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小説をおいております。 『いざ、出陣 恋戦』シリーズの二次創作、『神の盾レギオン 獅子の伝説』の二次創作、そして、高校生の時に書いた読まれることを前提にした日記と、オリジナル小説を二編のみおいております。
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プロフィール
HN:
天音 花香
性別:
女性
職業:
主婦業メイン
趣味:
いろいろ・・・
自己紹介:
小学生のときに、テレビの影響で、小説を書き始めました。高校の時に文芸部、新聞部で文芸活動をしました(主に、詩ですが)。大学時代、働いていた時期は小説を書く暇がなく、結婚後落ち着いてから活動を再開。

好きな小説家は、小野 不由美先生、恩田陸先生、加納朋子先生、乙一先生、浅田次郎先生、雪乃 紗衣先生、冴木忍先生、深沢美潮先生、前田珠子先生、市川拓司先生他。

クリックで救える命がある。
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こんばんは、天音です。

前回は登場人物だけで終わったので、今回は少しだけ進まそうかと思いまして……。

楽しんでいただければ幸いです。


登場人物紹介はこちらから


ココから小説


「ソリスさまー」
 はあはあ。
 マーニ・ルアザンは奥宮の中を走っていた。ここを探すのは何度目だろう。
 場内の他も全て探した。ソリスのよく使っている抜け穴なるものの中もくぐって……。
 おかげで体中、葉っぱまみれだ。
「ソリスさまー」
 ちょっと目を離したらこれだ。ソリスさまらしいといえば、らしいのだが、従者のわたしの胃は痛まない時がない。
 城内であれば、女性の多い奥宮が一番ソリスさまのいる可能性が高いはずだが、いったいどこへ行ったのだろう。城外に出ている可能性もあるな。娼館にでも行っているのかもしれない。
「ソリスさまー」
 外を探すか……。
 マーニが嘆息したときだった。
「うるさいやつだな。俺はさっきからここにいる」
 頭上から声。見上げると、木の上に一人の若者がいた。
 ターバンから出ているのは赤い髪。琥珀色をした瞳は退屈そうな光を宿している。エル・ソリス・ベレヌス・エル・カルー国の第二王子、その人だった。
「ソリスさま、あなたは……」
 わたしの苦労も知らずに…っ。
「どこかへ行くときには、一言わたしに断ってからにして下さい!」
 あなたが動くと、必ずやっかいなことが起こりますから。
「心配したのか?」
「え? え、ええ」
 違う心配ですけど……。
「そりゃ悪かったな」
 素直なソリスに、マーニは逆に不安になった。
「ソリスさま?」
「ただ、退屈なんだ」
 そう言ったソリスの目は少し寂しげだった。
 先日の事件で、ソリスは命を狙われた。
 その首謀者が第一王子エル・エハル・ベレヌスだったにも関わらず、エハルは厳罰を免れ、実行者だけが罪に問われただけで、逆に、でくのぼうと影で呼ばれていたエハルの株は上がったのだった。
 問題を起こすぐらいがちょうどいい。そこがエル・カルー国なのである。
 アリク王のお気に入りであるソリスが時期王としては有力候補だったのだが、分からなくなったと家臣たちは囁いている始末。
 能無し、レギオン(動かないという揶揄)と言われていたエハルだが、やさしい面差しをした、学者肌の、アリク王の王子としては常識人だとも思われていた。そんな実の兄が自分の命を狙う首謀者だと解ったとき、ソリスはどう思ったのだろう。
 マーニの茶色い瞳に宿った光に気づいたのか、ソリスは少し笑ってみせた。
「おれは別に王座なんて興味ないんだけどな。
でも、おれが兄上を追い詰めていたんだろうなあ」
 ソリスは独り言のように言って、遠くを見た。
 マーニはかける言葉がなかった。
「何、しけた面してんだよ。
そうだ、またどっか行くか! 次は、そうだな……マーニはどこがいい?」
「……国外はダメです。でも、そうですね、いい店を見つけたんですよ。そこに行きますか?」
「お? いいのか? まだ昼間だぞ?」
「娼館じゃありませんよ? 酒屋です」
「酒! いいのか?」
「特別です。今日だけですよ?」
 ソリスの瞳にやっと光が戻る。それを見て、マーニは笑うことができた。
「おしっ!」
 百九十センチ以上もある巨体が、身軽な身のこなしで枝から飛び降りた。


 「おや、マーニじゃないか。いらっしゃい」
 体格のいい、人懐っこい顔をした女性、歳は四十を過ぎたぐらいだろうか――酒屋の女将がマーニを認めて相好を崩す。
「こんにちは」
「おや、隣にいるのは、ソリス殿下ではないのかい?」
「ええ」
「こんにちは、おばさん」
 ソリスの言葉に、
「レディーにおばさん、はないんじゃないかい?」
と怒った顔をしてみせる。
「えっと……」
「ニールと呼んどくれ」
「じゃあ、ニール、ええっと……」
 ソリスが珍しくマーニの顔色を窺うように見る。
「いいですよ、王子。何でも飲んで」
「王子が財布を気にしてちゃしょうがないね。今日はあたしのおごりだよ。何でも飲んどくれ」
 ニールが笑って言った。
「おばさん、話わかるな! っと、ニールだった」
「その代わり、これからもうちで飲んどくれよ」
「おう! じゃ、ウイスキーくれ!」
 ソリスは上機嫌で酒を飲みだした。
 そんなソリスにマーニも破顔した。そして、そっとニールに耳打ちする。
「ニール、リライザはいる?」
「いるよ。呼ぶかい?」
「お願いします」
「リライザー」
「はーい。
あら、マーニさん」
 にっこり笑って表れたのは、色白で華奢な美しい娘だった。緩く波打つ髪は金色で、澄んだ瞳は海のような青色をしていた。ニールの義娘リライザは今はなき、イスファタル人だった。
「マ、マーニ! 誰だ、その娘は!」
 リライザを見たソリスが声をあげる。
「彼女はリライザ。ニールの義娘です」
 マーニの言葉に、リライザは、
「初めまして、ソリス殿下」
とソリスに微笑んだ。辺りが明るくなるような笑顔にソリスは首をかしげる。なぜか知っているような……。
「あ!」
 そうか、リアファーナ王女に似ているのだ。
 思わずマーニを振り返る。
「飲みましょう」
「ああ」
 主人思いの従者に少し感謝して、ソリスはグラスをあおった。
 
 それから、数時間。
 マーニの頬はほんのり赤くなっていた。ほどよく良いが回っている。
 ソリスさまは楽しそうだし、何事も起こらないし、毎日がこうであればいい。
 そう思いながら、カクテルをまた一口。
 そのときだった。
「ルアザン大将! お探ししましたぞ! こんなところに昼間から……。ソ、ソリス殿下まで……」
 その声にマーニはギクリとする。
 ああ、やはり平和は続かない。今度は何だろう。
「何かあったのか?」
「は。ルアザン大将。アリク王がお呼びです」
「……っ」
 な、何かしただろうか。心当たりはない。ソリスさまだって、最近は何も事を起こされていない、はず……。
 胃のあたりがしくしく痛み出す。
「ソリス殿下もか?」
「いえ、ルアザン大将だけであります」
「そ、そうか……。今行く。
ニール、ソリスさまを頼みます」
「はいよ」
「まあ、頑張れや」
 従者の心配をよそに、上機嫌なソリスは笑いながらマーニの背を叩いた。
 何が頑張れだ……。きっとソリスさま繋がりのことに違いないのに……。
「おう、そうだ。兵士、一人残れ」
 ソリスが二人いた兵士の一人を呼び止める。
「ソリスさま?」
「王子一人じゃ危ないだろう。マーニ、お前の代わりだ」
「……はあ……」
 なんとなくソリスさまの目が光ったのは気のせいだろうか?
 まあ、確かに、王子一人にするわけにもいかない。
「いいですか、くれぐれも、事を起こさないで下さいよ」
「うん、分かった」
 あなたの分かったは当てにならないんです。
「殿下を頼んだぞ」
 兵士に命じて、ソリスに一礼すると、マーニは足取りも重く城へと戻った。

                   2に続く……



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