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天音花香の小説をUPするブログです。個人サイトの小説はこちらに移しました。現在二時創作と短編を中心に書いています。
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HN:
天音花香
HP:
性別:
女性
職業:
主婦
趣味:
いろいろ・・・
自己紹介:
小学生のときに、テレビの影響で、小説を書き始めました。高校の時に文芸部、新聞部で文芸活動をしました(主に、詩ですが)。一応文学部でです。ですが、大学時代、働いていた時期は小説を書く暇がなく、主婦になってから活動を再開。

好きな小説家は、小野 不由美先生、恩田陸先生、加納朋子先生、乙一先生、浅田次郎先生、雪乃 紗衣先生、冴木忍先生、深沢美潮先生、前田珠子先生、市川拓司先生他。
もう一つのブログでは香水についてレビューをしております。
http://yaplog.jp/inka_rose/
こんな私ですが、宜しくお願いします。





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こんな時間にこんばんはです。天音です。


重要なお知らせ。
ネットにつなげるときに書いとかなきゃというわけで、更新。
申し訳ないのですが、
なんかPCのネットにつなげない状態が時々起こってまして、(無線で)
主人がもしかしたら、壊れてるかもと言っているので、
そうでしたら、修理に出すか、今、無線でやっているのをランケーブルで繋ぐかのどちらかにする対応をしますので、
完全に繋げなくなったら、上記の対応をしますので、
更新が遅れます。
たぶん、修理に出すより、ケーブルを買ったほうが早い気がするので、そうなると思います、たぶん。
ヤフーメールは携帯で見れますので、用事のある方はそちらにお願いいたします。すみません。

それでは失礼します。

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こんばんは、天音です。

この小説は、六道 慧さんの「神の盾レギオン 獅子の伝説」の二次創作です。
(古い作品なので、知らない方が多いとは思いますが……)
登場人物は左のリンクにある「登場人物」を参照されてください。

えっと、順がよくわからないことになってまして、
1を読んだ後、バックをしたら2に行くようになっているようです。
読みにくくてすみません。

それから、一気に書いていないせいか、内容がだぶっているところがあるかもです。
我ながらしつこい文章だな……と思いますがすみません。


コメントいただければ喜びます。
それでは、お楽しみいただければ幸いです。


ココから小説




「よお、遅かったな」
 聞きなれた声にマーニは顔を上げる。
「ソリス、さま……」
 かなり自分が動揺していたことにマーニは気づく。ソリスの気配に気づかないなんて。否、ソリスが気配を消していたのだろうか? どちらもだろうと思う。
「今、ニールの店に迎えに行こうと……」
 ソリスの目をまともに見ることができず、視線をうろうろさせながらマーニは言った。いつの間にか城門まで来ていたことに気づき、再度驚く。
「城門……」
「? なんだ、大丈夫か? 」
「……ソリスさま、なんでこんなところに?」
「は?」
「いえ、今頃リライザを口説いているかと……」
 ぼんやりと本音を言ってしまい、しまった……とマーニは口を噤む。
「……。ほお」
「いえ、あの……」
「……リライザは可愛かったな、確かに。ただ……リアファーナ王女に似ているからという理由で口説くのはどうかと思ってな……」
 マーニはソリスをちょっと見直した。
「そう、ですか……」
「意外そうだな」
「え? ええ、まあ。
それにしてもどうしてここへ?」
「はあ? 王子が城に戻ってどこが悪りぃんだ?」
「いえ、てっきり娼館へ泊まってこられるかと……」
 しまった。また失言を……。
「ほお……。……まあ、そう思われても仕方ないのは仕方ない、が」
 ソリスはじっとマーニを見る。
「お前、大丈夫か? ぼんやりしてるぞ?」
 マーニは黙ってしまった。
 正直、大丈夫ではなかった。
「……で。
本当なのか?」
 ソリスの声が急に真剣さを帯びる。
「え?」
「従者の件だよ」
「!?」
 マーニは目を見開いてソリスを見た。
「なぜ……」
「兵士から無理やり訊いた」
 だから一人残したのか……。
「……どこまで、聞かれたのですか?」
「あ? おれが聞いたのは、ミレトスの従者が既に呼ばれていて、噂ではミレトスの従者とおれの従者を交換するって」
 ソリスはまっすぐにマーニを見て言った。
「それで、どうだったんだ、実際は? ……いや、なんて答えたんだ、マーニは」
「……」
 マーニは耐え切れずに目をそらした。そんなマーニの顎をソリスは掴む。
「おい、なんで目をそらすんだ? 答えろよ」
「……ソリスさまの言った通りです。従者を交換すると、言われ……わ、わたしは……断ることができませんでした」
 ソリスはマーニから手を離した。
「……そうか」
「……はい……」
「……ま、お前には世話になったな。迷惑ばかりかけちまった気がする。悪かったな。マーニもほっとしただろ? よかったな。
ミレトスを頼む」
 ソリスは手を頭の後ろで組み、そっぽを向いてそう言った。
「……っ」
 ずきりと胸が痛んだ。
 そうか、ソリスさまは、従者が変わっても、何とも……思わないんだ……。
 不覚にも涙がたまってきた。
 なんてわたしは不運なんだろう。ソリスさまに一生仕えようと思った。そう思えたときに、こんな……。
「?!」
 マーニはいきなりソリスに胸ぐらをつかまれ、驚いてソリスを見た。たまっていた涙がこぼれる。
「く、……苦し……」
 ソリスはマーニを壁に打ち付けた。ソリスのまっすぐな視線がマーニを捕らえていた。
「痛っ! ソリス……さま……!?」
「おれがそう言うと思ったか? マーニ、お前はおれの従者だよな? おれを裏切るのか?! おれは認めねえからな!」
 嬉しい。嬉しい言葉。だが……。
「っ……エル・カルーにいる限りはアリク王の命令は絶対です!」
「親父がそんなに怖いかよ!? くそっ! もうお前なんかしらん! ミレトスのところでもどこでも行っちまえ!」
 ソリスは城とは反対の方へ走っていってしまった。
「ははっ」
 以前は早く従者を辞めたいとばかり思っていた。
 ソリスさまに振り回され、後始末ばかりしなければいけなかった毎日。でも、本当に従者を辞める日が来るなんて……。
 ローエングリン伯爵のときと同じ。大切なものは失ってから気づく。
「わたしは馬鹿だ……」
 ソリスに恋愛感情があるわけではない。ただ、ソリスが主で、誇らしいと思えた。仕えている自分は幸せだと思えた。思えたところだったのに……。

                       4に続く……


アルファポリス「第2回青春小説大賞」にエントリーしています。
「高校生日記」「空の時間」「体育祭(こいまつり)」
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11月からの一ヶ月間です。よろしくお願いします。 (2009年11月1日~2009年11月末日)

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こんばんは、天音です。

この小説は、六道 慧さんの「神の盾レギオン 獅子の伝説」の二次創作です。
(古い作品なので、知らない方が多いとは思いますが……)
登場人物は左のリンクにある「登場人物」を参照されてください。

えっと、お手数ですが、タイトルにある数字の順番に読んでください。

それから、一気に書いていないせいか、内容がだぶっているところがあるかもです。
我ながらしつこい文章だな……と思いますがすみません。


コメントいただければ喜びます。
それでは、お楽しみいただければ幸いです。


ココから小説


「ねえ、マーニ。どうして勉強なんかしなきゃいけないの? 兄上もしてたの?」
 無理やり机につかされ、勉強をしながら、ミレトスがマーニに問う。むくれた顔が幼さを際立たせる。
「ソリスさまのようにならないためにも勉強は必要なのですよ」
 ソリスが居れば怒られそうなことをマーニはさらりと言って、中断された各国の地理の授業を再開させる。
「むぅ~、僕は兄上のようになりたい~!」
 ソリスはどうやらミレトスにとって憧れのようだった。
「……」
 ただでさえ、ソリスとその姉、レイミアは破天荒な性格でマーニをはらはらさせている。その上、ミレトスまで加わったら……と思うと、マーニは頭痛がした。
「いいですか、ソリスさまを目標にしてはいけません。ソリスさまよりさらに優れた王子になれるように努力するんです」
 もっともらしいことを言って見せるが、ミレトスはふくれ面のままであった。
「ねえ、剣技の授業は?」
「この問題が解ければやりましょう」
「ほんと?」
 目を輝かせるミレトスに、マーニはにっこり笑い、
「ほんとです。さあ、続きを……」
と言って、授業のおさらいのミニ試験をミレトスに渡す。そして、時計を見る。
 もうそろそろか……。
 マーニの予想通り、ミレトスの部屋をノックする音がした。
「ルアザン大将、ソリスさまが見当たらないのですが……」
 息をきらしてアルベルトが入ってくる。
「アルベルト、また兄上いなくなっちゃったの?」
 呆れ顔でミレトスが言うと、アルベルトはむっとした顔をして、ミレトスを睨んだ。
「奥宮は……」
「探しました」
 間髪入れずアルベルトが答える。
「例の抜け穴もですか?」
「はい」
「ねえ、抜け穴って何? 僕にも教えてよ!」
 ミレトスがマーニの短衣の裾を引っ張るが、マーニはそれを無視する。
「では……。城下町の娼館を当たってみてください」
「全てですか?」
 げんなりした顔で、アルベルトが訊く。
「ええ……。どこにいるかわからないときはそうするしか……」
 マーニは気の毒そうに答えた。そんな二人に、
「ねえ、娼館ってなあに?」
とミレトスが言った。
 マーニとアルベルトは顔を見合わせる。
「ええっと……。ミレトスさまは知らなくていいところです」
 マーニが視線を泳がせると、
「なんで?」
とミレトスは突っ込む。
「大人になったら教えてあげます」
「大人っていつ?」
「……」
 ため息をつき、マーニとアルベルトはまた顔を見合わせる。
 ソリスさま……。あなたの弟君がこんな質問をするのはあなたのせいですよ……。
「今でないことは確かです」
 マーニがきっぱりと言い切ると、アルベルトも隣で頷いた。
「なんで~?」
「なんででもです」
 相手にしないマーニに、ミレトスは頬を膨らませるが、マーニはとりあわなかった。
「……それにしても……。マーニ殿のときも、ソリス殿下は……その……こんな感じだったのでしょうか……?」
 いささか自信をなくしたらしく、うなだれながらアルベルトが言った。
 昔の自分を見ているようで、なんだか哀れに思い、
「ええ、わたしのときもそうでしたよ。ソリスさまは神出鬼没。そして都合のいいことは聞きますが、都合の悪いことは聞こえない耳をお持ちです。人の言うことを簡単に聴くタイプではありません。だから、アルベルト殿が悪いのではありませんよ。わたしも手を焼いていました」
と答えた。
「そうですか……」
 アルベルトは大きなため息をついた。
「……では、わたしはこれで……」
 一礼をして、出て行こうとするアルベルトに、
「頑張ってね、アルベルト」
 と、他人事のようにミレトスが声をかける。
 一瞬、すうっとそばまった目がミレトスに向けられたのは、見間違いではないだろう。
「さあ、ミレトスさまは勉強を頑張りましょう」
 マーニがぴしゃりと言うと、ミレトスはまた頬を膨らませた。
 それにしても……。
 ミレトスはわがままだが、ソリスを相手するよりも何倍も楽だとマーニは思う。望んでいた平穏な暮らし。
 これでよかったのだろうか。
 アリク王に命じられた日から、ソリスには会っていない。
「……」
 あの日のソリスの目が忘れられない。
「マーニ?」
 ソリスと同じ琥珀色の目がマーニを見上げていた。
「マーニ、時々、とても悲しそう」
「え?」
 そんなことないですよ、と答えようとしたが、声が出なかった。
「……」
「マーニは、僕の従者になったの嫌なの?」
 ミレトスが不安そうな目をして訊いてきた。
「そんなことはありませんよ」
 違うんです。ミレトスさまの従者になったのが嫌なわけではなく、ソリスさまの従者でいたかったんです。
 そう言ってもこの少年は理解できないに違いない。
「マーニ。アルベルトは。アルベルトはどうなのかな。アルベルトも兄上の従者の方が、いいのか、な……」
「それは間違いなく違うと思います」
 間髪おかずにマーニが答えると、
「そ、そっか……。父上が言ったからだよね」
 ミレトスはちょっと安心したように微笑んだ。
「その通りです」
「あ、別に、アルベルトの方がいいって訳じゃないんだよ? マーニは兄上の従者で、僕、凄く尊敬していて、そんな人が従者になってくれて、凄く嬉しいんだ。でも、でもね、アルベルトも僕、好きなんだ」
 必死に言葉を紡ぐミレトスに、
「ええ、分りますよ」
とマーニは笑ってミレトスを見つめる。
「でもね、アルベルトは、僕が何かすると、いつも怒ってばかりで……。アルベルトは僕のことが嫌いなのかなって……」
「それは違います。ミレトスさまが心配だからですよ、きっと」
 マーニはミレトスの頭をなでて、優しく言った。
「心配だと怒るの?」
「ええ。怒るというのはエネルギーがいるんです。どうでもいい人には怒る気もしませんよ」
「ならいいんだけど……」
「さ、勉強の続きです」
「はあい」
 顔をしかめながらも、鉛筆を動かしだしたミレトスをマーニは目を細めて見た。
 ソリスさまよりも何倍も素直だ。
 だが。
 どこかこの状況は歪に思えた。
 いつも行方知れずになるソリスを追いかけていたのは自分で、この幼いミレトスのそばにいたのはアルベルトだった。それが、今は、自分でさえ手を焼いていたソリスをアルベルトが追い、ミレトスのお守りを自分がしている。不自然な人事だとしか思えなかった。

                      5に続く……


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                <人待ち> 


「寒い、なあ……」
 私は手に息をふきかけて小さく呟いた。冷たいベンチに座っていると、そこから体温が下がっていく気がする。
 私は足首をのばしたり、縮めたりして、少しでも寒さを凌ごうとしていた。
 空は冬の曇天である。足元で、落ち葉が乾いた寂しい音をたてて舞っている。色をなくした冬の公園にひと気はない。それがいっそう寒く感じさせる。
 私はスカートの裾を無理矢理下げ、コートの前を寄せて、バックを抱きしめた。
 公園に着いてもうすでに二十分が経とうとしているのだが、一向に友人が来る気配はない。私が早く来すぎたせいもあるのだけれど……。
「さむ……」
 私は寂しさもあって、また呟いた。呟くごとに寒くしかならないのに、寂しさのほうが勝っていたようだ。

 人を待つのは嫌いだ。自分ひとりが世界から取り残された気がするのだ。時は進み、人々は自分の前を通り過ぎはするけれど、自分ひとりは、待ち人が来るまでその世界に入れないような……。
 暗い思考を振り払うようにぶんぶんとかぶりを振ったときである。
「!」
 突然、温かいものが頬に触れた。
「おっそーい!」
 言って振り向いた私の視界に入ったのは、見知らぬ人だった。しかも男性である。
 頬に当てられているのはミルクティー。
「あのう?」
私がおずおずと言うと、その人はにっこり微笑んだ。縁なしの眼鏡の下には優しい目。
私は。その笑顔につられるように、
「いただきます」
 とミルクティーの缶を手に取った。その缶は私の手をじんわりと暖め、一口飲むと、温かいミルクティーが喉を通って胃を温めてくれるのが分かった。私はなぜだかほっとした。
「人待ちですか?」
 彼は耳に心地よいテナーの声をしていた。
「はい」
「僕もなんです。隣に座ってもかまわないかな?」
 彼は言ってまたにっこり笑んだ。寒さが和らいでいく。きっとミルクティーだけのせいではないだろう。彼は春の空気をまとっているかのようだった。
 私は知らず知らずに頷いていた。
「ありがとう。じゃあ、座らせてもらうね。僕はよくこの公園に来るんだけれど、冬のここが一番好きだな。静かで、なんだか落ち着く。寒いけどね」
 私は少し驚いて彼を見た。何もない冬の公園。寂しいだけの公園。この人はそれが好きだと言うのか。
 彼は、そんな私の顔を見て楽しげに笑った。
そして、指を指す。
「ほら、木がたくさんあるよね。よく見て。葉はないけれど、枝は細いけれど、真っ直ぐと風に耐えていて、強さを感じない?
冬は何もないからこそ、逆に見えてくるものがあると僕は思うんだ。近くに人がいるときは、人の温かさが分からないのと同じように、普段は見過ごしてしまうことって多いと思うんだよ」
 彼は綺麗な目をして静かに語った。
「ここへはよく来るんですか?」
 また私のほうを向いて言った彼に、私は、「は、はい」
 と頷いた。友人とのよく待ち合わせする場所なのだ。
「好き?」
「そうですね、なんとなく」
 私の返答に彼は嬉しそうに笑った。それがなんだか眩しくて、私は恥ずかしくなって俯いた。
「そのまま、目をつむって、耳をすまして。
風の音、車の音、鳥の声、羽ばたく音……」
 彼がゆっくりと言葉を紡ぐ度に、私の世界は広がっていった。まるで知らない空間にいるみたいだ。
 ゆっくり目を開けると、見慣れた景色が新しく見えた。彼は相変わらずにこにこ笑っている。
「今日は曇りだけど、空もまだ綺麗なんだよね。世界も捨てたもんじゃないと思うよ」
 私は素直に頷いた。
 彼の目にはとても多くのことが映っているのだろう。私にとって些細なことが、彼の目を通すと素晴らしいものに見えているに違いない。私は大切なことを見落としているのかもしれない、と思った。忙しいからなんていい訳だ。時間に支配されて息を切らしているのは事実だけれど、時間があると逆にそれを持て余しているのも事実だ。何でもそうかもしれない。「しよう」と思えばできることばかり。「できない」のではなくて「しようとしない」だけ。
 耳元で風の鳴る音がして、私は我に返った。
「風が強くなってきましたね」
 彼はそう言って、空気を嗅ぐような仕草をした。そして、
「ちょっと待っていて下さい」
 そう早口に言うと、走って公園を出て、すぐ前の横断歩道を渡って、どこかへ行ってしまった。
 私はまた一人になった。風はますます強くなるばかりだ。冷えた髪が頬を叩いて痛い。落ちている空き缶が耳障りな音をたてて転がっていく。落ち葉にいたっては、空へ吹き上げられるほどだ。
 こんな日に待ち合わせするんじゃなかったなあと、少し後悔する。でも。
 眼鏡をかけたあの人の笑顔が浮かんだ。
(まあ、いっか)
 私はそう思って、彼がしたように、空気の匂いを嗅いでみた。
(あれ?)
 知っている匂いだと思った。なんの匂いだろう。
 目を閉じてもう一度嗅ごうとした、私の鼻の頭に何か冷たいものが落ちてきた。
(そうか!雨の匂いだったんだ!)
 かなり雨粒が大きい。どこか雨宿りをするところ……と辺りを見回していると、あの人が帰ってきた。
「やっぱり降ってきちゃいましたね」
 と、彼は手にした傘を開いて私に差し出した。そして、少し恥ずかしそうに笑って言った。
「手持ちのお金が少なくて、一本しか買えなかったんです。……入れてもらえると有り難いんですが……」
「そんなこと! あなたの傘なんですから、当然じゃないですか。私こそすみません。見ず知らずの私に……。本当になんてお礼を言ったらいいのか」
 慌てて答えると、
「いえいえ」
 と、彼は笑い、
「僕が寂しかっただけなんですから」
 と言った。
 かくして、私は雨の中の公園で、初対面の人と相合傘なるものをするという奇妙な体験をすることとなった。雨が本降りになると、風は幾分か治まった。静かな青い時間が私たちを包んでいた。雨音までもが優しく聞こえる。
「お友達、雨にぬれてなければいいですね」
 友人の家からこの公園までは、距離があるが、途中に何件もの店があるので大丈夫だろう。
「どこに行く予定なんですか?」
「新しい本屋ができたと聞いたので……」
「ああ、あの大きな。
きっと通り雨です。止みますよ」
 彼の言葉通り、雨は小降りになり、やがてあがった。
 公園にできたたくさんの水溜りには、雲の隙間から見え始めた青空が映って、きらきらと光っていた。
「雨の後は、いつもより太陽が愛しくなっちゃうなあ」
 彼は目を細めて空を見上げると言った。先刻の寒さが嘘のようだ。陽の光がゆっくりと染みとおって体を温めていく。冬の太陽がこんなに愛しいなんて、知らなかった。私は、無防備に伸びをしている、年上の彼を見た。新鮮だった。
「あ、お友達みたいですよ」
 彼の声に、少しびっくりして、彼の視線をたどると、私の待ち人が駆けてくるところだった。
「ごっめーん」
 息を切らしてやってきた友人に、私は、
「おっそーい」
 と返事をした。だが、この時間が終わることをちょっぴり残念に思った。私は彼に向き直って、
「ありがとうございました」
 と深々とお辞儀をし、傘を返そうとした。
「それ、あげます」
「え、そんな」
 慌てる私に、彼はまたにっこりと微笑んだ。その笑顔を見ると私は何も言えなくなってしまった。
「……いただきます」
 私は始めのミルクティーよろしく、傘を受け取った。そして、彼にもう一度お辞儀をして、友人のほうへ駆け寄った。彼は笑いながら手を振っていた。
「誰?」
「うん? えーっと……」
 友人が不思議そうに聞いてくるが、私は返答に詰まってしまった。彼のことは全く知らないままだ。名前さえも。
 私が彼のほうを振り返ると、彼は私たちとは反対の方向に歩いて、公園を出て行くところだった。
(あれ? 彼はもしかしたら……)

 私は相変わらず、人を待つ役回りが多い。しかし、その時間が私は嫌いではなくなった。読書にふけったり、季節の風景を楽しんだり。たまにはそんな時間があってもいい、と今では思うのだ。
 そして今日、私は約束もしていない人をあの公園で待っている。
 天気は晴れ。でも手にはあの傘。私に多くのことをくれたあの人。今度は自己紹介から始めよう。


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 それではまた次の小説で!               天音花香

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こんな時間にこんばんは、天音です。

更新が滞っており、すみません。

この小説は、六道 慧さんの「神の盾レギオン 獅子の伝説」の二次創作です。
(古い作品なので、知らない方が多いとは思いますが……)
登場人物は左のリンクにある「登場人物」を参照されてください。

えっと、お手数ですが、タイトルにある数字の順番に読んでください。

それから、一気に書いていないせいか、内容がだぶっているところがあるかもです。
我ながらしつこい文章だな……と思いますがすみません。


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それでは、お楽しみいただければ幸いです。

 
 ココから小説。




「左脇があいていますよ、ミレトスさま!」
 マーニの言葉にミレトスが、左脇を庇う動きをする。
「それでは他に隙が出来てしまいます。剣技は、頭脳も必要なんですよ?」
 マーニがミレトスの木刀を落とす音がカランと響いた。
「ふう……。マーニはやっぱり強いな……」
 汗を拭きながら言うミレトスにマーニは微笑む。
 筋は悪くないと思う。
 だが、まだまだだな。
 ソリスのように、背中を預けることはできない、とマーニは思って、ソリスと比べるのは酷か、と思い直す。
 本来は従者が王子を守るものだ。だからこれでいいのだ。
「ルアザン大将!」
 聞きなれたアルベルトの声が聞こえてきた。
「兄上、また行方不明なの?」
 哀れむように言ったミレトスをアルベルトは無視した。
 マーニが苦笑しながら口を開こうとすると、
「探しました」
とアルベルトが制した。
「そうですか……」
 ソリスさま。フランドル少将を相手に、少しぐらい手加減をしてさしあげたらいいのに。
 そう思って、マーニはすぐに無駄か、と嘆息した。ソリスは従者が誰になろうと、自分のしたいことをしたいようにする。それがソリスだからだ。
「……ミレトスさまも問題児でしたが、ソリスさまはそれ以上だ……」
 自信を失った声でアルベルトは悪態をつく。
「兄上はさすがだなあ」
「それは言葉が間違っていますよ」
 マーニとアルベルトの言葉が重なり、二人は顔を見合わせた。
「あはは」
 そんな二人を見て、ミレトスは無邪気に笑っている。
「苦労をおかけしますね」
 マーニが言うと、
「いえ……」
とアルベルトは答えるが、繕った表情の端に疲れが見えていた。
 そのときだ。
 殺気!
 咄嗟に剣を抜き、ミレトスを庇う姿勢をマーニとアルベルトはとった。
「随分な歓迎じゃないか」
 いつからそこにいたのか、すぐそばの木から飛び降りてきたソリスに、二人は剣を下ろす。
「ソリスさま……」
 困惑するアルベルト。
「……」
 マーニは咄嗟に言葉を発することができなかった。確かに殺気を感じた。間違いなくこの青年から。
 なぜ? 
 ミレトスを殺してもソリスには何の得もないはずだ。
「お? どうした、マーニ」
 マーニに声をかけるソリスからは先ほどの殺気は消えている。
「……いつから……そこにいらしたのですか?」
 訝しげに尋ねると、
「お前たちが剣の練習をし始める前からだが?」
「……気づかなかった……」
「邪魔しちゃ悪いと思ったからな」
「……そうですか」
「マーニ、どうしたの?」
幸いミレトスには殺気が分らなかったようで、無邪気にマーニに訊ねてくる。
「……いいえ、なんでもないです」
 ソリスの考えていることなど、分るはずもない。そういうお方なのだから。
「ねえ、兄上! 僕の剣の練習を見ていたんでしょ? どうだった? 僕も兄上みたいになれるかな~?」
 目を輝かせてミレトスがソリスに言うと、ソリスは笑みをもらした。
「ああ、そうだな。もっといっぱい練習すればな!」
「本当!?
そうだ! 兄上、僕、兄上に剣の稽古をつけてもらいたいな~!
ねえ、マーニ、いいでしょ?」
 ミレトスの言葉に、マーニはソリスを見る。
「いいぜ、俺は」
「……では、いい機会ですし、見ていただくのもいいかもしれません」
「わあい!」
 ミレトスの繰り出す木刀をひょいひょいとよけるソリスをマーニはぼんやり見つめていた。そうだ。ソリスさまは、大きな身体をしているのに、素早かったな、と。
「ほら、全然あたらないぞ?」
「兄上が早すぎるんだよー!」
「よく相手を見ろ! 隙がないか探す。でもそれだけじゃダメだ。頭だけで考えていると、自分に隙ができる。頭で考え、体で相手の動きを感じとるんだ」
 珍しくまともなことを言っているソリスを、マーニとアルベルトは驚きながら見ていた。こうして兄弟仲良くしている二人はなんだか微笑ましい。
「うー!」
 ミレトスが必死になって木刀を振るっている。そんなミレトスを見るソリスの目は優しい。
「よっと。
じゃあ、俺も攻撃に回ってみるかな」
 当然、ソリスは本気を出していないので、ミレトスは懸命にソリスの木刀を木刀で受け止めている。だが、その顔に余裕はない。木刀と木刀がぶつかる高い音がしばらく響く。
「ソリスさまはやはり剣技に長けていらっしゃいますね」
 二人を目で追いながら、アルベルトが言った。
「ええ。それぐらいしか特技はありませんからね」
 そう言ったマーニに、アルベルトは少し寂しげに笑った。
「ルアザン大将とソリスさまは、本当にお互いを信頼しあっているのでしょうね」
 今の言葉のどこからそういう結論になるのか分らず、マーニは首をかしげた。
「いえ、なんでもないです」
 アルベルトがそう呟いたとき、一際大きな音が響いた。ソリスがミレトスの木刀を叩き落した音だった。
「はあ! 兄上にはまだまだ敵わないや!」
「兄の……めん……えっと、なんだっけ?」
「面目です」
 咄嗟にマーニを見たソリスにマーニは答える。
「そうそう、面目、だ。面目丸つぶれじゃ困るからな。
ま、これからも練習をすれば、お前ももっと腕が上がるさ」
「ほんと? なら、頑張る」
「おしっ」
 ソリスは笑うと、大きく伸びをした。
「久しぶりに体動かしたな。俺も鈍らないように少しは鍛錬しなくちゃな」
 フランドル少将も剣技に優れていると聞く。
「失礼ながら、ソリスさまの剣技の相手をしたことは……」
 小さな声で、マーニがアルベルトに囁くと、
「……まだありません」
 とアルベルトは悲しげに答えた。
「そうですか……」
「ねえ、兄上! アルベルトもとっても強いんだよ! 兄上はアルベルトとどっちが強いのかな?」
 抜群のタイミングで、無邪気にミレトスがソリスに声をかけた。
「……」
 ソリスが値踏みするようにアルベルトを見た。
「……そうだな……、機会があれば、一度手合わせでもしてみるか」
 ソリスの言葉に、アルベルトの瞳に一瞬明るい光が灯る。が、それを隠すように、
「そうですね。お願いいたします」
と冷静に答えた。そんなアルベルトにふっとマーニは微笑んだ。
「そのときは、僕も見たいなあ~!」
「いいぜ、参考にするんだな」
「あ、ねえ、じゃあ、マーニとは?
マーニももの凄く強いんだよ! でも、僕相手だと本気をちっとも出してくれないんだ。兄上とマーニはどっちが強いの?」
 マーニとソリスは顔を見合わせた。
 どちらが強い……?
 剣技の練習相手には何度もなったが、ソリスと本気で剣を交えたことなどもちろんない。
 勝てる気はしない。でも……負ける気もない。
 そう思って、マーニはふと我に返った。ソリス相手に本気で剣を抜くことなどないだろう。
「そうだな~、どっちが強いか、か……」
 ソリスが口元に笑みを浮かべる。琥珀色の目が輝きを増していた。
 嫌な予感がする。
「ねえ、マーニ、兄上と手合わせしてよ!」
「はい~?」
「面白そうだな。俺はいいぜ、マーニ」
「私も見てみたいです」
 アルベルトまでがそう言い、マーニは覚悟を決めるしかなかった。
「わかりました。では、ソリス王子、手合わせを願います」
 木刀をミレトスから受け取る。すると、
「木刀じゃなくて、剣でやろうぜ、マーニ」
「剣!?」
 ソリスの言葉に、ソリス以外の三人が動揺する。
「ソリスさま、剣は危険すぎます」
「いいじゃないか。一度やってみたいと思っていたんだよな。マーニなら、俺に殺されることはないだろうし」
 挑発的な目を向けられ、マーニはむっとする。
 この馬鹿王子。
「……いいでしょう。相手の剣を落としたほうが勝ちということで」
 マーニが睨むと、ソリスは楽しげに目を細めた。
「そうこなくっちゃ。じゃあ、始めるか」
 マーニとソリスはお互い剣を抜いた。 
 
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