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天音花香の小説をUPするブログです。個人サイトの小説はこちらに移しました。現在二時創作と短編を中心に書いています。
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天音花香
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性別:
女性
職業:
主婦
趣味:
いろいろ・・・
自己紹介:
小学生のときに、テレビの影響で、小説を書き始めました。高校の時に文芸部、新聞部で文芸活動をしました(主に、詩ですが)。一応文学部でです。ですが、大学時代、働いていた時期は小説を書く暇がなく、主婦になってから活動を再開。

好きな小説家は、小野 不由美先生、恩田陸先生、加納朋子先生、乙一先生、浅田次郎先生、雪乃 紗衣先生、冴木忍先生、深沢美潮先生、前田珠子先生、市川拓司先生他。
もう一つのブログでは香水についてレビューをしております。
http://yaplog.jp/inka_rose/
こんな私ですが、宜しくお願いします。





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こんばんは、天音です。


 今日は高校生のときに書いた短編を載せます。
 
 
 ココから小説


    城
  

 冬の寒い日だった。
 部活を終えた私はいつものように電車に乗り、いつものように駅で降りて、バス停へと歩いていた。会社帰りのサラリーマン。スーツ姿の女性。そして様々な制服の学生。多くの見知らぬ人が私の横を通り過ぎていく。こんなに人がいるのに何の会話もなく、ただ自分のためだけに動いているのが少し不思議であり、また悲しくもあった。
 ああ、バスが来た。
 私は駆け出して、でもすぐにその足を止めた。
 なんと言ったらいいのだろう。それは不思議な光景だった。急ぎ足で過ぎていく時間の中で、その少年の時間だけが止まっているようだった。淡い金髪と深い緑の目という外見の性だろうか? とりまく空気までもが澄んだもののように見える。
 私は切符の販売機のそばの丸い柱にもたれかかるようにして座っている彼に近づいた。彼は曇り空を見ていた。
 しかしそれは間違いであることに私は気付いた。彼の澄んだ目は現実のものを映してはいない。彼は曇った空の奥に青い空を見ているのではないだろうか。そんな気がした。
「空が好きなんですか?」
 私は静かに声をかけてみた。
「……」
 彼はゆっくりと私のほうを向いた。綺麗過ぎる瞳が私を捕らえる。緑の空があるとしたら、きっとこんな色をしていたことだろう。
「うん、好き……」
 独り言を言うように答えて、そのままボーっと私を見る。実際には見ているのではなくて、目を向けただけのようだった。
 そう。その目は何にも興味を抱かない目。無気力な目。決して濁っているわけではないのに。それがよけいに悲しかった。
「私も好きよ。――青い空が」
 私の言葉に彼は目を大きく見開いた。初めて私の存在を認めたようだ。
「君は……誰……?」
 抑揚のない声で彼は私に問うた。日本語だった。
「早瀬萌璃。よろしく。あなたは?」
「リトリアス・ホルト。リットでいいよ」
「リット。ここで何をしているの?」
「バイトが終わったからいるだけ」
 私より年上なのだろうか? 澄んだテナーの声と外見からはそうは見えなかったのだけれど。
「帰らないの?」
「うん。僕はここで一晩過ごすんだ」
 その言葉に驚く私を気に留める様子もなく、リットは続ける。
「家はなくても生きていける」
 ますます彼への興味がわいた。
「日本には何をしに?」
「自由を手に入れに」
 リットはただそう答えた。
「自由……? 手に入った?」
「……分からない。自由がどんなものかさえまだ分からないんだ」
 リットは私からふと視線をずらしてそう答えた。私は小さくため息をついた。
「……自由って、人によって違うよね。その人自身が自由だと思うなら、その人は自由であることになる。でもね、日本じゃなくても手に入るものだと思うし、もしかしたら日本では手に入らないものかもしれない。心の問題だから」
「……」
 リットの眉間に小さくしわがよるのを見た。でも私は続けた。
「自分で見つけていけばいいよ。そう簡単に手に入るものではないと思うし、現に私だって自由だとは限らない。不自由はしていないけれど、それが自由だとはいえないものね」
「自由……。不自由……」
 リットはもう一度私を見た。それ以上口を開こうとはしなかった。しばらくの間、私を見つめ続け、その後また空のほうに視線を移した。そして、私のほうを向くことはなかった。
 彼がどうして自由を手に入れたいのかは分からない。もしかしたら、私は見当違いなことを彼に言ってしまったのかもしれない。祖国を捨ててまでして日本に来た彼。そこにどんな理由があったのか分からない。しかし、これだけは分かる。彼がまず手に入れるべきものは自由ではない。彼に足りないものは――。
 彼の周りの空気はやはり澄んでいるように見えた。
 人々は彼に気付かずに、足早に彼の前を通り過ぎていく。あるいは気付かぬふりをしているだけかもしれない。彼は一人、美しい城の中にいるようだった。しかしそこには言いようのない孤独があった。私は明日も彼の城を訪ねることにした。
 彼は空を見ていた。

                      おしまい

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 この小説は本当は長編の予定でした。
 主人公の少女はこの後、何度もリットのもとに通い、彼に足りないものを埋めようと思うようになる。まあ、それは「愛」なんですけれど……。少女は家族に反対されながらも、リットと交流を深め、リットの心の中に入ろうとし、リットも彼女の存在を受け入れていく。それで結局駆け落ち同然のことをすることになるという設定でした。
 短編でよかったのか、長編にしたほうがよかったのか悩みますが、今からこの続きを書こうという気にはなれない私でありました。



 ここまで読んでくださりありがとうございました。
 拍手、ときどきいただいております。昨日は回数が多くてとても嬉しかったです。一言あるともっと喜びます。

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