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天音花香の小説をUPするブログです。個人サイトの小説はこちらに移しました。現在二時創作と短編を中心に書いています。
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天音花香
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性別:
女性
職業:
主婦
趣味:
いろいろ・・・
自己紹介:
小学生のときに、テレビの影響で、小説を書き始めました。高校の時に文芸部、新聞部で文芸活動をしました(主に、詩ですが)。一応文学部でです。ですが、大学時代、働いていた時期は小説を書く暇がなく、主婦になってから活動を再開。

好きな小説家は、小野 不由美先生、恩田陸先生、加納朋子先生、乙一先生、浅田次郎先生、雪乃 紗衣先生、冴木忍先生、深沢美潮先生、前田珠子先生、市川拓司先生他。
もう一つのブログでは香水についてレビューをしております。
http://yaplog.jp/inka_rose/
こんな私ですが、宜しくお願いします。





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おはようございます、天音です。


昼は大分温かくなったのに夜はまだまだ寒いですね。
私は相変わらず咳が続き、風邪が治りきってないようです。 


「遠い約束3」をアップします。

次はいつアップできるかわかりませんがゆっくりお付き合いいただければと思います。
よろしくお願いします。





ココから小説


 
 次の週の日曜日。
 私は久しぶりに葵君の練習するスケートリンクを訪れた。
 葵君は振り付けを丁寧にチェックしているところだった。
 その顔は今まで見たことのある葵君の中で一番真剣で、他人を寄せ付けないようでいるのに、見ているものの心を捉えて離さないような魅力に溢れていた。
 私はちりちりと心が痛むのを感じた。
 葵君をスケートリンクに見に来なくなったのはいつ頃からだっただろう。
 ちりちり。思い出そうとしてまた心が痛んだ。

 私はピアノが好きだった。弾いているときは楽しかったし、同い年の子たちよりは練習もしたし、出来も良かったと思う。
 でも、ただそれだけだったのだ。
 私が中学に上がるぐらいのときだっただろうか。
 葵君の練習をみていると、どうやら葵君と私は違うということに気が付いた。葵君はどちらかというと大人しくて、内気で、恥ずかしがり屋で、普段は目立つようなタイプではなかった。でも、葵君の練習を見ていると、葵君が練習のときだけ普段と違った表情を見せることに気が付いた。飢えたような、取り憑かれたような、熱を帯びた瞳。時間を忘れたように何度も何度も同じ振り付けを繰り返し、ジャンプの確認をする葵君には、自分にはない情熱というものがある。そんな葵君はリンクの中では一際輝いて見えた。
 葵君は私とは違う。私のピアノとは違う。葵君はこれからどんどん伸びていくに違いない。輝いて行くに違いない。
 私はそれがなんだか悔しかった。悲しかった。寂しかった。
 私には分かってしまったのだ。葵君がいつか手の届かない存在になることが。そして私にはそんな才能がないということが。
 いつしか葵君のスケート姿を見るのが苦痛になっていった。
 そう、葵君は特別。私とは世界が違う。そればかり認識させられるのだ。
 私は段々とリンクに足を運ばなくなり、そして、ついには全く行かなくなってしまった。

 胸がちりちりする。
 葵君は相変わらずその瞳に揺るぎない情熱を宿していた。
 他の子たちも練習しているのに、葵君の練習姿に目がいってしまう。葵君の演技は男性には珍しい華があった。それでいて時折見せる精悍な顔つきは葵君が男子なんだと改めて思わされてどきどきした。
 内気だった葵君の顔にはわずかに自信がにじみ出ていて、小さくて細かった体は背が高くなり、しなやかな筋肉がついていた。
 葵君は変わらない。そして変わった。
 練習する葵君は素敵だ。どんな時より輝いている。そんな葵君の姿を見られたのは良かったと思う。
 でも……。ますます思った。葵君は特別。葵君は私には手の届かない人だと。

 いつの間にか私の目には涙が溜まっていた。それがこぼれないように上を向いて手で拭った。
「日向先輩!」
 リンクから少し離れた席で見ていた私に気付いた葵君がやって来た。
「見に来てくれたんですね!嬉しいな!」
 練習していたからか、顔を上気させて、葵君はニコっと笑った。笑うと葵君は幼くなって、まるで女の子のように可愛いい。それは昔と変わらなかった。でも今の葵君は内気ではないし、整った顔と日本人離れしたスタイルは、皆が王子と呼ぶのにふさわしいオーラを放っている。
「日向先輩? 今なら学校の子たちいないから、紗羅さんでいいかな。
紗羅さん?」
「……」
 答えられない私に葵君の笑顔が消える。
「どうかしたんですか、紗羅さん」
 私はぼんやりと隣に座る葵君を見た。葵君はこんなに素敵なのに私はちっとも素敵じゃない。ごく普通の女子だ。
 私は勘違いしそうになっていた自分を恥じた。私が葵君の特別になれるわけないんだ。
「紗羅さん?」
 不安そうな葵君の声。でも今の私は葵君の目をしっかりとは見られなかった。
「何かあったんですか? 元気がないです」
「……そんなこと……ないよ」
 葵君はしばらく心配そうに私を見ていたけれど、思いついたように持ってきていた鞄から何かを取り出した。
 アーモンドチョコレートだと分かった時には、それが口の中に入れられていた。
「……甘い」
 葵君は私の口にチョコレートを入れた指をペロリと舐めた。その時の葵君の目はいたずらっ子のような、それでいて艶めくような色気があった。
 ドキリとした。
 こんな目をするんだ……。
 けれど次の瞬間、自分のしたことが恥ずかしくなったのか、葵君は顔を赤くして、照れたように笑った。
「甘いものって幸せになるでしょう? 何があったか分かりませんが、紗羅さんが元気になるように」
「……ありがとう」
 なんだろう。葵君の優しさが痛い。
 私は気がついたら涙を流していた。
「紗羅さん?!」
 葵君は驚いてオロオロしながら私の涙を拭う。
「すみません。僕、何かしましたか?
あ、チョコレート、口に入れたの嫌だったのですか? すみません!」
「違うの。葵君は悪くない……」
 バカみたいだ。私、なんで泣いてるんだろう。
「なんでもないの」
 笑ってみせたが、目からはまた涙が落ちた。
 帰ろう。私には葵君は眩しすぎて、悲しくなるから。
 そう思って席を立った時だ。
「葵君〜、今日は練習、もうしないの?」
 頭を殴られたような気がした。
 葵君……? 今、葵君て呼んだ?
 声の方を向くと、スケート靴を履いた華奢な女の子がこちらを見ていた。まだあどけなさの残る大きな目。雪のように色白で、ふわふわした髪を後ろで結んでいた。
「あ〜雪菜。うん、今日はもう帰ろうかなと」
 呼び捨て……。雪菜……。
 なんだ、やっぱりそうか。私は特別なんかじゃなかった。葵君を葵君て呼ぶ女子、ちゃんといるじゃない。私だけじゃないのだ。
 もう十分だった。
「……ごめん、私、帰るね」
「僕も帰るから一緒に帰りましょう?」
 無邪気な葵君の笑顔。こんなにも憎らしいと思ったことがあっただろうか?
「ごめん、急いでるから。今日は雪菜さんと帰ったら?」
「雪菜?」
 目をパチクリさせる葵君を背に私は駆け出した。
「紗羅さん!」
 葵君の呼ぶ声が聞こえたけれど振り返らなかった。



 その日見た夢は。
 まだ小さな葵君。
「僕の夢はオリンピックに出ることなの」
 はにかみながら私にこっそり告げた葵君。
「紗羅姉ちゃんはピアニスト? になるの?」
「うん!
あと、あとね、葵君のお嫁さんになりたいな」
「お嫁さん?」
「うん、結婚するとなれるの」
「結婚?」
 葵君は切れ長な目を大きく開いた。そして恥ずかしそうに笑ったんだ。
「いいよ、僕のお嫁さんに紗羅姉ちゃんをしてあげる」
「約束ね」
「約束」
『指切りげんまん嘘ついたらはりせんぼんのーます!』

 私は自分の涙で目が覚めた。
 私はどちらにもなれない。
 涙は止まることがなく、私の枕を濡らした。



                          続く



  ここまで読んでくださりありがとうございました。
 
 残りは二話になるかと思います。今後も読んでいただけると嬉しいです。 

 拍手、ときどきいただいております。嬉しいです。一言あるともっと喜びます。


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 それではまた!              


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                           天音花香

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