元気に言った。
 孝子は一瞬目を大きくして、次の瞬間ちょっと自嘲的な笑みを浮かべた。
「そっか、そうだよね。
春日君は凄いな。誤解されたくない特別な人もいるでしょうに」
「え? ああ……」
 治雪は寂しげに微笑んだ。
「好きな人がいるみたいだから」
「そう……。こればかりは自分が好きなだけではどうしようもないものね。
うまくいってる人もいるみたいだけど、それって奇跡みたいなもんよねえ。自分が想っている人が自分を想っている。どんな気持ちなのかしら」
 治雪にというより独り言のように孝子は言った。
 教室が近づく。
「でもさ、気持ちってそう簡単に変えられるものじゃないじゃん? 
俺さ、想うだけなら構わないと思うんだ。迷惑かけるわけでもないし。そのうち時が解決するだろうから、それまでの間ぐらいはさ」
 治雪がそういうと、孝子は足を止めて、治雪を凝視した。
「じゃあ、春日君は諦めないの?」
 治雪は瞬時に孝子の心を読み取った。この人は翔と梨呼のために自分の気持ちを消してしまおうとしていたのだろう。
 治雪はふっと微笑んだ。
「とても諦められないよ」
 孝子もそんな治雪に笑顔になった。
「そうね、自分に嘘をつくのは難しい。
――ふふ、本当に好きなのね、その人のこと。」
「え? う、うん……」
 本人を目の前にして頷くのはさすがに恥ずかしく、治雪は孝子から少し目をそらして小さく頷いた。耳が熱い。
「あ、そうだ、堀内さんこそ誤解されたらまずいんじゃない? もうすぐだし、プリントかして。俺が先に入るからさ」
 治雪が話題を変えようと早口で言って、孝子に持っていてもらったプリントをもらおうとすると、孝子はひょいとその手をよけた。そして一言。
「実際マブダチだもの」
 治雪と孝子はお互い顔を見合わせて笑った。


         「治雪の場合」4に続く

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