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天音花香の小説をUPするブログです。個人サイトの小説はこちらに移しました。現在二時創作と短編を中心に書いています。
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天音花香
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性別:
女性
職業:
主婦
趣味:
いろいろ・・・
自己紹介:
小学生のときに、テレビの影響で、小説を書き始めました。高校の時に文芸部、新聞部で文芸活動をしました(主に、詩ですが)。一応文学部でです。ですが、大学時代、働いていた時期は小説を書く暇がなく、主婦になってから活動を再開。

好きな小説家は、小野 不由美先生、恩田陸先生、加納朋子先生、乙一先生、浅田次郎先生、雪乃 紗衣先生、冴木忍先生、深沢美潮先生、前田珠子先生、市川拓司先生他。
もう一つのブログでは香水についてレビューをしております。
http://yaplog.jp/inka_rose/
こんな私ですが、宜しくお願いします。





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      「梨呼の場合」4


(何もこんなに大量をもたせなくてもいいのに……)
昼休み、弁当を食べ終えた後、トイレの前で偶然会った五限目の先生に手招きをされ、ついていくと、待っていたのはプリントの山だった。
「これ、配っといてね」
と悪魔の笑顔で言われ、今の状況に至る。

窓からは男子の声が聞こえてきていた。サッカーでもしているのだろう。
(これだけ遠ければ大丈夫なのにな)
そう思い、梨呼は考える。
(本当にきっかけはなんだったんだろう)
中学校の入学式のとき、学ランを着た男子に圧倒されて……、そこまではよく覚えている。
詰襟、学生帽、軍隊のようなイメージを受けたんだった。
そう、それか ら、男子と言えば、近くにいたのは広大だった。朝希と一緒にいると、自然と広大と会うことが多かったからだ。
中学校に入りたての広大は憮然としていて、気 性が荒くて、怖かった。近づくだけで怒鳴られそうな。触れれば刺されそうな。
そう、梨呼にとって、広大のイメージはとても強く脳裏に焼きついたのだ。
(あれ?)
そこで梨呼は男子と言えば広大をイメージしていた自分に気がついた。

「朝希ちゃんの幼馴染の、とっても恐い竹田君」

(竹田君には失礼だけど)
梨呼の男性恐怖症の原因は広大にもあるようだ。
(なんだ、私も意外と単純だ)
男子も同じ人間。全員が広大ではないし、今の広大はあの頃の広大より大分穏やかになっている。
(すぐにとは行かないけど……)
ゆっくり、ゆっくり慣れていければいいなと梨呼は心から思った。
そのとき、窓から突然強い風が入ってきた。
「あっ」
梨呼の手から勢いよくプリントが舞う。視界がプリントだらけになった。
(もう! どうしてこんなときに!)
自然とカケルと出会ったときが思い出された。
(困っているときに突然現れた人……。
恐くないと思えた人……)
でも今はいない。
泣きそうになりながら、プリントを拾う。拾ったプリントがまた落ちないように床に置きつつ。あと少し。
(あれ? 最初に持ってた分より足りない!)
床にしゃがみこんだままプリントが落ちていないか探していると、
「探し物はこれ? 拾ったよ」
(!)
カケルの声だ。
梨呼は勢いよく顔を上げた。予想通り笑顔のカケルがプリントを持って立っていた。
「プリントが豪快に舞ってたからさ。
ちょっとりこちゃんには重いよねー。手伝うよ」
カケルは自分で拾った分と、梨呼が拾った分の半分をひょいと抱えて歩き出す。
(スーパーマンみたいだ。なんでこの人はこんなに優しいんだろう。
……でもきっと誰にでも優しいんだ)
そう思ったとき胸が痛んだ。
初めての経験だった。
この痛みはなんだろう。
梨呼は朝希が広大のことを考えるときにする切なげな表情を思い出した。朝希も胸を痛めていたのだろうか。
「りこちゃん?」
立ち尽くす梨呼にカケルが振り返って声をかける。
梨呼は慌ててカケルの後ろに駆け寄った。そして、
「あ、あの……!」
「ん?」
「ありがとうございます」
「ははっ、こないだからそればっかりだね。じゃ、今度俺が困ったときに助けてもらおうかな」
「はいっ!」
梨呼は力いっぱい返事をしてしまった。そんな梨呼にくすくすとカケルは笑っている。
でも、この後どうしていいかわからない。駄目だ。このままでは会話が途切れちゃう。
何か。
「あのっ」
「何? そんなに緊張しなくていいよ。と言っても難しいか。ごめんね。
えっと、どうしたの?」
「あのっ、『カケル』ってどんな字書くんですか?」
とっさに出た言葉はこれだった。
「え? ああ、俺の名前? 飛翔の翔で、かけると呼びます。ちょっと珍しいかもね」
「飛翔の翔……」
なんだか小さな自分なんかに気付かず、翔が飛んで行ってしまうような想像をして、梨呼は悲しくなった。
飛んで行っちゃ嫌だ。
置いて行っちゃ嫌だ。ずっとそばにいて欲しい。

この気持ちは何だろう。
この気持ちは。

今なら朝希の気持ちが解るような気がする。
こういうことなんだ。
「りこちゃんは」
そう言って翔が後ろを振り返ると、大きな目にいっぱい涙をためた梨呼がいた。
「?! 
り、りこちゃん?」
「あの、わ、私、私……」
「う、うん?」
自分でも信じられない。告白する日がこんなに突然やってくるなんて。
でも、置いていかれたくない。
一緒にいたい。
ずっと自分と一緒にいて欲しい!
「羽柴君のこと好きになったみたいです!」
耳まで真っ赤なり、肩を震わせながら、梨呼は口にしていた。
次の瞬間、バサバサと翔の手からプリントが落ちた。
「あ、まずい。えっと。あの」
そう言う翔も耳まで真っ赤になっていた。

「梨呼の場合」おしまい



続き「広大の場合」を読む方はこちら

個人的には、「梨呼の場合」より「広大の場合」が気に入っています。最後の「治雪の場合」が一番自分が好きな話。
最後までお付き合いいただければ嬉しいです。

アルファポリス「第3回青春小説大賞」(開催期間は2010年11月1日~2010年11月末日)にエントリーしています。 よろしければ、 のバナーをクリックしてくださると嬉しいです。(このバナーは「高校生日記」ようです)

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