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天音花香の小説をUPするブログです。個人サイトの小説はこちらに移しました。現在二時創作と短編を中心に書いています。
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天音花香
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性別:
女性
職業:
主婦
趣味:
いろいろ・・・
自己紹介:
小学生のときに、テレビの影響で、小説を書き始めました。高校の時に文芸部、新聞部で文芸活動をしました(主に、詩ですが)。一応文学部でです。ですが、大学時代、働いていた時期は小説を書く暇がなく、主婦になってから活動を再開。

好きな小説家は、小野 不由美先生、恩田陸先生、加納朋子先生、乙一先生、浅田次郎先生、雪乃 紗衣先生、冴木忍先生、深沢美潮先生、前田珠子先生、市川拓司先生他。
もう一つのブログでは香水についてレビューをしております。
http://yaplog.jp/inka_rose/
こんな私ですが、宜しくお願いします。





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こんにちは、天音です。



まず最初はいつものように呼びかけから。
何度も目にするのは嫌だとは思いますが、許してください。


このブログ、小説ブログに載せている全ての作品の著作権は天音花香にあり、放棄しておりません。
無断転載、許可のない販売は禁止です。
某サイトにて著作権侵害、違法販売されていた私の作品の販売が停止されました。
FC2さまと応援してくださった皆様方のおかげです。本当にありがとうございました。



さて、今日の小説は童話になります。
私の書く童話はどうして悲しいものになってしまうのか……。
自分でも分かりません。
主人の実家で飼っているコジローと仲良くなればなるほど、
その前に飼われていたセイジ君の死が思い出されることも多く、
自分より先に死んでしまうということを考えるのが悲しくなります。
(いえ、コジローはまだまだ元気ですよ)
ただ、そう考えたときに逆だったらどうだろうと思い、作ったのがこの童話です。
逆を考えるともう悲しくて悲しくて……。小説を書きながら泣きました。
それで飼い主の方が長生きした方がペットは幸せなのだろうと思いました。


このような時期にこんな悲しい話を載せるのはとためらいもしたのですが、
この「たま」はたぶん、被災地の生き残った皆さんの心にもいるような気がして……。
悲しいけれど、それでも生き残った者は生きていかなければならないという苦しさ。


いのちについて何か伝えられることができればと思います。


ココから小説



       わたしは「たま」




 わたしは「たま」と呼ばれています。

 以前は名前はありませんでしたが、わたしは人間というものに飼われている猫だそうです。
 人間は私に比べてとても大きくて、その大きな手がわたしの頭をさわろうとするとき、はじめはとてもこわかったです。でも、今はそのぬくもりがここちよく感じます。それに自分で食べものを探す必要もなくなったし、とても楽です。

 毎日おさんぽのときには、猫の集会に顔を出します。そこにはわたしのような飼い猫もいれば、のら猫もいます。わたしはまだ数年しか生きていないから、年上の猫たちにここでいろいろ教えてもらいます。
「最近、おれの飼い主は食べものをくれないんだ。ずっと動かないし」
という話をききました。でも、わたしの飼い主はちゃんと食べものをくれるし、なでてくれます。「たま」と呼んでくれます。
 
 わたしは「お手」というものを覚えました。ただ、右手を飼い主の手にのせるだけなのですが、わたしの飼い主はとてもうれしそうで、いつもよりたくさん笑って、なでてくれます。わたしはその笑顔が見たくて、毎日お手を何度もします。
 「たまがいるからさびしくないよ」
とわたしの飼い主は言います。わたしにはさびしいということがわかりません。それでもいいのです。わたしはしあわせだから。わたしは毎日お手をします。

 人間というものはふしぎな生き物です。毛が黒から白に変わったり、手がしわくちゃになったりしていきます。そして、なんだか大きかったからだが少し小さくなったような気がします。わたしは変わらないのに。

 最近、わたしの飼い主は、「こんこん」と変な声でないています。なんだか元気もないみたいで、あまり動かなくなりました。わたしは何度も何度もお手をします。他に喜ばせる方法をしらないから、お手をします。わたしをなでてくれる手に、昔のような力はありません。わたしはなんだか悲しくなりました。

 とうとう、わたしの飼い主は、ずっと寝たきりになりました。
「たま、ごめんね。えさをあげられなくてごめんね」
 飼い主は言うけれど、食べものはまた探せばいいだけです。わたしはとにかく喜んでほしくてお手をくりかえします。

 この数日、わたしの飼い主は、「たま」と呼んでくれません。何度も鳴いてみたけれどだめでした。わたしはお手をくりかえします。きっとまた笑ってくれる。なでてくれる。でも、わたしの飼い主は、笑うこともなでることも、そして、動くこともなくなりました。
「触るととても冷たいんだ」
 いつか猫の集会で耳にした言葉を思い出しました。
 わたしはおそるおそる飼い主の手に頭をすりつけました。そしておどろきました。あのぬくもりはなく、冷たいのです。そしてかたいのです。ほほにもすりすりしましたが、同じでした。わたしはとにかくお手をします。何度も何度も。おねがいです。起きてわたしを「たま」と呼んでください。
 わたしの目から、なぜか水があふれました。
 わたしはくる日もくる日もお手を続けました。冷たくなったらもう動くことはないときいたけれど、わたしはやめません。

 数日後、なんだかたくさんの人間がきて、わたしの飼い主を連れて行ってしまいました。
「やめて、連れて行かないで。おねがい、やめて」
 わたしは鳴いたけれど、だめでした。やがて、わたしと飼い主の住んでいた家は、へんな音のする大きなものがこわしてしまいました。
 お手をしたいのに。よろこばせたいのに。飼い主はいません。わたしはひとりぼっちです。

 ある夜。
「たま、ありがとう。わたしもたまがだいすきだよ。ありがとう」
 わたしは飼い主にたくさん頭をなでてもらいました。わたしはうれしくてうれしくて、何度も何度もお手をしました。わたしもあなたがすきです。だいすきです。ずっとずっとそばにいてください。
「にゃー」
 わたしは自分の声で目を覚ましました。わたしは家のなくなった空き地の中にひとりぼっちのままでした。わたしの目からはおおつぶのしずくがたくさんこぼれおちました。それは「なみだ」というものだとのちに知りました。

「たまや。飼い主は空の国に行ったんじゃよ」
 わたしを心配してやってきた長老猫は言いました。
「わたしも空の国に行きたいです。会いたいです。お手をするんです」
 わたしが泣きながら言うと、長老猫は悲しい顔をしました。
「わしらが行くのは、まだ先じゃよ。
たま。ひとりでさびしかろう。みんなで暮らそう」
 わたしはさびしいという気持ちを知りました。そして思いました。わたしの飼い主はさびしくなくてよかったと。

 わたしはのら猫たちと暮らすことになりました。
 わたしは毎日空を見上げます。そして、空の国の飼い主にむかってお手をします。
 わたしが見えますか? だいすきです。伝わってますか? よろこんでくれていますか?

 人間よりペットが長生きする世界で。
 わたしは「たま」と呼ばれていました。
                              おしまい

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 それではまた!               天音花香 

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