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天音花香の小説をUPするブログです。個人サイトの小説はこちらに移しました。現在二時創作と短編を中心に書いています。
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天音花香
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女性
職業:
主婦
趣味:
いろいろ・・・
自己紹介:
小学生のときに、テレビの影響で、小説を書き始めました。高校の時に文芸部、新聞部で文芸活動をしました(主に、詩ですが)。一応文学部でです。ですが、大学時代、働いていた時期は小説を書く暇がなく、主婦になってから活動を再開。

好きな小説家は、小野 不由美先生、恩田陸先生、加納朋子先生、乙一先生、浅田次郎先生、雪乃 紗衣先生、冴木忍先生、深沢美潮先生、前田珠子先生、市川拓司先生他。
もう一つのブログでは香水についてレビューをしております。
http://yaplog.jp/inka_rose/
こんな私ですが、宜しくお願いします。





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   「広大の場合」3


 新学期が始まり、広大たちは高校三年生になった。染井吉野は葉桜になり、八重桜が満開である。
「八重桜は遅咲き、でもその花は豪華ですなあ」
「広大。あんた他に行くとこないの?」
 朝希の机にへばりついてる広大に、はあ、と呆れ顔の朝希。
「だってえ、翔は相手してくれなくなっちゃったしい、告って来る女も減っちゃったんだもん」
「広大、その言葉使い、気持ち悪いから。梨呼なら、その口調でもオッケーだけど」
 そう、最近広大には悪い噂が流れている。

 平気で女心を弄び、冷たくふる男。

「ようやく、化けの皮が剥がれてきたってわけね」
 冗談っぽく朝希が言うと、広大が冷めた目になった。
「虚像を好きになって、告って来るほうが悪いんだよ」
「また、手握ってあげようか?」
 わざと明るく言った朝希に、
「いやん、朝希のえっちー」
 と広大。ぽかりとその頭を朝希が叩いた。
 そして、まじめな顔で広大を見た。
「どうして、虚像っていえるの? 今の広大は偽者?」
「いいや、これも本物ですよ。ただ、バスケやったり、教室でおちゃらけたりしてる俺だけが俺じゃねーってこと」
「そりゃそうだ。でも、学校じゃ無理じゃない? 全ての広大を知るなんて。
大体、その人の全てを把握することなんてできないよ。自分のことだって全部は解らないし。
広大は解るの?」
 うぬぬと考える広大。そこへ、
「なんだか難しい話、してんなあ」
 と翔がやってきた。梨呼も後ろにいる。
「ふむ、では二人に尋ねよう。お主らはお互いのどこを好きになったんじゃ?」
 広大の問いに顔を見合わせ赤くなる二人。
「どこってなあ」
「気がついたら心を占めていたって、朝希ちゃんが前言ってた通りだったと思う」
 そこで、自分の名前は出すなと手でばってんを作る朝希。
「じゃあ、お互い、ギャップを感じたことは?」
 いやに絡む広大。朝希が目で「相手にしないでいいから」と言っている。
 が、二人はまたも顔を見合わせて、
「ギャップも何も、そんなに相手のこと把握できていないし」
「うん。新しいとこも好きになれるよ」
 と恥ずかしそうに梨呼。そんな梨呼にかあっと顔を赤く染める翔。
「駄目だこりゃ。らぶらぶの二人にはかないません~」
 自分が尋ねたくせに、その場から立ち去る広大。
「あいつ、最近おかしくない?」
 広大を見送りながら、翔が朝希に聞いてきた。
「ん。おかしいのはいつもだけど。ま、いろいろ思うところがあるみたいで。私も中学に入ってからの広大は本当に解んない」
「前田、苦労するよな。もう乗り換えたら? 他の奴に」
「それは、言っちゃ駄目なんだよ、翔君。朝希ちゃんは竹田君じゃないと駄目なんだから。気持ちは止められないの」
 翔の袖を少しだけ掴み、揺さぶりながら、本気で言う梨呼。
 そんな梨呼を翔と朝希は「可愛いなあ」と思って思わず微笑む。
「だから、朝希ちゃんを応援しようね!」
「じゃ、俺も応援しよう。たぶん、広大を一番理解できるのは前田だから。がんばれよ!」
 言って、
「じゃ、俺は教室戻るわ。またね、梨呼ちゃん」
 と教室を出て行く翔に、
「うん。また後でね」
 と梨呼が笑顔で返す。
「らぶらぶじゃん」
 このお、と梨呼を小突く朝希。でも、梨呼は真顔だった。
「私は本当に幸せだと思う。でも、朝希ちゃんが。
最近思う。竹田君はなんか、他の人と違う。朝希ちゃんは幼稚園の時から竹田君とずっと一緒だったんだっけ?」
「え? う、うん」
「私も翔君が言うとおり、朝希ちゃんが一番竹田君のこと識ってると思う。朝希ちゃんだからできることは多いと思うの。
朝希ちゃんは苦労すると思うけど、でも、なんだか、竹田君もきつそうに見える。なんでだろう?」
 朝希はちょっとびっくりした。梨呼の観察力に。以前は男子のことなど見ようともしなかったのに。
 まさに、梨呼がいう通りのことを朝希は感じていた。
 広大は苦しんでいる。でも、それが何か判らず、何もできない自分がもどかしいと朝希は思う。自分ができることは、広大のそばでその悩みを理解して、解決に協力することだ。
「梨呼が広大のことをそこまで考えてくれて嬉しいよ。そうだね。私だからできることは必ずあるよね。頑張ってみるよ」
 微笑んで梨呼の頭をなでると、梨呼もやっと笑った。
「私はいつでも朝希ちゃんの味方だからね。私にもできることがあったら遠慮なく言ってね」
「頼りにしてます」
 少し元気が出て、
(広大覚悟!)
と思っていた朝希のテンションを裏切るかのように、その日、広大は教室に戻ってこなかった。


「春なのーに~」
 小さく口ずさんで、広大は学校近くの公園の桜並木を歩いていた。こんな時間に公園にいるのは、老人か、子供連れの母親たちだけである。自分は間違いなく浮いている。辺りは平和すぎる。なのに広大の心は嵐が吹いていた。

 ――気がついたら心を占めていた――

という梨呼の言葉が甦る。
 しかも、その言葉には「朝希ちゃんが前言っていた」
と言う言葉がくっついてきた。中三のときから、朝希の心を広大が占めていたことになる。
「俺が、ねえ……」
 八重桜の木の下へ寝そべると、舞い落ちる花びらに手を伸ばしながら、広大は呟いた。
 自分の心を占めるものは何だろうと広大は考える。少なくとも、今まで付き合ってきた女子で心がいっぱいになったことはなかった。
 常に心を占めていたのは、バスケット。
「俺の恋の相手はバスケですかあ。そうかもー」
 他は? と考える。
 翔。あいつはライバルで親友だ。
 藤木。朝希にいつもくっついていたから覚えた。
 ……そして、朝希。
 幼いときから目標であり、ライバルだった。幼稚園に通っていたときから小学校を卒業するまで常に隣に朝希がいた。いろんな感情を共有したし、広大の激しい気性にも怖気づくどころか向かってきた朝希。朝希以上に広大を理解している人物はいないだろう。
「でも、翔みたいなもんだもんな」
 そう、親友。
 じゃないと困る。
 困る? 
 ちらりと下着姿の朝希が頭をよぎる。
「駄目だ。あいつはやっぱり女だった」
 自分は朝希に男であってほしかったのだろうか。
 それはなぜ?
「本当は解っていたことだ、朝希が女だってこと」
 そう、だから衝撃を受けた。セーラー服を着た朝希に。自分との違いを思い知らされて。
「似合わないセーラー服~」
 中学校の入学式のときに舞っていた染井吉野のより、ちょっと濃い色をした八重桜の花びらが、ひらり、ひらりと落ちてくる。
「裏切られた気持ちはどうよ? 朝希?」
 中学からべったりだった梨呼。あっけなく離れていったじゃないか。
 その痛みを広大は知っている。
 それはなぜだったか。
「考えすぎると頭痛いわ」
 先ほどからぶつぶつ独り言をいう広大は、奇怪に見えているだろう。でも、自分で茶化さないと心がおかしくなりそうだった。
 最近の自分はどうかしている。まるで、中学に入ったばかりの時のようだ。あの時はなんで荒れてたんだっけ?
 喪失感。
 そう。ただ、強い喪失感があったのを覚えている。
 女子の友達と行動する朝希。
(違うだろ? お前の隣にいるのは俺だったのに)
 裏切られたと思った。
 性別が違うから当たり前のことではあったのだけど。
 喪失感を埋める必要があった。騒いで男子の友達をつくって、告って来る女と片っ端付き合った。
「……」
 花びらが落ちてくる。やや濃いピンクの花びら。綺麗に見えるそれ。
「花びら、ひらり、ひらり、とめどなく」
 でも、長続きはしなかった。所詮花びらでは心の隙間は埋まらなかったのだ。かさかさにひからびて…・・・。
 朝希とは違う。広大の激しい気性に他の女子はついて来られなかった。
 当然と言う気がした。こいつらは俺の全てを知ってて付き合ってるわけじゃないんだから。
「じゃあ、なぜあのとき、朝希をふったのかな」
 広大の人生で、ふった女は朝希だけだ。
 何かそこにこの苛立ちの理由がある気がした。

 気がつくといつの間にかあたりは暗くなっていた。
(何時だろ?)
 とりあえず教室に戻って鞄をとってくることにした。その後行くところは決まっていた。



「広大! 今まで何やってたんだよ? 授業サボったんだって? んで、来たのは体育館か」
 翔が怒鳴った。時計を見ると七時を回っていた。
「俺はもう帰るぞ。一緒帰るか?」
 翔の誘いに、
「いや、シュート練していくわ」
 と広大は答えた。
「そっか。ほどほどにしとけよ? じゃあな。明日は授業さぼるなよ?」
「さあ、それは気分しだい。ま、三年になりましたしね。大学落ちない程度には頑張りますよ」
 広大は帰る翔にひらひらと手をふった。


 そのころ、自主練を終えて、家に帰ってきた朝希は、広大の部屋の電気がついてないのを見て不安になった。とりあえず自室に上がってバルコニーを飛び越える。そして、広大の部屋の窓をノックした。
「広大、広大?」
 気配がしない。
 もう、何してるんだか。朝希は一度自室に戻るとトレーナーとジャージに着替えて家を出た。
 思い当たる場所と言えば、学校の近くの公園。あそこは広大が気に入ってる場所だったはずだ。走って公園に向かった。
 が、一通り公園を探したが広大はいなかった。
(なんでこんなに心配させるのよ、馬鹿)
 そう思いながら、次はどこにいこうかと考える。
(あ、体育館)
 思い出したように朝希は体育館へ足を速めた。


 「ち、俺も修行がたんねえなあ」
 さっきから外してばかりのシュートにいらいらしつつも、うち続ける。俺にはこれしかないんだから。
 一人の体育館は広い。そして静かだ。広大の放ったボールが床に弾かれる音だけがこだまする。
(今はゴールに集中)
 ふうと深呼吸をし、ゴールを見据える。手首のスナップを効かせてボールを放つ。ようやく網をくぐった。
「よし」
 ボールがゴールに吸い込まれる瞬間が好きだ。
 すとんとくぐるのも、網を揺らしながらくぐるのも。
 でも最も気持ちいいのはダンクシュートだ。そのままリングにぶら下がっていたくなる。
「よし、もう一回」
 呼吸を整えると、ボールを放つ。今度も綺麗に網をくぐった。
「ナイッシュー!」
 後ろから聞こえてきた声に振り向くと、朝希がいた。
「なんで、今頃てめーがいるんだよ?」
 一番見られたくない相手だった。
「それはこっちの台詞でしょ? 授業サボってまでシュート練? ある意味熱心ね。私も参加させてもらおうかな」
 広大は冷たく朝希を見た。
「帰れよ」
「あら、体育館はみんなのものよ?」
 広大の冷たい一言に怯みもせず、転がっていったボールを朝希は拾いにいった。その瞬間。
「帰れ!」
 広大は朝希を壁に押し付けていた。
「いったいなあ。でも、私に脅しは効かないわよ?」
 朝希の薄い唇が言葉を紡ぐ。
 警戒心は微塵も感じられなかった。
(こいつは俺を男と思っていないのか?)
 部屋であんなことされたというのに。
「ちょっと、邪魔だからどいてよ」
 朝希の睫に縁取られた切れ長の瞳と、芯の強そうな眉、高い鼻が数センチ離れたところにある。
 その中でも今は唇が最も魅力的に見えた。
 広大は無理矢理自分の唇を押し付けた。
「! 
ん~~~」
 唇を離すと、はあはあと苦しげに朝希は息をしていた。
「誰か来たらどうすんのよっ!」
 そう怒鳴る朝希。
(まだだ、まだ足りない)
 そう思った広大は、もう一度、今度は優しく、朝希の唇を味わうようにキスをした。ずっとこうしていたいとさえ思った。
 そのとき、広大のほおに冷たい何かが触れた。あわてて朝希を引き離す。
 朝希の瞳からは一筋の涙がこぼれて頬をつたっていた。
「!」

 朝希を泣かせた。

 今までで朝希が広大の前で涙を見せたのは、広大に初めてワンオンワンで抜かれたときと、広大にふられたときだけだ。

(俺が泣かせた。俺が、また朝希を泣かせた)

 広大は無我夢中で体育館を出た。そして走って走って……。
(俺はさいてーだ。さすがに今度は朝希も愛想を尽かすだろう)
 そう思うと胸が苦しかった。
 駄目だ、俺はどうしてしまったんだ? 
 朝希はどうしてあんなに色っぽくなっていたんだ?

 一人体育館に残された朝希は。

「初めてのキスが好きな人だなんて幸せなはずじゃない。なのになんでこんなに涙が出てくるんだろう」
 体育館でうなだれていた。
(しかも、このまま帰るなんて。これじゃ広大と私の仲が修復できるかどうか……。嫌だよ。まだそばにいたいのに)
 しばらく体育館で泣いた後、朝希はボールを広い、ゴールに向けて放った。ボールはみごとに網に吸い込まれた。
 こんなときでも、バスケは朝希の味方だ。
 もう一発だけシュートをすると、朝希はボールを片付け、電気を消して、鍵をかけた。
 ぼんやりと家路につく。
 空には春の朧月。まるで見えない広大の心のよう。
 そう思うとまた涙が頬をぬらした。

    「広大の場合」4へ続く

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